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「君を想って海をゆく」

DVDで、クルド難民の若者とフランス人水泳コーチとの心の交流を描いたフランス映画、「君を想って海をゆく」(Welcome)を見ました。移民の若者と出会ったことで心を動かされ、少しずつ変わっていく年配の男性の物語に、以前見た「扉をたたく人」を思い出しましたが、少しテイストの似た私好みの作品でした。

「扉をたたく人」はニューヨークが舞台でしたが、この作品はドーバー海峡に面したフランスのカレという港町が舞台となっています。クルド難民やフランスの移民事情について初めて知ることも多く、興味深く見ました。切ないエンディングながら、静かに心に響く作品でした。

  Welcome

フランスのカレは、対岸のイギリスのドーバーと航路やトンネルで結ばれている港町。フランスとはいえ英語を話す住民も多く、イギリスに一番近い国境の町ということが映像から伝わってきました。港にはイギリスへの密入国をねらい、多くの難民が路上生活しています。

その中にクルド難民の若者、ビラルの姿がありました。彼は、家族とともにロンドンに移住した恋人に会うために、母国イラクからはるばる4000km歩いてこの町にたどりつき、ドーバー海峡という最後の難関を目の前にしているところでした。

最初は仲間とともにトラックの荷台にもぐり込んだものの、すぐに見つかり連れ戻されてしまったビラル。そして彼は無謀にも、泳いでドーバー海峡を渡ることを決意します…。

Welcome_2

ビラルは、町のプールで水泳コーチをしているシモンに2回だけレッスンを受け、その後は黙々とひとりで練習を続けていました。ビラルの計画を察したシモンは、真冬の海を10時間泳いで渡るのは無理だと忠告しますが、ビラルは聞く耳を持ちません。彼の心にあるのは、ただ恋人に会いたい…という若い情熱でした。

妻と離婚調停中のシモンがビラルを応援するようになったのは、最初は、難民支援のボランティアをしている妻の心を取り戻せたら…という淡い期待があったのかもしれません。しかしビラルと接していくうちに、シモンの中で何かが変わっていったのだと思います。

ビラルの、ただ恋人に会いたいというまっすぐな思い、そのためには命さえ惜しまない無鉄砲な情熱、そして将来への夢…。それらが、シモンが忘れかけていた何かに火をつけ、この若者の願いをかなえてあげたい、という父親のような思いに駆り立てたのかもしれません。

中東の政情不安などによって発生する難民は、ヨーロッパ諸国にとって深刻な問題となっていて、センチメンタルな感情だけでは解決しない… とわかってはいるけれど、この小さな物語にぽっと心が温まるのを感じました。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんばんは~。cherry

この作品、はじめて知りました。
最近は小粒でも良質の作品が、ひっそりと公開される事が多いですよね。
私もDVDの予告映像で初めて知る作品がとても多いです。eye

この作品も、人間ドラマとしてとても良さそうだし、背景に描かれる社会問題なんかも考えさせられますね。

世の中はいつの時代も問題だらけで、これからも決してなくなりませんよね。だからこそ、こういう人間(個人としての)のドラマを作品化する事が大切なんだと思います。

ビラルはドーバーを渡りきれたのかしら?wave

投稿: ごみつ | 2012年2月 4日 (土) 01時38分

☆ ごみつさま ☆
おはようございます♪
この作品、先日TSUTAYAのお店で見つけたのですが
静かな味わいのあるよい作品でした。
邦題はラブストーリー風ですが、ヨーロッパにおける
難民事情についていろいろ知ることができましたし
また考えさせられました。
人間ドラマとしても深い作品でしたよ。

ビラルは結局渡りきれなかったのでよね…
哀しい結末ではありますが、そこにまた余韻を感じました。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年2月 4日 (土) 08時13分

こんばんは。
この映画良かったですよね。
2010年のベスト10に入れました。

グローバル化が進む中、ヨーロッパは難民・移民の流入にかなり頭を悩ませているようですね。
受け入れ云々より、その地・その国で難民にならなくてもよい態勢が整えられるのが理想ですが、宗教や人種がからみ難しい問題です。

結果はどうあれ、誰かと関わることで人は行動し変わることができるんだなぁと感じました。

投稿: ryoko | 2012年2月 8日 (水) 22時29分

☆ ryokoさま ☆
こんにちは♪
この作品、ryokoさんもご覧になったのですね!
いろいろ問題があって、考えさせながらも
心にふっと温かい空気が入り込むような、いい作品でしたね。

難民を支援したいという気持ちはやまやまでも
自国の社会問題、経済問題にも関わってくるので
なかなか難しいですね。
日本にいるとわかりにくいですが、欧州は地続きだけに
影響を受けやすく、深刻なのだと思います。

それでもビラルとシモンのような心のつながりに触れると
ちょっとほっとしますね。

投稿: ☆ ryokoさま ☆ | 2012年2月 9日 (木) 13時46分

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先日2010年を振り返って、好きな映画10本を選び本作も入れましたがタイトルが間違っておりました。 「君を想って海をわたる」ではなく「君を想って海をゆく」でした。 正月早々の大チョンボ、rose_chocolatさんからご指摘いただき修正いたしました この映画のストー...... [続きを読む]

受信: 2012年2月 8日 (水) 22時22分

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