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横浜美術館 「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」

横浜美術館で開催されている「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展(~3月24日まで)を見に行きました。横浜美術館が所蔵するロバート・キャパの全作品193点と、キャパのパートナー ゲルダ・タローの作品83点を一同に展示する写真展。作品を通じて、2人が駆け抜けた生涯に思いを馳せました。

Capa

20世紀を代表する報道写真家、ロバート・キャパの写真展ということで楽しみにしていた本展。企画展に先立って、文藝春秋に掲載された沢木耕太郎さんの「キャパの十字架」と、それと関連して放送されたNHKスペシャルを見て、ますます期待が高まりました。

ロバート・キャパは、もとはアンドレ・フリードマンとゲルダ・ポホリレ、2人のユダヤ人写真家が作り上げた架空の写真家でした。1934年にパリで出会ってたちまち惹かれあった2人は、写真を売り込むため、”ロバート・キャパなる偉大な写真家”をでっちあげ、共同で撮影していたのです。

その後、フリードマンがキャパとなり、ポホリレはゲルダ・タローという名で、それぞれ活躍しますが、タローは1937年、スペイン内戦を取材中、26歳の若さで亡くなります。キャパはその後、日中戦争、第1次・第2次世界大戦と写真を撮り続け、1954年インドシナ戦争で40歳の生涯を閉じました。

タローは女性初の報道写真家といわれ、キャパを生み出したひとりでもありますが、あまりに若くして亡くなったこともあり、その後のキャパ(フリードマン)の栄光の陰で、存在を知られることはほとんどありませんでした。今回の写真は、どれも日本初公開となる貴重な作品です。

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タローは主にローライフレックスというカメラを撮影に使っていたそうで、四角いプリントが特徴的でした。スペイン内戦を撮った一連の作品では、職業婦人としての女性兵士の姿を撮影したものが特に印象に残りました。四角い画面を大胆に切り取った構図に、タローの男勝りな一面を見る思いがしました。

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キャパ(フリードマン)が撮影した、コルドバ戦線でのタロー(右)と共和国軍兵士。なお、タローというペンネームは、当時パリで親交のあった岡本太郎さんから来ているとか。そんなところにも親しみを覚えました。

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LIFEに掲載され、キャパの名を一躍有名ならしめた「崩れ落ちる兵士」。フリードマンとタローが撮影した写真の中の1枚で、沢木氏とNHKによる最新のリサーチでは「これを撮影したのはタローで、兵士は撃たれたのではなく、演習中に足を滑らせたのだ」と推定されています。

ひとりのカメラマンの意が及ばないところで、写真と名声だけがひとり歩きしてしまった…。パートナーであるタローが亡くなってから、何かに突き動かされるように危険な戦場に足を運び、撮影し続けたキャパの孤独と苦悩が胸に迫りました。

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こちらもキャパの代表作、「Dデイ」とよばれるノルマンディ上陸作戦を撮影した写真です。アメリカ軍に同行して決死の覚悟で撮影したものの、その大部分は現像ミスによって消失してしまったとか…。この写真にもブレがありますが、かえって戦場の凄まじさがリアリティをもって伝わってきます。

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タローが撮影したキャパ

戦場以外では、1954年に来日した時の一連の作品も興味深かったです。東京から関西にまで足を運んでいますが、名所旧跡ではなく、人々の何気ない日常の風景が、キャパの心をとらえる被写体だったようです。

それから、恋人でもあったイングリット・バーグマンの撮影現場での写真。親交のあったピカソが幼い息子を抱きあげているプライベートフォトなど。報道写真家とはまた別の一面をうかがい知ることができました。

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コメント

セレンさんこんにちは。
ご無沙汰しています。
今週は本当に暖かくなりましたね。
寒がりの私でさえ今朝は一枚減らして家を出ました。

横浜美術館は我が家から近いのですが、去年行ったきりなかなか行けていませんでした。
この写真展はインターネットでチェックしてから時間を見つけて行きたいと思っていました。NHKでも特集が放送されていたのですね、観てみたかったです。

暖かくなった今がチャンス、期間中に私も訪れられたらと思います。

投稿: アサ | 2013年3月 8日 (金) 10時37分

☆ アサさま ☆
アサさん、こんにちは♪
3月に入って、ようやく暖かくなってきましたね。
今年の冬は寒さが厳しかったので、いつも以上に春の訪れが
待ち遠しいです。

アサさんは横浜美術館の近くにお住まいなんですね。
横浜美術館、キャパのコレクションがこれほど充実しているとは
驚きました。今回はパートナーであるゲルダ・タローの作品とともに
2人の生涯をたどることができ、興味深かったです。

NHKスペシャルの内容については、展示されている「崩れ落ちる兵士」の
写真にも、簡単に説明がついていました。

お時間がありましたら、お散歩がてら是非☆

投稿: ☆ アサさま ☆ | 2013年3月 8日 (金) 13時14分

今晩は~。camera

いや~、今日はかなり気温があがって、ちょっと汗ばむくらいでしたね。
もう、このまま春の陽気へと向かっていくのかしら?

キャパ&ゲルダ展、行かれたんですね!良いな~。私はどうも行けそうにもない予感がひしひしとしてきました。coldsweats01
キャパの作品はとのかく、ゲルダの作品は滅多に見られないでしょうし、是非行きたいのですが・・・。

記事を読ませていただくと内容も良さそうですね~。せめて、いつか沢木さんの本は読もうと思ってます!book

投稿: ごみつ | 2013年3月 9日 (土) 00時37分

☆ ごみつさま ☆
こんばんは。今日も暖かかったですね。
昼間は上着もいらないほどで、外を歩くのが気持ちよかったです。

キャパ&ゲルダ展、よかったですよ。
スペイン内戦のみならず幅広い作品を見ることができて
2人の生涯を追うことができました。
ゲルダの写真は、私は女性兵士を撮ったものや
兵士のオフの時間を撮ったものが特に印象的でした。
横浜美術館はキャパの写真をたくさん所蔵しているので、
また機会があるといいですね。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年3月 9日 (土) 21時27分

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2月3日、NHKスペシャルで放映された「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 [続きを読む]

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