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「大統領の料理人」

ミッテラン大統領のプライベート・シェフを務めた女性料理人の奮闘を描いた映画、「大統領の料理人」(Les Saveurs du Palais / Haute Cuisine)を見ました。登場するおいしそうなお料理の数々にワクワク。妥協を許さないプロの仕事ぶりに感服しました。

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フランスの田舎でお料理学校と小さなレストランを営んでいたオルタンス(カトリーヌ・フロ)は、ある日突然、彼女のお料理を知る一流シェフ ジョエル・ロブションの推薦で、ミッテラン大統領のプライベート・シェフに抜擢されます。

新しい仕事場は、パリ中心部にあるエリゼ宮殿とよばれる大統領官邸の厨房。しかしそこは、古くからの厳格な秩序と規律のもとに男性料理人たちが働く保守的な世界で、オルタンスはたちまち孤立してしまいます。そんな中、彼女はただ大統領が喜ぶことを願い、心を込めて最高の味を追求していきます…。

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おいしいものが好き、主演のカトリーヌ・フロが好きなので、楽しみにしていた作品。映画はいきなり白く凍てつく南極の大地から始まり、意表を突かれましたが、モデルとなったダニエル・デルプシュさんは、大統領の料理人を2年務めた後、なんと南極基地の料理人になられたそうです。

大統領のプライベート・シェフというキャリアがあれば、どこのレストランからも引く手あまただったと思いますが、あえて最果ての地を次の仕事場に選んだことに、彼女のエリゼ宮での2年間がいかに過酷だったかが、伝わってくる気がしました。

選ばれし一流のシェフたちがしのぎを削るエリゼ宮の厨房。美食家で知られる大統領は、公務以外の食事では、飾らない家庭料理を食べたいとの思いから、オルタンスを雇い入れましたが、男性シェフたちはそんなオルタンスに嫉妬し、大人げない嫌がらせをします。

彼女を支えたのは、おいしいお料理を作って大統領を喜ばせたいという思いでしたが、公務に忙しい大統領と顔を合わせることもままならず、ただ給仕係の話を聞き、もどってきたお皿を見て、気に入っていただけたかどうか、気持ちを推し量るしかありません…。

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しかし彼女のひたむきな努力は、お料理を通じて大統領の心に届いていたのです。ようやく大統領と話す機会を得て、盛り上がるお料理談義。大統領に、「実は政治よりもお料理に興味がある」とジョークを言わせるあたり、さすがはくいしんぼう大国フランスの映画だなあと、うれしくなりました。

オルタンスの得意は”シンプルな家庭料理”。しかし実際には、テーマに合わせてメニューを組み立て、最高の食材を求め、何度も試作を重ねて、ようやく一連のお料理が仕上がるのです。シンプルの裏側がいかに奥深いことか。妥協を許さないプロの仕事を垣間見ました。

大統領の家族のパーティのために、伝統的な郷土料理を用意することを決めたオルタンスが、ぼろぼろの古い料理書と格闘して古いレシピを調べる場面は、特に心に残りました。それから夜の厨房にふらりとやってきた大統領とつまむ、トリュフたっぷりのタルティーヌ。数々のシーンが印象的でした。

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コメント

フランス料理、けっこう好きです。そりゃイタリアンも中華も好きですが、フレンチのしつこいほどの濃厚さは、やはり別格だと思うほどです。
ただ、フランスに行った時に強く感じたのですが、食いしん坊大国なのは間違いないのですが、それ以上に大食い大国だと思いました。
二人分のコース料理を4人で、ヒイヒイ言いながら食べましたが、前菜とスープだけで腹八分目、メインの時は苦しいぐらいでした。
まァ、その点日本のフレンチのお店はボリュームを日本人向けにしていますが、私には少し物足りない。本国並みとはいいませんが、気取らずにボリュームたっぷりのフレンチ料理が気軽に食べられると嬉しいのですがねぇ。

投稿: ヌマンタ | 2013年9月27日 (金) 12時27分

こんにちは~。
私もカトリーヌ・フロのファンです。
彼女が作る「伝統的なフランス家庭料理」、最近の”洗練された”ヌーベル・クイジーヌとは随分違ってボリューム満点ですね。
ミッテラン大統領のお好みが家庭料理で、政治よりも料理に興味があるなんて意外な感じでしたが、親近感がわきました。
モデルとなったダニエル・デルプシュさんのユニークな人生に乾杯!

投稿: ryoko | 2013年9月27日 (金) 14時23分

こんにちは☆
大統領のお料理食べられるお店、情報ありがとうございました。
期間を過ぎてしまったところもあるけれど、なんとか何処かで味見してみたいと思います。
結局コージーコーナーのサントノレで諦めそうな予感もしますが・・・

投稿: ノルウェーまだ~む | 2013年9月27日 (金) 19時05分

まるで、セレンディピティさんのために作られた映画のようですね^^
戻ってくるお皿を見て、お客さまの満足度を確認して次に活かすと
いう話は聞いたことがありますが、難しそうですね。
私も、突然、凄いクライアントから専属撮影依頼が来ないかな~・・・
ある訳ないか~(爆笑

投稿: イザワ | 2013年9月28日 (土) 00時58分

☆ ヌマンタさま ☆
こんにちは。
フランス料理、おいしいですが、やはりボリュームが…
バターをふんだんに使うので、よけいにおなかにもたれるのだと
思います。
とはいえ最近のフレンチは、イタリア料理の影響を受けて
バターの代わりにオリーブオイルを使ったり、と
だいぶヘルシーになってきているようです。
なんにせよ、楽しくおいしくいただくのが一番ですね。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2013年9月28日 (土) 17時45分

☆ ryokoさま ☆
こんにちは。
カトリーヌ・フロ、野暮ったい…という役柄でしたが
とってもエレガントでしたね。
技巧をこらさず、素材の持ち味を生かしたお料理は
どれもおいしそうでした。
デルプシュさんのお料理、食べてみたい♪と思いましたが
今はニュージーランドにいらっしゃるのですね??
彼女の予測不可能な?破天荒な生き方にも魅せられました。

投稿: ☆ ryokoさま ☆ | 2013年9月28日 (土) 17時59分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
お料理、気になりますよね。
もし機会がありましたら…
コージーコーナーのサントノレ、私も食べてみたいです♪

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2013年9月28日 (土) 18時04分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
おいしいものが好きで、お料理も好きなので
楽しく興味深く見ることができました。
オルタンスは、なかなか大統領と直接お話する機会がなく
厨房でも孤立して、お仕事はかなりやりにくかったと思いますが
大統領がお料理に興味があって、気持ちを通わせることが
できたのは、ほんとうによかった、と思いました。
イザワさんもVIPのお写真をずいぶん撮られていらっしゃるから
きっといろいろ楽しいエピソードをお持ちでしょうね。^^

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2013年9月28日 (土) 18時14分

食いしん坊な私にぴったりだなぁと思いながら、記事を読みました。
この映画はとっても気になります!ぜひ見てみたいです。
お料理の映像が色々出てくるでしょうから、見ていたらお腹が空いてきそうですね(笑)

投稿: ruri | 2013年9月29日 (日) 21時04分

☆ ruriさま ☆
こんにちは♪
この作品、ruriさんもきっと気に入られると思います。
できあがったお料理だけでなく、厨房で作っている様子や
材料を買い出しに行く場面もあるので、
おいしいもの好きはもちろんのこと、お料理好きにも
楽しめる作品だと思います。
映画を見た後には、きっとフレンチが食べたくなりますよ。^^

投稿: ☆ ruriさま ☆ | 2013年9月30日 (月) 11時41分

こちらにも...

カトリーヌ・フロは私も好きな女優さんです。「奇人たちの晩餐会」なんて映画もありましたが、やはり「女はみんな生きている」のフロが最高です。

映画に登場する料理のレシピが欲しいですね。作って食べたい!と切に思いました。
そうそうキッチンに大統領がやって来て、二人でトリュフのタルティーヌを食べるシーンは素敵でした。

投稿: margot2005 | 2013年10月11日 (金) 20時56分

☆ margot2005さま ☆
こんにちは。
こちらにもありがとうございます。

カトリーヌ・フロ、すてきな女優さんですね。
「女はみんな生きている」見てみたいです☆

お料理もどれもおいしそうでしたね。
サーモンのファルシーは、ちょうど秋鮭の季節でもあるし
今度チャレンジしてみようかな?と思いました。^^
オルタンスは大統領と気持ちを通い合わせていたので…
あんな形で去ることになったのはとても残念でした。

投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2013年10月13日 (日) 02時07分

私は(セレンディピティさんと対照的です)美味しいものにも、カトリーヌ・フロにも思い入れはないのですが、この映画は大変たのしく見ました。後で知りましたが南極行の動機には、報酬の良さがあったそうです。NZでのトリュフ栽培の資金にするためとか。しかし実際は60歳ですから、大した決断ですね。勇しい女性を見るのは心が鼓舞されます。

投稿: Bianca | 2015年2月27日 (金) 13時15分

☆ Biancaさま ☆
こんにちは♪
この作品、おいしそうなお料理が魅力的でしたが
女性の生き方としても興味深く見ました。

以前、昭和基地よりさらに内陸の基地に派遣された
南極料理人の方の書かれた本を読んだことがありますが
冷凍食材しか使えない、水は氷を溶かして作る、沸点が低いなど
いろいろと制約があって、南極ならではの難しさがあるようでした。

まったく違う環境に躊躇せずに飛び込む
(さらにはNZでトリュフ栽培?!)バイタリティがすばらしい!
まだまだ人生これから...励まされます。

投稿: ☆ Biancaさま ☆ | 2015年2月27日 (金) 18時28分

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