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林真理子 「20代に読みたい名作」

作家の林真理子さんによる読書案内、「20代に読みたい名作」を読みました。雑誌「CREA」に1997年~2002年に連載されていたもので、林さんがセレクトされた、20代…といわず、いくつになっても読みたい54冊が紹介されています。

Meisaku

タイトルから、トルストイやドストエフスキーといった文豪の長編が紹介されているのか…と思いきや、比較的気軽に読める作品がリストアップされていて興味をもちました。実際、半分近くは私も読んだことのある作品で、林さんとは趣味が合うのかな…?とちょっとうれしくなりました。

それでも最初の一冊が、遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」だったのには正直驚きました。林さんも書かれているように、この作品ものすごく後味が悪いので…。それだけに印象に残る作品でもありますが。この他にも、女性誌に連載されていたとあって、男女のあり方や女性の生き方をテーマにした作品が数多く紹介されています。

例えば、石原慎太郎の「太陽の季節」。これも後味の悪い作品ですが、林さんが三島由紀夫の「春の雪」と重ねていらしたのがおもしろかったです。主人公の、女性を愛することは自尊心が許さず、やがて相手の女性を憎むようになる…という屈折した男性心理の解説には、なるほどとうならされました。

純愛ものでは、三浦哲郎の「忍ぶ川」や武者小路実篤の「愛と死」など。「忍ぶ川」は私も大好きな作品で、読むといつも泣いてしまう場面がありますが、林さんがピックアップされたのは別の場面…。^^ こういう違った視点を発見するのも、書評を読む楽しみのひとつです。

女性の生き方をテーマにしたものでは、宮尾登美子の「櫂」が取り上げられていたのがうれしかったです。また、作家・岡本かの子の奔放な生涯を描いた、瀬戸内晴美の「かの子撩乱」や、林芙美子の自伝的小説、「放浪記」も読んでみたくなりました。

このほか、山本周五郎の「さぶ」は、きっと私好みの作品だろうなーと思いましたし、カポーティのノンフィクション、「冷血」は以前から読みたかった作品。本書がきっかけで、読みたい本がますます増えました。

それにしても書評だけで、これだけ楽しませてくれる林真理子さんはやっぱりすごい。今回の連載のために読み返されていて、年齢による読後感の変化に触れられていたのも興味深かったです。

Meisaku_3_3

なお、「20代で読みたい名作」は今は絶版で、同じ内容が「林真理子の名作読本」という文庫に収録されているそうです。

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コメント

>年齢による読後感の変化・・・
 ありますね。
 特に中学や高校の時に読んだ本を読み返すと
 イメージが全く違い、不思議な気持ちになったことがあります。
 昔、本を読みながら主人公や、登場人物を想像で顔や体格など
 頭の中で勝手にイメージを膨らませていましたが・・・
 最近、ある本を読み返したのですが、読み返す前にイメージ
 していた登場人物がことごとく違う顔になっていて
 読んでいて焦りました(笑
 それだけ、自分中が変化してきたということなんだと思います。

投稿: イザワ | 2012年12月12日 (水) 18時32分

☆ イザワさま 
こんにちは。
子ども頃にわからなかったことが
ある時はっとわかることってありますね。
年を経て、いろいろな経験を積み重ねることで
自分自身もずいぶん変わっているのでしょうね。
(それを成長とよべるかどうかはわかりませんが…)

その一方で、子どもの頃、若い頃を思い出して
純粋な気持ちにもどれることもありますし…
本ってほんとうに不思議ですね。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2012年12月13日 (木) 17時16分

今晩は。book

好きな作家さんのお勧めの作品って、やっぱり読みたくなりますよね。
どんな本、読もうか・・って迷っている時の指針にもなるし、読後感を共有できたっていう嬉しさもありますしね。

この手のお勧め紹介本だと、以前読んだ、小林信彦さんの「面白い小説を見つけるために」っていうのに、けっこう影響をうけました。
と言っても、お勧め本は全然読めてないんですけど。(笑)

自分が持っている感性と合致する作家さんを見つけられると、その人が良い水先案内になってくれますよね。ship

投稿: ごみつ | 2012年12月14日 (金) 01時29分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
私は林真理子さんのファンではないのですが
(実際、著作はほとんど読んだことがないですし…)
今回、私とかなり読書傾向が似ていることがわかりました。^^
女性向けにセレクトされたもの…ということも
あるかもしれませんが。

読んだことのある本はうんうんと共感したり
そういう見方もあるのか、と新しい視点を発見したり。
読んだことのない本も、きっと私好みの作品だろうなーと思ったり。
楽しかったです。

ごみつさんは、以前小林信彦さんについて
書かれていたことがありますね。
どんな小説を紹介されているのでしょう。
こちらも気になります!

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2012年12月14日 (金) 10時55分

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