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東野圭吾 「白夜行」

東野圭吾さんのベストセラー、「白夜行」を読みました。買ってしばらくそのままになっていた本ですが、読み始めたら止まらなくて最後まで一気に読んでしまいました。東野作品をそれほど読んでいるわけではないですが、今まで読んだ中で一番おもしろかったです。

私はこの本を最近知ったので、「容疑者Xの献身」からさらにパワーアップしている!と思ったら、出版されたのは1999年で、ガリレオシリーズより前の作品と知ってさらに驚きました。昭和という時代背景、心の闇がきちんと描かれているところに、松本清張さんの世界をふと感じました。

  Byakuyakou

物語は1973年大阪で起こった質屋殺人事件に始まります。容疑者の事故死によって迷宮入りしたこの事件の後、被害者の息子亮司と、容疑者の娘雪穂、二人がたどった20年が、それぞれ別々に描かれていきます。作中、二人が接することはありませんが、なぜか周囲では不審な事件が次々と起こります…。

一見関連のない事件が断片的に描かれ、亮司と雪穂、それぞれの関与はにおわされるものの、はっきりと明かされないままに、次の事件へと移っていきます。それらの事件が何を意味しているのか、二人はどういう関係でつながっているのか、淡々と描かれる事実から推測するしかないので、最後までやきもきしながら読みました。

二人が成長していく中で、枝葉のように延びるひとつひとつの事件が、実は質屋殺人事件という大きな幹につながっていて、その下には、決して掘り返してはいけない暗い秘密の根があった…という真実。

私は読みながら、雪穂のこれほどまでの悪意はどこから来ているのだろう、と不思議でしかたがなかったのですが、それについて作者はちゃんと納得のできる動機を用意していたので、大満足でした。ミステリーで、どんなに犯行の手口やトリックが鮮やかでも、動機がきちんと描けていないとがっかりしてしまうので…。

主人公の二人は、私と同世代。石油ショックやインベーダーゲーム、アイドルなど…二人の成長とともに描かれる、世相を反映するできごとがみごとに私とシンクロしていて楽しめました。

【 おまけ 】 二人の幼い頃の接点が、小説の「風と共に去りぬ」というのが興味深かったです。たまたま最近映画を再見したばかりだったので…。華やかな外見、手段のために何度も結婚すること、一番好きな人と結ばれないこと、いつも陰で支える人がいること。なるほど雪穂とスカーレットはどこか似ているところがあるかも。

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コメント

私はこの作品、テレビドラマでみました。
山田孝之さんと綾瀬はるかさんの主演でした。
ドラマでは先に殺人事件の真相が明らかになっていたので二人の関係もわかっていたし、それぞれの事件で二人が少し絡むシーンもあったと思いますが、小説は最後にその事件に戻るという流れなんですね。
東野圭吾作品はついつい映像ものを先に見てしまう傾向にありますが(ガリレオシリーズもそうです)小説から入った方がもっと楽しめそうですね。
ちなみに私は今「秘密」を読んでいます。(映画をみて読みたくなりました)

投稿: olive | 2011年11月 9日 (水) 11時30分

東野圭吾はとっても人気がありますね。
私もずいぶん読みましたが、
映画の撮影現場を見た「さまよう刃」の印象が
どうして一番残っています。
http://bullerbyn.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-e801.html

投稿: Lisa | 2011年11月 9日 (水) 12時10分

この本、未読の本の山の中腹付近に埋没しています。いつのまにやら、山の高さが増えています。いずれ掘り出すつもりですが、いつになるのか分かりません。
せっかく山の掘り崩しに成功したのに、またも増える山の高さ。どうも、私は仕事のストレスがたまると買い込む癖があるようです。

投稿: ヌマンタ | 2011年11月 9日 (水) 14時13分

今晩は!cherry

うちの最寄の地下鉄の駅には、「メトロ文庫」っていうコーナーがあって、人々が寄贈した本を自由に持っていって読める様になっているのです。

で、先日この本を見つけて「どうしよう・・」と思ったのですが、すぐに読めないし・・と思ってたら、その後ず~っと貸しだされたままになっています。
あ~あ、無理してでも借りて先に読めば良かったな~。

セレンディピティさんの紹介文章を読んでたら、ますます後悔しています。(笑)
面白そうですよね~・・で。きっと面白いんですよね~。
やっぱりベストセラー作家さんの作品って読ませるんですよね。book

投稿: ごみつ | 2011年11月 9日 (水) 21時53分

☆ oliveさま ☆
oliveさんは、ドラマをご覧になったのですね。
雪穂役は、綾瀬はるかさんですか!
全くイメージが違う気がしますが…
事件の真相を最初に見せてしまう、ということは
小説とはかなり違った切り口で作っているのでしょうね。

oliveさんは「秘密」を読んでいらっしゃるのですね。
東野圭吾さんとしては、詩的でロマンティックな作品ですね。
私は東野圭吾さんが作品に取り入れる理系ネタが
結構おもしろくて好きです。

投稿: ☆ oliveさま ☆ | 2011年11月10日 (木) 16時58分

☆ Lisaさま ☆
東野圭吾さん、人気がありますね。
私はそれほど読んでいるわけではないですが
「白夜行」は構成がよくできていて、なかなかおもしろかったです。
「さまよう刃」は映画にもなっているのですね。
テーマが重いので、映像で見ると辛そうですが
本の方は機会があれば読んでみますね。

投稿: ☆ Lisaさま ☆ | 2011年11月10日 (木) 17時14分

☆ ヌマンタさま ☆
ヌマンタさんも、この本持っていらっしゃるのですね。
私も買ったのはずいぶん前ですが、そのままになっていて
先日息子の部屋で発掘しました。(笑)
結構分厚いですが、読み始めると止まらなくて
あっという間に読み終えてしまいました。

私も今いくつか抱えている本があるので
少しずつ読み進めていきたいと思います。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2011年11月10日 (木) 17時21分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪
メトロ文庫ですか! なかなか洒落た計らいですね。
東野圭吾さんの作品は人気があるから
あったら誰かがすぐに持っていってしまいそうですね。
しかもこの本、結構分厚いので、読み出すまでが
長かったりするのですよね。小さいバッグには入らないし。(笑)
読み始めたら早いと思うのですが…。

松本清張さん風で、なかなかおもしろかったです。
機会があれば、是非読んでみてください☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年11月10日 (木) 17時30分

こんばんは!
東野圭吾さんの本は家内が好きで結構読んでいるみたいです。
この作品を読んだかは、わかりませんが、面白そうな内容、
それと時代設定が私にとっても良く覚えている懐かしい時代。。。

仰る様に動機のない、犯人は、興ざめしますね。

投稿: イザワ | 2011年11月11日 (金) 01時38分

☆ イザワさま ☆
おはようございます♪
東野圭吾さんは人気がありますね。
イザワさんの奥様もファンでいらっしゃるのですね。
この作品、はりめぐらされた伏線が、最後にちゃんと論理的に
つながっていて、すごい!と思わずうならされました。
1973~92年の時代背景が描かれているので
きっとイザワさんも懐かしくなることと思います♪

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年11月11日 (金) 09時54分

過去記事にすみませぬ〜
いやぁ。ついつい…汗
「白夜行」アタシも2〜3年前に読みました。
それまで、さくっと読める印象が強かった東野作品だったので
結構衝撃でした。
内容が重い、重い。
それでも、アタシも2日ぐらいで読み終わりましたが
読み終わった後はちょっとモヤモヤ感が残りますよね。
テンションが下がるというか…
内容が濃いのでどっと疲れたのを覚えています。
確かに、松本清張作品と雰囲気が似ているかもしれない!
あと、貫井徳郎さんの作品とも似ているなと思いました。
思いっきりどっぷり本を読みたい!って時に良い作品ですかね。

投稿: ミイサ | 2011年12月 9日 (金) 07時48分

☆ ミイサさま ☆
たくさんコメントをくださって、ありがとうございます。
過去記事へのコメント、もちろんOKですよ☆
とってもうれしいです。

ミイサさんも、「白夜行」読まれたのですね。
重い作品でしたが、読み応えがあっておもしろかったですね。
結構ドロドロしているのに、読んだ後に(私にとっては)
それほど嫌な感じが残らなかったのは、
東野作品だからかな…?と思いました。
貫井徳郎さん、知りませんでした。
やはり推理小説の作家さんなんですね。
機会があれば、是非読んでみたいです♪

投稿: ☆ ミイサさま ☆ | 2011年12月 9日 (金) 09時51分

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2009年/韓国 (監)パク・シヌ(演)ソン・イェジン ハン・ソッキュ イ・ミン [続きを読む]

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