「クロニクル」
孤独な高校生アンドリュー(デイン・デハーン)の唯一の楽しみは、中古のビデオカメラを使って自分の日常を撮影、記録すること。ある日、同級生のマット(アレックス・ラッセル)、スティーブ(マイケル・B・ジョーダン)とともに近くの洞窟に忍び込むと、不思議な物体を発見。それに触れた3人は、超能力に目覚めます。
車を動かしたり、雲の上に飛び上がってみたり… 仲良くいたずらを楽しむ3人。しかしアンドリューは、後ろから煽ってきた車をスピンさせて池に落としたことを機に、超能力を悪用するようになり…。
新人監督による低予算の作品ながら全米で予想外の大ヒット、注目している若手俳優のデイン・デハーンくんが主演ということで見に行きました。当初、首都圏のみの2週間限定公開ということでしたが、好評につき今週から地域拡大、期間延長で上映されることになったようです。
インディペンデント系ならではのチャレンジ精神が感じられる佳作で、おもしろかったですが、心に痛みを覚える青春映画でもありました。撮影の多くはアンドリューのビデオカメラを通じて、という設定なので、ぶれぶれの映像もあり、あえて素人っぽくしているのが新鮮に感じられました。
家庭でも学校でも居場所がなかったアンドリューは、ともに超能力を得たことがきっかけで、初めて共感し合える仲間ができ、毎日が楽しくてたまらなくなります。しかし、「力で相手をねじ伏せる」という一線を越えてしまったことで、自分は捕食者の頂点に立つ存在だと勘違いし、暴走する悪魔へと変貌します…。
私は映画を見ていて、最近見たばかりの「マン・オブ・スティール」とどうしても比べてしまいました。スーパーマンことクラーク・ケントには、義父という最愛の理解者がいて、持てる力をコントロールすること、どのように使うかは自分次第であることを学びます。
アンドリューの過ちをすべて家庭環境のせいにはできないけれど、もし身近に信頼できて正しく導いてくれる大人がいたら、彼はどこかで踏みとどまることができたのではないか、と思わずにはいられませんでした。アンドリューの行き場のない悲しみ、怒りが、切なく心に響きました。
クライマックスではこれでもかの破壊っぷりで迫力がありました。悲劇ではあるけれど、希望が持てるラストに救われました。繊細で、若さゆえの屈折した若者をデイン・デハーンが好演。あとの2人もとてもよかったです。
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コメント
こんばんは。
あ、これ私も劇場で予告編見た!
ちょっと面白そう・・・って思ってましたが、なかなか良さそうですね!
低予算映画でも、アイデアと、脚本がしっかりしてれば(それと役者さんの魅力と)、面白い映画になるんですよね。
そういう作品に出会うと、とっても嬉しくなりますよね!
デイン・デハーン君って知らないや~。私が見たのは「リンカーン」だけみたいだけど、ちょこっとの登場シンだったんですね。
若手俳優に、ちょっとおっかけしたくなる魅力的な人をみつけるのも、映画ファンの楽しみのひとつ!!
投稿: ごみつ | 2013年10月11日 (金) 23時27分
☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
「クロニクル」ちょっとした掘り出し物といった感じで
とてもおもしろかったです♪
こういうチャレンジ精神のある小さい作品、好きなので
うれしくなりました。
デイン・デハーンくん、「リンカーン」の時は気づかなかったけど
「プレイス・ビヨンド・ザ・パインス」と「欲望のバージニア」で
気になる存在になりました。
時系列的には、先にこちらの「クロニクル」で注目されたようですね。
ちょっとクセのある役がうまいんですよね…。
「アメイジングスパイダーマン2」ではハリーを演じるそうで
こちらも楽しみです♪
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年10月13日 (日) 02時20分
こんばんは、セレンディピティさん
映画沢山ご覧になってらっしゃるのですね。
私の場合特にSFは見損ねるジャンルなのですが、
こうして伺うととっても興味が湧きます。低予算でよく出来た映画ならばまた一層~。
先日友人と「家庭環境で屈折してしまった若者」
についてを偶然話ししたばかりでした。
そういう子にも再チャレンジできる環境があるといいですね。
いつも安全パイばかり選びがちですが、私にとってこのような俳優さんも監督も知らない話題の映画を見るっていうのは楽しそうです。
投稿: aki | 2013年10月14日 (月) 19時57分
☆ akiさま ☆
こんにちは。
私も以前はSF映画は苦手で、ほとんど見ることがなかったんですよ。
最近はいろいろな方から影響を受けて
より幅広いジャンルの映画を見るようになりました。^^
この作品は、超能力が出てくるので、
ジャンルとしてはSF映画にカテゴライズされていますが
人間ドラマとしても見応えがありました。
登場するのが、ちょうど息子と同じ年頃の子たちなので
よけいに感情移入して、考えさせられてしまいましたよ。
私も、監督や俳優さんで見る作品を選ぶことが多いですが
そこから過去の作品を追いかけてみたり、魅力的な俳優さんを見つけたり
新しい世界が広がるのが楽しいです☆
投稿: ☆ akiさま ☆ | 2013年10月15日 (火) 11時49分