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「ヤコブへの手紙」

DVDで、フィンランド映画の「ヤコブへの手紙」(Postia Pappi Jaakbille / Letters to Father Jaakob)を見ました。主な登場人物はわずか3人、フィンランドの田舎を舞台にした小さな作品ながら、見終わった後になんともいえない豊かな気持ちに包まれました。

  Jacob1

登場人物は、盲目の牧師ヤコブ、恩赦によって12年ぶりに刑務所から釈放されたレイラ、ヤコブに手紙を届ける郵便配達夫の3人ですが、ほとんどヤコブとレイラの二人劇といってよく、舞台作品のような味わいがありました。フィンランドのはかなげな陽射しが作り出す、柔らかい色彩と陰影が印象的でした。

刑務所を出たレイラは身寄りなく、気が進まないままにヤコブの家で住み込みで働くことになります。しかたなしにやってきたレイラを、温厚な笑顔で迎えるヤコブ。しかし長年の刑務所暮らしで心がかさついているレイラは、とまどい、あからさまに無愛想な態度をみせるのでした。

レイラの仕事は、盲目のヤコブに代わって手紙を読み、それに返事を書く…というもの。郵便配達夫によって毎日届けられる手紙は、たわいないものから、深刻な悩みまでさまざまでしたが、ヤコブはそのどれにも聖書のことばとともにていねいな返事を書き送り、祈りを捧げるのでした。

しかしレイラにとっては、そうしたヤコブの行いも、偽善であり、自己満足にしか見えません。投げやりな彼女は、手紙を勝手に捨ててしまったり、送り主の名前を教えなかったりすることも。そうしているうち、ある日を境になぜか、ヤコブ宛のの手紙がぷつりと届かなくなります。

最初のうちは「そんな日もある」と笑っていたものの、来る日も来る日も手紙は届かず、ヤコブはすっかり意気消沈してしまいます。「もう誰も私を必要とはしていないのだ…。」 しかし絶望の中で、ヤコブはようやく気づくのです。人のために祈ることによって、逆に自分が生かされていたのだ、ということを…。

Jacob2

その後もあいかわらず手紙は届かず… ヤコブを見かねて郵便配達夫から手紙を受け取った風を装ったレイラは、語り始めます。それはレイラからヤコブへの告白の手紙でした…。

ヤコブを通じて神様から大きな愛を受け取ったレイラ。それはヤコブにとっても、人生最後にふさわしい、大きな大きな贈り物でした。

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映画」カテゴリの記事

コメント

今晩は。

この作品、知りませんでした~。北欧の作品なのですね。
フィンランドっていうとムーミンの国・・っていうくらいの知識しかありませんでしたが、ニューズウィークの「世界のベストカントリー」特集で1位になってたので、ちょっと気になっていた国でした。clover

こういう時、映画は、その国の言葉、雰囲気、人情の機微や、お国柄なんかがわかるのでとっても良いんですよね。

ストーリーを読ませていただいて、しみじみとした雰囲気が伝わってくる様でした。
機会があったら是非見てみたいです。happy01

投稿: ごみつ | 2012年1月27日 (金) 23時51分

☆ ごみつさま ☆
おはようございます♪
この映画、気になっていてDVDになったら見ようと思いつつ
今になってしまいました。
フィンランドの映画を見たのは、たぶん初めてかな…?
小さいながらも、とても心に残る作品でした。かなり好みです!
書きながら思い出して、また涙があふれてしまいましたが
ちょっとネタばれしすぎたかも…(反省)

そういえば、昨日久しぶりにTSUTAYAのお店に行ったら
新作・準新作で、知らなかった作品が結構あって
びっくりしました。興味のある作品もいろいろあったので
少しずつ見ていきたいです☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年1月28日 (土) 08時21分

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» ヤコブへの手紙 Postia Pappi Jaakobille [映画の話でコーヒーブレイク]
「クレアモントホテル」との2本立てで見ました。 たった3人しか登場しない、言葉少ない静かなフィンランド映画です。 この2本立て、どちらもお勧めの心に残る作品です。    ***  *****************              ヤ コ ブ...... [続きを読む]

受信: 2012年2月 1日 (水) 13時53分

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