« 「タイピスト!」 | トップページ | 夏野菜とソーセージのオイル蒸し煮 / グルスキーな風景 »

国立新美術館 「アンドレアス・グルスキー展」

国立新美術館で開催されている、「アンドレアス・グルスキー展」(~9月16日まで)を見に行きました。ドイツの現代写真家、グルスキー氏による日本初の個展です。写真を表現手段とした、全く新しいタイプのアートに衝撃を受けました。

Gursky_1_2

今、世界で最も注目されている写真家のひとり、アンドレアス・グルスキーの作品展ということで楽しみにしていましたが、作品を拝見して、はたして氏を写真家とよんでいいものか、ふと考えてしまいました。なぜなら彼は、画像という素材に加工に加工を重ね、全く新しい作品を作り出しているから。

視覚が捉えた風景そのものではなく、画像を補正・加工することで、心に投影されたイメージを形にしている、といったらいいでしょうか…。うまく説明できませんが、作品の多くは、縦横2m、3mを超える大きなもので、まずその迫力に圧倒されました。

上のフライヤーの作品は、「カミオカンデ」(岐阜県にあるニュートリノ検出装置)です。グルスキー氏は雑誌の記事を見て着想を得たそうですが、無限の光が作る整然とした幾何学模様の美しさに息を呑みました。後から付け加えられたという水と小舟が、幻想的な風景を作り出しています。

Gursky_2

「99セント」。ロサンゼルスのディスカウントストアを撮影し、加工した作品で、はるかかなたまで、ありえないほどたくさんの日用品が整然と並んでいます。アメリカの消費社会を表現したこの作品、ウォーホルの「200個のキャンベル・スープ缶」(記事はコチラ)に通じるものを感じました。

Gursky_3_2

「ライン川 Ⅱ」。サイズは約40×70cm。川の対岸に密集する建築物はデジタル処理で消され、川、土手、道がどこまでも水平に続いています。写真というより、心象風景を描いた一枚の絵画のよう。淡い色彩の静かな風景に、デンマークの画家ハンマースホイを思い出しました。

Gursky_4

「バーレーン Ⅰ」。砂漠の中のサーキット場でしょうか。白と黒のコントラストが美しく、これまた抽象絵画のよう。

Gursky_8

「パリ、モンパルナス」は、横4m以上ある大きな作品。2地点から撮影された画像を組み合わせ加工することで、水平にどこまでも続くアパルトマンが表現されています。

「フランクフルト」という作品も印象的でした。フランクフルト空港の発着便案内が、縦横びっしりと並んでいます。「パリ、モンパルナス」と構図は似ていますが、24時間眠らない現代社会を表現しているように感じました。

Gursky_14

「東京証券取引所」。氏が1990年に来日した時、新聞の写真を見て着想を得たそうです。同じテーマで「シカゴ商品取引所 Ⅲ」という作品も展示されていましたが、東京のダークスーツに対して、シカゴはカラフルな服装だったのが、それぞれの社会をうまく描き分けていておもしろかったです。

Gursky_13_2

「バンコク」のシリーズから。バンコクと題された作品が7点ありました。どの作品も、川面に光が当たった部分とそうでない部分とが、モノトーンの美しいコントラストを作っていますが、よく見るとおびただしいゴミが浮かんでいて現実に引き戻されます。

このほか、北朝鮮のマスゲームを圧倒的なスケールで表現した「ピョンヤン」、衛星から撮られた大海原を紺碧の青で表現した「オーシャン」など、どの作品も印象的でした。

|

« 「タイピスト!」 | トップページ | 夏野菜とソーセージのオイル蒸し煮 / グルスキーな風景 »

美術館・博物館」カテゴリの記事

コメント

こんにちは~セレンディピティさん
カミオカンデはこんなにステキだったのですね。
この写真家を存じ上げませんが、作品を一目見て気持ちいい~と思いました。
実際目の前にはしていませんが、“同じものがいくつも並ぶ”のが好きで、“部分的にポイントや崩れている”のも好きでそう感じたのだと思います。
見ていくほどに色々感じさせてもらえるのでしょうか♪

投稿: aki | 2013年9月 7日 (土) 16時03分

☆ akiさま ☆
akiさん、こんにちは♪
私もこの写真家さん、今回の展覧会で初めて知りましたが
今、現代アートの世界でとても注目されている方です。
この方の作品の魅力と迫力は、ことばで説明できないですし
PCの小さな画像ではとてもお伝えできないので、
ほんとうは実際にご覧になっていただくのが一番ですが…

一見、現実にある風景に見えますが、
決して見ることのできない世界が広がっています。
そこに作者のメッセージが込められているのでしょうね。

今日、駅でカミオカンデの大きなポスターを見かけましたが
やっぱりすごいな~と改めて見入ってしまいました☆

投稿: ☆ akiさま ☆ | 2013年9月 7日 (土) 18時42分

こんばんは!cherry

グルスキー展、行かれたんですね!
セレンさんの記事とアップされた作品を見て、私も鑑賞した時の印象がまざまざとよみがえってきました。happy01

彼の作品はそれもけっこう大きくて迫力あるし、大きな作品だからこその作風でもありますよね。

私もこの展覧会はとても気に入りました。理由の説明は難しくて、「好きだから」としか言えない感じ。

写真もふくめて原題アートは、作家と自分の感性の相性が重要ですよね~。

投稿: ごみつ | 2013年9月 7日 (土) 23時08分

いつもコメントありがとうございます。

写真展、バタバタしておりますが、お陰様でかなり多くの皆様に
ご来場頂いており、開館から閉館まで立ちっぱなしで、ご説明を
させて頂いております。
ブログを皆さんで盛り上げて頂いているおかげです。
ありがとうございました。

投稿: イザワ | 2013年9月 8日 (日) 03時24分

☆ ごみつさま ☆
こんばんは。
グルスキー展、よかったですね!
すごくインパクトがあって、衝撃を受けました。

新聞の美術評に「99セント」の写真が載っていましたが
小さい写真では、この作品のメッセージは伝わってこない
実際にあの大きさで作品を見なくては、と思いました。

写真であって写真でない
写真を超えた現代アートでしたね。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年9月 9日 (月) 00時39分

☆ イザワさま ☆
こんばんは。
写真展、多くの方が見にいらして大成功だったようですね!
おめでとうございます。
イザワさんのすばらしい作品に、皆さま喜ばれたことと思います。

この写真展がご縁で、また新しい世界が広がるかもしれませんね。
これからのさらなる飛躍を応援しています♪

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2013年9月 9日 (月) 00時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1151970/53151060

この記事へのトラックバック一覧です: 国立新美術館 「アンドレアス・グルスキー展」:

» 遅ればせながら8月のあれこれ [ごみつ通信]
今年の夏は本当に暑かったですね~。しかも10月に入ってからも夏日があったり、きつ [続きを読む]

受信: 2013年10月20日 (日) 16時51分

« 「タイピスト!」 | トップページ | 夏野菜とソーセージのオイル蒸し煮 / グルスキーな風景 »