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三菱一号館美術館 「奇跡のクラーク・コレクション」

三菱一号館美術館で開催されている、「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作」展(~5月26日まで)を見に行きました。

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クラーク美術館(Sterling and Francine Clark Art Institute)は、米マサチューセッツ州の緑美しいバークシャー地方にある、スターリング&フランシーヌ・クラーク夫妻の個人美術館です。同館の改築に伴い、今回、夫妻のコレクションの中でも特に名高い19世紀フランス絵画の世界巡回展が実現しました。

バークシャー地方は、ボストン交響楽団の夏の野外コンサートや、ノーマン・ロックウェル美術館などがあり、私も何度か訪れた大好きな場所ですが、クラーク美術館のことは実は今回初めて知りました。何か導かれるものを感じ、この企画展を楽しみにしていました。

今回は、ルノワールの作品22点を含む全76点の19世紀フランス絵画を堪能しました。印象に残った作品を、いくつかご紹介させていただきますね。

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モネの「エトルタの断崖」。モネはこの題材でいくつもの作品を描いていますが、どれも北国ノルマンディらしい寂しさと荒々しさをにじませていたように思います。それゆえにこの作品の穏やかな波、燦々と輝く明るい陽光にはっとするものがあり、心に残りました。

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ルノワールの「タマネギ」。ルノワールといえば、人物画のイメージが鮮烈ですが、静物画もすばらしかったです。私は特にこの「たまねぎ」に魅了されました。こんなに表情豊かでつややかなたまねぎを初めて見ました。まるで命が宿っているようです。

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今回の展覧会のポスターになっている、ルノワールの「劇場の桟敷席(音楽会にて)」。この作品、もとは肖像画だったのを後から描き直したのだそうです。また、右上には男性が描かれていましたが、それも上からカーテンを描くことで消されているとか。たしかに美しい少女二人の方が、ビジュアル的にいいですね。^^

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ルノワール 「鳥と少女(アルジェリアの民族衣装をつけたフルーリー嬢)」

クラーク・コレクションのルノワールは、どれも輝くような鮮やかな色彩が印象的でした。私はこれまで美術作品を見て、「欲しい」などという大それたことを考えたことはないのですが、今回初めて、所有する喜び、好きな時に好きなだけ眺める幸せ… コレクターの気持ちが少しわかった気がしました。

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(左)ピサロ 「道、雨の効果」 (右)ピサロ 「ルーヴシエンヌのヴェルサイユ街道」 どちらもよく似た構図ですが、左は石畳の道が雨に濡れているのがわかります。表現の豊かさに感動しました。

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最後にちょっと変わった作品。オリエントな作風で知られるジェロームの「蛇使い」です。新聞の美術評で見て、気になっていました。ジェロームはトルコやエジプトを旅行してから、異文化に興味をもち、東方を題材にした作品を描くようになったとか。

ただしこの作品は、背景のブルーのタイルはイスタンブールのトプカプ宮殿、蛇使いの少年はエジプト、客たちの民族はバラバラで、ジェロームが想像の中で組み合わせて描いた風景なのだそうです。強烈なインパクトのある、不思議な作品でした。

三菱一号館美術館は、美術館としてはこじんまりとしていますが、欧米の重厚な古いお屋敷のような趣があり、今回のような個人のコレクションを展示するにはぴったりの空間だと思いました。幸せな時間がすごせました。

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コメント

こんばんは。cherry

この展覧会、駅地下とかでポスターを見て、きれいだな~って思ってました!クラーク美術館って、はじめて知りましたが、アメリカでは有名な美術館なんですね。

モネの作品、どれも素敵ですね。セレンディピティさんが、「コレクターの気持ちがわかる」っておっしゃってるのがうなずける感じです。
「タマネギ」の絵、ホント見事。

ジェロームの「蛇使い」は不思議な雰囲気の作品ですね。男の子のお尻がかわいくって気になります。(笑)

三菱一号美術館は、あのこじんまりとした雰囲気が私も大好きです!heart

投稿: ごみつ | 2013年5月14日 (火) 01時01分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
この展覧会、ポスターの写真だけでもその美しさが目を引きますよね。
クラーク美術館、個人の美術館ですし
大都市から離れた、交通の不便な場所にあるので
アメリカでもおそらく知る人ぞ知る美術館だと思います。

クラーク氏は、シンガーミシンの創業者のお孫さんで
フランスの女優フランシーヌとはパリで出会ったとか…
個人美術館の場合は、美術館の成り立ちや作品の収集にもドラマがあって
そうしたエピソードを知るのもまた楽しいです。

クラーク・コレクションのルノワールは
どれも華やかな輝きがあってすばらしかったです!
いつまでも眺めていたくなりました。

ジェロームの「蛇使い」、やっぱりおしりが気になりますよね。^^
私の好みとはちょっと違いますが、これはこれですばらしかったです。

三菱一号館美術館、クラシックな洋館の佇まいが
なんともすてきで魅力的ですね☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年5月14日 (火) 09時58分

セレンさんこんにちは。
ご無沙汰しています。
すっかり初夏の陽気ですね。

『クラコレ』とても魅力的ですね。
ルノワールの玉ねぎは人物画とはまた違って新鮮でとてもステキですね。
私もこの静物画であればおうちに飾りたいと思ってしまいました。

ジェロームの「蛇使い」はセレンさんのおっしゃられるように、ターコイズブルーの壁から始まり、見れば見るほど神秘的な魅力がありますね。
さらにセレンさんのこの絵の解説を読んで、アンリ・ルソーの蛇使いの女をイメージしてしまいました。

ここのところしばらく映画や絵画に触れる時間のない私ですが、セレンさんの所でいろいろ観させて頂いて、一時の癒しを感じています。

投稿: アサ | 2013年5月14日 (火) 10時37分

ルノワールの画は白色使いとほっぺの丸みが好きです。少年少女を描くときの横顔の頬骨の丸みが好きなんです(笑)まだ私の娘が4歳くらいの時、彼女のほっぺがかわいくて自分でも何度も彼女の横顔を描いたことがあります。幼児、それも女の子のほっぺは赤くて丸くて描きたくなる要素を持っていると思います。劇場の桟敷席の右側の女の子の頬、かわいいですね。あと玉ねぎのてかった白!フェルメールなどもそうですが、白の働きって素晴らしいですね。

私も一日中好きな絵を眺めていたいです。

投稿: Schatzi | 2013年5月14日 (火) 10時57分

こんにちは~。
こちらの展覧会、行かれたのですね!
楽しみに観ている番組「ぶらぶら美術・博物館」で紹介されて、
素敵だなーと思っていました。
三菱一号美術館は、私としてはアクセスがいいし、
なぜか好みの展覧会をやっていることが多くて、大好きです。
ついでにお買い物もできますし♪

投稿: linen | 2013年5月14日 (火) 15時23分

三菱一号館の近くはよく行きますが入ったことがありません
今度行ってみます。
また、コメントに伺います

投稿: イザワ | 2013年5月15日 (水) 08時19分

☆ アサさま ☆
こんにちは!
ここのところ、急に暑くなりましたね。

クラコレ、よかったですよ。
たまねぎの絵は、瑞々しく生き生きとしてとてもおいしそうでした。^^
ジェロームの蛇使いは、エキゾチックな雰囲気が魅力的で
一度みたら忘れられないインパクトがありました。

今、ルソーの絵を題材にした原田マハさんの「楽園のカンヴァス」という
本を読んでいて、ルソーがジェロームに傾倒していたことを知りました。
この絵もルソーの蛇使いの女に影響を与えたのかもしれませんね。

アサさん、お忙しそうですが、お体大切になさってくださいね☆
コメント、ありがとうございました。

投稿: ☆ アサさま ☆ | 2013年5月15日 (水) 08時23分

☆ Schatziさま ☆
こんにちは。
ルノワールの人物画、特に子供を描いた作品は
明るさと豊かさ、生命力にあふれていて、見る人を
幸せにしてくれますね♪

Schatziさん、お嬢さんの横顔を描かれていたのですね。わかります!
私も赤ちゃん特有のソラマメみたいな横顔(笑)が好きで
小さい頃、よく息子の横顔を描いていましたよ。
母親って似たようなことをするんですね。驚きました。

女の子は特にかわいらしいでしょうね。
ルノワールも圧倒的に少女や女性の絵が多いですから
その美しさに魅せられていたのでしょうね。

楽しい時間がすごせました。

投稿: ☆ Schatziさま ☆ | 2013年5月15日 (水) 08時37分

☆ linenさま ☆
こんにちは。
linenさん、TVでご覧になったのですね。
私も見てみたかったです。
クラコレ展、とってもすてきでしたよ。

三菱一号館美術館は、家の前からバス一本で行けるので
便利なんです。
建物の佇まいや展示室、中庭の雰囲気…
私も大好きな美術館のひとつです♪

投稿: ☆ linenさま ☆ | 2013年5月15日 (水) 08時54分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
イザワさんは、以前よく三菱一号館のお写真を
撮られていましたね。
クラシックで重厚な佇まいが絵になりますね。
中もすばらしいので、機会がありましたら是非。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2013年5月15日 (水) 09時02分

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