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沢木耕太郎 「あなたがいる場所」

新聞に月に一度のペースで連載されている、沢木耕太郎さんの映画レビューを楽しみにしています。映画の解説というより、エッセイといった感じでしょうか。毎回取り上げられる作品は私好みですし、ご自身が感じたままに率直に書かれているのが快いです。(こちらのサイトで、ご覧になれます。)

沢木さんの穏やかで控えめな文章が好きなので、代表作の「深夜特急」はいつか読みたいと思っていますが、最近「あなたがいる場所」という初めての短編集を出されたと知り、早速図書館で借りてきました。

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サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」のように、ここには9編の短編が収められています。後記によると、作者は、子どもでも読める、わかりやすい短編小説が書きたかったとのこと。そのことばのとおり、どの作品もすいすい読み進めることができました。

作品に登場する人物は、年齢も性別もさまざま。それぞれの主人公が抱えている苦悩や不安は本人にとっては大問題でも、小説の題材としてはいささか地味といえなくありません。でも、だからこそ、読む人はそこに自分自身を重ねることができるのだと思います。

人生のさざ波を静かに見つめる、作者の優しい眼差し。答えのない、60%くらいのハッピーエンディングに、リアリティと余韻が感じられました。

私が気に入ったのは、最後の「クリスマス・プレゼント」という作品。物語の性質上、内容は明らかにできませんが、あることばを境に、それまで見えなかったものが見えてくるところがすばらしい。

それはまるで、スポイトで落とした一滴のインクが、水の中でさ~っと広がるような感覚。こういうところが、短編小説のおもしろさであり、魅力だなあと感じさせる一編でした。

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スプーンですくって取り分けていただく、カジュアルなチョコレートケーキを焼きました。稲田多佳子さんのレシピです。

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粉類はほとんど入れず、チョコレートとたまごの力で固める、柔らかタイプのケーキです。材料を順に混ぜ合わせたら、耐熱容器に流しいれ、オーブンで焼くだけ。とても簡単にできました。

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大きなスプーンですくって、取り分けていただきます。粉砂糖と、軽く泡立てた生クリームを添えました。ふわっと柔らかく、チョコレートの風味が濃厚なので、まるでチョコレートムースを食べているよう。クリーミィな味わいでした。

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コメント

きゃあ~!セレンディピティさん!感激!
私、沢木さんが出始めた頃からの大大大ファンなんですぅ~!
もともとフィクションよりもノンフィクションが好きなもので
当時ノンフィクションばかり読んでいた事もあって
沢木さんの作品に出会ってからは新刊は必ず読んでました。
朝日の連載もいつも楽しみにしてますぅ。
当然この初短編集も発売とともにGET!一気に読み切りました。
全部とってもいいですよねぇ~ これからも何度となく
手に取って読み返すこと間違いなし!
セレンディピティさん、ほんとうに感想をまとめられるのが
お上手ですよね☆ おっしゃる通りで、深く頷きながら
読ませて頂きました。
ぜひぜひ過去のノンフィクションも図書館で借りてみてぇ~
好きな作家は?と聞かれれば「沢木耕太郎」と一番に
答える私なのでついつい今回の記事、嬉しくて嬉しくて
熱くなっちゃいました…  しっつれいしました!

投稿: ゆず | 2011年5月25日 (水) 17時50分

☆ ゆずさま ☆
え~、ゆずさん、沢木耕太郎さんのファンだったのですね!
沢木さんの文章、ほんとうにすてきですね。
人気が高いという理由が、よくわかります。
私は、沢木さんの文章から感じられる
穏やかさと謙虚さがとても好きです。
今度は過去の作品もいろいろ読んでみますね~☆

投稿: ☆ ゆずさま ☆ | 2011年5月26日 (木) 08時08分

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» 『あなたがいる場所』 沢木耕太郎 [じゅうのblog]
嫁さんが図書館で借りてきてくれた「沢木耕太郎」の短篇小説集『あなたがいる場所』を読みました。 [あなたがいる場所] 最近、読んでいる書物の中では「沢木耕太郎」作品の比率が高いですね。 -----story------------- 理不尽なイジメに苦しむ少年が出会った、赤く染まる白い鳩。 家族の在り方に戸惑う少女を奮い立たせた、一台のピアノ。 事故で娘を亡くした父親の苦しみを断ち切らせた、片腕のない男。 バスを降りたその街で、人々は傷つき憂えながら、静かに痛みを超える。 九つの物語が呼び覚ます、... [続きを読む]

受信: 2012年5月 2日 (水) 19時45分

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