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「私が、生きる肌」

ペドロ・アルモドバル監督、アントニオ・バンデラス主演のサスペンス・ホラー、「私が、生きる肌」(La Piel que Habito / The Skin I Live In)を見ました。亡き妻を蘇らせるために禁断の実験に取りつかれていく、形成外科医の狂気と悲劇を描きます。原作は、ティエリ・ジョンケの「蜘蛛の微笑」。

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全身やけどで妻を亡くした形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)は、完璧な人工皮膚を生み出すべく、研究に没頭していました。しかしその情熱はいつしかねじ曲がった執着へと形を変え、ある人物を自宅に監禁し、開発中の人工皮膚を移植して妻そっくりに作り上げていきます…。

La_piel_que_habito_2

昨年公開された時に気になりながらも、ちょっと怖そう…と見るのを躊躇してしまった作品、ようやくDVDで見ました。(皮膚をはがすなど)グロテスクなシーンがあったら嫌だな…と思っていたので、その点はほっとしましたが、別の意味で、それ以上に衝撃的な作品でした。

アルモドバル監督の作品は、「ボルベール」「オール・アバウト・マイ・マザー」と見ていますが、ドロドロしたところがあって、私には少々とっつきにくい…。本作もかなりアクは強いですが、ミステリー仕立てになっていることもあり、悪趣味ではあるけれど、引き込まれるおもしろさがありました。

ロベルが妻そっくりに作り上げた謎の美女ベラ(エレナ・アナヤ)。私は映画を見る前は、全身やけどを負った最愛の妻のために、他人から皮膚を移植する…というお話だと思っていたので、実の妻を亡くしたとわかってからの予想外の展開に打ちのめされました。

ベラの正体については映画を見ていただくとして… ロベルの常軌を逸した行動は、決して妻への愛から来ているものではないのです。そしておそらく、娘への愛から来ているものでもありません。

彼が求めたのは、神の領域に踏み込むことで、妻を意のままに操ることだったのでしょうか。そして、途中からは狂気にとらわれて、ベラが妻の姿をした全くの別人であるということが、わからなくなっていたのかもしれません。

最後にベラがロベルのもとを逃げ出し、自分を愛し、受け入れてくれる人のところにもどることができたのが、せめてもの救いでした。

La_piel_que_habito_3

アントニオ・バンデラス演じる形成外科医の、ほとんど表情を変えない、静かな狂気にぞくっとしました。描かれているのは異常で倒錯した世界ですが、美しい俳優さんたちやアートな映像に引き込まれ、不思議と受け入れやすい作品でした。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。cherry

これ、このポスターがけっこう印象的だったのでよく覚えてます。
記事を読ませていただくと、なかなかミステリアスな内容みたいですいね。

しかも監督がアルモドバルとなると、かなり濃密な世界になっている予感がします。

ベラの正体も気になるし、お話の結末も気になるな~。
今度、見てみますね。(。・ω・)ノ゙

投稿: ごみつ | 2013年2月 6日 (水) 20時57分

こんばんは。

本作は昨年度のMYBESTに入れました。
セレンディピティさんは怖そうとかグロテスクだめなのですか?
わたしはホラー系好きなんです。血がドバーっとでるものも好きですね。血のでるB級映画はもっぱらwowwoで楽しんでいます。

さて何かに取り憑かれたように皮膚を作るバンデラス演じる形成外科医...そうあの狂気はスゴかったです。堪能しました。
あれもアルモドバルの世界でしょうか?

投稿: margot2005 | 2013年2月 6日 (水) 21時08分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
このポスター、インパクトありますよね。^^
映画もかなりインパクトがありますが、
ミステリー仕立てでおもしろかったです。
怖いもの見たさで、ぐいぐい引き込まれました。

記事には書かなかったのですが、これに血縁関係のドロドロも加わって
アルモドバル監督らしい濃密な世界が展開しますが
映像がゴージャスなので、不思議と不快感はないんです。
アートの作品を見ているような…

アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤほか
アルモドバル監督の世界を体現するスペインの俳優さんたちも魅力的でした。
是非ご覧になってみてください☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年2月 7日 (木) 17時10分

☆ margot2005さま ☆
こんにちは。
この作品、設定が奇抜でストーリーもおもしろいですし
悪趣味なのに芸術性があって… う~んとうならされました。
margotさんがMYBESTに入れられるのも納得です。

私は残酷なシーンとかグロテスクなものってダメなんです。><
銃はわりとだいじょうぶなのですが、刃物系は特に苦手で…
DVDだと、苦手なシーンは早送りできるからいいのですが。

margotさんはホラーもOKなんですね。
血のドバーと出るB級映画ですか…^^
なんだか意外で、ちょっとうれしいです。

バンデラスの狂気の演技、迫力がありましたね。
ハリウッド映画の時にはない魅力を発見しました。
アルモドバル監督というと、私の中ではドロドロ…というイメージですが
バンデラスは初期の頃の作品によく出ていたそうで
他の作品も見てみたくなりました。

投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2013年2月 7日 (木) 17時28分

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受信: 2013年2月 6日 (水) 21時00分

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□作品オフィシャルサイト 「私が、生きる肌」 □監督・脚本 ペドロ・アルモドバル □原作 ティエリー・ジェンケ □キャスト アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コルネット、       ロベルト・アラモ、ブランカ・スアレス、...... [続きを読む]

受信: 2013年2月11日 (月) 22時18分

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