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2012年10月

「麦の穂をゆらす風」

ケン・ローチ監督、キリアン・マーフィー主演の歴史ドラマ、「麦の穂をゆらす風」(The Wind That Shakes the Barley)を見ました。アイルランド独立戦争とその後に続く内戦を、ある兄弟を引き裂く悲劇によって描いた作品。2006年カンヌ国際映画祭のパルム・ドール(最高賞)受賞作です。

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1920年、アイルランド南部の町コーク。独立運動の高まりの中、英武装警察によって多くの若者が殺されていました。若き医師デミアン(キリアン・マーフィ)はロンドンの病院で働くことが決まっていましたが、仲間の少年の死や、駅での理不尽な暴力を目の当たりにし、この地に残って独立運動に加わる決心をします。

兄テディや仲間たちとともにゲリラ活動を続けるデミアン。翌1921年には、イギリスとの間に停戦合意が結ばれますが、条約は「英国王への忠誠を誓う」など完全な独立とはいえないものでした。アイルランド内でも賛否が分かれ、やがてそれは両者の泥沼の対立となっていきます…。

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映画は、英武装警察に名前を問われ、英名ではなく頑なにアイルランド名を名乗った、ただそれだけのために17歳の少年が殺されてしまう衝撃的な場面から始まります。少年のお葬式で歌われたのが、表題の「麦の穂をゆらす風」という歌。イギリス支配への抵抗を歌う、アイルランドを代表する伝統歌だそうです。

映画の前半では英警察による理不尽な横暴がこれでもかと描かれ、当初は距離をおいていたデミアンが、止むに止まれぬ思いから独立運動へと身を投じていく姿を追っていきます。そしてデミアンは、英警察に密告した知り合いの少年に銃を向けた時、自分が一線を越えてしまったことを知るのです。

ようやくアイルランドが独立を勝ち得たのもつかの間、イギリスとの間に結ばれた条約をめぐって、仲間の間で激しい議論が交わされます。とりあえず条約を受け入れ、時間をかかけて改正していけばいいという兄テディに対し、デミアンはそれでは今までと何ら変わらない、最後まで戦うべきだと主張します。

めざすゴールは同じなのに、どうして愛する者同士が殺し合わなければならないのか? ここは、平和の中に生きる私には、どうしても理解し得ない部分でした。何のために戦っているのか、その目的さえも見失っているように思えてなりませんでした。

背景となるアイルランドの美しい自然。特にアイルランドのシンボルカラーでもある深々とした緑が印象的でしたが、それだけに戦いの痛ましさが心に刻まれました。

舞台となったコーク出身だというキリアン・マーフィの悲しみと苦悩に満ちた魂の演技がすばらしい。そしてイギリス人でありながら、この作品を作られたケン・ローチ監督の勇気に感謝したいです。

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田園調布 DELI&CAFE 5 ~ TWGのルイボスティー

田園調布駅のロータリーにあるカフェ、「DELI&CAFE 5」で早めのお昼を楽しみました。この日はこの後用事があったので、11時から開いているのが好都合でした。

無垢の木を生かした素朴なインテリアは、高原のコテージといった雰囲気。温かい&冷たいお惣菜が何十種類もショウケースに並んでいて、どれもおいしそうです。お天気のよい暖かい日だったので、外のテラス席で、好きなお惣菜3種類が選べるランチに、パニーニとコーヒーをいただきました。

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私は野菜のキッシュ、レンコンのはさみ揚げ、タコとセロリのマリネの3種をいただきました。こちらのお惣菜は、私もよく作るタイプのお料理が多く、ちょっとしたところが参考になりました。味付けは少ししっかり目についていましたが、どれもほっとする味わいでおいしかったです。

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こちらはカニクリームコロッケ、ナスのミートグラタン、海老とアボカドのサラダの3種。

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テラス席から駅方面の眺め。この日は雲ひとつないいいお天気でした。田園調布駅の周りはあまり開発されていなくて、静かなのがほっとします。

帰りは自由が丘のTWG Teaで、ルイボスティーを買って帰りました。TWGはシンガポールの老舗の紅茶屋さん。アンティークウッドの店内に大きな紅茶缶がずらりと並んだ重厚な雰囲気と、バリエーション豊かなお茶がお気に入りです。

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ルイボスティーについては以前にも記事にしていますが(コチラ)、カフェインフリーでいろいろなフレーバーが楽しめるのが気に入っています。暑い間は冷たいお茶やミネラルウォーターを飲むことが多かったのですが、ここのところ寒くなって、温かいお茶を入れることが増えました。

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今回買ったのは、Red Christmas Teaというルイボスティーです。クリスマスにはまだ早いですが、柑橘系の果物とスパイスの香りが豊かで、今の気分に合いました。体も心もほっと温まります。

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雑貨屋さんもそろそろクリスマスのディスプレイが始まっています。わくわくする一方、わけもなくそわそわしてきます。><

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「ディファイアンス」

ダニエル・クレイグ主演の歴史ドラマ、「ディファイアンス」(Defiance)を見ました。ナチスドイツ政権下の1941年、ベラルーシで1200人のユダヤ人を率い救ったビエルスキ兄弟を描いた、実話に基づく物語です。監督は「ブラッド・ダイヤモンド」のエドワード・ズウィック。2008年の作品です。

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第2次世界大戦時の1941年。ポーランドに侵攻したナチスドイツによって両親を殺されたユダヤ人のトゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)、アーロンのビエルスキ兄弟は、隣接するソ連領ベラルーシの森へと逃げ込みます。

やがて森には、ほかにもドイツ軍の迫害から逃れたユダヤ人たちが次々とやってくるようになり、トゥヴィアはリーダーとして、一大コミュニティをまとめる立場となります。彼らは生き延びるため、森の中に安全な隠れ場所を求め、食料を調達し、時に武装して戦います…。

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ビエルスキ・パルチザン(武装集団)のことは、この映画で初めて知りました。ナチスドイツ政権下のユダヤ人というと、虐げられ、ひたすら耐え忍ぶ姿が描かれることが多いですが、反撃し、戦うことで生き延びた集団がいた、という事実に驚きました。

それにしても、身ひとつで、命からがら森に逃げ込んだ人々が、一から生活していく、ということがどれほどたいへんなことか。彼らは時に(ドイツ軍に味方したという理由で)ポーランド人たちを襲って食料や武器を手に入れることもあったため、全てに賞賛される存在ではなかったようです。

また、同じユダヤ人とはいえ、いろいろな背景・考えをもつ人々を、ひとつに束ねていくことがいかに難しいか。こうしたシンプルな社会においては、インテリもお金持ちもあまり関係ない。ほんとうの意味で賢く、強い人間でなければ、とてもリーダーは務まらないと思いました。

飢えや寒さに耐え、肉体的、精神的に追い詰められた人々は、時に問題行動を起こし、リーダーに不満の矛先を向けることも…。しかし集団においては、リーダーには独裁的な部分もある程度必要なのだと思います。決断すべきときに決断し、その都度危機を乗り越えていくトゥヴィアの強力なリーダーシップが鮮やかでした。

ラストのドイツ軍との戦闘の場面は実際にはなかったそうですが、エンターテイメントとしてこのくらいの脚色はあってもいいかな?と思いました。このときの兄弟愛に心を揺さぶられ、大きな感動をもってフィナーレを迎えることができたのですから…。

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全体的に彩りが少ない中、三男アザエルとハイア(ミア・ワシコウスカ)の粉雪の舞い散る森の中での結婚式のシーンが美しく、印象的でした。この二人は「ジェーン・エア」でも共演していますが、お似合いだなーと思います。

それから、リーダーからの絶対に妊娠してはいけないという命令にもかかわらず、ある女性がやむを得ない理由で赤ちゃんを産みますが、それが結果的にはキャンプの人々の希望となるのも感慨深かったです。

「生きること」へのメッセージが伝わってくる作品。007とはひと味違う、男くさいダニエル・クレイグがまた、魅力的でした。

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フレッシュプルーンのタタン風ケーキ

今の季節だけ手に入る生のプルーン。どうやって食べようかな?と思いつつ、とりあえず買ってみました。

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見た目は大きめのぶどうといった感じですが、プラム(すもも)の仲間です。表面がブルーベリーのように粉をふいていますが、これはブルームとよばれるすもも類の特徴なのだそうです。

少し前にいただいたプルーンのタルトがおいしかったので、タルトを作ろうかな?と思いつつ… タルトタタン風のケーキを作ってみることにしました。

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(左)半分に割って、種を取り除き… (右)バターを溶かして、薄く色づくまでソテーします。これだけでもおいしそう。^^

下準備をした型の底面にソテーしたプルーンを敷き、紅茶の茶葉を混ぜたバターケーキの生地を上にのせて焼きました。焼きあがったらワイヤーラックにひっくり返し、冷まします。

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できあがりの想像がつかなかったので、ひっくり返すまでがどきどきでしたが… 皮から色が溶け出して、思いがけず全体にボルドーのような秋らしい色になりました。落ち葉を敷き詰めた、秋の散歩道のよう??

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紅茶風味のバターケーキが、甘酸っぱいプルーンによく合い、おいしくいただきました。紅茶は香りのよいアールグレイを使用。ティーバッグだと茶葉が細かく、そのまま使えます。

作ってから調べましたら、生のプルーンはそのまま食べてよし。少し酸味の強いものは、ジャムやコンポートにするとよいそうです。また、バターケーキの生地に混ぜ込んで焼いたお菓子や、タルトなどが紹介されていました。

生のプルーンの季節はそろそろ終わりですが、今度見つけたらジャムを作ってみようと思います。

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【 おまけ 】 タルトタタンは大好きなのでよく作るお菓子。これは少し前に作った定番のりんごを使ったタルトタタンです。キャラメリゼしたりんごにアーモンド生地とタルト生地を重ね、スクエア型で焼きました。秋の実りの味を楽しみました。

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「エージェント・マロリー」

スティーヴン・ソダーバーグ監督が、全米女子総合格闘技界のスター ジーナ・カラーノを主演におくるスパイアクション、「エージェント・マロリー」(Haywire)を見ました。マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、アントニオ・バンデラス、チャニング・テイタムなど、錚々たる俳優たちがみごとにやっつけられます。^^

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並外れた戦闘能力と、知性と美貌を兼ね備えたマロリー・ケイン(ジーナ・カラーノ)は、世界を舞台に活躍する凄腕スパイ。しかしバルセロナでの人質救出ミッションを成功させた後、新たな依頼を受けてダブリンへと向かうと、殺人犯に仕立てられた上、命を狙われることに…。

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スタントも、CGもワイヤーアクションも使っていないという、ジーナ・カラーノの生身のアクションが大迫力。ストーリーはあるような、ないような…^^ ドラマとしては正直少々物足りなかったものの、かっこいいジーナを存分に堪能しました。

この作品を見て、私たちが通常アクション映画として見ていたのは実は銃撃戦だったんだな、と気づかされました。体と体がぶつかりあう戦いが、目に新鮮に映りました。大の男たちがジーナに技をかけられて、もがき苦しんでいるのがかわいそう… でも小気味いい。^^

特殊効果を使わず、リアルファイトにこだわって作られたことで、映画としては逆にスピード感が欠けて見えてしまう…という皮肉な一面はありましたが、ソダーバーグ監督の遊び心とチャレンジ精神が感じられましたし、共演した俳優さんたちもきっと楽しかっただろうなーというのが伝わってきました。

ジーナ・カラーノの鍛え抜かれた筋肉質のボディと、健康的な笑顔が美しく、とっても魅力的でした。今後いくつか、アクション映画への出演が予定されているそうで、女優としてのこれからの活躍が楽しみです。

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和紙のブックカバー

ブックカバーに和紙を使っています。もともと和紙は好きですが、普段の生活に取り入れるのは(もったいなくてなかなか使えなかったりして)意外と難しい…。ブックカバーに使うことを思いついてからは、いつも手元に置いて楽しんでいます。

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これは少し前に銀座の鳩居堂さんで買ったもの。選ぶときは、つい華やかな模様に目がいきますが、少し地味な方が持ち歩くにはちょうどいいようです。和紙独特の風合いが手になじみますし、強度があって繰り返し使えるのもうれしいです。

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本の大きさに合わせて、フレキシブルに対応できるのも和紙ならでは。使っているうちに折り目のところはだんだん擦れてきますが、折る場所をずらして長く使っています。擦れたところも何ともいえない味わいがあって好きです。最後に擦り切れてぼろぼろになるまで使います。^^

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これは以前、谷中のいせ辰さんで買ったもの。こちらもかわいい。和紙のお店が好きで、近くに出かけた折にはよく立ち寄ります。お気に入りのお店をリストアップしておきますね。

clover 銀座 鳩居堂
clover 日本橋 はいばら (記事はコチラ
clover 谷中 いせ辰 (記事はコチラ
clover 浅草 黒田屋 (記事はコチラ

和紙だけでなく、レターセットや一筆箋、カードなどを見るのも好きです。場所柄、便利な鳩居堂さんに行くことが多いですが、クリスマスカードも手頃なものがたくさんあります。

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【 おまけ 】 お懐紙も好きで、季節のものと季節を問わずに使えるもの、白い無地のもの…といくつか取り揃えています。和菓子はもちろん、洋菓子にも、天ぷらなどの揚げ物にも便利。

写真は、「遊 中川」さんのものですが、柄の種類がいろいろあってお気に入りのお店です。かさばらないので、小さな贈り物にもぴったり。写真は小花模様と、先日買った秋らしいうさぎと石榴の模様です。

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アーナルデュル・インドリダソン 「湿地」

書評を見ておもしろそうだったので、アーナルデュル・インドリダソンの「湿地」(Mýrin / Tainted Blood / Jar City)を読んでみました。ここ数年、S・ラーソンの「ミレニアム」をはじめ北欧ミステリーが注目されていますが、この作品はアイスランド発の警察小説。世界40ヶ国で出版されているベストセラーです。

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アイスランドときいて思い出すのは、80年代に聴いたメゾフォルテというフュージョンバンド。映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」に主演した歌姫ビョーク。それから映画「プロメテウス」の冒頭に登場したヨーロッパの最大瀑布、デティフォスという滝…。

数年前に金融危機で銀行が破綻したことや、火山が噴火して欧州航空線が大混乱したこと…。思いつくままに書いてみましたが、それでも極北にある小さな火山島は、私にとってはイメージしにくい遠い国。どんなお話か興味がありました。

事件は、首都レイキャヴィクのノルデュルミリ(北の湿地)という地区にある古いアパートで起こりました。年老いた男性が灰皿で殴り殺され、犯人は何も取らずに、ドアを開け放したまま逃げ去ったのです。

最初は場当たり的な犯罪と思われましたが、部屋には3語の謎のメッセージが残されており、後の捜査で部屋の中から4歳で亡くなった女の子の墓の写真が見つかります。ベテラン捜査官のエーレンデュルは、これは普通の犯罪ではないと確信し、殺された男の過去を調べていきますが…。

一見ありがちな登場人物のキャラクター設定とストーリーと思いきや、読んでいくうちにアイスランドという国の特殊な事情が少しずつ見えてきて、興味深かったです。

まずは、アイスランドが最果てにある人口30万人ほどの単一民族の孤島であるということ。人の出入は少なく、遡ればどこかで誰かと血のつながりがあるのだとか。国民全員が家族のようなもので、苗字はなく、ファーストネームで呼び合う、というのも納得です。

また、それゆえに、アイスランドではDNAや遺伝に関する研究が盛んなのだそうです。小説では、国の研究所で国民全員のDNA情報が管理されている、という設定になっていました…。

それから、雨が多いということも初めて知りました。全編にわたって降り続く雨や、湿地に建てられた古い家が長い年月をかけて沈みゆく描写からは、常に厚い雲が垂れ込めているような、なんとも陰鬱な情景が浮かびあがってきます。

ベテラン捜査官エーレンデュルの抱える家族の問題は深刻ですし、事件の展開もなかなかにどろどろしています。にもかかわらずそれほど重苦しくなく、意外と読みやすく感じたのは、遠い国に対する好奇心のなせるわざかもしれません。

本国アイスランドで映画化され、米ルイジアナを舞台にリメイクも予定されているそうですが… リメイク版は原作とはかなりイメージが違ったものになりそうな気がします。^^

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劇団四季 「美女と野獣」

劇団四季のミュージカル、「美女と野獣」を見に行きました。場所は、2010年に大井町にオープンした専用劇場、「四季劇場 夏」です。

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「美女と野獣」はニューヨークのブロードウェイで見ていますが、どのナンバーも大好き。特にお城のフルキャストが歌う「Be Our Guest」の場面は華やかで楽しくて、印象深く覚えています。劇団四季の舞台を見るのは初めてなので、楽しみにしていました。

おなじみのナンバーが日本語の歌詞になっているので、最初は少々違和感がありましたが、演じる俳優さんたちがそれぞれ魅力的で、自然と物語の世界に入ることができました。

わがままで思いやりがないために魔女によって野獣の姿に変えられてしまった王子が、物語の世界が好きで好奇心旺盛な娘ベルと心を通い合わせていくうちに、人を慈しみ愛する心を知り、本来の王子の姿にもどる…という物語。

発明家の娘で本を読むことが大好きなベルは、村では変わり者と思われていますが、だからこそ人と違う姿をしたビーストの孤独を理解し、心の目で見ようとする姿に心を打たれます。ベルの優しさで、ビーストが少しずつ素直な心を取り戻していくところがすてきです。

ブロードウェイとの違いでいえば、(劇場用の?)花火が何度も使われていて驚きました。酒場でビアマグを息をぴったり合わせて持ち換えるダンスやティーカップの仕掛けなど懐かしく思い出しましたが、ビーストから王子への早変りはまさにマジック。狐につままれました。

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舞台を見た後に、バックステージツアーに参加しました。舞台に上って袖に入り、舞台スタッフさんからいろいろお話をうかがいました。舞台背景の書割は前後に何十層にも天井からぶらさがっていて、それを袖にあるロープで上げ下げするようになっています。全て手動で行っているそうで、よく間違えないなあと感心しました。

モニターやマイクのついたディレクターズデスクや、大道具のセットも間近に見て感動しました。大道具は遠近が極端に強調されていて、横線がかなり斜めになっています。裏側は木がむき出しなので、例えばドアを開け閉めする際に表と裏が全く違うのが、わかってはいても不思議な感覚でした。

その後、3人の舞台俳優さんから貴重なお話もうかがいました。すっかりメイクを落とし、ふだんの服装をされた俳優さんたちから、どうして俳優の道に入ったのか?といった素に迫るお話を目の前でお聞きしているうちに、舞台の上の俳優さんたちがとても身近に感じられました。

ブロードウェイではこういう企画はまずないので、劇団四季はお客様とのコミュニケーションを大切にしているなあと思いました。俳優さんやスタッフさんたちとの距離が近く感じられるので、根強いファンが多いというのも納得しました。

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2k540 AKI-OKA ARTISAN

美術館でお昼をいただいてから、上野公園~アメ横を通って、御徒町駅から線路沿いに南へ。以前、linenさんに教えていただいた「2k540 AKI-OKA ARTISAN」に寄ってみました。JRの高架下、御徒町駅と秋葉原駅のちょうど中間にあります。

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ここは、若い工芸家たちのお店が軒を連ねるアーケード。通路の両側に革製品や木工製品などのアトリエ&ショップがずらりと並んでいます。JRの再開発事業で、2k540とは鉄道用語で東京駅からの距離(2540m)を表しているのだとか。

御徒町界隈はもともと革製品やジュエリーなどの職人さんの町だそうで、新しい感覚の個性豊かなお店が集まっていました。 (右)アクセサリー屋さんのウィンドウディスプレイ

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(左)草木染の洋服や小物を売っていたお店。刺繍してから下の布を溶かして作ったというレーシーなストールがすてきでした。 (右)ミニミニサイズの傘がずらりと並べられたウィンドウディスプレイ

フランスの新聞を加工して作った、一点もののバッグのお店もすてきでした。ある木工製品のお店には、木製のコンピュータキーボードがありました。タイプするとキーの感触が柔らかく、木の温もりを感じました。

一番南にある日本百貨店というお店には、和紙のステイショナリーやてぬぐい、和食器など、全国の選りすぐりの雑貨やおいしいものがいろいろありました。私も少し、お買い物をしましたよ。

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長崎の波佐見焼の器です。奥にあるのは蕎麦猪口ですが、お店の人はコーヒーを入れても合いますよ、とおっしゃっていました。私は小鉢として使おうと思います。白地にシンプルな青い模様は、どんなお料理にも合いそう。6種類くらいある柄から選びました。

手前の小皿は、薬味やお漬物用に。こちらも色と形がいろいろ6種類くらいありました。形がおもしろく、食卓のアクセントになりそうです。

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東京都美術館 「メトロポリタン美術館展」

上野の東京都美術館で開催されている、「メトロポリタン美術館展」(~2013年1月4日まで)を見に行きました。ニューヨークのメトロポリタン美術館(Met)が所蔵する膨大なコレクションから、12分野133点を紹介する本展。初日の午前中に出かけましたが、思ったより人は少なく、ゆっくり見て回ることができました。

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今回のコレクションは、古代から現代、中東・ヨーロッパからアメリカ、絵画・彫刻・工芸品から写真… と時代も場所も手法も多岐にわたっていますが、「自然」をテーマに、大地、空、動物、植物、海…とキーワード毎に分類、展示されているのが、遊び心が感じられて楽しかったです。

たとえば、紀元前エジプトのハヤブサの像と、13世紀フランスのハトの入れ物と、20世紀のティファニーのオウムのステンドグラスが、「鳥」というキーワードでいっしょに展示されている…といった具合。

ミレーの農村風景をキーワードに、3作品が並べてあるのもおもしろい試みでした。

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ミレーと同時代に生きた農村画家ジュール・ブルトンの「草取りをする人々」

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(左)ミレーの「麦穂の山:秋」 (右)ゴッホの「歩き始め、ミレーに拠る」 よちよち歩きの子どもと両親の愛情を描いたすてきな作品

イギリスのソールスベリー大聖堂や、アメリカのヨセミテ渓谷を描いた作品など、旅先の風景を思い出すものもありました

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(左)モネの「マヌポルト(エトルト)」はフランスのノルマンディを描いた作品ですが… 私は(右)沖縄の万座毛を思い出しました。^^

ティファニーのガラス美術や、ハドソンリバー派の絵画などは、ニューヨークにあるMetならではのコレクション。エドワード・ホッパーやジョージア・オキーフなど、アメリカのアーティストの作品もいろいろありました。

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(左)ティファニー「ハイビスカスとオウムの窓」 (右)エドワード・ホッパー「トゥーライツの灯台」 雲を見るとちょうど今頃の季節でしょうか。

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ニューヨークのメトロポリタン美術館については、旧ブログで何度か記事にしているので、リストアップさせていただきますね。

art 19世紀ヨーロッパギャラリーなど
art ルーフガーデン (クーンズ展)
art クロイスターズ (メトロポリタン美術館別館)
restaurant ミュージアムカフェ

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「ボーン・レガシー」

ジェレミー・レナー主演のスパイアクション、「ボーン・レガシー」(The Bourne Legacy)を見ました。「ボーン」三部作に続くスピンオフで、ボーンに代わって新たにアーロン・クロスという暗殺者が登場します。監督は、ボーン三部作で脚本を担当したトニー・ギルロイ。

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CIAの極秘プログラム”アウトカム計画”によって、薬を服用することで強靭な肉体と精神を手に入れた暗殺者、アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)。しかしこの計画が明るみに出ることを恐れたCIAは、計画に関わる全てを抹消することを決め、アーロンは命を狙われます。

一方、薬の研究者たちも抹殺されますが、唯一マルタ・シェアリング博士(レイチェル・ワイズ)だけが逃げ延びます。薬を手に入れるためマルタのもとを訪れたアーロンは、CIAからの執拗な攻撃を逃れ、薬に代わって半永久的に効果が持続するウィルスを求めて、マルタとともにフィリピンのマニラへと向かいます…。

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ジェレミー・レナーもレイチェル・ワイズも大好きなので、楽しみにしていた作品です。前半は、「ボーン」三部作との関連を意識して、CIAの数々の極秘計画が抹消される経緯が延々と続き、少々たいくつでしたが、レイチェル演じるマルタが登場してからは、スピーディな展開でおもしろくなりました。

ジェレミー演じるアーロン・クロスは、決してスマートでかっこよくはないのですが、朴訥とした優しさがあって、そこが魅力的でした。冒頭のアラスカでひとり黙々と訓練している姿は、どこか職人のような雰囲気があって、ジェレミーのイメージによく合っていました。

アーロンとマルタはウィルスを製造しているマニラの研究所へと飛びますが、CIAが本部にいながらにしてありとあらゆる情報を分析し、二人の行方を探し当てていく展開はぞくぞくするおもしろさがありました。

居場所を突き止められるも、二人はぎりぎりのところで研究所から逃げ出しますが、CIAは今度はタイのバンコクに潜伏する工作員を投入。マニラでのバイクによる追跡劇は大迫力で興奮しました。アジアらしいごちゃごちゃした街並に、着地点のわからないアクションシーンが盛り上がりました。

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軽井沢(4) 碓氷峠からめがね橋へ

帰りは碓氷軽井沢ICからではなく、碓氷峠を通ってひとつ先のICから高速に乗ることにしました。ところがこれが、カーブが延々184ヶ所も続く山道。くねくね道をひたすら走ると、標識で「めがね橋」がこの道沿いにあることを知りました。思いがけずに、めがね橋を見て帰ることになりました。

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(左)駐車場からぶらぶら歩き進むと、山の間に突然壮大なれんが造りのアーチ橋が現れます。 (右)歩道の右側は深い谷間。轟々と音をたてて渓流が流れ、見下ろすと足がすくみました。

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めがね橋(碓氷第三橋梁)は、かつての信越本線、横川~軽井沢駅間に架けられた橋のひとつで、イギリスから招聘された技師パウナルの指導で1893年に建造された、国内最大のれんが造りのアーチ橋です。1963年に新線が建設されるまで使われていたそうです。

歴史を感じさせる、重厚で味わい深いアーチ橋。神々しいまでの壮大な姿に圧倒されました。写真の左に見える通路から階段を上り、橋の上に登ってみました。

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(左)橋の上からの眺め。険しい山々をくねくね道が走り、この辺りがいかに難所だったかがうかがえます。信越本線は、碓氷峠のある横川~軽井沢間だけが未開通で、最後にようやくつながったそうです。

(右)橋の上は、かつての線路は取り払われてしまっていますが、今は遊歩道となっていて、このまま横川駅まで歩いて行くことができます。

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橋の上を歩いて、トンネルの中に入ってみました。中は灯りはついているもののほの暗く、幽霊が出てきそう…。遊歩道というより、肝だめしによさそうです。^^

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ふもとから橋を見上げてみました。200万個のれんがを積み上げて作られた橋はがっしりとしてかっこいい。その造形美にうっとりしました。

【 おまけ 】 帰りは横川駅前のおぎのやさんで、名物の”峠の釜めし”を買っていきました。家に着いてから夕ごはんにおいしくいただきました。

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軽井沢(3) 石の教会 内村鑑三記念堂

温泉に入った後、帰るにはまだ少し時間の余裕があったので、近くにある「石の教会 内村鑑三記念堂」を訪れました。トンボの湯から車で5分ほど、星野エリアの高台の森の中にあります。

ここは、明治・大正時代にキリスト教の伝道に生きた思想家、内村鑑三を覚えて建てられた教会です。アメリカの建築家ケンドリック・ケロッグによって設計された、石造りの個性的な建物でした。

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エントランスからは建物は見えません。順路に沿って、こちらの石造りの通路を進みます。形のまちまちな小石をていねいに積み上げて作られた通路は、おとぎの国への入り口のよう。

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間もなく視界が開け、右側の壁から向こうを見ると…

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眼下の少し離れたところに、石の教会が見えました。石の円盤をドミノ倒しのように少しずつずらして重ねたように見える、なんともインパクトのある建物です。

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石造りの通路はやがて森の中の小道に続き、ぐるりと回って教会の裏口へとつながっていました。入り口を入ると、そこは教会の地下室にあたり、内村鑑三の資料室となっていました。

内村鑑三は札幌農学校の第2期生で、新渡戸稲造らとともに学び、洗礼を受けました。その後アメリカに渡りますが、人種の違いによる辛い経験をし、キリスト教国アメリカの理想と現実を知ります。しかしそれで少しも信仰が揺らぐことはなく、祖国日本のすばらしさを再認識するきっかけとなったそうです。

内村鑑三の、信仰は神との内なる対話であり、建物としての教会は必要ない、という無教会主義の考え方は日本独自のものではありますが、私としても共感できました。

内村鑑三は講師として招かれたのがきっかけで、毎夏をここ星野ですごしたそうです。資料室には直筆の書や手紙も展示されていて、その中に「善遊善学」(よく遊びよく学べ)という書がありました。シンプルながら子どもたちへの愛を感じるすてきなことばだなあと思いました。

資料室から階段を上り、礼拝堂に入ります。

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(写真はサイトよりお借りしました)

自然の中に祈りの場があるという理念をもとに、自然界を構成する石・光・緑・水・木の5つの要素を取り入れているそうです。しばらく椅子にすわってみましたが、教会としては造りが斬新すぎて、私には少々落ち着かなかったです…。

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こちらが正面入り口です。教会はホテルに併設され、礼拝ではなく主に結婚式に使われているようです。少々複雑な思いを抱きましたが、建築としてはユニークでおもしろかったです。内村鑑三の資料室は見応えがあり、訪れてよかったと思いました。

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軽井沢(2) ハルニレテラスとトンボの湯

美術館の後は、お昼を食べに中軽井沢のランドマーク、星野エリアにあるハルニレテラスを訪れました。駐車場から湯川に沿って、木立の中の遊歩道を歩きます。

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清流のせせらぎが心地よい…。

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(左)ハルニレテラスは、モダンな温泉街をイメージしたというショップ&レストランエリア。ついのぞいてみたくなる個性的なお店がいろいろありました。 (右)ジェラート屋さんの店先に野菜のマーケットが。

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お昼はベーカリーカフェの沢村さんでいただきました。初秋の柔らかな陽射しの下、テラスに続くオープンスペースでの食事はとても気持ちよかったです。ハンバーガーは最後のひとつで、もうひとつはチキンカツサンドになりましたが、どちらもおいしかったようです。^^

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(左)私は”信州きのこ”ということばに惹かれて、秋鮭のソテーをいただきました。(右)お店の中のアートも楽しい。いただいたパンがおいしかったので、ベーカリーで食事用のパンをいくつか買っていきました。

この後は、雑貨屋さんをのぞきながら再びもときた遊歩道を歩いてもどり、同じ星野エリアにある日帰り温泉、トンボの湯へ向かいました。

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そろそろ紅葉が始まっています…。

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トンボの湯は2002年にできた施設ですが、もともと星野温泉の歴史は古く、昔は草津温泉の仕上げ湯として知られ、北原白秋や与謝野晶子など多くの文人に愛されたそうです。

お風呂は内湯と露天風呂、どちらも広々として開放感がありました。湯温は40℃と少し低めですが、体に負担がかからなくて私にはちょうどよかったです。香りはほとんどなく、すっきりとしたお湯でした。人もそれほど多くなく、ゆっくりくつろげました。

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軽井沢(1) 軽井沢千住博美術館

気持ちよく晴れた秋の一日、日帰りで軽井沢に行ってきました。この日の一番の目的は、昨年(2011年)オープンした「軽井沢千住博美術館」を訪れること。世界で活躍している日本画家、千住博(せんじゅ・ひろし)さんの美術館です。

千住さんの作品は以前旅先の直島で拝見して、日本画に対するイメージが大きく変わりました。建物を設計したのが建築ユニットSANAAの西沢立衛(にしざわ・りゅうえい)さんということもあり、アートと建築のコラボレーションを楽しみにしていました。

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美術館の入り口へのアプローチです。美術館を取り囲むようにカラーリーフガーデンがあり、その美しさに思わず足を止めました。色とりどりの葉の表情の豊かさに心が弾みます。

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展示室は、自然光が降り注ぐ真っ白な空間でした。床は土地の不規則な起伏をそのまま生かしてあり、ゆるやかに傾斜しています。アートの森を散策するように作品を見て回ることができました。

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代表作の「ウォーターフォール」のシリーズから。直島で見た時には、轟音が聞こえてくるような臨場感を感じましたが、今回は同じ臨場感でも、一瞬を切り取ったような静寂の世界を感じました。

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(左)「フラットウォーター」シリーズ。ハワイ島キラウェア火山の裾野に広がる溶岩台地を描いた作品ですが、白い水たまりと黒い溶岩のコントラストのおもしろさに目を奪われました。

(右)「星のふる夜に」という絵本の原画のシリーズ。森を抜け出して街まで散歩する小鹿の物語が、移りゆく風景によって描かれます。降るような星空、夜明けの空、森と湖のシルエットが印象的で、詩情を感じさせる作品群です。

このほか、「デイフォール/ナイトフォール」という作品も圧巻でした。蛍光塗料で描かれた滝が、ブラックライトに照らされて暗闇の中に浮かび上がります。幽玄な美しさに魅せられました。

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美術館のあとは、併設されているギャラリー館を訪れました。ここでは千住博さんが先ごろ発表された源氏物語絵巻の原画が展示されていました。

登場人物ではなく、空や草木を描くことで表現された源氏物語。和紙の質感や岩絵の具のにじみやぼかしを生かした作品群は、伝統とモダンがみごとに調和していて、日本人の心に響きました。

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美術館を上から見たところ。同じ西沢さん(SANAA)が設計された、スイスのロレックス・ラーニングセンターに少し似ています。

(*印の写真は美術館HPよりお借りしました。)

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