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「おじいさんと草原の小学校」

84歳で小学校に入学し、世界最高齢小学生としてギネス登録されている、ケニアのキマニ・マルゲさんを描いた映画、「おじいさんと草原の小学校」(原題:The First Grader)を見ました。

エリザベス女王の誕生秘話を描いた「ブーリン家の姉妹」のジャスティン・チャドウィック監督による作品で、監督にとって長編映画は「ブーリン~」に続いてこれが2作目ということです。私は予告を見ただけで涙ぐんでしまいましたが、期待した通り心に響く作品でした。

  The_first_grader

2003年、ようやく無償教育制度が始まったケニアで、84歳のおじいさんが小学校の門をたたきます。彼の名は、キマニ・マルゲ。イギリス統治下では貧しさのために学校に通えず、その後ケニア独立のために戦ってきた彼は、家族を目の前で殺され、自らも10年以上投獄され拷問を受けるという、辛い過去を背負っていました。

最初は門前払いされるマルゲですが、杖をつきながら毎日何キロも歩いてやってくる熱意に打たれて、校長のジェーン先生はマルゲの入学を受け入れます。6歳の子どもたちに交じって熱心に学ぶマルゲですが、父兄の中には、マルゲが革命の戦士だったことを快く思わない人もいました。

一方、84歳の小学生ということが海外メディアで取り上げられるようになると、今度は国の教育制度の広告塔として注目を集めることになり、マルゲのことをやっかむ人も出てきました。その矛先は、マルゲを受け入れるジェーン先生にも向けられ、ついにジェーン先生は転勤を言い渡されます…。

The_first_grader_2

マルゲが学校に通いたいのは、読みたい手紙があるから、というのが直接の理由。でもほんとうは、失われた80年を取り戻したかったのだと思います。そして、不屈の精神で国の独立を勝ち取った彼は、誰に反対されようとも、学校に通うことを決してあきらめなかっただろうなと確信します。

「将来は獣医になりたい」と目をキラキラしながら話す、マルゲの姿が印象的でした。何歳になっても夢を追い続けること、そのためにあきらめないこと、勇気を持つことを教えてくれたマルゲ…。

マルゲと子どもたちは、それぞれの方法で戦い、ついにジェーン先生を取り戻します。マルゲが伝えてきたフリーダムの精神は、クラスメートたちの心にしっかりと届いていたようです。

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映画」カテゴリの記事

コメント

今晩は。

雨が降って涼しくなりました。嬉しいな~。

あ、やっぱりこの作品をご覧になったんですね。神保町だとたぶんこの映画かな・・って思ってました。

ストーリーは全然知らなかったのですが、暖かい雰囲気のポスターとストーリーですが、背景にあるテーマはとても深いものがありますね。

マルゲおじいさんが、子供達と同じ制服を着ているのもかわいらしい・・。

これは英語劇ですか?私もDVDになったら是非見てみたいです。

投稿: ごみつ | 2011年9月20日 (火) 02時11分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。 雨が降って急に涼しくなりましたね~。
このまま一気に秋らしくなるのかしら。

神保町と書いたので、たぶんごみつさんはおわかりになるかな?
と思っていました。岩波ホールは初めてでしたが、
お客さんが映画通といった方たちばかりで緊張しました。(笑)

映画はとてもよかったです。
マルゲおじいさんの不屈の精神とともに
ケニア(アフリカ)の抱えていた背景(部族の種類が多く、
部族間の対立を利用して統治されていた)も見えてきて、
勉強になりました。
イギリス人の監督が、イギリス批判ともとれる映画を作ったことは
勇気ある行動だとも思いました。

マルゲおじいさんの制服姿、かわいいですよね。
最初「制服がないからダメだよ」と言われて、どこからか
古い洋服を調達してきて、それを繕って着て行ったんですよ。

言葉は、英語と現地語(スワヒリ語?)でした。
よかったら、DVDでご覧になってみてください。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年9月20日 (火) 10時55分

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