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NHKスペシャル ホットスポット最後の楽園 「日本」

ふだんTVはめったに見ないのですが、先日偶然見た「NHKスペシャル ホットスポット最後の楽園」という番組がとてもおもしろかったので、書き留めておきます。シリーズは全部で6回あって、私が見たのは第6回で最終回でした。う~ん、今まで見逃していたなんて残念。

ホットスポットとは、生物学者ノーマン・マイヤーズ博士の提唱した概念で、「生物多様性がきわめて豊かなのにもかかわらず、破壊の危機に直面している地域」のこと。その34の地域には日本も含まれているそうです。そして第6回は「日本 ~私たちの奇跡の島~」でした。

     Hot_spot_1

番組では主に、上高地の山の中で暮らすニホンザルと、西表島に住むイリオモテヤマネコにターゲットをしぼって紹介していました。

ニホンザルは私たち日本人にとって身近な動物ですが、実は日本固有の貴重な種であり、極寒の地に生息する世界で唯一のサルだそうです。そういえば、アメリカの地理の本で、雪の中、温泉につかるニホンザル(snow monkey)が驚きをもって紹介されていたなあと思い出しました。

ニホンザルは、インドのアカゲザルが進化したものと考えられています。かつて地球が氷河期にあった頃、海面は低く、日本は大陸と地続きになっていました。大陸から日本に渡ってきたアカゲザルが、その後日本が島として分離してから、独自の進化をとげてニホンザルとなったそうです。

黒潮と対馬海流が日本にもたらす恵みの雨、それによって生まれたブナなどの広葉樹林のおかげで、ニホンザルは極寒の雪の中で樹皮などの食料を得て生きながらえるようになりました。誰に教わるでもなく、春になると雪解けに合わせて、食べ物を求めて山を登っていくニホンザルの姿は感動的でした。

     Hot_spot_2 (HPより)

西表島は、ここが日本?という亜熱帯のジャングルの風景にまず驚きました。イリオモテヤマネコは西表島の固有種で、100匹しかいない絶滅危惧種です。最近、島の道路が整備されたことによって、イリオモテヤマネコが車に轢かれる事故が増えているとのこと。人間と野生動物の共存の難しさを思い知りました。

ネコといえば魚が好物というイメージがありますが、意外にも自ら魚を獲って食べるのはイリオモテヤマネコだけだそうです。このほか、温泉にもぐってエサを採るニホンザル、離島で海藻を採って食べるニホンザルが紹介されていましたが、環境に応じて食性を変える動物の生命力に心を打たれました。

それで思い出したのは、ガラパゴス諸島の生物のことです。島の植生に応じてエサが変わるので、島によって(つまりは採るエサによって)ゾウガメの甲羅の形が違う進化をとげること、また世界で唯一、海にもぐって海藻を採るイグアナがいること…。

日本は離島とはいえませんが、やはり島国なので、生物もその地域での環境に応じた習性や食性をもつようになり、特異な進化をとげるのかな、と納得しました。

それにしても、映像で見る日本の自然の美しさに息を呑みました。西表島の亜熱帯樹林、雪に覆われた日本アルプスの山々、蔵王の樹氷、清流。南北に細長いため気候は亜寒帯~亜熱帯と変化に富み、また国土の大部分を占める山地と、周りを取り囲む海が日本に豊かな自然をもたらしている幸運を改めてかみしめました。

ナビゲーターは福山雅治さん。自然体で取材する姿に好感がもてました。

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コメント

青森の温泉ザルは、現在困ったことになっています。動物園を抜け出したのか、それとも個人のペットが逃げ出したのか分かりませんが、台湾ザル(当然、ニホンザルに近い系統のサル)の群れが近づいてきていて、交配の可能性が高まっています。つまり、固有種としての純血性が失われるわけです。
近縁のサルだけに、交配は避けられないし、野生化した台湾ザルだけを排除するのも困難なようです。
外来種が、固有種を排除してしまうのは、人類の活動が広まるにつれて必然的に起きてしまう悲劇です。既に小笠原などでは、外来種が固有種を絶滅に追いやっているようです。

投稿: ヌマンタ | 2011年6月28日 (火) 14時36分

今晩は。

私もこの最終回、ラストの部分ちょっとだけ見ました!
帰ってテレビをつけたらやってたのですが、「日本猿」の特番か~
なんて思ってましたが、こういう趣旨の番組だったのですね。
そう言えば、福山雅治が番組の宣伝をしていたのを思い出しました!
私も、きちんとシリーズを通して見たかったな~。
きっとまた再放送やりそうですよね。

動物、生命をテーマにしたものは興味がつきませんよね。生物の多様性には本当に驚かされる事がいっぱいです。

この地球の主役が人間だと勘違いしている傲慢さにも気がつかされますよね。

お猿さんは、もともと暑い地方の動物だから、「雪の中の猿」は、外国では驚かれるのでしょうね。
そう言えば、テレビで観たのですが、北海道のダチョウ牧場で、雪の中をわっしわっしと走っているダチョウの姿にも驚きました。(笑)
生き物は強いですね。

投稿: ごみつ | 2011年6月29日 (水) 00時58分

この回、見そこないました・・・
日本の自然をおっての撮影は個人的にもしてみたいですが、
仕事でないとなかなかチャンスがありませんね^^
ニホンザルの温泉に入っている姿、本当に絵になります。
フォトコンでも良く入賞している写真を見かけます。
HPの写真も流石にいいところ押さえていますね!

投稿: イザワ | 2011年6月29日 (水) 02時09分

☆ ヌマンタさま ☆
青森のおサルさん、たいへんなことになっているのですね。
ひとたび勾配が始まると、連鎖的に起きそうで心配ですね。

これだけ人やものの移動があると、いくら島国とはいっても
多少の外来種の流入は避けられないのかもしれませんが、
それにしても、ペットを無責任に飼う人は困りものですね。
勝手に放たれたブラックバスや西洋クワガタなどが、
日本固有種をおびやかしているという話も聞きますが
たいていの場合、日本固有種より外来種の方が遺伝的に強い場合が
多いので、貴重な種の存続が脅かされるのが心配です。

ガラパゴスも観光客が増えるとともに、観光業に携わる人の人口が増え
ゴミが増えたり、家畜によって固有種の卵が食べられたり
といった問題が起きています。
世界遺産に登録された小笠原は、これから環境客が飛躍的に増えることは
間違いないですから、種や環境の保存は、これから大きな課題に
なっていくでしょうね…。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2011年6月29日 (水) 10時51分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪ 今日も暑いですね~。

ごみつさんも、この番組少しご覧になったのですね!
私も偶然見たのですが、思いがけずおもしろくて見入ってしまいました。
他の回も見たかったな~。また再放送するといいのですが…。

この番組で、日本の自然の美しさ、そして生物の多様性を再発見しました。
中にいると、なかなか気づかないものですが…。

ニホンザルなんて、今まで見てもなんとも思っていなかったですが
運命に導かれるように日本にやってきて、
その種の保存のために、自分たちでいろいろ工夫して
生きながらえてきたんだなあ、と思うとなんだか感動しました。

雪の中のダチョウさんもおかしいですね!
本人の意思にそむいて連れてこられて
順応せざるを得なかったのかもしれませんが…(笑)

ほんとうに地球や生物の神秘には、驚くことがいっぱいですね。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年6月29日 (水) 11時07分

☆ イザワさま ☆
この番組で、日本の自然の美しさを再発見しました。
イザワさんが先日撮られていた奥多摩の自然も
近くにこんなすばらしいところがあったのか、
と言う驚きがありましたが、
意外と近くにいる方が気づかないものかもしれませんね。
ニホンザルが温泉に入っているところを見ると、
ほんとうに人間みたいだな~と思います。
実際にこの場面を見てみたいです。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年6月29日 (水) 11時17分

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