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「闇の列車、光の旅」

DVDの予告映像を見て、ひと目で私の好みに合いそう!と、「闇の列車、光の旅」(原題:Sin Nombre)を借りました。日系アメリカ人のキャリー・ジョージ・フクナガ監督による初めての長編映画で、サンダース映画祭監督賞はじめ、多くの賞を受賞した作品です。

中米ホンジュラスからアメリカをめざして過酷な旅を続ける少女と、メキシコのギャング組織にいる青年との運命的な出会いを通して、ラテンアメリカの厳しい現実を描いているロードムービーです。

     Sin_nombre

中米ホンジュラスに住む少女サイラは、アメリカに移住するため、父、叔父とともに長い旅に出ます。長距離列車の貨車の屋根に乗り、他の移民たちと揺られながらの旅。彼らは不法入国者であり、途中で警察に見つかれば即強制送還、時に射殺されてしまうことも。危険を伴う命がけの旅です。

メキシコから強盗目的で乗り込んできたギャングのリーダーに乱暴されそうになったサイラは、その一味の青年カスペルに助けられます。組織を裏切ったことで追われるカスペルと、この事件がきっかけで彼に思いを寄せるサイラ。二人は列車を下り、アメリカをめざして逃亡の旅を続けます…。

映画を見て、十数年前にメキシコを訪れた時のことを思い出しました。カンクンという美しいビーチリゾートで夢のような時間をすごし、そこからチチェン・イッツァというマヤの遺跡を訪れる現地のツアーに参加した時のこと。遺跡までは片道3時間の長い道のりで、途中の小さな町で何度か休憩をとりながらの旅でした。

ツアーが立ち寄るくらいですから、治安が比較的よい町だったと思いますが、そこで見た、バスに群がる物売りの人々、町中で生気なく座り込んでいる人々… 貧しさと秩序のなさが、ただ恐ろしく衝撃的だったことを、今もはっきりと覚えています。

観光地や、観光客が立ち寄る町は、経済的に恵まれており、私が見た美しく、エキゾチックなメキシコはいわばよそゆきの姿。映画で描かれている現実の世界に、改めて考えさせられる思いでした。

この作品では、命がけで国境を越える不法移民たちや、年端のいかない少年が銃を知り、ギャングの一味となる姿など、ラテンアメリカの厳しい現実が描かれています。その中で、一筋の光を求めて逃亡する二人の姿は切なくドラマティックで、映画の世界に引き込まれました。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こちらでもこんばんは~。cherry

この作品知りませんでした。
サンダンス映画祭に出品されたっていう事は、若い新人監督さんの作品ですよね。
そうそう、DVDの予告編って、けっこう参考になるんですよね。
ステキな映画にめぐりあえて良かったですね。

カンクンに行かれた事あるんですね~。私も行ってみたいな~。
ただ、問題を抱えている国の現実の姿を見る事もとても大切な事ですよね。

私も機会があったら是非この作品見てみたいです。

もしかすると内容的にちょっときついかもしれないんだけど、ブラジルのフェルナンド・メイレレス監督の「シティ・オブ・ゴッド」っていう作品も素晴らしかったですよ。リオデジャネイロのストリートチルドレンを描いた作品なんだけど・・。「ナイロビの蜂」の監督さんです。movie

投稿: ごみつ | 2011年5月24日 (火) 23時29分

サンダンス映画祭といえば、レッドフォード!
レッドフォードが好みそうな映画内容で、硬派な感じ^^
メキシコにも行かれたことがあるとのことですが、
映画で描かれている街が本当のメキシコに近いということは
映画の本気度が分かりますね。
流石に受賞作!
本当に多くの映画を観られ、そしてこうしてブログでご自分の
意見を入れてアップ!
凄いです!

投稿: イザワ | 2011年5月25日 (水) 04時31分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪ こちらにもコメント、ありがとうございます。

この作品、昨年公開されたそうですが、私も知りませんでした。
予告映像で見つけてラッキーでした。
監督さんは弱冠32歳で、これが初めての長編映画とのことです。
実在するギャング組織も出てきますが
いたずらに刺激的に作られていなくて、監督の良心を感じました。

カンクンは、アメリカ東海岸からだと行きやすく
比較的ポピュラーな観光地なんですよ。
美しいビーチも、マヤの遺跡もすばらしかったですが
途中の普通の小さな町の風景が、印象に残りました。
それでも私が見たのは、うわべのほんの一部なのでしょうが…。

「シティ・オブ・ゴッド」のことは、この映画の公式サイトの中で
引用されていて、初めて知りました。
こちらもなかなか見応えがありそうな作品ですね。
是非見てみたいです。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年5月25日 (水) 13時35分

☆ イザワさま ☆
レッドフォード作品、私も好きです。
この作品は、社会派でもあり、物語としてもおもしろく、
引き込まれました。
この監督さん、ご自身も移民たちといっしょに
列車の屋根に乗り、強盗にも遭遇したとか。
体当たりで撮られただけあって、リアリティのある
すばらしい作品になっていました。
私が旅先で見たのは、ほんの表面的な部分だけですが
映画では実在のギャング組織も登場していて、国の現状を知り
衝撃を受けました。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年5月25日 (水) 13時53分

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