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「小さな中国のお針子」

DVDの予告編で見てひと目で惹かれ… 「小さな中国のお針子」(原題:Balzac Et La Petite Tailleuse Chinoise)を見ました。中国映画だと思ったら、フランス映画でした。中国系フランス人のダン・シージエ監督が、自らの小説「バルザックと小さな中国のお針子」を映画化した作品です。

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舞台は文化大革命時代の中国。医師を親に持つ2人の青年マーとルオは、再教育のため、山の奥深くにある小さな村に送られます。農作業や炭鉱での仕事、慣れない肉体労働に明け暮れる二人は、やがて美しい文盲の少女「お針子」と仲良くなります。

お針子から、同じく再教育で来ている「めがね」が西洋の書物をたくさん隠し持っていることを聞いたマーとルオは、それらを盗み出すことに成功します。マーとルオ、そしてお針子の3人は、禁じられた本を夢中になって読みながら、新しい世界を知り、感動を共有し、心の絆を深めていきます…。

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お針子を演じたジョウ・シュンさんは、とてもかわいらしい女優さんでした。文化大革命時代が舞台ですが、政治色はほとんどありません。美しい悠久の山々の風景の中、短くも濃密な時間をすごした3人の、甘酸っぱくほろ苦い青春の物語です。

文学や音楽が、反革命的で罪悪であるとされていた時代。しかし、マーが奏でる美しいヴァイオリンの音色や、二人が村人たちに話して聞かせる外国の物語の数々は、村人たちの心を抗しがたい魅力で捉えていきます。

マーとルオは、モーツァルトのソナタを「毛沢東を想って」という曲、バルザックの小説を(当時、中国と友好関係にあった)アルバニアのお話、という具合にごまかしますが、誰もが心のどこかでウソと知りながら、だまされたふりをしていたのではないでしょうか。

二人は町で上映される映画を見に行って、それを村人たちに話して聞かせる、という役目を与えられます。雪の代わりに籾殻を降らせるなど、演出効果満点、時に感極まって涙ぐみながらの二人の話に聞き入る村人たちの、うっとりとした表情が印象的でした。

27年後、パリでヴァイオリニストとなったマーは、あの小さな村がダムの底に沈むと知って、中国を訪れます。バルザックの文学に触発されて外の世界に飛び出していったお針子の行方はわかりませんでしたが、上海で歯科医として成功しているルオと会い、思い出話に花を咲かせます。

お針子と愛し合ったルオにとっても、一歩さがってお針子を静かな愛で包んでいたマーにとっても、お針子とすごした青春の日々は、色あせることなくいつまでもキラキラと輝いていました。

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コメント

知らない映画ですが、紹介していただいた
文章を拝読すると、根底でどこか懐かしさを感じるような
そんな内容ですね。
青春の日の懐かしい思い出・・・
私も、そんな年齢になってきて、昔の友人と会うと、
昔話に花が咲きます。
でも、まだまだ、みんな働き盛りでなかなか合う機会が
つくれませんが(笑
もう、後数年で、時間が皆、作れるような年代になりそうです(笑

投稿: イザワ | 2011年6月 5日 (日) 22時43分

今晩は。

あ、借りられた中国の作品って、「ワンチャイ」ではなく(笑)、この作品だったのですね!

これ、原作はベストセラーになりましたよね。それに、原作者の方が、監督をなさった作品なのですね!moviebook

フランス映画とは言え、ホームページを見てみると、ほとんど中国映画みたいな感じですね。
お話もとても良さそうです。私も今度是非見てみたいと思います!

ポスターも雰囲気があってとってもステキですね~。ご紹介有難うございます!happy01


投稿: ごみつ | 2011年6月 5日 (日) 23時57分

☆ イザワさま ☆
中国は近くて遠い国ですが、アジアの風景が
心の原風景のような懐かしさを感じさせるのかもしれませんね。

若いうちは仕事が忙しくてそれどころではなくても
少しずつ気持ちの余裕ができて
昔の仲間とふと集まりたくなるような…
そういう時期が来ているのかもしれませんね。
時間を経ても、一瞬で昔の若い頃にもどれる
そんな関係、すてきですね。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年6月 6日 (月) 10時40分

☆ ごみつさま ☆
残念ながら「ワンチャイ」ではないのです。(笑)
この作品、見始めてすぐに、
映像や音楽が洗練されているなあと思ったら
やっぱりおフランスの映画でした。(笑)
西洋目線で撮られた作品ではあるかもしれませんが
なかなかすてきでしたよ。
中国の山々の風景が美しかったですし
若手俳優さん3人が、それぞれ魅力的でした。
女優さんは中国4大美人女優のひとりだそうですが
ごみつさん、ひょっとしたらご存知かも?(笑)
機会がありましたら、ご覧になってみてください。

原作はベストセラーだったのですね。
こちらも読んでみたいです。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年6月 6日 (月) 10時52分

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