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「面白南極料理人」

何ヶ月か前に読んだ本ですが、映画を見てから…と思いつつ、記事にするのがすっかり遅くなってしまいました。南極越冬隊に、海上保安庁から調理担当として参加された西村淳さんのエッセイ。2009年に映画化されています。

Omoshiro_nankyoku_2  面白南極料理人

この本を読んで、南極には昭和基地以外にも日本の基地があるということ、また考えれば当たり前のことですが、南極越冬隊には研究、調査をする学者たちの他に、医療や通信、調理などの専属のスタッフもいらっしゃるのだということを知りました。

著者の西村さんは、この時が2度目の南極赴任ということで、前回の経験をふまえての材料の調達、準備の段階から、私には興味深く楽しめました。平均気温がマイナス57度という全てが凍ってしまう世界に持ち込める食材は、冷凍できるもの、缶詰、乾物などに限られます。

それゆえ、肉類、魚介類は、ロブスター、蟹、フォアグラ、近江牛…といくらでも高級食材は持ち込めるのですが、野菜は冷凍に限られるし、豆腐やこんにゃくなどは無理、卵は液状に凍らせたもの…と工夫が必要です。

海外で生活する際にも、日本の食材がなかなか手に入らない状況での工夫はありますが、南極料理人には、スーパーもコンビニもない環境の中で、シェフとも主婦とも違う、サバイバル料理人ともいうべき才能が必要なのだと認識しました。

西村さんたちが着任されたのは、南極沿岸の昭和基地から約1000km離れた標高3800m級の山の中にあるドームふじ基地。昭和基地からは雪上車で約1ヶ月の道のりです。この移動の間は当然お風呂に入れないし、食事も簡単なものに限られます。この時点で既に過酷…。

ドーム基地がある場所は、ペンギンもアザラシも、ウィルスさえも存在しない世界。その中で印象的だったのは、越冬隊員が持ち込んだ冷凍の種から芽吹いたというレタスの葉の描写です。頼りないひょろひょろの緑であっても、命あるものが、いかに人の心に潤いを与えるかが伝わってきました。

越冬隊員たちの個性的なキャラクターも魅力的。こういう理系人間のまじめおかしい雰囲気は好きなので、(私がもう少し若かったら)仲間に入ってみたい気もするのですが、お風呂・トイレ事情を聞くと、さすがに女性には無理かも…。(笑)

映画の中で、きたろうさんが「僕、ラーメンが食べたいんだよ…」と涙目で訴えるシーンには思わず笑ってしまいましたが、「食べる」ことは喜びであり、人間らしく生きていくために大切なこと、厳しい環境であってもみんなで食卓を囲むとおいしく食べられる、ということを改めて実感しました。

Nannkyoku  南極料理人

映画版は、先日ようやく見ました。出演者は、原作に負けない個性派の俳優さんたちが揃っていましたよ。

映画に登場するお料理は、映画「かもめ食堂」などで知られるフードスタイリストの飯島奈美さんの手によるもの。こちらは原作以上にインパクトがありました。なんでもないおにぎり riceball がどうしてこんなにおいしそうなのでしょう…おもわず手を伸ばして食べたくなりました。

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コメント

~ん、人間って結構適応力の高い生き物ですよ。学生時代、3週間以上風呂にも入らぬ山暮らしを年数回やっていましたが、女子部員も同様にやっていましたよ。
私の経験からすると女性のほうが環境適応性は高いようです。大学はおぼっちゃま、お嬢様が多く通うボンボン大学であったせいか、部員にも育ちの良い子が沢山いました。
みなさん、風呂もなく、歯磨きさえ不自由な山の暮らしに文句を言っていましたが、いつのまにやら慣れてしまいましたね。
不自由な暮らしのなかで、どれだけ楽しめるかが適応のコツだった気がします。どちらかといえば、おぼっちゃまよりもお嬢様のほうが適応力は高かった気がします。文句も多かったですがね。

投稿: ヌマンタ | 2010年10月29日 (金) 12時48分

こんばんは!
これは、また面白そうな本、そして映画ですね。
著者も素晴らしいと思いますが、ここに目をつけた編集者も
やった!という感じでしょうね^^

こういった普通はウイルスでさえ存在しない場所で芽がでる・・・
というのは感動ものです。
私も観てみたいとおもいます!

投稿: イザワ | 2010年10月30日 (土) 01時05分

☆ ヌマンタさま ☆
自分ではわりと環境適応力が高い方だと自覚していますが
それでも、こういう水がほとんど使えない
極寒の閉ざされた特殊な環境の中で一年以上も暮らすというのは
正直自信がありません。
それほど生易しくはないと思いますよ。
でも沿岸に近い昭和基地でしたら、私でも何とか暮らせるかも。
著者はとても陽気な方で、楽しく書かれているので
きっとチームのムードメーカーだったのだろうなと思います。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2010年10月30日 (土) 02時09分

☆ イザワさま ☆
これは、ネットのニュース(業界紙?)か何かで
著者が連載されていたコーナーを、まとめたものだそうです。
現地からの生の声だけあって、説得力があって
楽しく読み進めることができました。

ウィルスのない世界で芽吹くって感動的ですよね。
室内なのである程度の気温はあるようですが
そのかわりに太陽光線は当たらないので
かいわれや、もやしなどしか育たないそうですが
それでも貴重な「生野菜」ですね。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2010年10月30日 (土) 02時22分

今晩は!

わ、私、これ本も映画もとっても気になってる作品です。
とにかく映画は絶対に見たいですし、本を読めばもっと深く楽しめそうですよね。

何もかもが凍ってしまう世界で、食材を管理するのは本当に大変そうです。フリーズドライ商品なんかはどうなんでしょう?カップヌードルとか。もしOKならラーメン食べられますよね。(笑)noodle

前にスペースシャトルの番組見た時、研究のために持って行った稲の入ったブースのところが、乗組員の休憩場所になったっていうエピソードを見ましたよ。自然とそこに人が集まってきちゃうんですって。
人間ってやっぱり大地を感じていたいんでしょうね。bud

投稿: ごみつ | 2010年10月30日 (土) 22時12分

☆ ごみつさま ☆
こんばんは♪ 台風、だいぶ収まったみたいですね。

私も映画化された頃から気になっていて作品です。
私は本から先に読んでしまったので、映画はアレンジされていて
ちょっと物足りなく感じてしまったのですが、
なかなか評判よかったみたいですね。俳優陣が個性的でした。

ラーメンの材料もちゃんと持ち込んであったのですが
映画ではきたろうさんが無類のラーメン好きで、毎夜のように
食べていたので、在庫が尽きてしまったという設定でした。
材料が無くなったからといって、ちょっとスーパーに買い出しに…
といかないのが、南極のつらいところですよね。(笑)
特にドーム基地は、沿岸から一ヶ月かかりますから。
あと標高が高くて沸点が低いので(85℃くらい?)
麺類はゆでても芯が残ってしまう…という問題があったようです。

私も、きっと宇宙ステーションに滞在…という状況でも
同じようなことが起こりうるのだろうな、と思いながら読みました。
こういう無機質的な環境では、命あるものが
なによりも心に潤いをもたらすのでしょうね。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2010年10月31日 (日) 01時40分

南極料理人は見てみたいなと思っている作品でしたが、原作本があるんですね。知りませんでした。
昭和基地からさらに一ヶ月もかかる場所ねんて…想像もつきません。
こういう過酷な場所で生活をするということは、想像以上に強い精神力が必要なんでしょうね。宇宙飛行士も協調性のある人じゃなければなれないって聞いたことがあります。
普段の生活の中でも食事というのはかなり楽しみなもののひとつなのに、南極ではそれが何十倍もの楽しみになるのでしょうね。それを1人で請け負う南極料理人さんもかなり大変なお仕事なんですね。映画早めに見たいと思います☆

投稿: olive | 2010年11月 1日 (月) 10時54分

☆ oliveさま ☆
南極料理人、私も気になっていた作品です。
ドーム基地…ほんとうに過酷な環境ですよね。
自然環境もそうですが、8人という限られたメンバーで、
一年以上、限られたスペースで生活するわけですから
チームワークが大切だなと思います。
「同じ釜の飯を食う」という表現がありますが
それだけに結束も強まりそうですね。

映画は、ドーム基地での日常生活を描いているので
特別なできごとがあるわけではないのですが…
個性的な俳優さんたちの何気ない一言や行動がおかしかったです。

投稿: ☆ oliveさま ☆ | 2010年11月 1日 (月) 11時20分

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