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遠藤周作 「悲しみの歌」

先日、遠藤周作さんの小説「海と毒薬」について記事にしてから、続編の「悲しみの歌」を読みました。前出の記事に追記するつもりでしたが、長くなりそうなので新たに書き留めておくことにします。

Kanashimi_no_uta  「悲しみの歌」

この小説は「海と毒薬」が発表されて約20年後に書かれた作品で、主人公の勝呂医師の「その後」が描かれています。「海と毒薬」とは打って変わって軽いタッチの書き出しに少々面食らいましたが、読み終えた時には、こちらの作品の方が、むしろずっしりとした重みが感じられました。

それは、遠藤氏自身のその後20年の人生の重みといえるかもしれません。「海と毒薬」は遠藤氏の代表的な作品ですが、私は遠藤氏がほんとうに書きたかったのはこの「悲しみの歌」で、そのプロローグとして「海と毒薬」が書かれたのでは、と思ったほどです。

この作品からは、遠藤氏が迷いながら悩みながら到達した、ひとつの結論のようなものが伝わってきます。「海と毒薬」で救うことのできなかった勝呂医師の魂に、遠藤氏は温かい眼差しを向け、手を差し伸べています。「海と毒薬」を読んだ方は、是非「悲しみの歌」も読んで欲しいと思います。

戦後30年経って、勝呂は新宿の裏通りでひっそりと診療所を開業しています。そこにやってくるのは、事情を抱えた人たち。人の命を救うために医師になったのに、やっているのは全く逆のこと…。暗い過去を持つ勝呂は、苦しみ矛盾を感じながらも、患者の要求を退けることができません。

そんな勝呂の唯一の理解者として登場するのが、変わり者のフランス人 ガストンです。彼は明らかにイエスの分身ですが、小説の中では、人を疑わず、誰に対しても優しく、そのために失敗ばかりしている間抜けな人間として描かれています。

私はガストンのことを思うたび、涙があふれてしまいます…。ガストンが病気の老人のために、ファイトマネーを得るため見世物のボクシングの試合に出るところは、映画「街の灯」のチャップリンを思い出しました。

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コメント

こんばんは。

あまりの暑さでPCが長く使えません。sweat01 携帯からのコメントです。(^^;

前の記事でも書かれてた、こちらの続編も読まれたのですね。内容も深くて良さそうですね!

私も是非2冊続けて読みたいです。

↓手作りカレー、凄いですね!さすがだわ〜。>^_^<美味しそう〜。

投稿: ごみつ | 2011年8月10日 (水) 23時10分

「遠藤周作」というと中学の頃を思い出します。
同級生に遠藤周作さんが好きな奴がいて、よく読んでました。
私も、確か借りて、海と毒薬 を読んだと思います^^
「悲しみの歌」読んでみたいと思いました^^

投稿: イザワ | 2011年8月11日 (木) 03時09分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪
ここのところ、異常な暑さですね。
お互い熱中症には、気をつけてすごしましょう。

「悲しみの歌」辛いところもありますが、とてもよかったです。
「海と毒薬」でちょっと腑に落ちないところがあったのですが
この作品を読んで、ようやく納得しました。
是非、セットで読まれるといいと思います。

↓ ありがとうございます。
いくつか改良したいところがあるので、
また近いうちにチャレンジしてみようと思います♪

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年8月11日 (木) 11時45分

☆ イザワさま ☆
お友だちが、遠藤周作さんのファンだったのですね。
多感な時期に読むと、いろいろと感じるところがありますね。
「悲しみの歌」の世界は、ひょっとしたら齢を経てからの方が
わかるかも…と思いました。
辛いところもありますが、よかったら読んでみてください。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年8月11日 (木) 11時51分

はじめまして。
ゆずさんの所から来ました。
アタシも先日「海と毒薬」を読みました。
ゆずさんがコチラでも遠藤さんの話を目にした
ばかりと仰っていたので、お邪魔しにきました。
なんと。
続きがあったのですね。
こういった話は苦手だと仰る方も多いし
重いテーマですが、凄く深くて
人間の根本的な事を考えさせられます。
続きも是非読んでみたいと思います。

投稿: ミイサ | 2011年9月 2日 (金) 08時12分

☆ ミイサさま ☆
はじめまして♪
コメント、どうもありがとうございます。
ゆずさんのところで、お名前はよく存じ上げていて
コメントもいつも楽しく拝見していますよ。

ミイサさんも最近「海と毒薬」を読まれたのですね。
私は先日、何十年かぶりに再読したのですが
齢を経て、またいろいろと感じることがあって
読んでよかったと思いました。
「悲しみの歌」は、ちょっと辛いところもありますが
遠藤周作さんの愛にあふれた作品でしたよ。
よかったら是非お読みになってみてください☆

投稿: ☆ ミイサさま ☆ | 2011年9月 2日 (金) 15時58分

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