« 「コールド マウンテン」 | トップページ | ルバーブのクランブル & アーモンドケーキ »

国立新美術館 「セザンヌ パリとプロヴァンス」展

六本木の国立新美術館で開催されている、「セザンヌ パリとプロヴァンス」展(~6月11日まで)を見に行きました。混雑を覚悟していましたが、雨の日の朝一番に出かけたので、比較的ゆったりとセザンヌの世界を堪能することができました。

Cezanne

今回の展覧会は、セザンヌの作品ばかり約90点を、創作拠点となったパリとプロヴァンス、2つの場所に注目して展示しています。南仏のエクス=アン=プロヴァンスに生まれたセザンヌは、画家としての成功を夢見てパリに出ますが、その後もプロヴァンスとパリを20回以上往復したそうです。

作品は初期から晩年にかけて、風景画、肖像画、静物画…とジャンル別に見て回ることができましたが、各作品のタイトルの下に青かオレンジのラインが引かれていて、どちらの拠点で描かれたものかわかるようになっていました。比較しながら楽しく見ることができました。

Cezanne_6

風景画の展示室の壁は鮮やかな緑で、子どもの頃、絵の具箱に入っていた”ビリジアン”という色を唐突に思い出しました。風景画は油絵ながら、どれも水彩画のような軽やかな色彩とタッチで描かれていて、さんさんと降り注ぐ明るい陽光が感じられました。

私が特に気に入ったのは上の「坂道」という作品。写真ではお伝えしきれませんが、淡い緑と青のコンビネーションが夢のように美しく、家々の屋根がそれに調和してとろけるようでした。絵心のない私も、パステルを持ってどこかにスケッチ旅行に行きたい… そんな衝動に駆られました。

Cezanne_5

セザンヌおなじみのサント=ヴィクトワール山を主題にしたものは、3点展示されていました。私の心を捕らえたのは「トロネの道とサント=ヴィクトワール山」という作品。これも遠景のブルーと近景のグリーンの対比が印象的で、山の堂々たる風格に、気持ちが静まるようでした。

パリとプロヴァンスの違いが一番際立っていたのは、肖像画でした。セザンヌは、パリではコレクターや画商といった支援者たちを描き、プロヴァンスでは家族や農夫、庭師など、より身近な人々を描いていました。

セザンヌは女性モデルと接するのが苦手だったそうで、肖像画では気兼ねのいらない妻をモデルによく描いていたようです。また他には、男性を誘惑する脅威の存在としての女性を描いた作品もあって、セザンヌの内気な一面に触れたような気がしました。

Cezanne_2

肖像画と違い、自分で対象を自由に配列し、構成することのできる静物画は、セザンヌが最も得意とするジャンルだったようです。柄の入った布、果物、壺やカップなどのオブジェ、花などを組み合わせた静物画の数々は、最もセザンヌらしさを感じました。

私はふと、最近流行のフォトスタイリングを思い出しましたが、セザンヌの静物画はまさにその元祖といえるのかもしれません。ポスターにもなっている上の「りんごとオレンジ」という作品は、さりげなさの中に緻密に計算された構成を感じました。

Cezanne_4

こちらの「開いた引出しのある静物」は、何気ない日常の一こまのような構図に惹かれました。ナチュラルウッドのコンソールが南仏らしい素朴な雰囲気です。

Cezanne_7

最後のコーナーでは、サント=ヴィクトワール山が一望できるレ・ローヴの丘に建てられたという、セザンヌのアトリエが再現されていました。今回はセザンヌが実際に使っていたパレットや、絵を描く対象として用いた壺やボトルなどのオブジェも展示されていて、セザンヌの世界をより身近に感じることができました。

|

« 「コールド マウンテン」 | トップページ | ルバーブのクランブル & アーモンドケーキ »

美術館・博物館」カテゴリの記事

コメント

今晩は。

雨が降ってて良かったね。(笑)
天気の悪い日はちょっとがんばれば、ゆったりと展覧会を楽しめるからお勧めですよね。sprinkle

セレンディピティさんも書かれてる様に、会場に入ったとたんに目に入ってくる色合いの美しさで、気持ちが高まりますよね。
「セザンヌって有名だけどそれほど好きってワケでも・・」なんて思ってた気持ちがふっとんだ感じでした。

記事で紹介されてる絵もきれいですね~。shine

サント=ヴィクトワール山の絵や、再現されたアトリエなんかを見てると、少しでも絵ごころがあって、大好きな山のそばのアトリエに住んで、絵を描きながら過ごせたら幸せだろうな~なんて思っちゃいました。

私はやっぱり彼が好んだ静物画が一番好きだな~。apple

投稿: ごみつ | 2012年6月 7日 (木) 23時12分

絵画は自分の心のイメージをキャンパスにぶつけられるので
より、個性が重要な気がします。
時代によって、写実や印象的やもてはやされる絵画は違うのでしょうが、
現代になってくれば、どれも素晴らしいですね。
セレンディピティさんが仰っているように、
>水彩画のような軽やかな色彩とタッチ・・・
 という印象は、私も同じです。

暫く美術館で絵画をみていませんが、久々に足を運んでみたくなりました。

投稿: イザワ | 2012年6月 8日 (金) 01時00分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
そうなんです。たまたま行こうと思っていた日が
雨降りだったのでラッキーでした。^^
早めに行ったのも正解でした。

セザンヌ展、よかったですね。
なんとなくよく知っているような気がしていても
実際に目にすると、本物のもつ輝きに圧倒されて
心が洗われました。

静物画もすばらしかったですが
私は今回は、風景画のグリーンとブルーの美しさにも
目を奪われました。

アトリエの雰囲気もすてきでしたね♪

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年6月 8日 (金) 16時49分

☆ イザワさま ☆
時を経てなお輝き続ける作品、どれもすばらしかったです。
アートはまた見る側とのキャッチボールがあって
その時の自分のおかれた状況や時代背景によっても
捉え方が変わってくるような気がします。
今回は風景画のグリーンとブルーの美しさや
静物画の緻密な構成が特に心に残りました。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2012年6月 8日 (金) 16時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1151970/45563865

この記事へのトラックバック一覧です: 国立新美術館 「セザンヌ パリとプロヴァンス」展:

» ゴールデン・ウィークの展覧会 [ごみつ通信]
今年のゴールデン・ウィークは3日お休みをもらえたので、チケットをいただいていた展 [続きを読む]

受信: 2012年6月 7日 (木) 22時14分

« 「コールド マウンテン」 | トップページ | ルバーブのクランブル & アーモンドケーキ »