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ピエール・ブール 「猿の惑星」

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」を見てから、私の中でお猿さんブームが続いています。少し前に、フランスの作家ピエール・ブールのSF小説、「猿の惑星」(原題:La Planète des singes)を読みました。1968年の映画「猿の惑星」の原作です。

  La_planete_des_singes

映画もおもしろかったですが、原作はそれ以上に楽しめました。映画には時間的な制約がありますし、映像で表現しにくい部分(例えば言語の問題、原作ではお猿は猿語を話す)があるので、しかたがないのかもしれません。小説は、読む人の想像力によって、映像を補うことができるのだと実感しました。

小説は主人公ユリスの手記となっていて、不時着した惑星に人間の姿をした生物がいること、知能が発達して言葉を話す猿が原始的な行動をする人間を支配していることが一枚一枚ベールを剥ぐように明らかになっていきます。それだけにユリスの受けた驚き、衝撃、そして恐怖が、じわりじわりと迫ってきました。

おりに入れられたユリスは、自分は地球からやってきた”知性を持つ”人間だと猿たちに知らせたくとも、猿語を知らないため証明できません。そこで、ピタゴラスの定理などの数学の理論を絵で示して主張した、というところが(アメリカでの経験を思い出して)共感できました。

チンパンジーの女性科学者ジラがユリスに興味を持ち、二人はお互いのことば(猿語とフランス語)を教えあって意思の疎通をはかるようになります。ユリスはジラを通じて、猿社会のことを少しずつ理解していきます。

例えば、猿の世界の自然科学の研究は生物学に偏っているとか、チンパンジーは好奇心旺盛で新しい研究に積極的に取り組むが、オランウータンは保守的な御用学者で勲章が大好き、ゴリラは主に組織作りに力を発揮している… など、思わずなるほどという描写ににやりとしました。

ユリスと美しい人間の女性ノヴァとの関係も、小説では詳しく描かれています。ユリスは生物的にはノヴァに惹かれるものの、知性の部分ではチンパンジーのジラと理解し合い、信頼を高め、深い友情で結ばれていきますが、このユリスの抱えるジレンマも、アイロニーが感じられておかしかったです。

【 おまけ 】 先日、2001年に公開されたティム・バートン監督の「PLANET OF THE APES/猿の惑星」がTV放映されていたので、こちらも見てしまいました。原作の「猿が人間を支配している」という設定は取り入れられているものの、オリジナリティのあるストーリー展開となっていました。

お猿さんたちが着ている甲冑などのコスチュームのデザインがかっこいい! ファンタジーのような舞台装置や映像は魅惑的で、ティム・バートンらしさが表れているように感じました。

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コメント

ありゃりゃ、またも早川め、表紙画を差し替えたようですね。私は高校生の頃、早川SF文庫で読んでいますが、たしか20年以上再販もされずにお蔵入りしていたはずです。おかげで、古本屋では希少ものとして値段が上がり、全巻入手を諦めたものです。姑息な早川ですから、全巻復刻はしないでしょう。
映画の出来もいいようですが、私はやっぱり原作好き。また読みたくなりましたが、はて?どこに仕舞ったかな。レンタル倉庫に眠っている気がします。探すの一苦労です。

投稿: ヌマンタ | 2011年11月18日 (金) 12時26分

今晩は。cherry

ヌマンタさんは不満そうですが(笑)、何かこの本のイラスト、不思議っぽくて良いんじゃない?優しそうな顔だけどこれはジーラ?

ティム・バートン版もご覧になったんですね!やっぱり、原作とはかなり違うんだ~。でも確かにアメリカ版よりは、原作に近いのかな?

そうそう、あの映画のラスト!! どうですか、あれ?原作のラストは違うんですね?マーク・ウォルバーグが気の毒すぎ!typhoon

投稿: ごみつ | 2011年11月18日 (金) 23時38分

☆ ヌマンタさま ☆
ヌマンタさんも原作を読まれたのですね。
すごくおもしろかったですね!

私が読んだのは2000年発行の高橋啓さん訳ですが
既に絶版になっていました。(私は図書館で借りました。)
ヌマンタさんが読まれたのは、1971年発行の小倉多加志さん訳ですね。
後から知ったのですが、このほか創元社からも出ていて
こちらは今も入手可能のようです。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2011年11月19日 (土) 07時47分

☆ ごみつさま ☆
この表紙、かわいいイラストですよね。
描かれているのはジラか、一般のお猿さんか…? (わかりません)

ティム・バートン版は、設定だけ同じで
あとは全く原作を離れた独自のストーリーでした。
でも、結末だけは原作といっしょでした!!

原作は、68年の映画と途中までのストーリーはだいたい同じなのですが
テイストが違うというか… もっと深みがあっておもしろかったです。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2011年11月19日 (土) 07時58分

おはようございます。
ストーリーも映像もかなり評判の良い映画のようですね)^o^(
私は、まだ見れていないのですが、観たい映画です。

映画、ドラマと原作の両方を読んでから観るか、観てから読むかで
イメージが変わってくるかと思いますが、何れにしても
勉強になります。

投稿: イザワ | 2011年11月19日 (土) 09時30分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
今公開中の「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」は
過去の作品からテーマをふくらませたものですが
ドラマとしてもエンターテイメントとしても
見応えがあっておもしろかったです♪
それがきっかけで、今になってこのシリーズが気になっています。
今回は、68年の映画の原作を読みましたが
今読んでも古さを感じない作品の世界に感動しました。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2011年11月19日 (土) 10時50分

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» 『猿の惑星』 ピエール・ブール(著), 大久保輝臣(翻訳) [じゅうのblog]
「ピエール・ブール」のSF作品『猿の惑星(原題:La Planete des singes、アメリカ:Planet of the Apes、イギリス:Monkey Planet)』を読みました。 [猿の惑星(原題:La Planete des singes、アメリカ:Planet of the Apes、イギリス:Monkey Planet)] 先日、映画『猿の惑星』を観て、原作を読みたくなったんですよね。 -----story------------- 恒星間飛行を実現した人類は異郷の惑星で驚... [続きを読む]

受信: 2015年5月21日 (木) 22時36分

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