大正時代の洋館 「旧古河邸」
北区西ヶ原にあるバラの庭園で知られる旧古河庭園にある洋館、「旧古河邸」の見学ツアーに参加しました。(洋館内部の見学には事前に往復はがきでの申し込みが必要です。詳細はコチラ)
古河財閥3代目の古河虎之助さんのお屋敷で、鹿鳴館やニコライ堂などの設計で知られるイギリス人建築家ジョサイア・コンドル氏によって設計されました。実際に住まれていたのは10年足らずだそうで、その後国の所有となったものの荒れ放題になっていたのを、都が改修・整備したそうです。
日本の近代化のため招聘され来日したコンドル氏は、たいへん日本が気に入ったそうで、お茶や日本画に親しみ、日本人女性と結婚されたそうです。外見はれんが造りに石の外壁という英国スタイルの洋館ながら、内部には日本の住文化を考慮した細やかな工夫が取り入れられていました。
古くて味わいのあるシャンデリアにマントルピース。ビリヤード室、ダイニングルームと、各部屋毎に個性があってすばらしかったです。↑の写真中央1階は「薔薇の部屋」。大きな窓からさんさんと日が差し込み、バラをテーマにした装飾があちこちに取り入れられていてすてきでした。
ガラスや木材など素材も凝っていて、彫り飾りなど装飾ひとつひとつに日本の職人さんの技が生きていました。今は当時の贅沢な材料は手に入らず、修復できる職人さんもいらっしゃらないそうです。
2階に上がるとホールに5つの重厚なドアが並んでいますが、その奥がまた驚きでした。控えの間の向こうに仏間、客間、居間など、畳敷きの伝統的な和室がありました。主寝室はベッドのお部屋でしたが、その奥のウォーキングクロゼットは和室でした。当時はまだ和服中心の生活だったので、こうした作りになったようです。
外観からは想像できないこの作り。学芸員の方は、和洋折衷ではなく、和洋「調和」という表現を使っていらっしゃいまいた。それにしても3人の家族に対し、住み込みのスタッフが60人もいたというのに驚きました。当時のお金持ちの華麗な生活の一端に触れる、貴重な経験となりました。
土地の高低差を生かした個性的な庭園もみごとでした。お屋敷の前はテラス式の洋風庭園となっていて、幾何学的に美しく整えられたバラ園がありました。残念ながらバラの季節は終わっていましたが、わずかに咲き残った丹精されたバラがとてもきれいでした。
バラ園の階段を降りていくと、うっそうとした緑の向こうに、洋館の風景とは180度異なる、みごとな日本庭園が広がっていました。京都の庭師、小川治兵衛さんが作られた庭園は、灯篭、池、枯山水ならぬ枯滝などが配してあって、日本の自然が豊かに再現されていました。
洋風庭園と日本庭園の間を取り持つようにつつじ園があり、ここにも建物と同じ、和洋調和の精神が生かされていました。
「和」と「洋」がみごとに調和した、個性的なお屋敷と庭園でした。
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コメント
今晩は!
そうそう、印刷局からちょっといくと「古川庭園」ですよね。私もウォーキングの途中で何度か入って見たいな~なんて思いながら(入場料も安いですしね!)、まだ入った事がないんですよ。
写真を拝見するととってもステキな場所ですね。今度、是非、立ち寄ってみようと思います。お庭も素晴らしいですね!
あ、池之端にある岩崎邸は訪れた事があるのですが、ここもステキでしたよ。洋館も素晴らしいのですが、日本人としては和風邸宅のたたずまいにも心を奪われました。
投稿: ごみつ | 2009年8月 1日 (土) 01時08分
ここも、思い出深い場所です。
昔、仕事を一緒にしていたとってもがんばり屋の女性の
結婚式がこの場所でした。
とても雰囲気のある素敵な場所ですよね。
最近では、昨年の文化勲章を受けられた、ドナルド・キーン氏の
撮影をここの庭園で撮影させていただきました。
ご本人の希望でした。
とてもお好きな場所だそうです^^
投稿: イザワ | 2009年8月 1日 (土) 11時13分
こんにちは!
ここは、前にイザワさんのブログで見た事あります。
薔薇が色々見る事が出来る所、
この建物を拝見するには、申し込みがいるんですね。
教えて頂き良かったです。
一度行ってみたいと思っていたので、知らなかったら中を見る事が出来ませんでした。
ありがとうございます。
和洋調和、調和した美しさ良いですね!
投稿: Rei | 2009年8月 1日 (土) 11時23分
☆ ごみつさま ☆
そう、こちらもごみつさんのウォーキングコースにありますね。(笑)
ここから駒込駅を越すと、六義園ですし
このあたりは見所が多いところですね☆
建物内は予約が必要ですが、庭園だけでもなかなか楽しめました。
バラの季節にまた訪れたいな~と思いました。
岩崎邸の洋館も、コンドル氏が設計されたそうですが
和風邸宅もあるのですね。いつか訪れてみたいです。
投稿: セレンディピティ | 2009年8月 2日 (日) 01時23分
☆ イザワさま ☆
ここは、イザワさんにとって思い出の場所なのですね。
ツアーが終わった後、ウエディングドレス姿の女性を見ました。
おそらく何かの撮影だと思いますが…。
クラシカルな空間の中、すてきなお式だったでしょうね。
そして、ドナルド・キーン先生の撮影もこちらだったのですね。
和と洋がみごとに調和した空間ですから
日米の文化の架け橋でいらっしゃるキーン先生の撮影には
ぴったりの場所ですね!
先生お好きだというのも、とてもよくわかる気がします。
投稿: セレンディピティ | 2009年8月 2日 (日) 01時31分
☆ Reiさま ☆
イザワさんも、こちらをご紹介されていたのですね。
どんなお写真か気になります。探してみようかしら…。
バラの咲く頃はきっとそれはそれはみごとだろうなと思います。
私もいつかまた訪れてみたいです。
ツアーは申し込みはちょっと手間がかかりますが
とても見ごたえがあったので、やはり拝見させていただいてよかったです。
4人だけでしたので、じっくり見ることができました。
学芸員の方の思いが伝わるすばらしいツアーでした。
投稿: セレンディピティ | 2009年8月 2日 (日) 01時39分
こんばんは!
たぶん、AOL時代のブログでアップしていたと
思いますが、どこだかは、わからない状況です^^;^^;
キーン氏を撮影させていただいた時は、プライベートな
写真は撮ってなかったので、その前だと思います。
ごめんなさい。
投稿: イザワ | 2009年8月 2日 (日) 03時32分
こんにちは。
ここは日本ではないようですね。。
外観の空の青と、芝生の緑のコントラストがきれいですし。
『調和』というのもいいですね。
どちらかだけにならないというものの考え方はとても好きです♪
でも、セレンディピティさん本当にアクティブですよね~。
すごいな~と拝見していて思っています♪
投稿: のりたま | 2009年8月 2日 (日) 13時12分
☆ イザワさま ☆
お忙しい中、わざわざ調べていただいて恐縮です。
キーン先生のお写真は、イザワさんの写真展でも拝見したので
その中にもきっとあったのでしょうね。
ご連絡ありがとうございました。
投稿: セレンディピティ | 2009年8月 3日 (月) 07時45分
☆ のりたまさま ☆
お花はあまり咲いていませんでしたが、
緑が豊かでみずみずしく、とても美しかったです。
「和」と「洋」がどちらも中途半端というのでなく
どちらも本格的に作られていて、それがうまく調和していたのが
すごいと思いました。
夏休みに入ってから、ちょっとばたばたしています。
もともとは家でのんびりするのが好きなのですが…。
投稿: セレンディピティ | 2009年8月 3日 (月) 07時56分
セレンさん☆
バラの季節が終わりかけたところだからでしょうか、人が居なくていいかんじにお屋敷が撮れてますね。
私はどうしても人が入ってしまって・・・
お屋敷のシャンデリアなのどの調度品が素晴らしかったですよねー
私たちはリビングリームで見学の後コーヒーを飲みました。
投稿: ノルウェーまだ~む | 2014年6月 3日 (火) 13時47分
☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
暑い夏の最中に訪れたので、人はほとんどおらず...
お屋敷の見学も、予約していた私たち3人と
ひとりで来ていた若い男性に急遽スタッフが声をかけて
合計4人でしたが、それだけにじっくり
お話をうかがうことができました。
調度や細工など、ひとつひとつがすばらしかったですね☆
まだ~むさんはコーヒーを飲まれたのですね~
この日はカフェもオープンしていなかったので...
やはり今度はバラの季節に訪れなくては。
投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2014年6月 4日 (水) 07時48分