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「コールド マウンテン」

DVDで、アンソニー・ミンゲラ監督、ニコール・キッドマン&ジュード・ロウ主演の映画、「コールド マウンテン」(Cold Mountain)を見ました。原作はチャールズ・フレイジャーの同名のベストセラー小説。アメリカ南北戦争を背景にした壮大なラブストーリーです。

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南北戦争末期。南軍の兵士として戦い、瀕死の重傷を負って入院したインマン(ジュード・ロウ)は、愛するエイダ(ニコール・キッドマン)のもとにもどるため、脱走することを決意します。それは軍の目を逃れて何百キロも離れた故郷コールドマウンテンをめざして歩く、命がけの逃避行でした。

一方、牧師の父(ドナルド・サザーランド)が亡くなり、生活の糧を失って途方に暮れていたエイダは、女だてらにたくましく生きるルビー(レネー・ゼルウィガー)に助けられながら生きる術を身につけ、ひたすらインマンの帰りを待ち続けていました…。

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南北戦争を題材にした映画といえば「風と共に去りぬ」という名作がありますが、この作品は、南部の山間でつましく生きる人々の姿を通じて、戦争の悲惨さや哀しみ、不条理を描いています。反戦のメッセージとともに、自然のふところの大きさや生命賛歌も感じられる作品でした。

物語は、インマンの逃走劇と、エイダの奮闘ぶりが交互に進行していきます。冒頭のピータースバーグの戦いの凄まじさ。そしてその後のインマンの逃避行はロードムービーとなっていて、そこでのさまざまな出会いに、私は(馬といっしょにするのは失礼ですが)「戦火の馬」を思い出しました。

戦争前のインマンとエイダは恋人とよぶにはあまりに淡い関係だったので、何が二人をここまで結びつけるのか、最初は理解しにくかったのですが、戦争という特殊な状況の中では、お互いの存在が、生き抜くための唯一のよりどころであり、支えとなっていたのかもしれないな、と思いました。

インマンが逃避行の途中で出会う若き戦争未亡人(ナタリー・ポートマン)とのエピソードや、エイダの隣人サリーの家族を襲う悲劇など、二人が関わるさまざまなできごとも、それぞれ印象的で心に刻まれました。

戦争で血を流し合う男たち、そして働き盛りの男たちが全くいなくなってしまった村は無用心で、力仕事や畑仕事もみな女たちがしなくてはなりません。ルビーの「男たちは勝手に(戦争という)雨を降らせておいて、雨が降ると大騒ぎする」ということばが心に沁みました。

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そしてこの作品の魅力はなんといっても、コールドマウンテンの自然の美しさ(撮影はルーマニアで行ったそうですが)、そしてニコール・キッドマンの圧倒的な美しさです。ニコールは今まで見た中でこの作品が一番好き。女性の私もうっとり見とれてしまいました。

ラストはハッピーエンディングではないのですが、美しいコールドマウンテンに再び平和がもどり、戦争を生き抜いた人たちの笑顔があり、新しい命がある…。そんな何気ないシーンが、心に光を灯してくれました。

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映画」カテゴリの記事

コメント

今晩は!

「コールド・マウンテン」見たのがかなり前なので、記憶があいまいでしたが、セレンさんの記事を読みながら記憶が蘇ってきました。

記事でも触れられてる様に、この作品の原作は「風と共に去りぬ」の再来と言われてたみたいです。
たくましく生きる、南部の女性の姿を描いているのが共通点ですよね。

ニコール・キッドマンはこの頃本当にきれいでしたよね~。彼女の作品で、私が一番好きなのは「ムーラン・ルージュ」かな~。一番きれいだ!って思ったのは、映画ではないのですが、シャネルのCMです。shine

最近、整形しちゃったのが(しかも失敗しちゃったんですよね)ホントに残念。誰でも歳はとるのだから、内面の輝きが表情にあらわれる様な女優さんになって欲しいな~。confident

投稿: ごみつ | 2012年6月 7日 (木) 00時31分

戦争の状況下では、きっと普段の精神状態とは
違った特殊な感情になるのでしょうね。
戦争映画を見るたびに戦争を経験していない
世代で良かったと思います。
ただ、世界に目を向けると、常にどこかで戦争が
起きていて、ニュースを見るたびに、どうにか
ならないものかと思っています。。。

投稿: イザワ | 2012年6月 7日 (木) 02時39分

南北戦争はアメリカを語るうえで、きわめて重要な転換点でした。日本では黒人奴隷解放といった視点で語られることが多いのですが、あれは戦争終結の一つの手段に過ぎません。
州ごとの寄り集まりにすぎなかったアメリカが、統一的な政府としての変身を遂げた契機であり、北部と南部の経済統合の名のもとに南部強奪が行われ、工業国家としての再スタートを切る契機なった戦争でもありました。
そして今もなお残るアメリカ国内の分断問題の出発点であり、プアーホワイトと黒人との憎悪の連鎖反応を引き起こす基盤でもあります。
そして、日露戦争と並んで工業化された近代兵器の実験場でもあり、後の大量殺りく兵器の出発点でもある戦争でした。
「風と共に去りぬ」など文学的名作を生み出したのは、理想と現実の断崖を生み出したのが、南北戦争そのものであったことの証しだと考えています。何時の時代でも庶民は、戦争に踏みにじられ、奪われ痛めつけられるものです。そこから、どう立ち上がったのか。そこにこそ人としての真価が問われるのだと思います。
映画は数年前にVDでレンタルした記憶があります。複雑な気持ちでエンディングを観ていたことが、妙に記憶に残る作品でしたね。

投稿: ヌマンタ | 2012年6月 7日 (木) 12時41分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
ごみつさんもご覧になったのですね。
人間ドラマとしても深い作品で、私はとても気に入りました。
公開された時は、「21世紀の風と共に去りぬ」と言われていた
ようですが、アトランタのような都会ではなく、山間部を
舞台にしているところが新鮮でした。

ムーラン・ルージュのニコールもきれいでしたね。
シャネルのCMのニコールは、以前ごみつさんに教えていただいて
映像を見ましたが、これも美しかった!
コールド・マウンテンでは、美しさのみならず、
ニコールのいろいろな魅力を発見しました。

最近のことは知りませんでしたが、もともときれいな方なので
いい年の重ね方をして欲しいですね…。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年6月 7日 (木) 15時48分

☆ イザワさま ☆
戦争はいつの世にも悲劇を生みますね。
戦場に行く兵士たちも命がけですが
残される者たちにとってもまた日々が戦いになるのだと思います。
勝っても負けても、決して幸せにはならないとわかっているのに…
理想だけでは進まないのが人間の愚かさなのでしょうね。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2012年6月 7日 (木) 16時09分

☆ ヌマンタさま ☆
ヌマンタさんも、この作品をご覧になったのですね。
「風と共に去りぬ」のスカーレットのように、大きなお屋敷や農園を維持するために、黒人が必要というのでしたらわかるのですが、「コールドマウンテン」の舞台となった山間部で、自給自足のような生活をしている人たちが、なぜ南北戦争に喜び加担していったのか… 実は映画を見て、そこが一番疑問でした。
南部と北部とでは、そもそもの成り立ちから、
大きな隔たりがあったのでしょうね。
戦争は戦う兵士だけでなく、残された者たちにとっても
また悲劇なのだ… と改めて思いました。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2012年6月 7日 (木) 16時50分

こんにちは。「コールドマウンテンの自然の美しさとニコール・キッドマンの圧倒的な美しさ」、同感です! ただいま原作本を読んでいます。「高い山の頂は天国と接している。コールドマウンテンがその場所だ」というチェロキーインディアンの話しがとても印象的でした。インマン達がコールドマウンテンに強い思いをは馳せていた理由が、少しわかったような気がしました。

投稿: ETCマンツーマン英会話 | 2012年11月25日 (日) 01時42分

☆ ETCマンツーマン英会話さま ☆
こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

ETCさまは今、原作を読まれているのですね。
コールドマウンテンは、アパラチア山脈にあるという設定の
架空の地名ですが、
東部の山々は水が豊富なので、深々とした森が広がり
ほんとうに美しいんですよね…。
(アメリカに住んでいた頃、この辺りを旅したことがあります。)

>高い山の頂は天国と接している。
すばらしい表現ですね!
私もいつか原作を読んでみたいです。

投稿: ☆ ETCマンツーマン英会話さま ☆ | 2012年11月25日 (日) 10時24分

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