« 「LUPICIA」のフレーバードティーとフルーツいっぱいの朝食 | トップページ | 水戸(2) 茨城郷土料理を楽しむ »

水戸(1) 水戸芸術館 「坂茂 建築の考え方と作り方」

花曇りの週末、ドライブをかねて… 水戸芸術館現代美術ギャラリーに、「坂茂 建築の考え方と作り方」展(~5月12日まで)を見に行きました。紙素材を使った仮設建築で、世界各地の被災地で支援活動をされている建築家、坂茂(ばん・しげる)さんの創作と活動を紹介する企画展です。

Ban

今回の個展は、実寸模型が数多く展示されていて、坂さんの仮設建築やその他の作品を間近で体感できました。私は以前、「建築をつくる。人をつくる。」という本で坂さんの活動を知り、深く感銘を受けたのですが、それについて記事にしているので、あわせてご参照いただけたら幸いです。

 坂茂 「建築をつくる。人をつくる。」

2013040401 2013040402

(左)ハノーバー万博2000・日本館 1/15模型 (右)実寸模型(部分)

坂さんが建築素材として紙に注目されたのは、1986年アルヴァ・アアルト展の会場設計をされたのがきっかけだそうで、以来紙管を使ったイベント会場やパビリオンを数々手掛けてこられました。↑は優美な曲面が、紙管とそれを接合する布テープのみで構成されています。

2013040406 2013040407

そして、建築家の立場から人を助ける仕事がしたいという思いから、(左)ルワンダの難民のためのシェルターを国連難民高等弁務官事務所に提案。以来、地震やハリケーンなどの被災地において、リサイクル可能な素材を使った組み立て式の住宅や公共施設などを設計、設営されています。

(右)1995年 阪神淡路大震災の被災者のために建てられた仮設住宅。砂袋を詰めたビール瓶ケースを基礎とし、紙管とテントを使って作られています。

2013040404 2013040405

紙というと力や湿気に弱いイメージがありますが、圧縮し特殊加工することでかなりの強度が実現できるそうです。実際に紙管に触ってみると木材のように硬かったです。軽くて丈夫、コストが抑えられリサイクル可能、組み立てが簡単…と仮設建築として多くのメリットがあります。

(左)2008年 中国四川省大震災の時に建設された仮設小学校。のべ120人の日本人学生と中国人ボランティアが夏休みを使って建設、約40日間で3棟(9教室)の校舎が完成しました。

(右)2011年 東日本大震災で活用された避難所の間仕切り。2004年の新潟中越地震の時からの改良版で、紙管を組み合わせただけのシンプルな作りとなっています。49ヶ所の避難所に、1800以上のユニットが設置されました。

2013040403 2013040411

(左)宮城県女川町に建てられた、海上輸送用コンテナを使った3階建仮設住宅の模型。コンテナを市松模様に積み、コンテナとコンテナの間にガラスを入れています。2005年に設計された移動式の「ノマディック美術館」(コチラを参照)のノウハウが生かされています。

(右)美術館の広場には、コンテナ仮設住宅の実寸模型が展示されていました。一見マンションのショールームのようですが…^^ キッチンやバス・トイレもあり、中に入るとコンテナでできているとはとても思えません。

仮設建築以外の作品もいろいろ紹介されています。

Ban_1 2013040408

2010年 フランスのメス市に建設されたポンピドー・センター分館。屋根の部分は中国の伝統的な竹編帽子から発想を得られたそうで、六角形と正三角形のパターンで構成されています。(右)柱部分の1/5サイズのモックアップが展示されていました。

Tamedia 2013040410

2013年 スイスのチューリヒに完成予定のタメディア社の新本社ビル。スチールを使わない、純粋な木造7階建てというなんともぜいたくな造りです。(右)木目が美しいモックアップ。接合部分は回転しないよう断面が楕円形になっています。

他にもいろいろな作品が写真や模型を使って展示されていましたが、紙や木などの自然の素材、かごや曲げわっぱといった日本伝統のデザイン、さらには風や光など環境の要素が生かされた作品に、心のやすらぎを覚えました。

|

« 「LUPICIA」のフレーバードティーとフルーツいっぱいの朝食 | トップページ | 水戸(2) 茨城郷土料理を楽しむ »

お出かけ」カテゴリの記事

美術館・博物館」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

セレンディピティさんの坂茂さんの本の記事よく覚えてます!
水戸で展覧会をやってたのですね!

本を読んでいた事で、作品も理解しやすいし、実物を目にする事で、さらに気がつくこと、感じる事なども多かった事と思います。

私も友人と日帰りで水戸芸術館、行った事ありますよ!何の展覧会だったか忘れちゃったのですが、水戸は小旅行にも良いですよね。

そうだ、ずいぶん前に日帰りで出かけた群馬県立近代美術館も良いところでしたよ。ここはルイス・カーンっていう建築家さんの設計です。
http://mmag.pref.gunma.jp/index.html

投稿: ごみつ | 2013年4月 6日 (土) 00時29分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
今日は嵐といってもたいしたことないな…と思っていましたが
いよいよ雨が激しくなってきましたね。
今日もお仕事でしょうか。お帰り、気をつけてくださいね。

本を読んで坂さんの活動に感銘を受け、興味を持っていたので
今回の企画展は是非足をのばしてみたいと思っていました。
ちょうど春休みだったこともあり、いい小旅行になりました。^^

若い人たちにも興味を持ってもらえるように…と考えられたそうで
模型やモックアップを数多く展示し、わかりやすい内容になっていました。
実際に触れたり、目にしたりすることで、改めて感じるものがありました。

ごみつさんも、水戸芸術館に行かれたことがあるのですね!
上野から2時間くらいですから、意外と近いですよね。

群馬県立近代美術館、写真を拝見するとほんとうにすてきな美術館ですね~
いつか是非訪れてみたいです☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年4月 6日 (土) 18時47分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 水戸(1) 水戸芸術館 「坂茂 建築の考え方と作り方」:

« 「LUPICIA」のフレーバードティーとフルーツいっぱいの朝食 | トップページ | 水戸(2) 茨城郷土料理を楽しむ »