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歌舞伎座新開場 杮葺落六月大歌舞伎 第一部

歌舞伎座に、杮葺落六月大歌舞伎 第一部を見に行きました。まずは軽く「其俤対編笠 鞘當」、「六歌仙容彩 喜撰」を楽しんでから、最後に近松門左衛門の名作「平家女護島 俊寛」を堪能しました。

Kabukiza_201306

其俤対編笠 鞘當 (さやあて)
桜満開の吉原仲之町。恋敵の二人の侍、不破伴左衛門(中村橋之助)と名古屋山三(中村勘九郎)は、すれ違い際に互いの刀の鞘が当たったことから斬り合いになりますが、茶屋女房のお駒(中村魁春)が止めに入ります…。

(恋の)鞘当ての語源となった一幕。ドラマとしてはたわいなく、黒地に稲妻を着た剛腕の不破、はなだ色(薄青色)に濡れ燕を着た優男の名古屋、二人の侍の個性の違いと美しい立ち回り、流麗な七五調のセリフのやり取りを楽しみました。

六歌仙容彩 喜撰 (きせん)
春爛漫の京都東山にやってきた喜撰法師(坂東三津五郎)は、通りがかった祇園の茶汲女 お梶(中村時蔵)を口説くも、ふられてしまいます。喜撰はしかたなく、迎えにきた弟子の所化たちとにぎやかに踊り、帰っていきます…。

六歌仙のひとり 喜撰法師の軽妙な踊りを楽しむ舞踏劇。喜撰法師の飄々としたコミカルな踊りと、お梶さんの艶やかな美しさ。息の合ったコンビネーションに、気持ちがうきうきと華やぎました。ずらりと並んだ所化たちの踊りも圧巻。お坊さんのラインダンス?といった趣で楽しかったです。

平家女護島 俊寛 (しゅんかん)
鬼界ヶ島(現在の硫黄島)に流刑となった、俊寛(中村吉右衛門)、成経(中村梅玉)、そして康頼(中村歌六)。苦しい流人生活の中、成経が島で知り合った海女の千鳥(中村芝雀)と結婚することになり、3人はしばし喜び合います。

そこに都から赦免船がやってきて、3人の帰京が決まりますが、千鳥の乗船が許されません。悲嘆にくれる千鳥を見て、また都で待つ妻が殺されたと知った俊寛は、使いの瀬尾(市川左團次)を殺し、自分の代わりに千鳥を船に乗せます。遠く離れゆく船を見送り、俊寛はひとり絶望に打ちひしがれます…。

冒頭、長年の流人生活で身も心もぼろぼろになった俊寛がよたよたと舞台に現れるや、ぞくっとして、たちまち物語の世界に引き込まれました。3人の流人を支えるのは、いつか都に帰るぞ、という思い。そんな中にも小さな幸せはあり、成経と千鳥がお酒に見立てた海水で祝言を上げる場面には胸が熱くなりました。

赦免船に乗ってやってくるのは、赤ら顔の悪い使者 瀬尾と、白塗りの良い使者 丹左衛門尉基康(片岡仁左衛門)の2人。この赤ら顔の瀬尾がわかりやすく悪者で、「俊寛の赦免状はない」とか「千鳥は乗ってはだめだ」とか「俊寛の妻はもう殺された」とか、次々と嫌なことを言うのです。

腹が立ちますが、瀬尾がちゃんと悪者であるからこそ、俊寛の気持ちの変化が痛いほどに伝わってきました。あれほど帰京を待ち焦がれていた俊寛が、若い二人のために自分が犠牲になり、道を譲ろうとするのですから…。千鳥の純朴なかわいらしさ、一途さがまたいじらしくて、余計に胸に迫りました。

ラストの場面は圧巻でした。遠く離れゆく船を目で追って、たったひとり島に残された俊寛が岩山に上りますが、それとともに舞台がぐるりと回り、波が迫ってくるのです。映画でしたら、カメラがゆっくり旋回しながら空に上がっていくところでしょうが、それを舞台を回すことで表現しているのに感動しました。

広い太平洋にぽつんと浮かぶ島に、たったひとり取り残された俊寛の孤独と絶望が迫ってきて、胸がぎゅっと締め付けられました。

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コメント

今晩は。cherry

新しい歌舞伎座が出来てから、コンスタントに観劇に行かれてますね!
もしかして杮葺落のセットのチケットですか?

歌舞伎の演目、ほとんど知らないのですが、記事を読ませていただくとどれも地味目ながらも面白いお話の演目ですね。

「六歌仙容彩 喜撰」のお坊さんのラインダンスがとっても気になります!(笑)

それとメイン(?)の出し物の「平家女護島 俊寛」も、お話に深みがあってとても良さそうです。硫黄島に一人で取り残されるなんて・・・。

以前、新島へ旅行に行った時に、流刑地跡を見に行ったのを思い出しました。wave

投稿: ごみつ | 2013年6月29日 (土) 01時14分

☆ ごみつさま ☆
こんばんは。
セットのチケットではないのですが、杮落しは代表作品が多く
キャストも豪華なので、一番お安い席で、できるだけ
見に行こうと思っています。
でも、来月からは学校もお休みになるし、しばらく無理かな…?

「喜撰」は、コミカルで楽しい作品でした。
代々、三津五郎さんのお家芸という演目だそうで
さすがにはじけ具合も絶妙で、見応えがありました、
最後にお坊さんがずらりと並んで踊るのは壮観でした☆

「俊寛」は、近松門左衛門のみごとなドラマと
俊寛を演じる吉右衛門さんの演技がすばらしく
心を打たれました。
ラストの舞台効果にも意表を突かれました。
私は映画のキャストアウェイを思い出しましたが^^
太平洋に浮かぶ小島の風景がはっきりと目に浮かびました。
お気に入りの演目のひとつになりました☆

新島にも流刑地があったのですね。
なにもない島にひとり取り残されるとはどんな生活か…
ちょっと想像ができませんね@@

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年6月30日 (日) 00時19分

軽い話に、楽しくなる話、そしてシリアスな話と、
色々なジャンルの歌舞伎のオムニバス。
私は、歌舞伎を暫く・・・本当にかなり暫く
観に行っていませんが、楽しそうですね!

投稿: イザワ | 2013年6月30日 (日) 02時33分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
最初に軽めの楽しい作品でウォーミングアップしてから
近松門左衛門の重厚なドラマ… と
バランスのとれた組み合わせでした。
最後の「俊寛」は悲劇ですが、心に響く作品で
私はとても気に入りました☆

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2013年6月30日 (日) 10時13分

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