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「ふたりのイームズ: 建築家チャールズと画家レイ」

20世紀を代表するアメリカのデザイナー、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の軌跡を描いたドキュメンタリー、「ふたりのイームズ: 建築家チャールズと画家レイ」(EAMES: the architect and the painter)を見ました。ナレーターは俳優のジェームス・フランコ。

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先日「カリフォルニア・デザイン」展で、イームズチェアが生まれたいきさつや、ケース・スタディ・ハウス(イームズ邸)について見たばかりなので、タイムリーに公開されたこの作品を楽しみにしていました。

イームズといえば、成形合板を使ったイームズチェアやファイバーグラスを使ったシェルチェアなどがまず思い浮かびますが、デザイナーや建築家としての仕事だけでなく、数多くの映像作品を残し、企業のプロモーション活動に関わってきたことを初めて知りました。

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建築を専攻していたチャールズはフランク・ロイド・ライトなどの近代建築に傾倒していましたが、モダンすぎるとの理由で退学となったとか。時代を先取りする新しいデザインを生み出した、チャールズならではのエピソードだと思いました。

美術学校で建築を教えていたチャールズは、画家をめざしていたレイと運命的に出会います。チャールズは既婚者でしたが、レイから受けるインスピレーションが自分には必要と確信し、公私にわたるパートナーとしてレイと再婚、イームズ・オフィスを立ち上げます。

映画では、チャールズとレイがやりとりしたラブレター、コンペティションで賞を勝ち取ったものの作るのが難しすぎて量産できなかったチェア、ふたりを慕って多くの才能が集まり活気にあふれていたオフィス… 黎明期のエピソードがいろいろ飛び出します。

中には、イームズ・オフィスのデザイナーとして仕事をしても、その名声はすべてチャールズのものになってしまう、というクリエイターならではの恨み節?も。でもその時すでにチャールズは、一歩先を見据えていたのではないか、とその後の活動を知って思いました。

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イームズ夫妻が、雑誌 Arts & Architecture の企画で、カリフォルニアに建てた自邸。夫妻の住まいもオフィスも、楽しいものや個性的なものがいろいろあって、ふたりの好奇心がそのまま形になったような暮らしぶりがすてきでした。

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イームズ夫妻はデザイナーという枠を超え、映画製作にも取り組みます。代表作の Powers of Ten は、私たちの世界を10の累乗倍でズームイン/ズームアウトし、素粒子レベルから宇宙空間まで視覚的にわかりやすく示した作品。今では博物館の展示にもよくありますが、ルーツはイームズにあったと知って驚きました。

また企業や万博の展示プロデュースにも数多く携わってきました。代表作のIBMからの依頼で実現した MATHEMATICA は、数学のおもしろさを視覚的に体感できるインスタレーションで、万博会場から各博物館をめぐり、現在はニューヨーク科学館(New York Hall of Science)で展示されています。

建築家チャールズと画家レイは、デザインの仕事では最強のパートナーでしたが、仕事の規模が拡大するにつれ、方向性の違いを感じるようになります。それでも最後までチャールズを支え続けたレイは、古き良き時代の理想の妻だったのだろうなと思いました。

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「チャールズ&レイ・イームズ」 グロリア・コーニッグ著

映画を見た渋谷UPLINKで、こちらの本を購入しました。ドイツの出版社TASCHENから出ている翻訳版で、イームズ夫妻の作品やプロジェクトの全容が時系列に紹介されています。写真が豊富で美しい、楽しい本です。

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追記: 今発売中のELLE DECOR(エル・デコ)6月号もイームズ特集。名作チェアだけでは語れない夫妻の魅力に迫ります。

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コメント

今晩は!rain

「カリフォルニアデザイン展」の記事で書かれてたドキュメンタリー映画、見に行かれたんですね!
私も今、予告編映像見てみたけど面白そう。

私、まだ「CAデザイン展」行けてないんですよね~。次の土曜日が休みなので何とか都合つけて行きたいと思ってます。

"Powers Of Ten"は有名ですよね。そうか、この映像作品がその後のあの手の映像表現の元祖だったんですね。

タッシェンは日本支社が撤退しちゃったんで、邦訳版は残ってるのだけ販売してるんですよ。なくなり次第終了です。ゲット出来て良かったですね!happy01

投稿: ごみつ | 2013年5月30日 (木) 22時31分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
「カリフォルニア・デザイン」展、6月3日までなので
もしもお時間がありましたら。

ドキュメンタリー映画では、インテリアや建築だけでなく
映像作品や展示プロデュースについても知ることができてよかったです。
デザイナーの功績だけでもすばらしいですが、特にリチャードは
その枠に納まりきれない才能の持ち主だったのでしょうね。
レイは芸術家なので、サイエンスの映像や展示にはあまり興味がなかった
ようですが、リチャードを愛し理解していたから支えたのだと思います。

TASCHENの本、お手頃価格で内容が充実していてよかったです!
同じシリーズで、他のデザイナーや建築家の本も出ているので
今のうちにチェックしておこうかしら??

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年5月31日 (金) 15時56分

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