« 七草がゆ 2012 & ゆずのケーキ | トップページ | 「ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ」 »

「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」

スペインはカタルーニャ地方にある伝説的なレストラン、「エル・ブリ」。オーナーシェフのフェラン・アドリア氏が創造するお料理の数々は、どれも革新的な驚きに満ちていて、常に料理界の注目を集めてきました。

今後は料理研究財団となるため、2011年に惜しまれながら閉店したこのレストランの、最後の準備期間を追ったドキュメンタリー映画、「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」(El Bulli Cooking in Progress)を見に行きました。

  El_bulli

映画を見る前に、料理評論家の山本益博さんの著作「エル・ブリ 想像もつかない味」を読んで予習しておきました。エル・ブリのお料理は、見ただけでは何を使っているのか、どんなお味なのか、全く想像が及ばないので、お客の立場から書かれたこの本を読んだことは、映画を見る上で、私にはとても助けになりました。

世界で一番人気のレストランと聞いて私が安易に想像したのは、美しく装飾されたフランス料理。しかし、エル・ブリのお料理は全てにおいて、その想像をことごとく覆すものでした。例えるならば、現代アート。五感を総動員して楽しむ、まさに”体験する”ということばがふさわしいお料理でした。

Dish_01  Dish_07  Dish_11

エル・ブリのお料理はコースのみで、3時間以上かけて30品以上をいただくそうです。といっても一品一品は小さく、スペインのタパス(小皿料理)を思わせました。ワインを飲みながらいただくお料理ではなく、シェフが特別に用意したカクテルが、コースの中に組み込まれています。

どのお料理もベストのタイミングでサーヴされるので、ゆっくりと雰囲気やおしゃべりを楽しむ余裕など、ひょっとしたら無いかもしれません。食事はシェフとお客様が一対一で向き合う真剣勝負、という印象さえ受けました。

Dish_17 Dish_24 Dish_30

エル・ブリは一年のうち、4~10月の半年間だけオープンし、あとの半年間はバルセロナのアトリエで、次のシーズンに向けての新しいメニューの開発・準備期間にあてられています。スパイスの入ったガラス瓶が整然と並ぶ、シンプルモダンなアトリエは、まるで理科実験室のようでした。

明確なコンセプトを掲げ、”○○年のお料理”と銘打っているところは、まるでファッション界がシーズン毎に発表する新作モードみたい。映画に登場したエル・ブリ最後の年は、”水”がテーマとなっていました。

アドリア氏が、柚子や抹茶など日本の食材を使っていらっしゃるのを見てうれしくなりましたが、”素材の持ち味をシンプルに生かした、驚きに満ちたお料理”をテーマにしている氏が、伝統的な日本料理に注目されることは、ごく自然なことのように感じられました。

氏は、液体窒素など(お料理らしからぬ)道具を使うことでも知られていますが、特に有名なのがエスプーマとよばれる強力泡だて器。最近は、日本のレストランでも泡を使ったお料理を時々見るようになりましたが、それもアドリア氏の影響でしょうか…。

アドリア氏が、茶せんを使ってお抹茶をたてているところを見て、ひょっとしてエスプーマの起源は茶の湯?!なんて考えたら、とっても愉快な気持ちになりました。

アドリア氏のお料理は、正直言って、ひと目見て「わっ、おいしそう!」とは思わなかったのですが、「どんなお味なんだろう? 食べてみたい!」と、好奇心を刺激するお料理でした。財団を創始され、これからのますますのご活躍が楽しみです。

|

« 七草がゆ 2012 & ゆずのケーキ | トップページ | 「ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ」 »

映画」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。ご覧になったのですね~。
山本益博さんの著作を先に読んで、というのは正解ですね。
映画だけではこれって料理?と思わなくもありません。
化学実験で作り出したモダンアートのようですものね。
昨年「エル・ムンド」で紹介していた「cook it raw」にエル・ブリのオーナーシェフ フェラン・アドリア氏の弟さんがスペイン代表シェフとして参加していて、「これまでの料理に疲れた。これからは自分の好きな料理を」と言っておられて、今まで大変だったんだね~と、この映画を見ていたので妙に納得してしまいました。

でもやっぱり、味わってみたいですよね~。

投稿: ryoko | 2012年1月10日 (火) 15時06分

エル・ブリはお料理に詳しくない、私でも流石に聞いたことがあります。
ドキュメンタリーになっていたんですね。
食べてみたいですが、それよりも私の場合、撮ってみたいですね。
ドキュメンタリを写真として^^

投稿: イザワ | 2012年1月11日 (水) 02時54分

☆ ryokoさま ☆
エル・ブリの秘密、おもしろかったです♪
エル・ブリのお料理、見ただけでは全くお味の想像がつかないので
山本益博さんの本を読んでおいてよかったです。
でも本には写真がついていなかったので(笑)
映画と本とセットで、ようやく少しエル・ブリの世界に近づけました。

アドリア氏の弟さんが、TVに出ていらしたのですね。
たしかにこういう化学反応?!みたいなお料理ばかり作っていたら
疲れるでしょうね…。
でもどんなお味か、気になりますね☆

投稿: ☆ ryokoさま ☆ | 2012年1月11日 (水) 11時41分

☆ イザワさま ☆
エル・ブリ、やっぱり有名なんですね…。
私はこの映画で知ったのですが、とても興味深かったです。
世界的な日本食ブームや、泡を使ったお料理など
ひょっとしたらアドリア氏が火付け役だったのかな?
なんて思いました。

エル・ブリではお料理もデータ化していて、
映画撮影中も、記録写真をたくさん撮られていましたよ。
おいしそう…というよりは、おもしろいお料理でした。
被写体として見ても、魅力的ですね☆

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2012年1月11日 (水) 11時48分

セレンさんこんにちは☆
観られたのですね〜。
セレンさんの感想にあった『好奇心を刺激するお料理』とは、私も本当にその通りで、食の形への追求や研究、発想に驚かされ、美味しそうというより食べてみたいと思いました。
私も理系の研究者の端くれですが、スペインはバルセロナの開発アトリエは、本当に実験室のようで、ついついニヤリとしてしまいました。
山本益博さんの著作があったのは知りませんでした。
是非そちらも一度読んでみたいと思います。

投稿: アサ | 2012年1月11日 (水) 14時57分

☆ アサさま ☆
アサさん、こんにちは。
エル・ブリの秘密、おもしろかったですね。
ちょっと想像とは違うお料理でしたが
おいしそう…というよりは、おもしろくて
食べてみたくなりました。
ところでアサさんは、理系でいらしたのですね!
私も実験系ではないのですが、専攻は数学なので
エル・ブリの科学的アプローチに親しみを感じました。
山本益博さんの本は偶然見つけたのですが、
ちょうど映画を見る前だったので、参考になりました。
どんなお味か、より想像をふくらませることができましたよ。

投稿: ☆ アサさま ☆ | 2012年1月12日 (木) 14時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1151970/43662113

この記事へのトラックバック一覧です: 「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」:

» エル・ブリの秘密  世界一予約のとれないレストラン  [映画の話でコーヒーブレイク]
銀座4丁目和光の裏にある映画館「シネスイッチ銀座」に、久しぶりに行ってきました。。 あの日、3月11日「神々の男たち」を見ようと、レディースデイが金曜日のシネスイッチに向かう途中 震災に遭遇しました。 あれ以来、軽いトラウマというか、なかなか足が向かず、...... [続きを読む]

受信: 2012年1月10日 (火) 15時08分

» 『エル・ブリの秘密/世界一予約のとれないレストラン』(2011) [【徒然なるままに・・・】]
スペインはカタルーニャ地方にある三つ星レストラン「エル・ブリ」の一年に密着したドキュメンタリー映画です。 このレストランは半年営業して半年お休みというスケジュールを組んでいるらしいのですが、そのお休みに入るところから映画は始まります。拠点をバルセロナの街中に移し、これから半年かけて次シーズンのメニューを考えるのですが、これが料理というよりも実験の如し。オーナー・シェフを中心にメインのスタッフたちが、まずは当たり前のものではない、お客に驚きをもたらすメニューを考案して行きます。 この作業がまあ... [続きを読む]

受信: 2013年2月 1日 (金) 22時29分

« 七草がゆ 2012 & ゆずのケーキ | トップページ | 「ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ」 »