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「偽りの人生」

ヴィゴ・モーテンセン主演のアルゼンチン映画、「偽りの人生」(Todos Tenemos un Plan / Everybody Has a Plan)を見ました。ヴィゴが一卵性双生児を一人二役で演じるサスペンスドラマ。新人アナ・ピターバーグ監督のデビュー作で、「瞳の奥の秘密」のキャストとスタッフが参加しています。

Todos_tenemos_un_plan

アルゼンチンの首都ブエノスアイレス。医師のアグスティン(ヴィゴ・モーテンセン)は、美しく聡明な妻と裕福な暮らしを送りながらも、心には空虚な思いを抱えていました。そんなある時、長らく音信不通だった一卵性双生児の兄ペドロ(ヴィゴ、二役)が突然訪れ、末期がんであることを告白。自分を殺すよう懇願します。

最初は困惑するも、衝動的にペドロを殺してしまったアグスティンは、自分が死んだことにしてペドロになりすまし、故郷ティグレに帰ります。しかしペドロは裏で犯罪に手を染めており、アグスティンも否応なくその闇に巻き込まれてしまいます…。

Todos_tenemos_un_plan_1

ヴィゴ・モーテンセン主演で、「瞳の奥の秘密」のスタッフによる作品、ということで期待して見ました。ヴィゴは3~11歳までアルゼンチンで育った縁があって、ピターバーグ監督との偶然の出会いからデビュー作に主演することになり、思いがけないビッグ・プロジェクトに発展したようです。

見ている時は暗いな~と思っていたのですが、後からじわじわと、人生の価値とは何か?あれこれ考えさせられる作品でした。それというのも、ヴィゴの演技がすばらしかったから。ひげもじゃでむさ苦しいヴィゴも、なかなか魅力的でした。お勧めはしにくいですが、私は見てよかったと思いました。

他の人間に生まれ変わって、別の人生を歩いてみたい、と願うアグスティンの気持ちはわからなくもないけれど、もしもその人物が犯罪者だったら…。ペドロになりすましたアグスティンは、故郷に帰ったとたん、殴られ、罵倒され、挙句の果てには逮捕されてしまいます。

それでも、もとのアグスティンにもどろうと思わなかったのは、それまでの人生に全く未練がなかった、ということでしょうか。(もっともアグスティンにもどったら、今度はペドロ殺しの犯人ですが) 子どもの頃からおとなしい優等生だったアグスティンは、悪ガキだった兄のペドロが実はずっとうらやましかったのかな?

それにしても、夫が自分との結婚生活よりも犯罪者の人生を選んだ、と知った妻の衝撃と怒りは想像して余りあるものがあります。アグスティンは、気の強い妻より、おとなしく従順なロサといる方が、今は心安らぐのかもしれないけれど、はたしてこれからうまくやっていけるのかな…。

人生をやり直したいのなら、ちゃんと妻と向き合って決着をつけるべきだったと思いますが、それを言っては映画になりませんね。^^; 衝動的に起こした行動の先に、ほんとうの人生を見つけたアグスティンですが、行く末の破滅が予感されて、切ない余韻が残りました。

Tigre

舞台となったティグレは、ブエノスアイレスの北30kmほどのところにある水郷の街。映画で見ると貧しくて寂しい印象でしたが、実際にはブエノスアイレスから気軽に行ける人気の観光地だそうです。映画はオフシーズンに撮影したのでしょうが、ちょっと意外で驚きました。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。cherry

この映画、知りませんでした。
セレンディピティさんは、公開中の映画をよくきちんと調べて、良さそうな作品を探してくるのがうまいですよね~。

この映画はスペイン語?英語?

記事を読ませていただくと、内容も深そう。ヴィゴ・モーテンセンの演技が楽しみになってくる感じですね!

いつか見てます。happy01

投稿: ごみつ | 2013年7月16日 (火) 23時46分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
映画は、iPhoneにMovieWalkerのアプリを入れているので
それで新作映画をチェックすることが多いかな?
あとは、新聞の映画評なども参考にしています。^^

この映画はスペイン語です。
ヴィゴがアルゼンチンで育ったというのは、今回初めて知りました。
Wikiを見ると、彼はこの他いくつもの言語が話せる
語学の達人みたいですね。@@

暗いし、ハリウッド映画に比べてテンポがゆっくりなので
一般受けはしないと思いますが、なかなか味わい深い作品でした。
やっぱりヴィゴがいいんですよね…。
クローネンバーグ作品に雰囲気が近いかな?

いつか機会がありましたら、ご覧になってみてください。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年7月17日 (水) 11時46分

セレンディピティさま☆
コメントありがとうございました。
お菓子作りがお好きなのですね。

私も主婦なのでどうしても真実を知った時の衝撃が身につまされてしまいます。
いじめられっこだった彼が、兄を羨ましく思っていたと~~なるほどなぁと思いました。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2013年7月24日 (水) 00時33分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
コメント&TB、ありがとうございます☆

妻ときちんと向き合わないアグスティンは
卑怯だなあと思いましたが、突然何もかも嫌になって
投げ出してしまいたかったのかもしれませんね。

アグスティンの中に、実はペドロ的なものが潜在的にあったのかな?
とかいろいろ考えてしまいました。

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2013年7月24日 (水) 14時25分

こんばんは。

ヴィゴ、ファンではないのですが、彼は味のある俳優ですね。
出演する映画は、どれも彼の存在感たっぷりで素晴らしい俳優だと思います。

双子と言えど性格は異なりますが、根本的に二人は同じ感性を持っていたのかと思いました。

投稿: margot2005 | 2013年8月 4日 (日) 21時54分

☆ margot2005さま ☆
おはようございます♪

ヴィゴ、味わいのあるすてきな俳優さんですね。
出演する映画は、結構クセのある作品も多いですが
そこがまたヴィゴらしいな、と思います。

一見したところでは、真逆の二人でしたが
内面には同じものを持っていたのかもしれませんね。

投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2013年8月 5日 (月) 08時32分

アグスティン・・ヘタレすぎですよね。引きこもりかよw
ペドロがアグスティンに「俺はガンだ。殺してくれ」と言ったのにバスタブでじたばたしたシーンは
ああ、生きるって本能なんだな・・と思いました。あのシーンは凄かったな。
なかなか良い作品なのに何故かアグスティンに感情移入できないんだよなぁ。奥さん馬鹿にしすぎだろ。あの奥さんの気持ちわかるわ。

投稿: ブリ | 2013年9月29日 (日) 06時56分

☆ ブリさま ☆
ブリさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

アグスティン、きちんと妻と向き合わない姿に共感できませんでしたが
今まで言いたいことを言えずに、ここまできてしまったのかもしれませんね。
それが結果的に、あのような行動をひき起こすことになってしまった…。
バスタブのシーン、印象的でした。
死は予告なく、突然やってくるものなのですね。^^;

投稿: ☆ ブリさま ☆ | 2013年9月29日 (日) 09時35分

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