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坂茂 「建築をつくる。人をつくる。」

新聞の紹介記事を見て興味を持ち、建築家の坂茂(ばん・しげる)さん共著の「Voluntary Architects' Network -建築をつくる。人をつくる。」を読みました。

  Voluntary_architects_network_2

自然災害などの復興支援にはいろいろ形がありますが、坂茂さんは建築家としての立場から、これまで紙などのリサイクル素材を使った避難所の間仕切りや仮設住宅などを提供されてきました。現在は東日本大震災の復興支援プロジェクトが進行中です。

Paper_partitions Tohoku

(左)避難所で使われる、紙管とカーテンによって組み立てられる間仕切り
(右)現在宮城県女川町で建設中のコンテナ仮設住宅

坂さんはかねてから建築家の仕事は特権階級のためのものではないか、ということに疑問を持っていらしたそうです。建築家の立場から一般の人たちを助ける仕事がしたい、そうした思いからルワンダの難民のためのシェルター、阪神大震災での仮設住宅建設といった働きを始められました。

その活動が世界に知られることとなり、その後は、新潟、トルコ、イタリア、四川、アメリカ、ハイチ…と、大地震やハリケーンなどの被災地において、主にリサイクル可能な素材を用いての組み立て式の住宅やシェルター、公共施設などを設計、設営されています。

Kobe_2 China1_2

(左)阪神大震災の仮設住宅 (右)四川大震災の仮設小学校

坂さんは2001~09年、慶応大学SFCに研究室を持っていらしたので、通常は学生たちと仮設建築の研究を行い、非常時には現場にかけつけ、現場の状況に応じて必要となる施設や住宅などを用意しました。設営にあたっては学生たちを送り出し、現地の建築系大学とも連携を進めました。

学生たちにとってはまさに生きた授業で、自分たちで工夫して設計し、自分たちの手でつくり、被災地の方たちに喜んでいただけることは、何よりの経験になったことと思います。学生たちが、とってもうらやましくなりました。

Paper_church Italia

(左)阪神大震災・神戸の紙の教会 現在は震災した台湾に移築
(右)イタリア大震災・ラクイアの仮設音楽ホール

阪神大震災時には神戸に紙素材を使った教会が作られ、コミュニティホールとしても使われました。また、震災した音楽の町、イタリア・ラクイアでは紙素材による音楽ホールが作られ、音楽による復興支援が進められました。

住宅といった実際的な復興支援だけでなく、仮設建築が、被災した方たちの心を支える支援につながっていることに感動しました。現在は、昨年震災したニュージーランドのクライストチャーチで、紙素材による仮設カテドラルが建設中です。

Ny

私の坂建築との出会いは、2005年にニューヨークの桟橋に一時的に建設された「ノマディック美術館」です。中には現代アートが展示され、この後西海岸、アジア、ヨーロッパと順次開催されました。

この美術館、規定の輸送用コンテナと紙管を使っているので、開催地にある資材で建設できてしまうところがすばらしい。坂さんが災害復興支援の仮設建築で培ってこられたノウハウは、イベント会場の間仕切りやパビリオン建築などにも生かされています。

Pompidou2_2

最後に仮設以外の坂茂さんの代表作品から、昨年フランスのメス市に建設されたポンピドゥーセンター分館です。竹を編んだような屋根は中国の帽子からヒントを得られたということですが、どこかザルのようにも見えて親近感がわきます。

(以上、写真は全てネットからお借りしました)

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コメント

今晩は。

坂茂さんの、紙(段ボール紙)でつくった建築物の本はずいぶん前に見た事があって、記憶に残っていましたが、被災地での仮設住宅なんかをてがけてらしたとは知りませんでした。house

紙って、ちょっと手をかけるとかなり耐久性のある素材になるみたいなんですよね。
確かに短期間で取り壊す予定の建物や、仮設住宅なんかにはとても役立つアイデアですね~。感心しました。flair

ポンピドーセンターの分館のデザインも斬新で素敵です!

投稿: ごみつ | 2011年9月14日 (水) 23時31分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪
坂さんの、紙素材を使った仮設建築は、
阪神大震災がきっかけだったようです。
私は今回の震災で、避難所の間仕切りを見たのがきっかけで
坂さんの被災地での活動について知りましたが
それがこの本で、NYで見たコンテナミュージアムとつながって
おお~と感動しました。

素人考えだと、紙って湿気に弱いのでは?思ってしまいますが
硬度を高めた特別な素材なのかもしれませんね。
紙も、もとは木材ですし。

記事には書かなかったのですが、カトリーナの復興支援に関する
ブラッド・ピットとの対談が興味深かったです。
ブラピは以前は苦手だったのですが、先日のツリー・オブ・ライフと
今回の対談で、(えらそうで恐縮ですが)すっかり見直してしまいました。

ポンピドゥーセンター・メス、東洋的な要素もあってとてもすてきですね☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年9月15日 (木) 11時45分

セレンさんこんばんは☆
坂さんという建築家さん、初めて知りました。
でも、活動や建物にとても魅力を感じます。
最後の仮設住宅でない建物、近代的なのにどこか安らぐフォルムを見て、新潟市の「水と土の芸術祭」で見た台湾の王文志さんの『Water Front』を思い出しました。

投稿: アサ | 2011年9月16日 (金) 18時24分

☆ アサさま ☆
アサさん、こんにちは♪
坂茂さん、「紙の建築家」として注目されている方です。
東北の仮設住宅や、ニュージーランドの仮設カテドラルなど
これからニュースなどでご覧になる機会があるかもしれません。
尊い活動をされていて、その実行力に感銘を受けました。
建築に対して、非常に明確な考えをお持ちの方で
作品からそれがストレートに伝わってくるような気がしました。
最後の作品、竹を編んだように見えるデザインが東洋的で
親しみを感じますね。
アサさんがおっしゃる王文志さんのWater Front、
ネットで探して見てみました。
どことなく動物の隠れ家?のようにも見えてかわいいですね♪
自然の素材の優しさが感じられる作品ですね。

投稿: ☆ アサさま ☆ | 2011年9月18日 (日) 10時12分

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