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「レオニー」

日系アメリカ人の彫刻家イサム・ノグチの母、レオニー・ギルモアの波乱に満ちた生涯を描いた映画、「レオニー」を見に行きました。

     Leonie

詩人・野口米次郎のアメリカでの編集者として雇われたレオニー。二人はやがて恋に落ち、レオニーは米次郎の子を宿しますが、米次郎はレオニーを置いて日本に帰国してしまいます。後に米次郎に呼び寄せられたレオニーは、生まれた男の子とともに、未知の国、日本を訪れることを決意します…。

時代は今から約100年前。米次郎の愛情だけを頼りに、言葉も文化も全く違う日本へと向かったレオニーの心は、どんなに心細かったことでしょう。しかも、ようやく日本にたどり着くと、米次郎は既に結婚していて、レオニーを妾として別宅に迎え入れたのです。

それでも、レオニーが寂しくないように、また経済的に自立できるようにと、英語を習う生徒たち(彼らは皆英語が話せて、実際にはレオニーの貴重な話し相手となっていた)を見つけておいてくれた米次郎は、彼なりの愛情で、精一杯にレオニーを支えていたのかもしれません。

シングルマザーとして異国に暮らすレオニーは、当時は先進的な考えの女性だったと思いますが、封建的な日本の社会においても、レオニーの目を通して、新しいタイプの日本女性が描かれていました。

一人は、日本で初めて女性が学ぶ大学を創設した津田梅子さんで、レオニーとはアメリカの大学の同窓生でした。頼りにしてきたレオニーに対して、毅然とした厳しい態度で接した梅子女史ですが、それだけに新しい大学創設に賭ける並々ならない情熱が伝わってきました。

もう一人は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)夫人のセツさんで、米次郎のもとを飛び出したレオニーは、しばらく彼女の元に身を寄せていました。夫に日本の民話を話し聞かせたのがもとで、「怪談」が生まれたというエピソードもすてきでしたし、精神的に自立した優しく強い女性という印象が鮮やかでした。

母親としてのレオニーは、アメリカで学びたいという14歳のイサムを単身渡米させたり、アメリカで医学を学んでいるイサムを、「あなたには彫刻の才能があるのよ」と進路を変えさせたり… 優しく温かい母親というよりは、強引な孟母というイメージ。

それでもそうした彼女の働きによって、イサムが世界に名を残す彫刻家となり得たのかもしれません。

          chair          chair          chair

映画の最後で、イサムの代表的作品として札幌の「モエレ沼公園」が登場していましたが、ここでは以前ニューヨークのイサム・ノグチ美術館で見た作品から、いくつかご紹介させていただきますね。

Isamu1 Isamu2

現代美術は難しくてよくわかりませんがsweat01 イサムの作品には、日本の例えば備前焼や石庭などに通じる、無駄をそぎ落としたことによって生まれる究極の美が表現されているような気がします。

Isamu3 Isamu4

こちらは、インテリアデザイナーとしても活躍したイサムの作品から。こうしてみると、イサムが幼い頃にすごした日本が、彼の中にたしかに息づいていたのを感じてうれしくなります。

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映画」カテゴリの記事

コメント

100年前、日本のその当時に来たなんて凄い勇気のいる事でしたね。
津田梅子さんと聞いて、時代感が湧きました。
イサムノグチさんの作品、
お写真の輪と同じ様なのが、横浜美術館にありますよ。
小学校時代に、横浜の小学校に通っていたそうで
なんだか親近感が湧きますね!

投稿: Rei | 2010年11月28日 (日) 20時54分

こんばんは!
なんて気持ちの強い女性なんでしょう!
本当に勇気がありますね。
現代もこのような行動をとるのは大変ですが、
まして100年前・・・
人生って本当にいろいろな道がありますが、
岐路に立った時の選択で人生は変わってきますね。

投稿: イザワ | 2010年11月28日 (日) 23時30分

今晩は。cherry

あら~、私この映画、全然知らなかった。
イサム・ノグチは有名だからもちろん知ってましたが、ご両親にこんなエピソードがあったのは、セレンディピティさんの記事で初めて知りました。flair

予告編も見てみましたが、面白そうですね。映画を見たら氏の作品へのイメージも変わってきそうです。

母親のレオニーを演じているのは、「マッチポイント」でジョナサン=リース妻を演じた女優さんですね。どんな演技を見せてくれるのかしら。日本側の俳優さん達の演技はどうでしたか?

私も是非見てみたいです!happy01

投稿: ごみつ | 2010年11月28日 (日) 23時49分

☆ Reiさま ☆
100年前、はるばる船に乗って、見知らぬ国へ…
想像しただけで勇気ある行動ですよね。
映画では100年前の日本の街の様子がていねいに再現されていて
当時の様子に思いを馳せました。
イサム・ノグチさんの作品、横浜美術館にもあるのですね☆
機会があれば、是非見てみたいです。
映画では、イサムが学校に行くシーンが出て来なかったので
どうしてたんだろう?と気になって、私も後から調べてみました。
横浜のセントジョセフに通っていたようですね。
なんだか親近感がわきますね☆

投稿: ☆ Reiさま ☆ | 2010年11月29日 (月) 07時52分

☆ イザワさま ☆
100年前に、ことばも文化も違う異国の地に
小さな赤ちゃんをかかえて向かうとは勇気ある行動ですよね。
ポスターのイメージですと、ちょっとはかなげに見えますが
実際にはかなり気持ちの強い女性だったようです。
一時的にしても、日本に住んでいなかったら
その後の人生は全く違ったものになったかもしれませんね。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2010年11月29日 (月) 08時00分

☆ ごみつさま ☆
この映画、新聞で紹介されていて、是非見たいと思っていました。
日本の監督さんですが、独特の色彩があって映像が美しかったですし、
女性ならではの細やかな感性で、ていねいに作られていました。
イサム・ノグチ誕生の背景が知ることができて興味深かったです☆

レオニー役の女優さん、「マッチポイント」の時は、ごく普通のかわいい奥様
という役でしたが、今回はなかなか気性の強い女性の役で、彼女への印象が
がらりと変わりました。
日本側の俳優さんたちも実力派が揃っていて、好演していらっしゃいました。
特に原田美枝子さん、竹下景子さん、吉行和子さん…と
女性陣がとてもよかったです。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2010年11月29日 (月) 08時23分

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