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新春浅草歌舞伎 「南総里見八犬伝」「廓文章」

東京に思いがけない大雪が降った翌日、新春浅草歌舞伎を見に行きました。でこぼこに凍った道路は歩きにくく、また一見凍っていないところがかえって滑りやすく、一歩一歩慎重に歩いてでかけました。松の内は過ぎていますが、浅草仲見世通りの新年の飾りつけに、気持ちが浮き立ちました。

会場となる浅草公会堂も、樽酒が積み重ねられ、新春公演らしい華やかさと賑わいにあふれていました。そして上の階の休憩所からは、雪化粧した美しい浅草寺を見ることができました。

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広重が描く雪景色のような荘厳な美しさに、心が透き通る思いがしました。

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さて新春浅草歌舞伎、私が見たのは第1部で、演目は『南総里見八犬伝』と『廓文章』です。今回はドラマをしっかり見せるというよりは、ぱっと華やかでおめでたい、お正月らしい舞台でした。若手の役者さんたち中心のフレッシュな演技を楽しみました。

中村歌昇さんによる新年のご挨拶に続いて、『南総里見八犬伝』。もとは江戸時代に書かれた曲亭馬琴による長い長いお話ですが、今回はその中から、八犬士誕生を描く「富山山中の場」、「大塚村庄屋蟇六内の場」、八犬士が勢揃いする「円塚山の場」、3つの場面を楽しみました。

「富山山中の場」は、犬と結婚させられた伏姫(市川春猿)が、没落した里見家の復興を願って腹を裂き、八つの珠を産み落とす場面が、迫力あって印象的でした。春猿さんのたおやかな美しさに圧倒されて、舞台が狭く感じたほど。暗闇の中できらめき、揺れ動く八つの珠が神秘的でした。

「大塚村庄屋蟇六内の場」は、コミカルな演出が楽しかった。強欲な庄屋の蟇六は、養女の浜路を代官と結婚させようとしますが、祝言の日、浜路はいなくなり代官は怒ってしまいます。暗闇の中、持参金を手探りで取り合う蟇六と代官とのスローモーションの動き(だんまり)が、今の映像に通じるものがあっておもしろかったです。

「円塚山の場」では、火の中から現れる犬山道節(市川亀治郎)のアクロバティックな動き、立ち姿の迫力に魅せられました。亀治郎さんは、蟇六と道節の二役を演じましたが、全くタイプが違う役だけに、その演技の幅の豊かさに感動しました。最後にそれぞれ個性的な八犬士が勢揃いし、舞う場面は圧巻でした。

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『廓文章』は上方和事の代表作品だそうで、舞台は大阪新町、セリフが関西なまりだったのが新鮮でした。放蕩により勘当され、今はすっかり落ちぶれている伊左衛門(片岡愛之助)が、2年ぶりに遊女の夕霧(中村壱太郎)に会いに吉田屋を訪れます。

今は見る影もない伊左衛門を、昔のままに迎える吉田屋の主人、喜左衛門。人気の夕霧は他のお座敷に出ていて、さんざん待たされた伊左衛門は夕霧とけんかをしたり、仲直りしたり。

最後はなぜか勘当がとけて、夕霧を身請けする手はずが整い、無事に新年を迎える… というハッピーエンディング。あれあれ?という展開ではありましたが、このおおらかさがいかにもお正月らしく、楽しい舞台でした。

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歌舞伎を見た後は、近くの舟和さんの喫茶室であんみつをいただきました。久しぶりの和の甘味がおいしかった。あんと黒みつのやさしい甘みに、じんわり疲れがほぐれました。

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舞台」カテゴリの記事

コメント

こんにちはぁ~
浅草の雪景色、ステキですね!
青い空に五重塔が映えますね。
新春歌舞伎、ご覧になったのですねぇ~
昨年観たのですが今年は中村七之助さんが
出演されないので止めちゃったんです。
読んでいたらやっぱり行けばよかったと後悔…
セレンディピティさん、歌舞伎はお友達とでしょうか?
映画はいつもご主人様ですよね。
もしかして歌舞伎にもお付き合い下さるステキな
ご主人様なのかしらん♪

投稿: ゆず | 2012年1月25日 (水) 16時29分

歌舞伎ではなく原作の南総里見八犬伝ですが、水滸伝のパクリであるのはともかく、竜頭蛇尾としかいいようのない終わり方に大きく失望したものです。
もっともよくよく考えてみれば、江戸時代に政府打倒の話が書ける訳ない。苦肉の策のエンディングであったのだと、今は考えていますが、お小遣いを貯めて、せっかく買った本が、最後の最後でつまらなく終わったショックは、未だ忘れ難いです。

投稿: ヌマンタ | 2012年1月25日 (水) 21時02分

今晩は。

雪の次の日にでかけられたんですね。雪景色がとってもきれいです。
足元はちょっと危なかったけど、楽しい観劇が出来ましたね。歌舞伎、はまってますね!

「南総里見八犬伝」は、私も昔、NHKの人形劇に夢中になったくちです。これ「水滸伝」のストーリーがモトネタなんだ~。
最後ってどんなオチだったんでしたっけ?すっかり忘れちゃいました~。
八つの珠には「仁義礼智忠信孝悌」の文字がうかぶんですよね。また、あの人形劇みたいな~。dog

投稿: ごみつ | 2012年1月25日 (水) 23時01分

歌舞伎って見てみたいなぁと思っているものの一つです。
まだ、アタシには早いかしら?と思いつつも
最近は現代劇をアレンジした歌舞伎もあったり
カジュアルに楽しめるものもあるようなので
挑戦してみたいな〜
でも、こちらで見られる機会が滅多に無いんですよね。
それに、どうせならやっぱり浅草で見てみたい!
(形から入るヤツです。笑)

そして、その後に美味しい甘味
良いですね〜
一日、和を満喫ですね!!

投稿: ミイサ | 2012年1月26日 (木) 08時01分

おはようございます~。
あの雪の翌日のお出かけは、本当に大変だったと思います!
ご無事で何よりです。
浅草歌舞伎、毎年「楽しそうだなー」と思いながらも観たことがありません。
若手の方が若手じゃなくなる前に観てみたいです。
浅草寺の雪景色はなかなか出合えない貴重な風景ですね!!

投稿: ルプレ | 2012年1月26日 (木) 08時38分

☆ ゆずさま ☆
浅草寺の雪景色、趣があってとても美しかったです。
新春浅草歌舞伎、ひょっとしてゆずさんも行かれるかな~?
と思っていました。
お正月らしい、ぱっと明るい演目で楽しかったです。
浅草歌舞伎は、なんといっても公会堂までの道すがらが
味わいがあって、気分を盛り上げてくれますね☆
歌舞伎はもとは友人がきっかけでしたが、とても気に入って
最近は夫を誘って見に行くようになりました。
また機会があれば足を運んでみたいです。

投稿: ☆ ゆずさま ☆ | 2012年1月26日 (木) 11時16分

☆ ヌマンタさま ☆
ヌマンタさんは、南総里見八犬伝の原作を読まれているのですね。
私は今回予習のためにあらすじを…とちょっと調べましたら
あまりに長いことを知ってびっくりしました。
これだけ長いと読む方も相当時間がかかりそうですが
(しかも江戸時代の小説って読み難そう)
エンディングががっかり…とは残念でしたね。
今回の舞台は本筋に入る前の最初の最初の部分でしたが
雰囲気だけは楽しめました。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2012年1月26日 (木) 11時26分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪ 雪の翌日ででかけるのは少々たいへんでしたが
思いがけずすばらしい雪景色を見ることができました。
歌舞伎も楽しかったです。

南総里見八犬伝、昔NHKで人形劇やってましたね。
私は見てはいなかったのですが、あの文楽人形の独特の雰囲気は
印象的でよく覚えています。
もとは長いお話ですが、人形劇では最後まで演じたのかな…?
今回の舞台は、ほんとうに最初の最初の部分だけだったのですが
雰囲気は楽しめました。
八犬士、今でいえばイヌレンジャーといったところでしょうか。
それから犬の八房がSoftbankのお父さんに見えて困りました。^^

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年1月26日 (木) 11時38分

☆ ミイサさま ☆
歌舞伎は私も学校の芸術鑑賞とかでしか見たことがなくて
今まであまり興味もなかったのですが
最近ちょとしたきっかけで好きになりました。
私も何分あまり知らないのですが、
歌舞伎も古典から時代劇風、前衛的?なものまでいろいろあって
それぞれ違ったおもしろさがあるのではと思います。
歌舞伎の世界も、新しいお客様を呼び込もう、盛り上げようと
努力されている様子が感じられます。
ミイサさんも、いい出会いがあるといいですね。

歌舞伎の後は、やっぱり和の気分ですね。
久しぶりのあんみつ、おいしくいただきました☆

投稿: ☆ ミイサさま ☆ | 2012年1月26日 (木) 11時58分

☆ ルプレさま ☆
こんにちは♪ 雪の翌日、気温があまりあがらず
しばらく道路ががりがり、つるつるで歩きにくかったですが
転ばずに無事にたどりつけてよかったです。
浅草寺の美しい雪景色にも出会えて感激しました。
ルプレさんも浅草歌舞伎、気になっていらしたのですね。
華やかでおめでたい舞台で、
(もう一月下旬ですが…)お正月気分が満喫できました。
そろそろ平成生まれの役者さんたちが
若手のホープとして活躍されてますものね…。
でもこれからが楽しみですね☆

投稿: ☆ ルプレさま ☆ | 2012年1月26日 (木) 12時09分

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