Bacio di Giulietta / FRAU KRUMM / 神乃珈琲

写真展の前に、恵比寿ガーデンプレイスに新しくできた(リニューアルした)イタリアンレストラン Bacio di Giulietta (バーチョ ディ ジュリエッタ)でお昼をいただきました。テラス席が気持ちよさそうでしたが、この日は夏の暑さだったので店内で食事をすることに。

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扉を開け放したオープンな空間なので、中も決して涼しいわけではないのですが、カウンターに並ぶ食材やスウィーツ、職人さんがピッツァ作りをしている様子を見るのが楽しい。私たちは例によってパスタとピッツァをそれぞれひとつずつ選んでシェアしました。

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イワシとカリカリパン粉を使ったシチリア風パスタ

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たしか...プロシュート(生ハム)を使ったピッツァ。定番のお味ですがおいしかった。ボリュームたっぷりでおなかいっぱいになりました。

ところで店名の Bacio di Giulietta は”ジュリエットのキス”という意味。Baci というイタリアでポピュラーなチョコレートがあるのでピンときましたが、ロミオとジュリエットの舞台ヴェローナの町には、その名も”ジュリエットのキス”というお菓子があるそうです。

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(画像はネットから拝借しました)

(左)イタリアでポピュラーな Baci チョコレート。(右)チョコレートクッキーでクリームをはさんだ”ジュリエットのキス”というお菓子。さらにはバニラクッキー(メレンゲ?)でクリームをはさんだ”ロミオのキス”というお菓子もあるそうです。どちらもおいしそうですね。

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写真展のあとは、恵比寿に新しくオープンしたドイツパン屋さん FRAU KRUMM (フラウクルム)へ。プロテニスプレイヤー 伊達公子さんのお店です。家族がカイザー好きなので気になっていたお店ですが、駅からは少し遠いので車ででかけたこの日に寄ってみました。

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明治通りの裏手にひっそりと佇む小さなお店は、ナチュラルで飾らない雰囲気が魅力。カイザーやプレッツェルなどのドイツパンが中心ですが、バゲットなども置いてありました。

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翌日の朝食に、カイザーをハム、チーズ、レタスだけのシンプルなサンドウィッチにしていただきました。小麦粉の香り、しっかりとした食感が味わえて、とてもおいしかったです。

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この日は行きに目黒通りに新しいコーヒー屋さんがオープンしているのを見つけたので、帰りによってみました。

神乃珈琲(かんのコーヒー)というこちらのお店は、天井が高い倉庫のような建物に大きな焙煎機。スティール&ウッドの渋いインテリア。お店のスタッフはみんなおそろいの白衣を着ていて、実験器具のような道具でコーヒーを淹れています。

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大きな焙煎機が見えるカウンター席で。ブレンドの”コク”と香”を飲み比べてみましたが、違いがわからなかった。>< こちらのお店、どう見てもブルーボトルを真似ているのが明らかですが^^ おいしいコーヒー店が増えるのはうれしいです。

この日は美術館、イタリアン、ドイツパン、コーヒーと、思いがけずに新しいスポットをめぐる一日となりました。

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世界報道写真展2016 @東京都写真美術館

リニューアルオープンしたばかりの東京都写真美術館に、毎年恒例の「世界報道写真展2016」(~10月23日まで)を見に行ってきました。2015年に撮影された写真を対象とする「世界報道写真コンクール」の入賞作品から、8部門約150点が展示されています。

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今年の大賞に選ばれたのは、ポスターにあるオーストラリアの写真家ウォーレン・リチャードソン氏の作品です。警備隊に見つからないようフラッシュを焚かずに、セルビアからハンガリーの国境を越えようとする難民の男性と子どもの姿を撮影しています。国境の有刺鉄線から緊迫した状況が伝わってきました。

昨年は、あふれるばかりに難民を乗せたボートが地中海を進む写真に強烈なインパクトを受けましたが、今年は政情不安定な北アフリカから、あるいはシリアの戦闘地域からヨーロッパを目指す難民の姿を撮影した写真が多く、圧倒的な存在感を示していました。

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例えばセルゲイ・ポノマレフ氏(ロシア)の組写真。2015年、ヨーロッパに流入した難民は100万人以上に上ったそうです。多くはギリシャ、イタリアからセルビア、クロアチアを経由するため、ハンガリーではこれらの国境を閉鎖しました。写真はクロアチア国境付近で難民登録するために列を作る人々をとらえています。

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コレンティン・フォーレン氏(フランス)は、2015年1月11日、仏風刺新聞シャルリ・エブド紙へのテロにはじまる一連の事件に抗議する市民の姿をとらえました。暴力行為は許されるべきではありませんが、風刺と偏見の狭間で、言論の自由とは何か、考えさせられます。

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ケビン・フレイヤー氏(カナダ)は、中国山西省北部、煙をあげる石炭火力発電所を背景に、三輪車を引く男性の姿をとらえました。石炭燃料発電に依存している中国は、世界の二酸化炭素排出量の3分の1を占めています。中国の大気汚染は国民に深刻な健康被害を及ぼしています。

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ロハン・ケリー氏(オーストラリア)の作品です。シドニーのボンダイビーチにせまる巨大な棚雲は、このあと突風、ゴルフボール大のひょう、豪雨をもたらしました。ビーチで平然と寝ている人たちに、思わず逃げて~!と叫びたくなります。^^

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ブレント・スタートン氏(南アフリカ)による組写真です。野生動物の密猟をテーマにした写真は、ここ毎年のように取り上げられています。アフリカ全土で象牙の密猟取引が武装勢力の資金源となっていて、レンジャー隊との激しい攻防戦が続いています。

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ダリオ・ミッチェデェリ氏(イタリア)の作品です。レバノンのベカー高原の難民キャンプで記念写真を撮る人々。行方不明の家族を示す空いた椅子に胸を衝かれます。

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日本からは小原一真氏が入選しました。チェルノブイリ原発事故の5ヶ月後、キエフで生まれた病弱な少女マリヤが抱える問題を、ウクライナのプリピャチで拾った古いフィルムを使って撮影し、組写真で表現しました。小原氏は福島第一原発の取材で知られるフォトジャーナリストです。

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最後に気持ちが明るくなる写真を。グレッグ・ネルソン氏(アメリカ)が撮影した、2015 NCAAトーナメント(全米大学男子バスケットボールリーグ)の写真です。長い影で選手たちの動きを表現しているのがかっこいい。

今年の受賞作品は、こちらのサイトで見ることができます。
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過去の感想はこちら。
pencil 世界報道写真展2015
pencil 世界報道写真展2014
pencil 世界報道写真展2013
pencil 世界報道写真展2012
pencil 世界報道写真展2011

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奇跡の教室~受け継ぐ者たちへ~

パリ郊外の貧困地区にある高校の問題児クラスを舞台にしたヒューマンドラマ、「奇跡の教室~受け継ぐ者たちへ~」(Les Heritiers / Once in a Lifetime)を見ました。情熱ある歴史教師によって変わっていく生徒たちを描いた、実話に基づく作品です。

apple 奇跡の教室~受け継ぐ者たちへ~ 公式サイト

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パリ郊外の貧困地区にあるレオン・ブルム高校。さまざまな人種の生徒が在籍する落ちこぼれクラスに、教員歴20年のベテラン歴史教師ゲゲン先生(マリアンヌ・アスカリッド)が赴任してきます。生徒たちは好き勝手にふるまって、なにかといえば衝突し、まともな授業になりません。

そんな彼らにゲゲン先生は、全国歴史コンクールに参加しようと提案します。”アウシュヴィッツ”という難解なテーマに、自分たちにできるはずがないと尻込みする生徒たちでしたが...。

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ホロコーストというテーマを授業に取り入れてクラスの再生をはかっていく実話といえば、ヒラリー・スワンク主演の「フリーダム・ライターズ」(2007)を思い出します。また序盤のクラスの荒れた様子や生徒が参加する成績会議など、フランス映画の「パリ20区、僕たちのクラス」(2008)を思い出す場面もありました。

「フリーダム・ライターズ」は、ヒラリー・スワンク演じる新人教師の葛藤や奮闘ぶりが心に残る作品でしたが、本作ではゲゲン先生の背景や、生徒たちそれぞれが抱えている個人的な事情や問題について、ほとんど触れられていません。

それでも授業を通じて、さまざまな宗教的、人種的バックグラウンドをもつ生徒たちが共生することの難しさは十分に伝わってきましたし、物語はあくまで彼らが取り組むプロジェクトの進行にターゲットがしぼられていて、まるで自分もそこにいるかのように彼らの体験を共有することができました。

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今やたいていのことはインターネットで調べられる時代。ホロコーストの衝撃的な事実を知るまでにそれほど時間はかかりませんが、ゲゲン先生はそれだけでは不十分だといいます。司書の先生にも助けられ、さまざまな資料から証言を集める生徒たち。ホロコーストミュージアムにも訪れます。

そして、強制収容所の生存者であるレオン・ズィゲルさんから壮絶な体験を聞いて、生徒たちはこのような悲惨なできごとを二度と起こさないために、被害者ひとりひとりの人生に寄り添い、語り継いでいくことが、未来を担う自分たちに与えられた使命だと気づくのです。

多くの移民を受け入れ、多民族、多人種の中で日々を送り、時に衝突し、時に理由のない差別や偏見にさらされることのある彼らにとって、ホロコーストは決して過去のできごとではなく、今も起こりうる問題だということを彼らは肌で感じているのだと思います。

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最初はまるで動物園のようだったクラスを、ひとつにまとめあげるゲゲン先生の手腕はすばらしい。見た目は大人なのに、時につかみ合いのけんかをする彼らは、実は子どものような純粋さをもっていて、それゆえにその情熱を力に変えることができたのかな?とも思いました。

むしろ、自分の殻に閉じこもってことばを発しないテオのことをひそかに心配して見ていたので、最後に人一倍はしゃいでいる姿に胸が熱くなりました。人生の中で一番感受性が豊かな時代にすばらしい先生にめぐりあい、貴重な経験をした彼らがちょっぴりうらやましくなりました。

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ストリート・オーケストラ

ブラジル・サンパウロのスラム街を舞台にしたヒューマンドラマ、「ストリート・オーケストラ」(Tudo Que Aprendemos Juntos / The Violin Teacher)を見ました。挫折を知ったヴァイオリニストとスラム街の子どもたちが音楽を通じて成長していく、実話に基づく物語です。

notes ストリート・オーケストラ 公式サイト

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ヴァイオリニストのラエルチは、緊張のあまりサンパウロ交響楽団のオーディションに落ちてしまい、しかたなくスラム街の学校で音楽指導の職に就くことに。最初はやる気なく、授業にまったく集中できない生徒たちでしたが、ラエルチの粘り強い指導で、生徒たちは音楽を奏でる喜びを知るようになります...。

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ヴァイオリニストとスラムの子どもたちが音楽を通じて再生していく物語ときいて思い出したのは、メリル・ストリープ主演の「ミュージック・オブ・ハート」(1999)。しかし、本作の舞台であるサンパウロ最大のスラム街、エリオポリスはそれよりはるかに過酷な環境でした。

人々は常に貧困や犯罪と隣り合わせに生活していて、生徒たちの中には家の働き手として大きな役割を担っている子もいれば、ギャングの手先となって犯罪に手を染めている子も。

スラム街で撮影されたという本作はリアリティに満ちていて、私は映画を見ている間中、”何か悪いことが起こりそうな予感”におそわれながら、心臓がぎゅ~っと縮むような思いでいましたが、彼らは実際にこのような緊張感の中で暮らしているのですよね...。

先の見えない厳しい環境の中で、生きることにせいいっぱいな彼らにとって、クラシック音楽を学ぶことがどのような意味をもつのか...その答えがこの作品にはあると思いました。

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ラエルチが夜の町でギャングにからまれた時に、パガニーニの超絶技巧を聴かせて相手を黙らせたエピソードや、トラブルに巻き込まれた生徒を助けるために、マフィアのボスのパーティでクラス全員で「美しき青きドナウ」を演奏する場面もありましたが、それらはほんの一例。

音楽にジャンルは問いませんが、特にクラシックは、楽典を理解したり、楽器の演奏技術を身につけたり、繰り返し練習が必要だったり...音楽が楽しめるようになるまでにはいくつもハードルがあり、それを乗り越えることが表現する喜びや達成感、自信や心の安定につながっていくのではないかな、と思いました。

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映画に登場するクラシックの名曲の数々もすてきでしたが、生徒たちが円陣を組んでひとりひとり即興でメロディをつなげていくシーンが楽しかった! それからスラム街を見下ろす友だちの家のバルコニーで、サムエルがヴァイオリンで弾くバッハに、親友のVRが即興でサンバのメロディをあわせるシーンも大好きです。

notes Violino e Cavaquinho (You Tube)

VRが演奏するウクレレに似た楽器が気になってあれこれ調べていくうちに、サンバに使われるカヴァキーニョという楽器だということを知りました。(ポルトガルからハワイに伝わったのがウクレレ、ブラジルに伝わったのがカヴァキーニョ)

日本では楽器は個人で習うものですが、アメリカではどの学校にもオーケストラがあり、指導を受けられたことを思い出します。本作ではNGOが支援していましたが、この活動がのちにスラムの子どもたちによるエリオポリス交響楽団の誕生につながったというのがすばらしい。公教育のあり方についても考えさせられました。

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A16 @MARINE & WALK YOKOHAMA

横浜美術館に行く前に、今年3月に新しくできた商業施設、MARINE & WALK YOKOHAMA(マリン&ウォーク ヨコハマ)でお昼をいただくことにしました。
ship MARINE & WALK YOKOHAMA 公式サイト

場所は赤レンガ倉庫のとなり。みなとみらい駅や横浜美術館からは10分ほど歩きますが、コスモワールド(遊園地)やカップヌードルミュージアムを横目で見ながら、ぶらぶら散策を楽しみました。

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JICAの横から横断歩道をわたって...右に見える Fred Segal から先がショップ&レストランエリア。左に見えるクールでモダンな別棟は結婚式場だそうです。最近はブライダルも多様化して、いろいろなタイプの会場がありますね。

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まずはぶらりとひと回り。2階建てのオープンモールは広さもほどよく、ウィンドウショッピングが楽しめました。白い壁とレンガのコンビネーションは、アメリカの西海岸と東海岸をミックスしたようなイメージでしょうか。インポートの洗練されたカジュアルファッションのお店が多かったです。

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目の前には横浜港。といっても山下公園のようなフレンドリーな雰囲気ではなく、倉庫や海上保安庁など、あくまで業務用?のハードボイルドな風景がかっこいい。

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赤レンガ倉庫の向うには、大桟橋に「飛鳥Ⅱ」が停泊しているのが見えました。大桟橋までは歩くと結構距離がありますが、船の大きさに圧倒され、すごく近く感じられました。港に大型客船が停泊している風景が大好きなので、見るとわくわくしてきます。

お昼はいろいろ迷って、サンフランシスコ発のイタリアンレストラン、A16(エーシックスティーン)に入ることにしました。以前、丸の内ブリックスクエアの同店に入った時には中庭のテラスが気持ちよかったですが、こちらは目の前に海が見えるのがすばらしい。

ランチは、パスタコースとピッツァコースがあわせて12種類あり、それぞれ前菜と飲みものがつきます。私たちはパスタとピッツァからひとつづつ選んでシェアしていただきました。

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鶏白レバーとマッシュルームのリガトーニ。レバーは家ではあまり食べないので、メニューにあるとつい選んでしまいます。太めのリガトーニとのバランスもちょうどよく、おいしくいただきました。

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パスタをトマトソースにしたので、ピッツァは白いソースで。プロシュートの塩味がほどよく、もちもちした生地も最高でした。

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メアリー・カサット展 @横浜美術館

記事にするのがすっかり遅くなりましたが...先月、横浜美術館に「メアリー・カサット展」(9月11日で終了)を見に行ってきました。9月27日~12月4日には、京都国立近代美術館に巡回します。
art メアリー・カサット展 公式サイト

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メアリー・カサット(1844-1926)はパリで活躍したアメリカ人の印象派画家。21歳の時にパリに渡ったカサットは、ドガと運命的な出会いをはたし、印象派展に参加しました。明るく豊かな色彩で身近な女性たちを描き、特に母と子の絆を描いた作品で知られています。

ポスターの慈愛あふれる作品に魅了され、楽しみにしていた本展。まとめて見ることの少ないカサットの代表作を中心に、親交のあった画家たちの作品やカサットが収集した浮世絵などが展示され、カサットの魅力がまるごと堪能できる企画展でした。

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桟敷席にて (1878)

オペラグラスで舞台を一心に見つめる、きりりとした横顔が印象的。向うの席からこちらを見ている男性がいますが、一向に気にする様子がありません。肌を見せない昼間の服装でマチネを見に来た女性は、カサットが求めていた新しい女性像なのかもしれません。

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眠たい子どもを沐浴させる母親 (1880)

眠くて目がとろん、足がだらんとしている幼子。無防備で安心しきった表情と、それを優しく見つめる母親の姿が相まって、見ていて幸せになる作品です、。肌に青をのせて透明感を表現しているところは、ルノワールの作品に通じるものを感じました。

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浜辺で遊ぶ子どもたち (1864)
ぷくぷくしたほっぺ、足を投げ出す無垢な姿が愛らしい。平和で満ち足りたひと時を感じる作品です。

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夏の日 (1894)
モネの「舟遊び」を思い出しました。キラキラと輝く水面から夏の明るい陽射しが伝わってきます。

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果実をとろうとする子ども (1893)
ピンクとグリーンの色の対比が美しい。くっきりとした輪郭線に、力強さと生命力を感じました。

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母の愛撫 (1896)
むちむちとした子どもの感触が伝わってくるような作品。母と子の豊かで濃密な時間が感じられます。

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沐浴する女性 (1890-91)

印象派のほかの画家たちと同じく、浮世絵から大きな影響を受けたカサットは、多色刷りの版画作品も数多く残しています。喜多川歌麿や鳥居清長の美人画に感動したカサットは、女性の日常や母子に自らのテーマを見出しました。構図や小物の使い方にも浮世絵の影響が伝わってきます。

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2年前に「ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展」で見た作品にも再会しました。(版画なので正確には違う刷りですが)

女性が画家になることが難しかった時代に、ドガのような理解者と出会い、ベルト・モリゾといった他の女性画家たちと親交を深めながら、女流画家ならではの視点で独自の作風を切り開いていったメアリー・カサット。作品とともに、その生き方にも魅力と共感を覚えました。

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金沢能登(8) 長町武家屋敷跡 ~ 尾山神社

旅の最後はバスに乗って香林坊へ。金沢一の繁華街のすぐ裏手に、長町武家屋敷跡があります。ここはかつて加賀藩の上・中級武士たちが暮らしていたお屋敷町で、今も細長い小路に土塀が続き、江戸時代の面影が残っています。

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先日見た「武士の家計簿」でも、土塀の続く家並みが日常の風景として描かれていましたが、主人公の直之たちもこのあたりで暮らしていたのでしょうか...。まるで時代劇のセットのようですが、今もお屋敷を守りつつ、人々が実際に暮らしていらっしゃると知り感動しました。

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東町、寺町、長町...とそれぞれに伝統のある古い町並みを歩いてきましたが、金沢は戦争中、空襲を受けなかったために、こうした貴重な建物や町並みが数多く残されているのだそうです。

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ジグザグに延びる土塀の小路を抜けると視界が開け、石畳はなくなりますが、大野庄用水に沿って昔ながらの土塀のお屋敷が点々と続きます。時間の都合で通り過ぎるだけになってしまいましたが、一般公開されている野村家や、足軽資料館もこの通りにあります。

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400年前に造られたという大野庄用水。防火や融雪、物資の運搬など、さまざまな目的に利用され、城下町の生活を支えてきました。ゆるゆるとした流れは風情があり、町並みにしっくりとなじんですてきでした。

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バス通りに出ると、ちょうど目の前に尾山神社が現れたので、少しだけ寄ってみました。加賀藩祖前田利家と正室おまつの方が祀られている神社で、初詣や七五三など、折にふれて金沢の人たちに親しまれているそうです。

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こちらの神社、なんといっても神社らしからぬ?門がユニークです。上層にはステンドグラスがはめ込まれ、てっぺんには日本最古の避雷針が備えられています。妙立寺の仕掛けや兼六園の噴水といい、加賀藩には新しもの好きの発明家がいたのかも...?と想像がふくらみました。

旅行記はこれでおしまいです。長くなりましたが、最後までおつきあいくださりありがとうございました。

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金沢能登(7) 兼六園 ~ 石川県観光物産館

金沢21世紀美術館から通りをわたって...金沢を代表する名所、兼六園を訪れました。加賀藩の歴代藩主によって長い年月をかけて作られてきた広大な回遊式庭園で、日本三名園に数えられています。

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真弓坂口からゆるやかな坂道をのぼっていくと、うっそうとした木立の中にひっそりと瓢池(ひさごいけ)が現れます。池のほとりから味わいのある建物がせり出して、軒先には藤棚が木陰を作り、川床のように涼しそう。

ここは瓢池のすぐ奥にある三芳庵という料亭の別棟で、お抹茶のほか、お昼のお弁当がいただけるとのこと。1時間後に予約を入れて、先に園内を散策することにしました。

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日本庭園なのに噴水が?と不思議に思ったら...霞ヶ池との高低差を利用して水圧で噴き上げる、日本最古の噴水だそうです。

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兼六園の中心に広がる霞ヶ池。雪吊りがはじまる頃には、ニュースでもおなじみの風景です。右手前に見えるのは2本足の徽軫灯籠(ことじとうろう)。琴の弦をささえる琴柱(ことじ)の形に似ていることから名付けられたそうです。

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左に見えるのは蓬莱島、右に見えるのは内橋亭。梅、桜、燕子花、紅葉、雪景色...四季折々の美しい風景で知られる兼六園ですが、夏の緑もなかなかよいものです。

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霞ヶ池のまわりをぐるりとまわって...園内を歩いて驚いたのは、開園中も庭師やお掃除の方がおおぜい働いていらっしゃること。美しい庭園はこうした努力で支えられているのですね。

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霞ヶ池のほとりに小高い山があったので上ってみました。霞ヶ池を拡張した時に掘った土を盛り上げて作ったそうで、登り道が渦を巻いていることから栄螺山(さざえやま)と名付けられています。卯辰山を借景にしたここからの眺めもすばらしい。

この日はとても暑かったので、広い園内を半分ほど歩いてギブアップ。時間の頃合いもちょうどよく、最初に訪れた三芳庵にもどりました。なぜか貸切り状態?で窓側のよいお席でゆっくり静かに食事が楽しめました。

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金沢伝統料理の治部煮のほか、お造り、焼き物などあってどれもおいしかった。お部屋の雰囲気も窓からの眺めもよく、しばし幸せな時間がすごせました。

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このあとは、兼六園から坂道を下りたところにある石川県観光物産館へ。手作り体験クーポンをいただいていたので、和菓子づくりに参加したかったのですが、希望者が多くすでに締め切りとのことで、代わりに金箔細工にチャレンジしました。

型紙を用意してくださるので素人でも比較的簡単にできるはずですが、それでも欠けたり、よれたり、思った以上に難しい。>< 悪戦苦闘してなんとか形になった時にはほっとしました。^^;

1階には石川、金沢の老舗の銘菓、特産品がずらりとそろっていて、おみやげはすべてこちらでまとめて購入しました。包装紙はもちろん、個別に渡す時のバッグまですべてそのお店のものが用意されていて、日本のおみやげ文化を熟知した心遣いに感動しました。

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金沢能登(6) 妙立寺 ~ にし茶屋街 ~ 金沢21世紀美術館

ホテルの朝食バフェに、加賀野菜(金沢で生産される15品目の伝統野菜)を使ったお惣菜があったので、ひと口ずつ味見してみました。

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(左)は加賀麩と源助大根の金沢おでん。(右)は加賀太きゅうりの酢の物、五郎島金時の甘煮、えびす(たまご寒天)、金時草のおひたし、加賀れんこんのきんぴら、ヘタ紫なすのいしる煮びたし。どれも繊細な味つけでおいしかったです!

さて、金沢での移動は周遊バスが便利。一日フリー乗車券をフル活用しました。最初に訪れたのは、寺町寺院群にある妙立寺(みょうりゅうじ)です。

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加賀藩3代藩主 前田利常が創建した日蓮宗のお寺であり、前田家の祈願所。徳川幕府からの改易や侵略に備え、複雑な構造と敵を欺くさまざまな仕掛けをもつことから、(忍者とは関係ありませんが)別名 忍者寺とよばれています。

以前訪れた時にすごくおもしろくて心に残っていたので、今回是非家族を連れていきたいと思っていました。見学はガイドツアーとなっていて、電話での事前予約が必要です。隠し階段、落とし穴...目の錯覚や思い込みを衝いたアナログ時代のみごとな仕掛け。ガイドさんの話術も巧みで引き込まれました。

このあとは妙立寺の裏をまわって、すぐ近くにある”にし茶屋街”に寄ってみました。

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ひがし茶屋街にくらべると規模が小さいですが、それゆえに静かで落ち着いた趣がありました。通りにはお茶屋さんが並び、人気の甘納豆屋さんや老舗の落雁屋さん、なぜか?チョコレートのカカオサンパカもありましたが、いずれも町並みにしっくりなじんですてきでした。

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通りに金沢市西茶屋資料館があったので、入ってみました。2階にお茶屋さんのお部屋が再現されています。弁柄の塗り壁や調度、お道具のひとつひとつにお茶屋文化の粋を見ました。(金沢が舞台ではありませんが)宮尾登美子さんの小説「陽暉楼」を思い出しました。

このあとはバスに乗って、金沢21世紀美術館を訪れましたが...

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なんとこの日はお休み。>< こんなことなら前日に訪れればよかったと思いましたが、展示室は閉まっているものの、建物は自由に入ることができ、無料のゾーンや屋外の作品を見ることができて十分楽しめました。

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金沢21世紀美術館は、2004年にできた現代アートの美術館。円形ガラス張りのモダンな建物ですが、兼六園、金沢城といった隣接する伝統的環境に違和感なくなじんでいるのがすばらしい。美術館の設計を手がけたのは、世界で活躍する建築ユニットSANAA(妹島和代さん+西島立衛さん)です。

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マイケル・リン 「市民ギャラリー 2004.10.09-2005.03.21」

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左に見えるのは、オラファー・エリアソンの「カラー・アクティビティ・ハウス」という作品。中と外がつながっていて自由に出入りできる楽しい遊具です。エリアソンの作品は、2008年に見た The New York City Waterfalls というインスタレーションが懐かしく思い出されます。

SANAA の建築もこれまでいろいろ見ています。
art New Museum of Contemporary Art (ニューヨーク)
ship 海の駅なおしま (香川県・直島)
boutique ディオール表参道 (東京)

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金沢能登(5) ひがし茶屋街 ~ 金沢城公園

のと里山海道をひたすら走り、金沢にもどりました。夜8時まで車が使えるので、この日のうちに中心地から少し離れた”ひがし茶屋街”を訪れることに。

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江戸時代、加賀藩が公認して作られた3つの茶屋町のうち、最も規模が大きく格式が高いのがこのひがし茶屋街です。木虫籠(きむすこ)とよばれる伝統的な細かい格子をしつらえた町家が軒を連ね、風情ある町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

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お座敷遊びは一見さんお断りですが、2軒のお茶屋さんが一般公開されているほか、町家の造りをそのまま生かしたお土産屋さんや和菓子屋さん、甘味処などがそこここにあり、町歩きが楽しめます。

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その昔訪れた時はもっと静かな雰囲気だった記憶がありますが、いつの間にかお店が増えて人がにぎわい、兼六園に次ぐ人気の観光スポットになっていて驚きました。きんつばの中田屋さんや和菓子の森八さん、加賀麩の不室屋さんなど、老舗の名店も続々こちらに支店を出しています。

初々しい和服姿のお嬢さん2人が歩いていて、町並みに華を添えていてすてきだな...と思ったら、加賀友禅を着て散策する体験コースがあるようです。外国からのお客様が目をきらきらさせて、いっしょに写真を撮っていましたよ。

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時々まっ赤なお茶屋さんがあって目を引きましたが、これは弁柄(べんがら)という伝統色だそうです。そういえば金沢駅前の鼓門も弁柄ですね。この弁柄色や、群青色はお座敷の塗り壁にも使われているそうです。

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和菓子の老舗、森八さんの茶寮(森八ひがし三番丁店)でひと休みしました。江戸時代の弁柄の町家をそのまま生かした店内で、坪庭を眺めつついただく甘味にほっとしました。私は夏らしく”くずきり”にしましたが、美しい九谷の器に入っていて目にもおいしくいただきました。

このあと、少し時間に余裕があったので、車で移動して金沢城公園をぶらりと散策することにしました。兼六園下の駐車場に入れ、石川門から入ります。

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五十間長屋・橋爪門続櫓

加賀百万石 前田家の居城としておかれた金沢城。度重なる火災で、石川門と三十間長屋以外はすべて焼失してしまいましたが、2001年に菱櫓(ひしやぐら)、五十間長屋、橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)が復元されました。

2016083107 菱櫓

実は学生時代に金沢を旅した時、ここには金沢大学があったのです。お城の中にキャンパスがあるなんて!と感動し、学生たちに交じって学食でお昼を食べたのも懐かしい思い出です。^^ その後、金沢大学は郊外に移転し、ここは1996年から金沢城公園として一般公開されているそうです。

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東の丸北面石垣

金沢城は何度も火災にあい、そのたびに修復を重ねてきたために、さまざまな時代や技法の石垣が混在していることでも知られています。石垣めぐりのコースもあり、マニアにはたまらないかも? 写真は城内でもっとも古い技法が用いられている石垣です。

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車を返してから、近くの割烹風?のお店で夕食にしましたが、家族の好みでお肉料理ばかり注文してしまって、あまり金沢らしいお味が堪能できなかったのが残念。でもお料理はおいしかったです。

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