「ヒューゴの不思議な発明」
マーティン・スコセッシ監督の3Dファンタジー映画、「ヒューゴの不思議な発明」(Hugo)を見に行きました。容赦ない暴力描写が印象強いスコセッシ監督が、12歳の娘さんのために作られた初めてのファンタジー映画、と聞いて気になっていた作品。3Dをみごとに生かした映像表現も楽しみにしていました。
1930年代のパリ。火事で父を亡くしたヒューゴは、駅の時計台にひとり隠れ住んでいました。父が残したからくり人形の謎を探るため修理していたヒューゴは、駅構内にあるおもちゃ屋でたびたび部品を盗んでいましたが、ある日店の主人ジョルジュにつかまり、大切なノートを取り上げられてしまいます。
ノートを取りもどすため、ジョルジュの娘イザベラに近づいたヒューゴは、イザベラがからくり人形を動かすのに必要なハート形の鍵を持っていることに気づきます。からくり人形を修理した二人は、その人形がジョルジュの過去の秘密と深く関わっていることを知ります…。
ひらひらと粉雪が舞うパリの街、人をかきわけ進む駅のプラットフォーム、煙を吐きながら突進してくる蒸気機関車、湯気のたちのぼる焼きたてのクロワッサン…。リアルさを追求するというよりも、映像に魔法をかけたような3D映像が魅力的でした。
特に心惹かれたのが、時計台内部の精巧なる美しさ。もともと機械系と3Dとの相性は抜群ですが、いくつもの歯車が複雑に噛み合い、そこにチ、チ、チ…という時計独特の音が重なると、うっとり酔いしれてしまうほどでした。
ジョルジュが、実は映画草創期の映画監督で、特殊効果を映画に初めて取り入れたジョルジュ・メリエスだった、という真実。ジョルジュ・メリエスを知らなかった私も、はじめて知る映画のはじまりの歴史にわくわくしながら見ました。
”忘れられた存在”と過去を封印していたジョルジュの心の扉を開いたヒューゴとイザベラ。それはスコセッシ監督が、映画の先駆者への敬意を込めて、私たちのために開いた扉でもありました。そしてスコセッシ監督にその扉を開かせたのは、ほかならぬ娘さんの存在だったのかもしれません。
69歳にして新しい世界に果敢にチャレンジされるスコセッシ監督、かっこいいです。
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コメント
今晩は。
わ~、「ヒューゴ」早いですね!
私も次のお休みに映画を・・と思ってるのですが、「戦火の馬」にするか「ヒューゴ」にするか・・と迷っていたところです。
ますます迷っちゃう!(笑)
この作品、最初あんまり関心なかったのですが、映画のオフィシャル本見てみたらかなり面白そうだったのと、評判も上々なのでにわかに気になってたんですよね~。
スコセッシがどんな作品に仕上げてるのか楽しみです。
投稿: ごみつ | 2012年3月12日 (月) 22時23分
セレンさんこんにちは^^
私もごみつ様と同様、「戦火の馬」と「ヒューゴ」で迷っていた所です(笑)。
「キック・アス」からクロエ・グレースちゃんの大ファンでしたが、ここへ来てまた更にチャーミングで、それでいて演技派の彼女の出演する映画とあってとても気になっていました。
スコセッシ監督の映像をセレンさんが絶賛されているので、やはり映画館で観ておきたいところですね〜。
投稿: アサ | 2012年3月13日 (火) 14時31分
☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪
私も先週、「戦火の馬」にしようか「ヒューゴ」にしようか
さんざん迷って、結局先に戦火の馬を見ることにしました。
どちらもすばらしい作品なので、後は好みの問題になるのかな…。
私は「戦火の馬」の方がストーリーが惹かれるものがあって
個人的には気に入りましたが、
ヒューゴはあのスコセッシ監督がファンタジーを!
という驚きがあって、こちらもやはり見てよかったと思いました。
よ~く迷って、ご覧になってくださいね☆
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年3月13日 (火) 18時19分
☆ アサさま ☆
こんにちは♪
アサさんもやはり迷われていましたか。
私もさんざん迷って、結局は戦火の馬の方を先に見てしまいました。
でも、ヒューゴも評判どおり、すてきな作品でしたよ。
クロエちゃんは、ほんとうにチャーミングな女優さんですね。
この作品でも、30年代の古めかしい雰囲気がまたよく似合って、
とってもかわいかったですよ。
ヒューゴ役の子も、ちょっと憂いのあるすてきな男の子でした。
ファンタジックな3D映像というと、やはり劇場で見てみたく
なりますね。
投稿: ☆ アサさま ☆ | 2012年3月13日 (火) 18時33分