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東京都写真美術館 「世界報道写真展2013」

東京都写真美術館で開催されている「世界報道写真展2013」を見に行きました。毎年オランダで開催されている「世界報道写真コンテスト」の今年の受賞作品の中から、9部門約160点が展示されています。

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今年の受賞作品は、パレスチナ自治区ガザ、シリア、スーダンといった紛争地域における衝撃的な写真が多く、そのメッセージのあまりの重さに心がずっしりと押しつぶされる思いがしました。

こうした紛争について、報道では毎日のように目にしていますが、いつしかその状況に受け手としてすっかり慣れ、遠い国のできごととして捉えてしまっている自分がいます。辛い写真が多いですが、写真を通じて改めて世界の厳しい現実に目を向け、真剣に向き合うことができたのは、よかったと思いました。

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大賞を受賞したのは、スウェーデンの写真家ポール・ハンセン氏の写真です。パレスチナ自治区ガザで、イスラエルのミサイル攻撃によって死亡した2歳と3歳の幼い兄弟の亡骸を抱きかかえ、葬儀場所に運ぶ男たちの姿が描かれています。

広角でとらえた構図からあふれ出るような、慟哭する男たちの悲しみと苦しみ、そして怒り。抱きかかえられた子供たちのあまりに幼く、穢れを知らない無垢な表情に、たまらない気持ちになりました。

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エルサルバドルのドラッグ・マフィアの組写真には、映画「闇の列車、光の旅」(Sin Nombre)を思い出しました。映画はメキシコが舞台でしたが、エルサルバドルにも同様の組織があり、今や南北アメリカで最も危険な国のひとつとなっているそうです。

リオデジャネイロのスラム街の写真も衝撃的でした。ブラジルでは来るワールドカップサッカーやオリンピックの準備が着々と進む一方で、こうした暗部がなおざりになっている… と知った矢先に、このところのデモ。あまりにタイムリーで、驚きました。

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ナイロビ郊外のゴミ廃棄場で、拾った本に見入る女性。絵画風の静謐な写真にふと心を奪われました。ゴミ廃棄場は有害ガスが出て危険なので立ち入り禁止にすべきですが、使えるもの、お金にになるものを探す人が後を絶ちません。

武装警官が見張る中、命がけでバスケットボールをするソマリアの女性たちの姿も衝撃的でした。イスラム国であるソマリアでは女性がスポーツをすることに理解がなく、不適切とみなすと、手足を切断することもあるそうです。

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最後に生命力あふれる皇帝ペンギンの写真を。皇帝ペンギンは海の中ではものすごいスピードで泳いで天敵から逃れますが、体が大きいので陸地に上がるのがひと苦労。羽毛に蓄えた空気を使って加速し、ジャンプするのだそうです。

今年の受賞作品は、こちらのサイトで見ることができます。
camera WORLD PRESS PHOTO 2013

また、過去の感想はこちら。
pencil 世界報道写真展2012
pencil 世界報道写真展2011

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美術館・博物館」カテゴリの記事

コメント

皇帝ペンギンのジャンプ上陸は迫力ありますよ。TVをあまり観ない私ですが、CSのアニマルプラネットなどのドキュメンタリーはけっこう観てます。助走というか、水中での高速遊泳で勢いをつけて陸上に飛び上がるのですが、着陸というか墜落みたいな勢いで氷上に降り立ちます。あれ、痛くないのかと思うほどです。
ちなみに、ネット上では報道というより、下種の趣味で世界各地の悲惨な映像をアップしているHPがあります。吐き気を催すようなヒドイ映像ばかりで、報道におけるモラルの在り方を考えさせられます。

投稿: ヌマンタ | 2013年6月26日 (水) 12時19分

こんにちは。

今日は一日雨でしたね。
休みだったので、家でひきこもってました。

世界報道写真展は、セレンディピティさん毎回いらっしゃてますよね。以前の記事もよく覚えています。camera

今回の大賞の写真も、写真に力のある作品ですね。
他の作品もそうですが、構図だとか、色彩だとか、技術的な事以上に、写真に中に込められたテーマとか、被写体の本質を訴える力があるかどうかが、報道写真展で賞をとれるかどうかの大きなポイントになっていそうですね。

例えば記事で紹介されてる、「ナイロビのゴミ廃棄場で本を読む女性」の写真の中にはとてもたくさんの問題が象徴されてますよね。この写真には私も心奪われました。

一転して、皇帝ペンギンとか、Nature Photographyにはいつでも心が洗われる気がしてほっとします。penguin

投稿: ごみつ | 2013年6月26日 (水) 18時39分

☆ ヌマンタさま ☆
こんにちは。
私、ペンギンが大好きなんです。^^
大人の皇帝ペンギンは小学生くらいの大きさと重さがありますが
手も使わずに陸地に上がるなんて、すごいことですよね。@@
羽毛にたくわえた空気をジェットみたいに噴出させて
飛び上がるのでしょうか?? 実際に見てみたいものです。

多くのジャーナリストは良心と使命に従って取材している…
と信じたいですが、より刺激的な映像を求めて
本来の目的を見失ってしまっている写真家もいるかもしれませんね。
かつても、写真に撮るより、目の前の人を助けるべきだ
という議論が起こったことがありましたし…
なかなか難しい問題ですね。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2013年6月27日 (木) 13時26分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
今日は気持ちよく晴れましたね。
昨日はごみつさんはお休みでしたか。生憎のお天気で残念でしたね。

世界報道写真展、覚えてくださっていて、ありがとうございます。
衝撃的な写真も多かったですが、見てよかったと思いました。

報道写真は厳密にはアートとは違うかもしれませんが
どうしたら訴えたいメッセージをより正確に強く伝えることができるか
という意味では、やはりその表現方法が
重要なカギとなってくるのでしょうね。
一枚の写真の中にも、ドキュメンタリー映画を見ているような
重みを感じることがありますね。

深刻な写真が多い中、自然やスポーツをテーマにしたもの
外国の珍しい風習を描いた作品などを見ると
ほっとして、心が和みます♪

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年6月27日 (木) 13時53分

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