「人生の特等席」
クリント・イーストウッド主演の最新作、「人生の特等席」(Trouble with the Curve)を見ました。メジャーリーグの名スカウトとして仕事一筋に生きてきた父と疎遠だった娘が、野球を通じて絆を取り戻していく物語。長年イーストウッドのもとでプロデューサーを務めてきたロバート・ロレンツの監督デビュー作です。

アトランタ・ブレーブスの名スカウトとして腕を振るってきたガス(クリント・イーストウッド)は、年齢による衰えが見え始め、球団幹部からその手腕が疑問視されるようになっていました。
長年のわだかまりから今は離れて暮らし、弁護士としてがんばっている娘のミッキー(エイミー・アダムス)は、父の体を心配し、ガスの最後になるかもしれないスカウトの旅に同行することを決意します…。

イーストウッドのいぶし銀のような渋い演技が光るすてきな作品でした。物語の展開はある意味予測できなくはないのですが、それでも素直に感動し、心地よく泣けました。胸のすくようなエンディングに、ハッピーな気持ちでいっぱいになりました。
ガスは目や耳、自分の勘を頼りにこれまで多くの選手たちを見出してきたベテランスカウト。しかし時代はコンピュータを使ったデータ分析によるスカウトがもてはやされるようになり、ガスの昔ながらのやり方で球団幹部を納得させるのは難しくなっていました。
一方、小さい頃からいつもガスのそばにいて野球を見る目を養ってきたミッキーは、6歳で母を亡くしてからは親戚の家や寄宿学校に預けられて育ち、父親から疎外されたと感じて傷ついていました。
父娘はお互いを思いながらも、不器用でぎこちなく、なかなか関係を修復できませんが、間を取り持つ?レッドソックスのスカウト ジョニー(ジャスティン・ティンバーレイク)がいい味を出していました。そして一見ゆるめに並行して展開するスカウト劇が、二人の絆を取り戻す決定打となっていたのが心憎かったです。
目が見えなくなって足元がふらついても、車をあちこちぶつけても、最愛の妻のお墓の前でおろおろ泣いても、年輪を重ねたイーストウッドが演じると、どれも味わい深くて魅力的。ミッキーにちょっかいを出す酒場の男をぶっとばすところは、最高にかっこよかったです。
高慢な新人ボーは、いずれ馬脚を露すとは思っていましたが、なるほどあれが伏線になっていたとは…^^ ミッキーとジョニーの恋愛パートは少々余計な気もしましたが、娘の幸せを願うガスの笑顔を見ると、これもまたよかったのかな?と思いました。^^
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映画「人生の特等席」★★★★
クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、
ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・グッドマン、
ロバート・パトリック、マシュー・リラード出演
ロバート・ロレンツ 監督、
111分、2012年11月23日より全国にて公開
2012,アメリカ,ワーナー・ブラザーズ
(原題/原作:TROUBLE WITH THE CURVE)
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コメント
わかりやすい作品でしたね。素直に感動できると言うか。昔気質の彼ら親子は、「マネーボール」のビリーたちとは対称的だったように思います。コンピュータ好き、機械好きの私ですが、ガス親子のやり方の方が好感持てるなー。
投稿: マイキー | 2012年11月25日 (日) 11時14分
こんにちは。
この作品、もう公開になってたんですね。
それにしても、イーストウッドの出演だけの作品ってかなり久しぶりな気がします。
記事を読ませていただくととても良いドラマの様ですね。他の監督による彼の演技も久々で味わいたい気がします。
思えば「ダーティー・ハリー」のドン・シーゲルが最後だったんじゃないかしら?
それにしても、イーストウッドは演じる役の性格が一貫してて凄いな~。やっぱスターだからこそなんですよね。で、なおかつ名監督ときてるから、映画史に名を残しますよね~、絶対に。

投稿: ごみつ | 2012年11月25日 (日) 15時39分
☆ マイキーさま ☆
こんにちは。
物語の展開はなんとなく予測がつくし
善悪もはっきりしていてわかりやすかったですが^^
それだけに安心して楽しめる作品でしたね。
マネーボール理論は有益な判断材料にはなるけれど
最後の最後には人間の感覚がものをいうのかもしれませんね。
野球に限らず、どの世界も。
ママを連れてきたら調子がもどった選手とか^^ おかしかったですね。
投稿: ☆ マイキーさま ☆ | 2012年11月26日 (月) 01時34分
☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
人生の特等席、この週末から公開でした。
早速見に行きましたが、なかなかすてきな作品でしたよ。
イーストウッドが出演だけというのは19年ぶりだそうです。
一番弟子の監督デビューということで
ひと肌脱いだというところでしょうか。
アナログな頑固爺(あら失礼)という
イーストウッドのためのような役柄でした☆
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年11月26日 (月) 01時45分
ベースボールもの映画が好きな私としては、
興味があった作品です。
流石にセレンディピティさん、お早い!^^v
選手を描くのではなく、フロントを題材とした
映画では昨年のマネーボールも話題になりましたね。
でもこちらの方がより泣ける人間ドラマなのかも。
ナチュラルや、オールドルーキー・・・変わったところでは
フィールド・オブ・ドリームスも良かったな~
あ、古い映画ばかりだ(笑
「善き人のためのソナタ」と合わせて観てきたいと
思います。
投稿: イザワ | 2012年11月26日 (月) 15時36分
☆ イザワさま ☆
こんにちは。
野球のお好きなイザワさんには是非お勧めしたい作品です♪
マネーボールと比べてご覧になってもおもしろいかもしれません。
…とはいえ野球が好きか否かにかかわらず
人間ドラマとして楽しめる作品でした。
クリント・イーストウッドがさすがの存在感でしたよ。
投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2012年11月27日 (火) 12時40分
こんばんは。
良い映画なのですが、「グラン・トリノ」や「チェンジリング」で期待度がかなり上がってしまって・・・素直にいいねと言えない私です。
ピーナッツ投げたところで「何だかこの子の登場は思わせぶりだな」とか思っちゃって、ティンバーレークが登場したところでも恋の相手はこっちだなと、話が進むにつれ「やっぱりね」な感じが拭えませんでした。
その後、ミッキーがブレーブスのフロントに入って…なんて続編が見たい気がします。
投稿: ryoko | 2012年12月10日 (月) 01時08分
☆ ryokoさま ☆
こんにちは♪
新人監督さんのデビュー作なので、凝った作りではなかったけれど…
イーストウッドの存在感やエイミー・アダムスのキャラクターが
作品を魅力的にしていました。
ピッチャーの男の子が出てきた時は、あ、あの子!
と声をあげそうになりました。^^
できすぎな話ですが、すかっとしました。
投稿: ☆ ryokoさま ☆ | 2012年12月10日 (月) 15時11分