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「チャイナ・シンドローム」

福島原発事故による放射能汚染が、目に見えない恐ろしさで私たちにじわじわと忍び寄っている今、ふと思い出して、DVDで映画「チャイナ・シンドローム」(原題:The China Syndrome)を見ました。

これは1979年に公開された、原発事故をテーマにした作品ですが、映画が公開されて12日後、まるで予見するかのように、アメリカでスリーマイル島原発事故が起こったそうです。(余談ですが、先日の「SUPER 8」の舞台も1979年で、スリーマイル島原発事故を報じるシーンがありました。)

この作品で描かれているのは、私たちが今まさに直面している状況です。30年前にこうした問題提起があったにもかかわらず、ずさんな危機管理や隠蔽体質は今なお変わっていない… 私たち人間の愚かさに改めて気づかされました。

The_china_syndrome

TVの人気キャスターのキンバリー(ジェーン・フォンダ)は、カメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)とともに、地元の原子力発電所の取材に訪れて、偶然、制御室でトラブルに遭遇します。

原発側は、これはよくあるトラブルであり、すぐに対処できたと説明しますが、その時リチャードがこっそり撮影した制御室の映像を専門家に見てもらったところ、実はメルトダウン寸前の深刻な事態だったとわかります。

一方、このトラブルで、わずかに異常な振動に気づいたベテラン社員のゴデル氏(ジャック・レモン)は、工場の設備にある不具合を見つけます。このままでは大変な事故になると確信したゴデル氏は、上層部に訴えるも退けられ、証拠のX線写真は何者かに奪われてしまいます。

ゴデル氏は最後の手段として自ら制御室に立てこもり、TVでこの問題を告発することを決意しますが…。

映画は骨太の社会派作品ですが、人気キャスターの野心や正義感、危機感をつのらせた原発社員の命をかけた告発といったドラマ性、またサスペンスの要素もあり、こういう言い方は適当ではないかもしれませんが、とてもおもしろかったです。

映画の中の原発に起こりかけた、「冷却水が減って炉心がむき出しになり、核燃料が溶け出す」トラブルが、今まさにフクシマで起こったのだという事実に愕然としました。ちなみにチャイナ・シンドロームとは、「溶解した核燃料が地中を貫通して、地球の反対側の中国に到達する」という例えだそうです。

映画の中で、ゴデル氏は当初、原発はすべてのトラブルを想定し、対応できるように設計されているので問題ないと言っていました。しかし人間のすることに「絶対」なんてことはあり得ないことは、なにより私たちがよくわかっていることです。

電気がなければ私たちの今の生活が維持できないこともまた事実ですが、それがとてつもないリスクの上に成り立っているのであれば、やはり私たちは方向転換すべき時に来ているのでは、と思わずにはいられませんでした。

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映画」カテゴリの記事

コメント

今晩は!

あ、この作品ご覧になったんですね。

今の日本に、とってもタイムリーな映画ですよね。
私、見たのがかなり昔で、子供だった事もあり、もうほとんど覚えていません。
もう一度見てみようかな。movie

そうそう、あの頃「チャイナ・シンドローム」っていう言葉が、とっても世の中に広まったんですよね。
当時は全く現実味を帯びた危機感なんて感じてなかったから、再見したらけっこうショックを受けそうです。

ところでこの映画マイケル・ダグラスが出てたんですね!かなり若い!ですね、ポスター見ると。

投稿: ごみつ | 2011年7月15日 (金) 22時03分

☆ ごみつさま ☆
こんばんは♪
この作品、存在は知っていたのですが、見たのは初めてです。
DISCASに予約を入れていたのですが、なかなか順番が回ってこなくて…
先日偶然TSUTAYAのお店で見つけて借りてきました。

シンドロームということばを、医学以外で使うようになったのも
この映画がきっかけだったそうです。
中国にとっては、はた迷惑な話ですが…(笑)

もう、ほんとうに全ての会話がリアルすぎて、恐かったです。
原発用語とか、普通に理解できてしまって
ああ、私たちは今まさに、この渦中に置かれているんだなあ
ということを実感しました。

マイケル・ダグラス、若かったですよ♪
この作品では、プロデューサーも務めています。
ちょっとひげが濃くてもっさりしていましたが
なかなかかっこよかったです。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年7月16日 (土) 02時19分

30年以上前の作品であるにも関わらず、
現在の状況を予言したような内容。

メルトダウンという言葉、当時は、何気に
右から左へすり抜けていってしまいましたが、
今まさに・・・

事故後の対応や隠ぺいまで、今の状況とそっくりですね。

一昨日は21時頃の銀座界隈を歩きましたが、
少し前のあのキラキラの街並みはなく、本当に暗く、
正直寂しい感じがしましたが、
確かに方向転換を真剣に検討する時期にきているような
気がします。

投稿: イザワ | 2011年7月16日 (土) 03時27分

☆ イザワさま ☆
この作品、30年以上前という古さが全く感じられなかったです。
今まさに私たちが置かれているような状況が描かれていて、
ものすごくリアリティがありました。
映画はサスペンスタッチになっていて、原発の恐ろしさとともに
背後にある巨大権力の恐さ、不気味さのようなものも
表現されていましたよ。

繁華街があまり暗いのも寂しいですが
これを機にギラギラしたネオンがなくなるといいなー。
シックで落ち着いた雰囲気の灯りでしたら、大歓迎です。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年7月17日 (日) 01時36分

コメントとTBありがとうございます^^

余りにも私たちが今置かれている状況に似すぎていて苦笑い
するしかなかったです。全く何処の国もやってることは同じ
というか…。というか影響が良く解っていなかった当時から
全く進歩していない分今の方が大問題ですよね。

投稿: KLY | 2012年2月27日 (月) 16時16分

☆ KLYさま ☆
早速コメント&TBをいただいて恐縮です。

30年前にこうした問題提起があり、しかもその後、スリーマイル島や
チェルノブイリなどの原発事故が起こっているというのに、
それらを教訓にして学ぶことの難しさを考えさせられました。
日本は国土も狭いし、地震国でもあるので、事故が起こった時の
国民への影響は計り知れないものがありますね。
これを機にエネルギー対策も、方向変換する時に来ているのかも
しれません。

投稿: ☆ KLYさま ☆ | 2012年2月28日 (火) 09時49分

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» チャイナ・シンドローム/The China Syndrome [LOVE Cinemas 調布]
1976年3月16日に公開され、その僅か12日後にスリーマイル島原発事故が起こったことで社会現象まで起した作品。原発を取材するテレビキャスターのヒロイン、命懸けで事故を防ごうとする技術者、利益優先の企業の三社の姿を描いている。主演のジェーン・フォンダ、共演のジャック・レモン、マイケル・ダグラスとオスカー俳優が揃った。監督はジェームズ・ブリッジス。... [続きを読む]

受信: 2012年2月27日 (月) 15時34分

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