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「レ・ミゼラブル」 (ドパルデュー版)

ジェラール・ドパルデュー主演のフランスのTVドラマシリーズ、「レ・ミゼラブル」を見ました。日本で借りられるDVDは、フランスで放映されたTVドラマ4回(計6時間)を3時間に編集したインターナショナルバージョンで、セリフが英語で収録されています。そこがちょっと残念でしたが、作品はとても楽しめました。

Les_mis

ジェラール・ドパルデューといえば、先日見た「ライフ・オブ・パイ」ではいじわるなコックさんを演じていましたが… ヒュー・ジャックマンやリーアム・ニーソンが演じるヒーロー的なジャン・バルジャンとはひと味違う、人間くさいジャン・バルジャンが魅力的でした。

ドパルデュー演じるバルジャンは、司教から燭台を与えられて、すぐに真人間になるわけではありません。旅の途中で会った煙突掃除の少年のわずかなお金を取り上げてしまい、その後に司教との約束を思い出して、あわてて少年を呼び止めようとするエピソードがあります。

19年という監獄での生活は、人間としての尊厳を徹底的に奪う過酷なものだったはずで、バルジャンのこのふるまいが自然なものとして胸に迫りました。そしてバルジャンがその後も苦しみ葛藤しながら懸命に生き、結果として土地の名士となっていったのがよくわかる気がしました。

またジャベール警部(ジョン・マルコヴィッチ)から、ある男が自分の身代わりとなって逮捕されたことを知り、裁判所に駆けつける場面も印象的でした。誤った証言をするかつての監獄仲間に、「おれを忘れたか!」と問いただすところは、すごみさえ感じられ、心にずきんと響きました。

最初は薄幸な女性フォンテーヌとの約束を果たすために、娘のコゼットを救ったバルジャンでしたが、いつの間にかコゼットをメロメロに愛すようになり、マリウスという恋人が現れた時には、傍から見て情けないほどにおろおろする姿も、人間味があって好きです。

ヒュー版との違いでいえば、なんとエポニーヌに妹がいました。^^ ヒュー版では、エポニーヌのマリウスへの切ない恋心が伝わってきて胸がしめつけられましたが、ドパルデュー版のエポニーヌは、マリウスをただ利用するためだけに近づいているように描かれていました。

そしてマリウスもエポニーヌも、政治活動にはまったく関心がなさそうでした。マリウスは、コゼットがロンドンに行ってしまうので、自暴自棄になって革命に参加しようとしていただけのようで、このあたりの描写にちょっと物足りなさを感じました。

そしてバルジャンの最期。真相を知ったコゼットとマリウスが、大急ぎでバルジャンのもとに駆けつけます。ここはほんとうは大号泣する場面のはずですが、コゼットの感謝の言葉に、バルジャンが照れくささからわざとはぐらかしたりして、なんとなくおかしい。そんなところが、ドパルデューらしくてうれしかったです。

過去の「レ・ミゼラブル」関連記事をまとめておきます。

movie 「レ・ミゼラブル」 (1998) リーアム・ニーソン版
movie 「レ・ミゼラブル」 (2012) ヒュー・ジャックマン版
notes 「レ・ミゼラブル」 (2012) サウンドトラック

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映画」カテゴリの記事

コメント

一つの物語も描く人が違うと、違った見方があり、
勉強になりますね。
セレンディピティさんは、一つのことから波及して
色々なモノの見方をされているので、偏った見方でなく
多角的な考え方ができるのですね。
いつもブログを拝読させて頂き、そう思っています。

投稿: イザワ | 2013年3月25日 (月) 01時54分

マルコヴィッチ、存在自体がエキセントリックで大好きです。このショートドラマは存在は知っていましたが見た事がありませんでした。ドパデューはどんな役でもこなしますよね。この二人の競演だったらやっぱり観てみるべきですね。でも英語吹き替えなんですね…、残念。マルコヴィッチはフランス語に堪能だから、是非オリジナルがいいなぁ…

私は最近、このサントラ盤を車で聞いてみたんです。通勤に30分位かかるので丁度いいかと。家ではone day moreなど好きな曲しか聞いていなかったのですが、車で聞くときはそのままオーディオブックを聞いている感覚ですべてが新鮮でした。すると、ジャベールの苦悩、例えは自分は牢屋で生まれて…というくだりや、ヴァルジャンが自問しているシーンが心にジーンときて、朝から涙流しながら車を運転しました(爆)Le Misフィーバーはお互い中々冷めませんね~(笑)

投稿: Schatzi | 2013年3月25日 (月) 13時32分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
そんな風に言っていただくと恐縮ですが
ひとつの物語が、どんな風に映像化されたか
あれこれ比べながら見て楽しかったです。

でもここまできたら、やはり原作を読まなくては…と思いました。
「レ・ミゼラブル」は子供向けの簡単なものしか
読んだことがないので。^^

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2013年3月25日 (月) 15時06分

☆ Schatziさま ☆
こんにちは。
ドパルデューもマルコヴィッチも、強烈な個性がありながら
どんな役でもこなせる器用な役者さんですね。
この作品のバルジャンとジャベールの関係もまた
独特な雰囲気がありました。
フランス語版、評判がいいので、私も是非見てみたかったのですが…

レ・ミゼラブルのサントラ、いいですよね☆
私もよく好きな曲に飛ばしたりしてますが…^^
泣くといけないので電車では聴けません。><

投稿: ☆ Schatziさま ☆ | 2013年3月25日 (月) 15時25分

こんにちは!cloud

ドパルデュー版、早速ご覧になったんですね!
私は予約は入れてあるのですが、まだです~。

それにしてもこれレンタルのは英語版なの!?それはちょっとがっかりだな~。フランス語で見たかったな~。
でもいずれにしても私も見てみますね!

記事のストーリーを読ませていただくと、きっとこちらが原作に近いのでしょうね。
ミュージカル版はアレンジしてミュージカルならではの感動作に仕上げてるのでしょうね!shine

原作は買ったのですがまだ未読です。今読んでる歴史の本に手間取ってて。(笑)

投稿: ごみつ | 2013年3月25日 (月) 17時38分

そういえば月々払ってネットストリーミングで映画が見れるプロバイダーに入会していたのを忘れていました。夕飯後、これでLes Misを探したらありました!こちらは暗いですね…。そして、英語の吹き替え版かとおもいきや、セリフ事態が英語でした。確かにこれを見た限り、原作を読まなくてはって思いました。こちのLes Misの方が原作に近いのでしょうね、フォンティーヌがルメールを恨んでいるところがミュージカルとは違いますものね。

次の本はヴィクトル・ユゴーか(笑)なんとなく重いですね・・

投稿: Schatzi | 2013年3月26日 (火) 12時51分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
ドパルデュー版、見始めたらセリフが英語だったので、あれ??と
あわてて設定を見直したら、フランス語という選択がありませんでした。
撮る時にフランス語と英語と両方で収録して
日本では英語版がリリースされているようです。

ハリウッド映画のような派手さはありませんが
撮影セットや俳優さんが豪華で、力を入れて作られているな
と感じました。こちらはこちらで、よかったですよ。
是非ご覧になってみてください☆

ミュージカル版はもとは舞台ということもあり
ロマンスや革命など… 感動的な場面をうまく取り入れていますよね。

私も今かかえている本が何冊かあるので… 読み終わったら
是非原作を読んでみたいです♪

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年3月26日 (火) 13時37分

☆ Schatziさま ☆
こんにちは。
Schatziさんはネットストリーミングに入っていらっしゃるのですね。
実は私も、今入会しているDVDのネットレンタルと月額が同じなので
ネットストリーミングに切り替えようかな…と
ちょっと検討しているところなんです。
やっぱりタイミングを逃さずに見たい時に見れるのはいいですね。

そうそう、これドラマを撮る時に英語とフランス語、
両方収録したみたいです。
ヨーロッパ圏の俳優さんは、みなさん英語も堪能ですね…。

全体的にカラーがやはりヨーロッパ映画という感じがしました。
きっと原作のイメージは、こちらに近いのでしょうね。

ユーゴーの原作、長くて重くて手ごわそうですが…
私もそのうちにぼちぼちとチャレンジしてみようと思います。^^;

投稿: ☆ Schatziさま ☆ | 2013年3月26日 (火) 13時50分

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