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2011年11月

午前十時の映画祭 「眺めのいい部屋」

午前十時の映画祭で、「眺めのいい部屋」(原題:A Room with a View)を見に行きました。タイトルは知っていたものの、予備知識なく鑑賞。設定がR15+だったので、ひょっとして官能的なシーンがあるのかと思いきや… とても奥ゆかしい、ロマンティックなラブストーリーでした。

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舞台は20世紀初頭のイギリス。良家の令嬢のルーシーは、旅先のフィレンツェでジョージというイギリス人の青年と出会い、惹かれ合うものの、イギリスにもどってから別の男性シシルと婚約してしまいます。ところが偶然、ジョージ父子がルーシーの家の近くに引越してきたことで、ルーシーの心はみだれて…。

冒頭から、キリ・テ・カナワの歌うプッチーニのオペラのアリア 「私のお父さん」が、フィレンツェへの旅情をかき立てます。ルーシーとお供のシャーロットがホテルに着いて、部屋の窓を開けると… その眺めにがっかりする、という意表をつくオープニングに、ぐぐっと心をつかまれました。

ダイニングルームで思わず不平をもらすシャーロットに、部屋を交換しましょうと申し出るエマソン氏と息子のジョージ。この時点で、ルーシーとジョージのハッピーエンディングが容易に想像できるのですが、スローな恋の展開にやきもきしながら、最後までロマンティックな気分を楽しみました。

ルーシーを演じるのは、ヘレナ・ボナム=カーター。先日見た、ティム・バートン版「猿の惑星」ではお猿さんを演じていましたが^^、この作品では初々しく愛らしいお姫様といった感じで、とてもかわいかったです。ジョージ、ルーシーの弟フレディ、婚約者シシルを演じる若手俳優たちも、それぞれかっこよくてすてきでした。

ルーシーが旅を通じてもう一人の自分に気づき、最後に心の殻を破るまでが、美しい風景や音楽とともに、ていねいにゆったりと描かれます。とまどい、自分を偽っていたルーシーが、ようやくほんとうの自分に目覚めた時の輝くような笑顔に、思わず涙ぐんでしまいました。

シャーロットやエマソン氏のほか、旅先で出会った女流作家、ルーシーの家族がお世話になっている牧師など…。おしゃべりだったり、うわさ好きだったり、ちょっと俗物のところがあったりと、それぞれに憎めない、愛すべき登場人物たちも魅力的でした。

ラストの場面は、二人が出会ったフィレンツェのホテルのダイニングルーム。テーブルに並んですわるルーシーとジョージの幸せそうな笑顔に、見ているこちらもほっこり幸せな気分になりました。

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鎌倉散策(3) 鎌倉大仏 ~ 長谷寺

お昼を食べてから、路地をそのまま抜けて、鎌倉大仏で知られる高徳院へと向かいました。

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高徳院は、鶴岡八幡宮とならぶ鎌倉で人気の観光スポット。この日も平日にもかかわらず、遠足の子どもたちや団体さんなど、たくさんの観光客で賑わっていました。震災以降、外国の方たちの足もだいぶもどってきているようです。

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大仏さんの横にある入り口から、胎内に入ってみました。以前、自由の女神の中に入った時のことを思い出して、似ている!と思いましたが、これが鎌倉時代中期、13世紀の頃に作られたというから驚きです。像は40ものパーツに分けて鋳造され、部位によって3種類の方法でつなぎ合わされているそうです。

裏側から像に触ってみますと、ぽかぽかと温かいのが不思議な感覚でした。一日太陽の下でひなたぼっこして、胴が熱を持ったのでしょうね。作者も不明、いろいろと謎の多い大仏さんですが、神秘的で穏やかなその佇まいに、信仰を超えて心に響くものを感じました。

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(左)高徳院の前にあったおみやげ屋さん。外人さんを意識したレトロな看板がいい感じ♪ (右)鎌倉らしいすてきな和紙屋さん。鎌倉の花をスケッチしたはがきと、お懐紙を買いました。

この後、すぐ近くにある長谷寺を訪れました。庭園の美しいお寺なので、すばらしい紅葉が楽しめるのでは、と期待していたのですが、今年は紅葉がこれからなのか、それとも終わってしまったのか、全く紅葉していなくてちょっとがっかりしました。

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それでも、山門から下境内の美しい日本庭園を通って階段をのぼり、ご本尊のある広々とした上境内に足を踏み入れると、ちりひとつなく掃き清められた清々しい空間が心地よく、がっかりな気持ちも吹き飛んでしまいました。

(右)のご本尊には、大きな黄金の長谷観音が安置されています。

上境内は高台にあり、見晴台からの相模湾の風景がすばらしかったです。

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ここからさらに階段をのぼり、眺望散策路を歩いてみました。10分ほどの散歩道で、散策路の周りにはたくさんの紫陽花が植えられています。梅雨の季節は、さぞみごとな景色でしょうね。

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眺望散策路からは、見晴台よりさらに上方からの相模湾を見ることができました。この日は風が強かったので、浜に次から次と押し寄せる白い高波が、迫力あって恐かったです。

長谷寺からは江ノ電の長谷駅が一番近いですが、そこから一駅先の極楽寺駅までのんびり散策を楽しみました。帰りは鎌倉駅にもどらず、藤沢駅経由で東京にもどりました。江ノ電の車窓から見る、夕焼けの相模湾の風景がすばらしかったです。

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鎌倉散策(2) ワインカフェ 「Beau Temps」のランチ

さて、そろそろお昼の時間。由比ヶ浜の見えるパスタ屋さんに入ろうとしたら、予約でいっぱいだったので、路地をぶらぶら歩いていて見つけた、古い民家を改装したカフェに入ってみました。外観はどう見ても普通のお家で、たまたまお店の人が外に出ていなかったら、気づかずに通り過ぎていたかもしれません。

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中に入ってから、ここがワインカフェだと知りました。「Beau Temps」(ボータン)というお店の名前は、フランス語で”美しい時間”という意味ですが、その名の通りおいしい時間がすごせました。

ナチュラルウッドの明るい店内、三角の高い天井と天窓、ウッドデッキ、窓辺にはぶどうの木… と、小さなワイナリーといった雰囲気をもつすてきなお店。ウッドデッキにはピクニックテーブルが置かれ、暖かい日は外でワインをいただくのも気持ちよさそうです。

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私たちはランチのコースをいただきました。どれもワインに合いそうなお料理でしたが、お水とともに…。最初に運ばれてきたのは、フォアグラのスライスとプルーンです。ハードな食感のバゲットがよく合いました。

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ミネストローネです。くたくたになるまで煮込んだ野菜のうまみが、たっぷりと引き出された複雑な味わいのスープ。絶品でした。

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前菜の盛り合わせです。手前から時計周りに、田舎風パテとレンズ豆、小あじのエスカベーチェ(マリネ)、ワラサのカルパッチョ、イタリアンハムとなんとか。中央はガーデンサラダですが、葉っぱからはじき返すような生命力が感じられて、とてもおいしかったです。

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メインディッシュは、ギリシャの”ユベチ”というお料理でした。二人分を取り分けていただきます。牛肉がほろほろになるまで煮込んだトマト風味のシチューに、お米の形のパスタを入れて、オーブンで焼いたお料理。スパイスの効いた複雑な味わいで、とってもおいしかったです。食後は、深煎りのコーヒーをおいしくいただきました。

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鎌倉散策(1) 鎌倉文学館 ~ 由比ヶ浜

秋の一日、鎌倉散策に出かけました。鎌倉は小さい頃から、ハイキング、社会科見学とよく訪れた懐かしい場所。見所はいろいろありますが、今回は由比ガ浜~長谷を中心に歩きました。

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まずはJR横須賀線の鎌倉駅で江ノ電に乗り替えます。撮り鉄気分で写真をパチリ。住宅街の間を縫うように走る単線列車の江ノ電に、旅の気分が高まりました。

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2つめの由比ヶ浜駅を下りて、最初に訪れたのは鎌倉文学館です。入り口から鬱蒼とした林の中のゆるやかなアプローチをのぼると、見事な洋館が見えてきました。ここはもとは前田侯爵の別邸で、現在は鎌倉市に寄贈され、鎌倉文学館となっています。古い洋館好きの私は、以前から是非訪れたいと思っていました。

クリーム色の壁にダークブラウンの木枠、ステンドグラス、アールデコ調のシンプルな照明…。洋風でありながら、どこか和製の趣の感じられる、温かみのあるインテリアがすてきでした。そして2階の大きな窓から見える、鎌倉の海の景色がすばらしかったです。

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鎌倉ゆかりの文学者は、川端康成、夏目漱石、芥川龍之介はじめ、300人以上もいるそうです。豊かな自然に恵まれながらも交通の便利な鎌倉は、都会を離れて心穏やかに執筆活動を行うのには、まさにうってつけの環境なのかもしれません。常設展では、鎌倉の文学都市としとしての歩みが紹介されていました。

この日は、このほか「芥川龍之介と久米正雄」という企画展を見ました。高校、大学の同級生で、卒業後は夏目漱石の門下生として文学の道を歩んだ二人は、最良の友でありライバルだったようです。久米正雄のおやじギャグを芥川龍之介が暴露していたり…と、二人の楽しそうな青春時代がうかがえました。

中でも、夏目漱石が二人に宛てた直筆の手紙には心を打たれました。二人のよいところをそれぞれ挙げるとともに、「あせってはいけません」と励ましていて、師の愛を見る思いがしました。このほか、35歳で自ら命を絶った芥川龍之介が家族に宛てた、貴重な遺書の実物を見ることができました。

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展示を見た後は、庭園を歩きました。手入れの行き届いたきれいな芝生の向こうにみごとなバラ園があり、ちょうど秋バラが咲き誇っていました。バラは何十種類もあり、中には”春の雪”(旧前田侯爵別邸が登場する三島由紀夫の小説)など、鎌倉にちなんだ名前のものもありました。

鎌倉文学館でゆっくりすごした後は、住宅街の中を通って由比ヶ浜まで歩きました。古い日本家屋と、今風のナチュラルモダンな家とが違和感なく建ち並ぶ美しい住宅街。マンションの敷地にサーフボード置き場があるのが、いかにも湘南らしい風景でした。

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この日は雲ひとつないお天気でしたが、風が強くて海のそばは寒かったです。目に砂が入って困りました。波もかなり高かったですが、サーフィンには絶好のようで、何人もウィンドサーフィンをしている人を見かけました。

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鎌倉の住宅街は、路地裏のような細い道がたくさんあっておもしろかったです。
(左)江ノ電の踏み切りも、こんなに細い幅のがあって、楽しい気分になりました。

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フェルディナント・フォン・シーラッハ 「犯罪」

新聞の書評を見ておもしろそう!と思い、ドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハの処女作にしてベストセラー、「犯罪」(原題:Verbrechen)を読みました。ベルリンの刑事事件弁護士でもある作者が、実際に関わった事件に着想を得て書かれた11編からなる短編集です。

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最初の作品から、今までに味わったことのない新鮮な感覚に、心をわしづかみにされました。そして、次々と新しい扉を開くのが楽しみで、わくわくしながら読みました。

11の作品は、愛する者を守るがゆえの犯罪あれば、背筋が凍るような冷酷な犯罪あり、はたまたサイコパスな犯罪あり。そして登場人物も、子爵や成功した実業家あれば、貧しい移民あり… とさまざま。どれも違った読後感ながら、心に静かな余韻がしみわたりました。

作品は、作者の気持ちや考えは一切書かれていません。事実だけが静謐な文章で淡々と述べられますが、事件が起こった背景や経過、また登場人物について、研ぎ澄まされた観察眼で緻密に描写されるので、頭にしっかりとその映像を描くことができました。

そして感情を交えない硬質な文章の行間から、人間という不完全なる、いとしい存在に対する作者の温かい眼差し、人間の愚かさ、優しさ、哀しさを慈しむ心が伝わってくる気がしました。

作者が弁護士ということもあり、たびたび登場する法廷のシーンも興味深かったです。ドイツというと、法律が厳しく全うされているイメージがありましたが、意外にも大岡裁きのような人情味のある裁決もあって、成熟した大人の社会を感じました。

11の作品はどれもおもしろかったですが、”約束”の重みがテーマになっている冒頭の「フェーナー氏」、資産家の家に生まれながら厳しい父を憎み、家を飛び出して二人きりで生きる姉弟の愛と悲劇を描いた「チェロ」は、特に私の好みでした。

犯罪一家に生まれた賢い末っ子が、ずば抜けた機知で兄たちを救う「ハリネズミ」は痛快でしたし、不遇に生まれたある犯罪者が、エチオピアの小さな村で幸せを見つける「エチオピアの男」は、最後にふさわしい心温まる話でした。

昨年発表されたという作者の第2作、「Schuld」(罪)が待ち遠しいです。

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「マネーボール」

ブラッド・ピット主演の映画、「マネーボール」(原題:Moneyball)を見に行きました。野球の戦略に統計学の理論を取り入れ、資金力のない弱小チームをリーグ決勝戦まで勝ち進むチームに育てた、米・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンをモデルにした人間ドラマです。

  Moneyball

せっかくいい選手に育てても、資金力のあるチームに引き抜かれてしまう。その穴を埋めようとしても、少ない予算ではいい選手をスカウトできない。 …その悪循環の中、ビリー(ブラッド・ピット)は、イェール大で経営学を学んだピーターと出会ったことで、全く違う視点からのチーム作りに挑戦します。

それまで選手に対する評価は勘が頼りでしたが、ビリーは選手が持つ各データを徹底して客観的に分析することで見直しました。特にビリーが注目したのは、打率ではなく出塁率。リスクを冒さず、打てる球を確実に見極めることで、ミスを減らして点を重ね、それが最終的に勝利に結びつく、という考え方です。

そして、大球団が見向きもしないような選手を、出塁率が高いという理由で、次々と格安にスカウトしました。そうした型破りの戦法は、当然ながら内部からも批判を浴び、最初のうちこそなかなか結果が出せませんが、徐々に功を奏しはじめます…。

弱小チームが、緻密に積み上げた論理によって強いチームを負かす、という展開が痛快でおもしろかったです。でも、すべてが理論どおりに運ぶわけではなく、そこに思いがけないドラマが生まれるところが、スポーツの、そして人生の醍醐味なのだなあと思えるシーンもたくさんありました。

野球を題材にした作品ながら、試合の場面はあまりなく、舞台裏のドラマを描いているところが新鮮でした。ビリーがデータをにらみながら、将棋の駒を動かすように電話で他球団とトレードの駆け引きをしているところはスリリング! でも一方でメジャーリーグのビジネスライクで厳しい世界も垣間見ました。

ビリーが選手の正しい評価方法にこだわったのは、かつて自分が選手だった頃の挫折と後悔があるから。不確かな評価によって人生を変えてしまう危険を知っている彼は、最後に大きな決断をします。それは、最愛の娘に「おばかさん♪」と歌われてしまいますが、ビリーは決して後悔しないだろうな、と確信します。

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中華白菜鍋 扁炉(ピェンロー)

イザワさんに教えていただいて、食べてみたくなり… 中華白菜鍋の扁炉(ピェンロー)を作ってみました。作り方はネットで検索して、舞台美術家の妹尾河童さんのレシピを参照しました。「河童のスケッチブック」という本で紹介されたレシピだそうです。

中国広西省の家庭料理だそうで、主役は堂々白菜。だしも使わず、味付けもせず、白菜が柔らかくなるまで40分ほど煮込むだけ… というシンプルさに、半信半疑で作ってみましたが、素材の旨味が十分に引き出されて、味わい深くおいしかったです。

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用意する具材は、白菜(白い部分と緑の葉の部分を分けて)、もどした乾し椎茸、豚バラ薄切り肉、削ぎ切りした鶏もも肉、緑豆春雨の5つだけ。ねぎやにんじんは入れず、野菜は白菜のみ、というのが鉄則らしい…。

白菜の白い部分を水(このとき、乾し椎茸のもどし汁もいっしょに入れる)に入れて、火にかけます。煮立ってきたら、椎茸、豚肉、鶏肉を加え、ごま油をたらたら~。白菜がくたくたに柔らかくなるまで40分ほど煮込みます。途中で白菜の緑の部分、最後に春雨を入れてできあがり。

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味付けは、取り分けてから各自でします。オリジナルレシピでは、粗塩と一味唐辛子となっていましたが、我が家は都合により、焼き塩と七味唐辛子になりました。

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少しだけ取り分けたおつゆにお塩を溶かし、できあがったお鍋の具を入れて七味をふっていただきます。シンプルな味付けですが、味わい深くておいしかった~。おつゆは後で粥(雑炊)にするので、くれぐれも飲みすぎないように…。

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具が少し残っている状態で、ごはんを入れて雑炊にしました。河童さんからすると邪道かもしれませんが、我が家はとき卵も入れてしまいました。

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こちらも同じく、お塩と七味で味付けして。はふはふしながら最後までおいしくいただきました。

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ピエール・ブール 「猿の惑星」

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」を見てから、私の中でお猿さんブームが続いています。少し前に、フランスの作家ピエール・ブールのSF小説、「猿の惑星」(原題:La Planète des singes)を読みました。1968年の映画「猿の惑星」の原作です。

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映画もおもしろかったですが、原作はそれ以上に楽しめました。映画には時間的な制約がありますし、映像で表現しにくい部分(例えば言語の問題、原作ではお猿は猿語を話す)があるので、しかたがないのかもしれません。小説は、読む人の想像力によって、映像を補うことができるのだと実感しました。

小説は主人公ユリスの手記となっていて、不時着した惑星に人間の姿をした生物がいること、知能が発達して言葉を話す猿が原始的な行動をする人間を支配していることが一枚一枚ベールを剥ぐように明らかになっていきます。それだけにユリスの受けた驚き、衝撃、そして恐怖が、じわりじわりと迫ってきました。

おりに入れられたユリスは、自分は地球からやってきた”知性を持つ”人間だと猿たちに知らせたくとも、猿語を知らないため証明できません。そこで、ピタゴラスの定理などの数学の理論を絵で示して主張した、というところが(アメリカでの経験を思い出して)共感できました。

チンパンジーの女性科学者ジラがユリスに興味を持ち、二人はお互いのことば(猿語とフランス語)を教えあって意思の疎通をはかるようになります。ユリスはジラを通じて、猿社会のことを少しずつ理解していきます。

例えば、猿の世界の自然科学の研究は生物学に偏っているとか、チンパンジーは好奇心旺盛で新しい研究に積極的に取り組むが、オランウータンは保守的な御用学者で勲章が大好き、ゴリラは主に組織作りに力を発揮している… など、思わずなるほどという描写ににやりとしました。

ユリスと美しい人間の女性ノヴァとの関係も、小説では詳しく描かれています。ユリスは生物的にはノヴァに惹かれるものの、知性の部分ではチンパンジーのジラと理解し合い、信頼を高め、深い友情で結ばれていきますが、このユリスの抱えるジレンマも、アイロニーが感じられておかしかったです。

【 おまけ 】 先日、2001年に公開されたティム・バートン監督の「PLANET OF THE APES/猿の惑星」がTV放映されていたので、こちらも見てしまいました。原作の「猿が人間を支配している」という設定は取り入れられているものの、オリジナリティのあるストーリー展開となっていました。

お猿さんたちが着ている甲冑などのコスチュームのデザインがかっこいい! ファンタジーのような舞台装置や映像は魅惑的で、ティム・バートンらしさが表れているように感じました。

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松竹花形歌舞伎 「瞼の母」「お祭り」 

先月新橋演舞場で見た歌舞伎がとても楽しかったので、また機会があれば見たいなあと思っていたところ、中村獅童さんの巡業公演のことを知って、見に行ってきました。場所は神宮外苑の日本青年館です。

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今回の演目は、新歌舞伎の「瞼の母」と、舞踊の「お祭り」のふたつです。古典歌舞伎の壮麗さとはまた違う、江戸らしい粋にあふれたお芝居の世界を堪能してきました。親しみやすい題材で、気軽に楽しめました。

「瞼の母」は、長谷川伸さん戯曲の代表作品。幼い頃に生き別れた母を探し求めて江戸に出たやくざの忠太郎(中村獅童)は、手がかりを得て、大きな料亭「水熊」の女将おはま(片岡秀太郎)を訪ねます。しかし、平穏な生活が乱されることを恐れたおはまは、忠太郎を知らぬと冷たく突き放してしまいます。

悲しみ、水熊を飛び出す忠太郎の姿を見て、ひと目で兄と気づいた妹のお登世(市川笑也)は母を説得し、ともに荒川堤に追いかけます。しかし二人の呼ぶ声に物陰に隠れ、忠太郎はそっと旅立つ… というお話です。

一番の見せ場は、水熊での忠太郎とおはまのやり取りですが、わかっていても、やっぱり涙があふれてしまいました。それまで、母親と同じ年頃の女性を見ると優しい心遣いを見せ、母への思いをふくらませていた忠太郎だけに、拒絶された時の苦しみ、悲しみが痛いほどに胸に迫ってきて…。

突然忠太郎が訪ねてきたことに驚き、とまどい、心を鬼にして突き放してしまうおはま。しかしその後、心の曇りなくまっすぐに兄を思うお登世のことばに、はっと我に返ります。おはまの微妙な心の変化をみごとに表現する秀太郎さん、清らかなかわいらしさのある笑也さんの演技に心を打たれました。

獅童さんは声に張りがあって、舞台に登場したとたんに映える、華のある役者さんだなあと思いました。心優しき渡世人、という雰囲気がにじみ出ていました。弟分の半次郎の母に手を取ってもらって手紙を書く場面、最後に思いを断ち切るかのように旅立つ場面も、切なさが伝わってきて心にしみました。

舞踊の「お祭り」は、赤坂・日枝神社の山王祭が舞台。鳶頭とは火消しのことで、危険と背中合わせの男らしい仕事とあって、江戸では女性にすごくもてたそうです。鳶頭を演じる獅童さんは、いかにも粋な遊び人という雰囲気があってかっこよかったです。

「瞼の母」で清楚な娘さんを演じた笑也さんは、「お祭り」では芸者さんに。大人の女性の艶やかな色気があって見惚れました。獅童さんとの掛け合いの踊りは、息もぴったり。獅子舞が出たり、宙返りがあったり、と威勢よく華やかな舞台でした。

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ごまをする ~ 蒸し野菜の和風ナムル

市販のすりごまを使うようになったのは、もう10年以上も前でしょうか。通販で買ったという知人から、おすそ分けしてもらったのがきっかけでした。いつしかすり鉢も使わなくなり、一番上の棚にひっそりとしまい込んでいましたが…。

少し前に胡麻和えを作ろうとして、すりごまをきらしていることに気づき、久しぶりにすり鉢とすりこぎを使ってごまをすってみました。そうしたら、するほどに立つごまの香りのなんとすばらしいこと! 市販のすりごまとは比べものになりません。

たいしてめんどうでもないのに、どうして今までその手間を惜しんでいたのか。悔しくなるほどでした。そんなわけで、それ以来またすり鉢が復活しています。ごまをする間の、ほんの数分の”無”になれる時間も気に入っています。

前置きが長くなりましたが、最近お気に入りのすりごまをたっぷりと使った「蒸し野菜の和風ナムル」をご紹介しますね。タジン鍋のレシピ本に載っていたお料理ですが、私は手持ちのルクルーゼを使って作っています。ふたがあれば、フライパンでもOKです。

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もやし、ズッキーニの薄切り、なすの薄切り、しめじ、長ねぎのみじん切り、にんにくのみじん切りをお鍋に入れます。水は入れず、ふたをして弱火にかけ、このまま野菜の水分だけを使って蒸します。(時々様子を見て上下を返します。)

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その間に、ごまをすります。至福の時間をお楽しみください。(熱く語っていますが、もちろん市販のすりごまを使ってもOKです。 )

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野菜の水分だけで、十分に蒸しあがりました。野菜はくったりしています。

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火を止めたら、すりごま、だしパックの中身、塩、ごま油を入れて、混ぜ合わせたらできあがり。

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すりごまとだしパックを使った、穏やかな味わいの和風ナムル。蒸し野菜がおいしくて、いくらでもたくさん食べられます。

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タチアナ・ド・ロネ 「サラの鍵」

パリ在住の作家タチアナ・ド・ロネのベストセラー、「サラの鍵」(原題:Sarah's Key)を読みました。映画化されたこともあって(日本での公開は12月)気になっていた作品です。

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1942年7月16日、フランス警察によってユダヤ人一斉検挙が行われました。フランスで生まれ育った13000人以上のユダヤ人が、ヴェルディヴという屋内競輪場に押し込められ、その後、男、女、子どもと別々にアウシュヴィッツに送られたのです。

フランス政府はこの事実を50年以上封印してきて、1995年シラク大統領の演説でようやく初めて明らかになりました。そのため、フランス人でもこの”ヴェルディヴ事件”を知っている人は少ないそうです。

私自身、ナチスによるホロコーストについては、今までに何度となく小説や映画で読んだ/見たことがありましたが、フランス政府が加担していたことは、少し前に公開された「黄色い星の子供たち」(未見)という映画で初めて知ったばかりでした。

前半では、今を生きるフランス在住のアメリカ人ジャーナリストのジュリアと、1942年に生きるサラというユダヤ人の女の子の話が交互に進行します。雑誌の特集のために、ヴェルディヴについて調べ始めるジュリア。一斉検挙の朝に納戸に隠してきた弟の元にもどるため、収容所を脱走するサラ。

二人の人生が、時代を越えて交差するまでの展開は、サスペンスのような緊張感があって引き込まれました。サラのたどった道のりは、あまりに過酷で胸がしめつけられますが、一方、そのような時代にも、危険を冒し命がけでサラを守ろうとした尊い人たちがいたことに心を打たれました。

二つの物語はひとつに交わり、サラの存在を知ったジュリアは、彼女を探す旅に出ます。ヴェルディヴ事件という不幸な過去を覚え、忘れないこと、いつまでも語り継ぐことはとても大切だと思います。

ただ、サラがずっと心に秘めていたことに、他人であるジュリアが踏み込んでよいものか、ふと考えさせられました。真実を知ることが必ずしも正しいとは限らない。そこには触れられたくない傷もあるはずだから…。

「サラの鍵」というタイトルには、サラが弟を隠した納戸の鍵という意味のほかに、サラの心の扉の鍵という意味も込められている、と思いました。ジュリアが開いたサラの心が、残された人たちにとって新しい一歩を踏み出す力となると信じたいです。

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表紙は、デンマークのヴィルヘルム・ハンマースホイという画家の「白い扉、あるいは開いた扉」という作品。独特の透明感、無を表しているような静かな風景が印象的です。

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きりたんぽ鍋

今年は秋の訪れが例年になく遅かったように感じますが、立冬を過ぎると、さすがに気温もぐっと下がってきて、お鍋の季節到来、という気分になってきました。この時期、あの手この手で鍋料理を楽しんでいますが、先日は秋田県の名物、きりたんぽ鍋を作ってみました。

きりたんぽは市販もされていますが、はるか昔に秋田の伯母に教わったのを思い出しながら、自分で作ってみました。

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ごはんを炊いたらパラパラと塩をふり、すりこぎでついて、軽くつぶします。触れるほどの温かさになったら、にぎりながら割り箸の周りにつけ、がまの穂みたいに形作ります。少しだけ残ったごはんは、おにぎりのように丸めて「だまっこ」にしました。

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グリルで焼いたら、きりたんぽ&だまっこのできあがり。割り箸の部分をアルミホイルで包んでから焼きましたが、それでも結構焦げてしまいました。

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きりたんぽを焼いている間に具材を用意します。きりたんぽ鍋は、セリ、舞茸、ごぼうのささがき、鶏肉、(今回は入れませんでしたが)しらたきが入るのが特徴です。私はこの他、ミニ白菜、白ねぎ、にんじんリボン、お豆腐を用意しました。スープはおだしを効かせ、おしょうゆベースの味付けで。

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鶏肉、野菜、そしてきりたんぽを入れて… 火が通ったらできあがり♪

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きりたんぽは、雑炊ともおもちとも違う風情があって、とてもおいしかったです。私はセリと舞茸が大好きで、どのお鍋にもたいてい入れますが、今回はささがきごぼうのしゃきしゃきした食感と風味が気に入りました。

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東野圭吾 「白夜行」

東野圭吾さんのベストセラー、「白夜行」を読みました。買ってしばらくそのままになっていた本ですが、読み始めたら止まらなくて最後まで一気に読んでしまいました。東野作品をそれほど読んでいるわけではないですが、今まで読んだ中で一番おもしろかったです。

私はこの本を最近知ったので、「容疑者Xの献身」からさらにパワーアップしている!と思ったら、出版されたのは1999年で、ガリレオシリーズより前の作品と知ってさらに驚きました。昭和という時代背景、心の闇がきちんと描かれているところに、松本清張さんの世界をふと感じました。

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物語は1973年大阪で起こった質屋殺人事件に始まります。容疑者の事故死によって迷宮入りしたこの事件の後、被害者の息子亮司と、容疑者の娘雪穂、二人がたどった20年が、それぞれ別々に描かれていきます。作中、二人が接することはありませんが、なぜか周囲では不審な事件が次々と起こります…。

一見関連のない事件が断片的に描かれ、亮司と雪穂、それぞれの関与はにおわされるものの、はっきりと明かされないままに、次の事件へと移っていきます。それらの事件が何を意味しているのか、二人はどういう関係でつながっているのか、淡々と描かれる事実から推測するしかないので、最後までやきもきしながら読みました。

二人が成長していく中で、枝葉のように延びるひとつひとつの事件が、実は質屋殺人事件という大きな幹につながっていて、その下には、決して掘り返してはいけない暗い秘密の根があった…という真実。

私は読みながら、雪穂のこれほどまでの悪意はどこから来ているのだろう、と不思議でしかたがなかったのですが、それについて作者はちゃんと納得のできる動機を用意していたので、大満足でした。ミステリーで、どんなに犯行の手口やトリックが鮮やかでも、動機がきちんと描けていないとがっかりしてしまうので…。

主人公の二人は、私と同世代。石油ショックやインベーダーゲーム、アイドルなど…二人の成長とともに描かれる、世相を反映するできごとがみごとに私とシンクロしていて楽しめました。

【 おまけ 】 二人の幼い頃の接点が、小説の「風と共に去りぬ」というのが興味深かったです。たまたま最近映画を再見したばかりだったので…。華やかな外見、手段のために何度も結婚すること、一番好きな人と結ばれないこと、いつも陰で支える人がいること。なるほど雪穂とスカーレットはどこか似ているところがあるかも。

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三菱一号館美術館 「トゥールーズ=ロートレック展」

丸の内の三菱一号館美術館で開催されている、「トゥールーズ=ロートレック展」を見に行きました。

三菱一号館美術館が所蔵するロートレックのポスターやリトグラフなどを中心に、約180点から構成される今回の展覧会。完成前の試し刷りや、親友のために描いたイラストなど、あまり公開されることのない作品もあって、ロートレックがより身近に感じられる魅力的なラインナップとなっていました。

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パリのモンマルトルにあるキャバレー、ムーラン・ルージュのポスターを描いて華々しくデビューしたロートレックは、画家というよりはグラフィック・アーティストとよぶ方がふさわしいかもしれません。

鑑賞して愛でる絵画と違い、商業美術には、お客さんに商品を買ってもらう、足を運んでもらう、という明確な目的があるので、それをロートレックがどのような色や構図でデザインし、伝えようとしているか… と想像しながら鑑賞しました。

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ロートレックを一夜にして有名にした、ムーラン・ルージュのポスター。シルエットの使い方にセンスがあって、しびれます。別の作品の試作版では、手前のシルエットが紫色っぽいのと青みがかっているのと2色展示されていました。青い方はボツになったため、ほとんど残っていない貴重な作品だそうです。

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ロートレックは、日本の浮世絵が大のお気に入りで、作品にもその特徴を取り入れています。(左)シャンソニエのスターのポスターは、写楽の役者絵の影響を受けている作品ですが、大胆な構図とはっきりとした色使いが、スターを堂々とかっこよく見せていますね。

(右)こちらは、歌川広重の名所江戸百景の影響を受けているそうなので、後で広重の絵をネットで探して比べてみました。前景と遠景を対比させている構図は、言われてみるとなるほど、たしかに似ているような気がします。

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どちらもポーランドの小説家の新作のためのポスター。(左)は某男爵のスキャンダルをモデルにしている、(右)はドイツを批判しているとされて、どちらの小説も販売差し止めを要求される騒ぎになったとか。ポスターの影響力も大きかったのでしょうね。

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ロートレックは、娼婦や踊り子など、社会の底辺に生きる女性たちに温かい眼差しを向け、多くの作品を残しました。(左)は「化粧」と題する油彩画、(右)は『彼女たち』という版画集の中から「座る女道化師」という作品。この版画集は、喜多川歌麿が描いた吉原の錦絵からインスピレーションを受けているそうです。

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「54号室の女船客」という作品。ロートレックは、ボルドーに向かう船の中でこの女性に一目惚れし、ボルドーで下りずにそのままリスボンまでついていってしまったそうです。^^

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美術館のある丸の内ブリックスクエアは、秋バラが美しく咲いていました。
最後に、2年前に行ったロートレック展の記事をリンクしておきます。
art Bunkamura ザ・ミュージアム 「ロートレック コネクション」展

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マクドナルド風 三角チョコパイ

マクドナルドで期間限定販売している三角チョコパイを、家でまねして作ってみました。

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冷凍のパイシートを正方形にカットして、麺棒で少し薄くのばし、対角線で折ってチョコチップを包み、端をフォークの先でしっかり押さえます。溶き卵をぬって、オーブンで焼いたらできあがり。

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見た目はチョコクロワッサン風… 熱々のうちに、いただきます♪

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サクサクしたパイ生地の中から、熱々の濃厚なチョコレートがとろ~り。簡単ながら、とってもおいしくできました。

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チョコチップは、コストコで買ったGHIRARDELLI(ギラデリ)のビタースウィートを使いました。甘さ控えめなので、マフィンやクッキーなど、お菓子作りにぴったりです。

Mc_choc_pie_3_3 (HPよりお借りしました)

こちらが本物の三角チョコパイです。こちらはパイ生地もココア味になっているようですが… どんなお味か、是非食べ比べてみたいです。

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「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」

亡くなって30年近く経った今も、人々を魅了してやまないカナダ出身のピアニスト、グレン・グールドのドキュメンタリー映画、「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」(原題:Genius Within: The Inner Life of Glenn Gould)を見に行きました。

グールドの生い立ちから独特の演奏方法の秘密、衝撃的なデビュー、音楽家としての数々のエピソード、そして元恋人たちの証言。演奏シーンはもちろん、ビデオ映像やプライベートフォトも充実していて、生前のグールドの音楽的、人間的魅力が存分に堪能できました。

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私のグレン・グールドとの出会いは、CDで聴いたバッハのブランデンブルグ交響曲です。ドビュッシーやラベルなどの近代音楽が好きで、バロック音楽はどちらかというと、古くさくてたいくつだと思っていた私にとって、それは雷に打たれたような衝撃的な経験でした。

ひとつひとつの音がクリアに独立していて、左右の音が双子姉妹のようにぴたりと息が合っている。そしてつむぎだされる音楽は、屋根に打ち付ける激しい雨のよう。クラシックであってクラシックでない、アドリブの効いたジャズを聴いているような、身震いのする感覚でした。

個性的な演奏スタイルや奇行、端正なルックスなど、話題にこと欠かずメディアが飛びつくのは無理もないですが、それ以上に、圧倒的な演奏テクニックと独創的な音楽表現が、聴く人の心を一瞬にしてとりこにする魔力を持っていたのだと思います。

初めてのソ連でのコンサートで、最初はがらがらだった客席が、人が人を呼び、最後には会場が人で埋め尽くされたこと。ニューヨークフィルとの共演で、指揮者のバーンスタインが唯一、グールドの音楽解釈には折れたということ。どれも彼を物語るにふさわしい伝説でした。

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グールドは人づきあいが苦手で孤独だった、というのはメディアによって作られたイメージではないか、と私は思います。映像で見る彼は、自分の考えをきちんと伝えているし、恋もしている。意外と本人は、自分の音楽表現のためにそのイメージを利用していた部分があったのかもしれません。

映像を見ていて、私はふと、映画「ソーシャルネットワーク」のマーク・ザッカーバーグを思い出しました。全く世界の違う二人ですが、どこか似通っている部分があって、魅力を感じます。

あまりいい音質のものがなかったのですが、You Tubeで見つけたグールドのブランデンブルグ交響曲の映像をリンクさせていただきますね。

notes Glenn Gould - Bach's Piano Concerto No.1 in D minor

音が聴き取りにくいですが、歌いながら演奏するスタイルや、高さ30cmの極端に低い椅子など、グールドらしさが感じられるかと思います。見ているとなんとなく、ピーナッツのシュローダーを思い出します。

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今回初めて渋谷のUPLINK Xという映画館を訪れたのですが、会議室のようなスペースに椅子が並べられた、こじんまりとアットホームなシアターでした。平日にもかかわらず、ほぼ満席で、グールドの人気のほどがうかがえました。

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ゆでたまご入り獅子頭(シーズトウ)

獅子頭(シーズトウ)は、大きな肉だんごの入った中華スープ。中国は揚州の名物料理だそうです。(Wikipediaより) 大きな肉だんごは切り分けて、他の具材とともにスープとしてサーブしていただきます。

先日ふと思いついて、スコッチエッグのような、ゆでたまご入り肉だんごの獅子頭(シーズトウ)を作ってみました。

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まずは肉だんご作り。ゆでたまごを肉だんごのたねで包んで揚げます。私は丸く仕上げたかったので油で揚げましたが、フライパンで転がしながら焼いてもいいと思います。大きさがバラバラなのは、各自の食欲に応じて作ったから。^^ ちなみに一番小さいのが私のですよ。

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味覇(ウェイパァー)を溶かして作った中華スープに、肉だんごを入れて煮込み、さらに白菜、白ねぎ、しいたけ、にんじん、春雨を順に入れていきます。しょうゆと酒を加えてコトコト煮込み、最後に塩こしょうで味を調えます。

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獅子頭(シーズトウ)のできあがり♪ 具だくさんの栄養満点のスープです。にんじんをピーラーで削ってリボン状にするのが、最近のお気に入り。お鍋の時にもよく、このにんじんリボンが登場します。

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肉だんごの中にはゆでたまごが丸ごと入っています♪ 肉だんごからも野菜からもいいおだしが出て、おいしくできました。春雨は”唐辛子入り”というのを使ったので、ほんのりピリ辛味。体も温まりました。

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スーパーで”ミニ白菜”というのを見つけたので、使ってみました。普通の白菜よりも小ぶりで、葉っぱの巻きがゆるく、ふんわりとしています。緑の部分が多いので、お料理に入れるときれいですし、葉が柔らかいので、サラダにもよさそう。とっても気に入りました。

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目黒 「Carrettiere」 のパスタランチ

庭園美術館には朝一番ででかけたのですが、長期休館前のオープンハウスとあって、いつになく混みあっていました。建物を見学した後は、とりあえず外でお昼をいただいてひと休みし、その後で庭園を散策することにしました。

お昼は庭園美術館近くにあるトラットリア 「Carrettiere」(カレッティエレ)で、パスタのランチコースをいただきました。

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前菜プレートです。ハム、ガーデンサラダ、リエット、ゆで卵と海老のサラダ、ブロッコリーのマリネ、にんじんのマリネが盛り合わせになっていました。私は、にんじんのマリネがさっぱりとして気に入りました。リエットは、ケイパーが入ったあっさりとした味わいで、こちらもおいしかったです。

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パスタは、「釜揚げしらすと生のりとおかひじきのスパゲティ」をいただきました。さっぱりとしたオイルパスタで、磯の風味があってとてもおいしかったです。おかひじきの適度な歯ごたえがアクセントになっていました。

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こちらは、「イタリアンソーセージと茄子とルッコラのトマトソースペンネ」です。定番の組み合わせは、飽きの来ないおいしさです。

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食後のコーヒーとデザートです。手前は栗のパンナコッタ、奥はかぼちゃのプリンです。栗のパンナコッタは初めて食べましたが、ぷるぷると柔らかくなく、コクがありました。どちらも秋らしいお味。パスタが意外とボリュームがあったので、小さなココットに入った一口サイズがちょうどよかったです。

食後は再び庭園美術館にもどり、庭園を散策しました。

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庭園は、(左)お茶室や池のある日本庭園、芝生の広がる西洋庭園、(右)彫刻作品が点在する芝生広場、と3つのエリアに分かれています。この日はお天気がよかったので、西洋庭園の芝生でピクニックしている人たちもいました。紅葉にはまだ早かったですが、気持ちのいいお散歩になりました。

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