« 携帯より(5) パンデローでひと休み | トップページ | スクエアケーキいろいろ »

午前十時の映画祭 「戦場にかける橋」

先日、「猿の惑星」と「戦場にかける橋」(The Bridge on the River Kway)の原作者が同じと知ってから、「戦場~」も見たいなあとDVDを借りようとしたら、なんと今週、午前十時の映画祭で上映していたので、急きょ見に行ってきました。

つい最近もBSで「大脱走」を見たばかりで、ここのところなぜか戦争映画が続いています。「大脱走」はちょっとコミカルで、ほのぼのしたところもある作品でしたが、「戦場~」はいろいろな意味で考えさせられる作品でした。

  The_bridge_on_the_river_kway

第二次世界大戦中、斉藤大佐が所長を務める日本軍捕虜収容所において、タイとビルマの国境を流れるクウェイ川に鉄道橋を建設することになり、やがてニコルソン大佐率いるイギリス捕虜部隊が移送されてきます。

捕虜となっても日本軍に対して毅然とした態度を貫くニコルソン大佐。日本軍にイギリス軍の誇りを見せるべく、「奴隷となるな。軍人であれ。」と部下たちを指揮し、持てる最高の技術と抜群の統率力によって、ついにりっぱな橋を建設します。

しかし一方、連合軍では、収容所から脱走したアメリカ人シアーズ中佐が加わり、日本軍のインドへの進軍を阻止すべく、この橋を爆破するという作戦が着々と進められていました…。

The_bridge_on_the_river_kway2

日本人、イギリス人、アメリカ人のそれぞれの将校の特徴が、(イギリス人の目線ながら)よく描かれていて興味深かったです。

捕虜となっても誇りを失わず、日本軍に対して優位に交渉を進め、部下たちに働く喜びを与え、最後には敵対すべき斉藤大佐と友好的な関係にまでなる… ニコルソン大佐は今でいうところの「理想の上司」なのかもしれません。

しかし、日本軍をやっつける、という大局の目的において、彼の行動は実は的外れなものでした。最後にシアーズ中佐と対峙して、はじめて連合国軍としての自分と、誇りをかけて最高の橋を作り上げた自分との矛盾に気づいて苦悩する姿は、そのまま戦争の矛盾に重なって見えました。

私はニコルソン大佐のように、どのような状況でもくさらず、やるべきことを全うする人が好きですが、シアーズ中佐のように適度にいい加減な方が、人生をうまく渡っていけるのかもしれません。しかしながら、そのシアーズ中佐も、結局は銃弾に倒れてしまいます。

敵も、味方も、築き上げたものも、全て一瞬のうちに無にしてしまう… 戦争の愚かしさが胸に突き刺さりました。

|

« 携帯より(5) パンデローでひと休み | トップページ | スクエアケーキいろいろ »

映画」カテゴリの記事

コメント

現在の社会人としての局面でも戦争ではないにしろ
似たようなことがありますが、その時に毅然とした
態度で思ったことを主張しやり遂げることができるか・・・
とても難しい選択をする時があります。
色々な利害や自分を取り巻く環境を考慮して、
最善の方法で切り抜けていく・・・難しいですね~(笑
自分のストーリー通り運んだ時は最高ですが(笑
めったにありません(笑

投稿: イザワ | 2011年10月28日 (金) 03時05分

今晩は!

わ~、「戦場にかける橋」見にいかれたんですね!良いな~、私もこれ大画面で見てみたいです。
D・リーンは一番好きな監督さんですが、かれの作品の中でも私はこれが一番好きかも。

最初に見た時はやっぱりアレック・ギネス演じるニコルソン大佐に心ひかれました。
何度か見ているうちに、歳とともに斎藤大佐の立場にシンパシーを感じる様になりました。やっぱり同じ日本人だからわかる心情っていうか。

好きなシーンは限りなくあるのですが、ラスト、大勢が死に、橋が爆破されるシーンを丘の上から見ていた軍医の"Madness, Madness”というセリフ、そしてカメラがひかれて遠景になっていく中流れるあのテーマ曲!
これこそ映画だよな~って、私は何度見てもこのラストで思ってしまいます。

それと「大脱走」もご覧になったんですね~~~!私、この映画も語ってたら夜が明けちゃいます。(笑)また私も見る機会があったら記事にしてみたい1本です。

あ~、何だか頭の中をクワイ河マーチがなりひびいてます。(笑)


投稿: ごみつ | 2011年10月28日 (金) 03時16分

☆ イザワさま ☆
私もこの映画を見て、戦争のように命を落とさないまでも
今の企業戦士に通じるものがあるかもしれない、と思いました。
人員と予算を投入したプロジェクトが
ほんの些細なことで、全く無駄になることもあるでしょうし…。
イザワさんのように個人でお仕事されている場合は
一人で何役もこなされるわけですから
なおのこと、ご苦労がおありでしょうね…。
いろいろ考えをめぐらせると、深い映画でした。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年10月28日 (金) 16時33分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは! ちょうどいいタイミングで「戦場にかける橋」を
大画面で見ることができました。映画はとってもよかったです♪
D.リーン監督の作品は、ほんとうに見応えがあってすばらしいですね。

斉藤大佐、ニコルソン大佐にお株を奪われて?ちょっと複雑な
寂しそうな表情をしていらっしゃるところが印象的でした。
二人が敵同士とはいえ、お互いを尊重しあっているところが
なんだかぐっときますね。
それにひきかえシアーズ中佐の軽いこと…(笑)

最後、兵士たちが隊列を組んで、クワイ河マーチに合わせて
橋を渡るシーン、とってもよかったです。
その後に悲劇が待っていたわけですが…。
汽車の汽笛がだんだん近づいてくるところはドキドキしました。

madness...の軍医さん、途中でニコルソン大佐に
どうして日本軍のためにそんなに一生懸命やるんだ、と言ってましたが
シニカルな彼が、実は一番、本質がわかっていたのかもしれませんね。

大脱走もおもしろかったです。
こちらは男の友情がすてきでしたね☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年10月28日 (金) 16時52分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 午前十時の映画祭 「戦場にかける橋」:

« 携帯より(5) パンデローでひと休み | トップページ | スクエアケーキいろいろ »