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旧岩崎邸庭園

上野・池之端にある「旧岩崎邸庭園」を訪れました。ここは、明治29年に三菱財閥3代目・岩崎久弥氏によって建てられた岩崎家の本邸です。現在の正門となっているところから、砂利を敷き詰めたゆるやかな坂を上りきると、正面に車寄せのついた大きな洋館が現れました。

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まるで博物館のように重厚な建物ですが、これが個人の邸宅というから驚きです。設計はジョサイア・コンドル氏。明治時代、日本の西洋建築教育のために招聘されたイギリスの建築家で、鹿鳴館やニコライ堂などを設計されました。門下生には、東京駅や日本銀行を設計された、辰野金吾さんがいらっしゃいます。

以前、コンドル氏が設計した「旧古河邸」を見学して感銘を受けたので、現存する他の代表的な個人邸宅である旧岩崎邸を是非見てみたいと思っていました。旧古河邸と比較しながら興味深く見学することができました。(邸宅内は、撮影禁止です。)

ガイドツアーに参加するつもりでしたが、お客様が多くてお話が聞けませんでした。現在放映中の大河ドラマ「龍馬伝」に、龍馬に次ぐ大役で初代・岩崎弥太郎氏が登場していて、にわかに注目が集まっているのだそうです。ちょっと訪れるタイミングが悪かったです。

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木造2階建ての洋館は、17世紀の英国ジャコビアン様式で建てられているとのことですが、内装はつややかな深いあめ色のオーク材で、装飾的な彫刻が随所に施されていて、とても壮麗な作りでした。(頭の中を「華麗なる一族」のテーマ曲が流れていました。(笑))

壁紙は復元されたもので、厚手の和紙を型押して金の彩色が施されていました。アカンサスの葉がデザインされたイスラム風唐草模様は、「旧古河邸」と同じく、西洋と東洋を調和する効果を生み出しているように感じました。

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裏側のベランダの様子は、表側とは見た目ががらりと変わっていました。アメリカのジョージ・ワシントンの邸宅に似ている…と思いましたら、やはり久弥氏が留学されたアメリカ・ペンシルヴェニア州のカントリーハウスのイメージを取り入れていると聞いて納得しました。

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主に外国からのお客様や国内の大切なお客様をお招きしていたという洋館には、広間や食堂、書斎、客室などが備わっていました。天井が高く、壁の高いところに大きな鏡がはめこまれていました。大きな鏡は当時は富の象徴であり、部屋を広く見せる効果もあったそうです。

お化粧室の陶器はロイヤルドルトン、1階のベランダに敷き詰められたイスラム模様のタイルはミントンの特注品といったように、細部にわたって世界一級のものを求めて作られたお屋敷の豪奢さにため息が出ました。

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古河邸では、洋館の2階部分が、外からはわからないように、ご家族の生活用の和室になっていましたが、岩崎邸では、来賓用の洋館と、ご家族と使用人の方が生活するための和館とが、廊下でつながっていました。

書院造りを基調とした和館は、今は一部のみが残っていますが、当時は洋館以上の広さがあったそうです。動の洋館に対して、静の和館といった印象を受けましたが、みごとな襖絵や壁画、部屋の随所に菱模様の意匠があしらわれ、細部への心配りが感じられました。

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洋館、和館のほかに、撞球室(ビリヤード場)がありました。こちらは洋館と地下でつながっているそうです。撞球室もコンドル氏の設計ですが、洋館とは異なり、こちらはスイスの山小屋風の造りとなっていました。

中に入ることはできませんが、外から中をのぞくと体育館のように広々としていました。こちらの外観は、童話に出てくるお家のようにかわいらしかったです。洋館と全く趣の異なる造りになっているところに、遊び心を感じました。

                              

今までにご紹介した、ジョサイア・コンドル氏の作品から…。

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(左)は、北区西ヶ原にある「旧古河邸」、(右)は復元ですが、丸の内ブリックスクエアにある「三菱一号館」です。

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コメント

こんばんは!

あ、岩崎邸、いらっしゃったんですね!
私も一度だけ入ってみた事がありますが、素晴らしい洋館ですよね~。こんなところに住んでみたいな~なんて。でも、実際は洋館は、記事でも書かれてる通り、賓客をもてなしたり、公務をこなしたりするための空間だったんですよね。

でも和館の方に足を踏み入れると、「ああ、やっぱり日本人ならこっちだよね・・」ってしみじみ思わされます。冬は寒そうだけど、火鉢に手をかざしたりしながら読書でもしてみたいな~なんて。(笑)

そうか、今岩崎弥太郎ブームで混んでるんですね!普段はガラガラなのに、ちょっとタイミング悪かったですね。

投稿: ごみつ | 2010年11月14日 (日) 23時56分

こんばんは。
旧岩崎邸は行ったことがありませんが、
重厚な、いかにも岩崎邸!!といった主張が感じられる洋館ですね。
龍馬伝もいよいよラストに近づき、人気も倍増といった感じですね^^
古川庭園は友人の結婚式や、雑誌の取材である文化人の方を撮影しに
伺ったことがあり、私も好きな建物です。
こういった建物ウォッチも楽しいですね^^

投稿: イザワ | 2010年11月15日 (月) 02時59分

☆ ごみつさま ☆
おはようございます♪
ごみつさんは、以前岩崎邸に行かれたとおっしゃっていましたね。
和館が気に入られたとおっしゃっていたように記憶しています。
どうしても外見の華やかな洋館に目がいってしまいがちですが
和館の方もすばらしかったですね。
だいぶ規模を縮小してしまったのが残念です。
古河邸もでしたが、当時はまだ日本人は和服の生活だったので
和室がくつろぐための空間だったのでしょうね。
洋の部分と和の部分で、ON/OFFをうまく
切り替えていらしたのだろうな、と思いました。

「龍馬伝」を見ていなかったので、最初はどうして混んでいるのか
???でした。ゆっくりお話をうかがえなかったのが残念です。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2010年11月15日 (月) 08時16分

☆ イザワさま ☆
岩崎邸、おそらく当時の日本で手に入る、選りすぐりの最高の素材と
優れた技術を結集して建てられたのであろう
贅を尽くした造りに圧倒されました。
ガイドのボランティアの方も心得ていらして、
「龍馬伝」をうまく取り込みつつ、解説していらっしゃいましたよ。

古河庭園は、私もお気に入りの場所です。
古河邸を見学させていただいてから、ジョサイア・コンドル氏が
設計した建物やその生涯に興味を持つようになりました。
古い洋館が大好きなので、建築ウォッチングは楽しいです☆

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2010年11月15日 (月) 08時50分

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