« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

2013年11月

東京都美術館 「ターナー展」

東京都美術館で開催中の「ターナー展」(~12月28日まで)を見に行きました。英国を代表する風景画の巨匠、ターナーの大回顧展です。ロンドンのテート美術館からきた116点(うち油絵約30点)を通して、ターナーの人生をたどりつつ、魅力を堪能しました。

Turner_4

ターナーの作品はその昔テートで見ていますが、だいぶ記憶が薄れているので、今回改めてじっくり見るのを楽しみにしていました。本展は、初期から晩年まで時系列に展示されているので、作品の変遷がわかりやすく、ターナーというひとりの画家の人生に思いを寄せることができました。

1775年、コベントガーデンの理髪店の家に生まれたターナーは、幼い頃から絵の才能を見出され、のちにロイヤル・アカデミーの正会員となります。当時の西洋絵画では、聖書や神話を題材にした作品や歴史画、王族の肖像画などが中心で、風景画は一段低いものとみなされていました。

しかしターナーは、ピクチャレスク(絵になる風景)に魅せられ、陽光や大気を繊細に、また自然の偉大さを勇壮に表現した作品で、風景画の地位を高めます。それは後にフランス印象派の画家たちに大きな影響を与えることとなりました。

ターナーといえば、帆船を描いた海景画や旅先のイタリアの風景などが思い浮かびますが、私は見たままの風景ではない、絵の中に込められたメッセージに心を動かされました。気に入った作品を、いくつかご紹介させていただきますね。

Turner_11

グリゾン州の雪崩
ドド~ンと音が聞こえてきそうな迫力ある表現に圧倒されました。臨場感あふれ、まるで報道写真を見ているようです。

Turner_5

アンデルマット付近の「悪魔の橋」、サン・ゴッタルド峠
スイスの山奥にある有名な難所だそうです。水彩で描かれた小品ですが、切り立った崖と華奢な橋を見ただけで、背中がゾクゾク、足がガクガクする緊張感を味わいました。

Turner_1_2

ヴァチカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ
一見風景画に見えますが、ヴァチカンの装飾をあれこれ思い悩むラファエロの姿がかわいい。物語を感じる作品です。

Turner_3

レグルス
敵国にまぶたを切られ、陽光で失明した将軍レグルスの逸話を描いた作品。レグルスの姿は描かれず、レグルスが見たであろうまばゆい光が心に届いて、胸を衝かれました。

Turner_7

三つの海景
ターナーがこんな抽象絵画を残しているなんて!と衝撃でした。海景は三段に重なり、一番上の段は逆さまに描かれています。

Turner_9

湖に沈む夕陽
晩年になるほどに輪郭は曖昧さを増し、未完成とされる作品も増えてきますが、近代絵画への幕開けが感じられ、個人的にはとても気に入りました。初期の頃の正確、精緻な表現を思い浮かべながら、イメージをふくらませて鑑賞しました。

なお、12月1日夜8時よりNHK「日曜美術館」にてターナー特集が再放送、また本展は東京の後、来年1月11日より神戸市立美術館にて開催されます。

| | コメント (10) | トラックバック (1)

シナモンアップルチーズケーキ &上野の銀杏

りんごの甘煮を使って、シナモンアップルチーズケーキを焼きました。先日のかぼちゃのチーズケーキと同じく、「おいしい焼き菓子のレシピ」という本からのレシピです。

2013112501

まずはスライスしたりんごをお鍋に入れてグラニュー糖を加えてふたをし、水を入れずにゆっくり煮ていきます。りんごが柔らかくなったらふたを取り、水分を飛ばします。

2013112502

砕いたダイジェスティブクラッカーに溶かしバターとシナモンを混ぜて型に敷き詰め、チーズケーキ生地の3分の1を流します。りんごの甘煮を放射状に重ね、残りの生地を流します。

2013112503

オーブンで焼き上げてできあがり。見た目はプレーンなチーズケーキですが…

2013112505

中にりんごの層があります。りんごの甘酸っぱさとチーズケーキのさわやかな酸味が絶妙のコンビネーション。素朴な味わいながらシブーストのような風味も感じられて秋にぴったり。おいしくいただきました。

Tatan

こちらは以前ご紹介した、りんごの甘煮を底に敷き詰めてチーズケーキの生地を流して作るタタン風チーズケーキ。焼いている間にりんごがキャラメリゼされて香ばしく、こちらもお気に入りのケーキです。

          apple          apple          apple

今年はなかなかゆっくり紅葉狩りする余裕がありませんが、道すがら、住宅街や街路樹、公園などの紅葉を楽しんでいます。先週、「ターナー展」を見に行きましたら、上野の森の銀杏の黄葉が、それはそれはみごとでした!

2013112506

まさにターナーが魅せられたというクロム・イエローです。

ターナー展では、ターナーが愛用していた絵具箱を見ることができましたが、昔の絵具のチューブは、なんと豚の膀胱でできていました。後に金属のチューブが出回るようになった時、ターナーは早速クロム・イエローを手に入れたそうです。

ターナー展については、後日改めてご紹介させていただきますね。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

豚肉の塩釜焼き & フロのパールネックレス

最近気に入っている「シチリアトラットリア、至福のレシピ」という本から、豚肉の塩釜焼きを作りました。塩釜焼きとは、お肉やお魚をまるごと粗塩で覆ってオーブンで蒸し焼きにする豪快なお料理。おいしさを丸ごと封じ込めて焼くことで、風味豊かに仕上がります。

2013112101 2013112102

(左)豚ロース塊肉をたこ糸でしばり、こしょうとにんにくみじん切りを全体にまぶします。(これは焼き豚用のお肉なので、もともとネットがついていました。)

(右)卵白2個をしっかり泡立ててメレンゲを作り、粗塩とエルブドプロヴァンス(ハーブミックス)を混ぜ込みます。(お肉400gに対して粗塩300gを混ぜました。)

2013112103 2013112104

(左)お肉の周りを覆ってオーブンペーパーを敷いた天板で焼きます。私は取り出しやすいよう、ちょうどいい大きさのミートローフ型を使いました。

(右)170℃で50分焼いたら、オーブンから出してそのまま1時間ほど休ませてできあがり。うっすらいい焼き色がついています。

2013112105

まわりの卵白&粗塩は、カチカチになっているのでナイフを入れて崩し、お肉をスライスします。テーブルに運んで、目の前で切り分けても。

2013112106

クレソンとベイクトポテトのアメリカンな盛り付けで。お肉は、ハーブとお塩のうまみが中までしっかり染み込んで、とてもおいしくいただきました。

          maple          maple          maple

少し前ですが、映画「大統領の料理人」を見た時に、主演のカトリーヌ・フロがいつもパールのネックレスをつけているのが気になっていました。

Haute_cuisine_1  Haute_cuisine_2_2  Haute_cuisine_4

ひょっとしたら、モデルとなったダニエル・デルピュスさんが、パールがお好きなのかもしれませんね。先日、家族のシャツを作りに行った時に、お手頃なパールのネックレス(もちろんイミテーション)があったので、ちゃっかりいっしょに買ってしまいました。

2013112110

今年はパールを、それもじゃらじゃらとつけるが流行なのか?お店でよく見かける気がします。コットンでできた軽いパールもありますが、これはビーズなのでそれなりの重さがあります。

お店の方は、メンズライクなシャツとVネックのセーターの間にさりげなく3連にしてつけていらっしゃいましたが、きりっとした雰囲気の中にも華やかさがあってすてきでした。↑はカトリーヌ・フロを意識してこぶを作ってみました。^^ 気軽にあれこれ楽しみたいと思います。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

「マラヴィータ」

ロバート・デ・ニーロ主演、リュック・ベッソン監督、そしてマーティン・スコセッシが制作総指揮を務めるクライム・コメディ、「マラヴィータ」(Malavita / The Family)を見ました。デ・ニーロ演じる元大物マフィアの家族が潜伏先のフランスの田舎町で大騒動を巻き起こします。

Malavita_5

南仏からフランス・ノルマンディ地方の田舎町に引っ越してきたアメリカ人のブレイク一家。主人のフレッド(ロバート・デ・ニーロ)は元大物マフィアで、FBIの証人保護プログラム下に置かれており、マフィアに居場所が知れぬよう、偽名で各地を転々としています。

地域に溶け込もうと努力するブレイク家の面々ですが、血の気の多い彼らは、ことあるごとに隣人たちとトラブルを起こしてしまいます。獄中からフレッドを血眼で探していたマフィアのドンは、ひょんなことから居場所を突き止め、殺し屋軍団を送り込みます…。

Malavita_4

「ゴッドファーザー」ファンの私としては、デ・ニーロがマフィアを演じるということで気になっていた作品。デ・ニーロ&スコセッシの正統派マフィア映画と思いきや?そこにリュック・ベッソンのテイストが加わって、キレのいいアクション・コメディとなっていました。

この作品、とにかくデ・ニーロ演じるフレッドをはじめ、ブレイク一家がとてもかっこいい。ゴージャスで美しい妻マギー(ミシェル・ファイファー)は、引っ越してきて早々訪れたグロッサリーストアで、これ見よがしにアメリカ人の悪口を言うご近所の人たちにキレて、お店ごと爆破してしまいます。

娘のベル(ディアナ・アグロン)は名前の通りの美少女ですが、ちょっかいを出してくる男子生徒たちをこてんぱん(死語?)にやっつけます。その弟ウォレン(ジョン・ディレオ)はなかなかの切れ者。転校してくるや校内の力関係を見抜き、みごとに裏側で牛耳るようになります…。

忘れてはいけないフレッドの愛犬、マラヴィータ。映画のタイトルにもなっていますが、イタリア語で裏社会という意味があるそうです。ブレイク一家を監視するFBI捜査官スタンスフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、フレッドとはすっかり旧友のような関係になっています。

Malavita_11_2

表向きは作家ということになっているフレッドは、隣人たちにアメリカ映画の解説を頼まれます。それがなんとデ・ニーロ&スコセッシ監督のマフィア映画「グッドフェローズ」。スタンスフィールドの制止もきかず、観衆を前にフレッドが語りつくして大喝采を浴びるところが最高におかしかったです。

それにしても、パジャマ姿でうろうろしてても、デ・ニーロはやっぱり渋くてかっこいい。アメリカ流バーベキューパーティや、ひょんなところから居場所が発覚するところ、そしてクライマックスでの殺し屋たちとのド派手なバトル…と、リュック・ベッソンワールドが楽しめました。

Malavita_7

| | コメント (2) | トラックバック (1)

「Cafe 椿」 @山種美術館

山種美術館ですばらしい日本画を鑑賞した後は、余韻のうちに館内にある「Cafe 椿」でひと休みしました。

Cafe_tsubaki (写真はHPよりお借りしました)

通りに面して自然光が窓いっぱいに入る、明るくモダンな空間です。最近、多くの美術館内のカフェやレストランで、企画展に合わせたメニューが用意されるようになりましたが、こちらのカフェでは、日本画専門美術館らしく、企画展に合わせたおいしい和菓子とお茶が楽しめます。

山種美術館にはこれまでにも何度か足を運んでいますが、この後、外でお昼をいただくことが多く、カフェに入る機会がなかったのです。この日はひとりだったこともあり、かねてからの念願の和菓子を楽しみにしていました。

Wagashi

今回の企画展、「古径と土牛」に合わせて用意された和菓子5種です。青山の老舗菓匠「菊家」さんに特注されたというお菓子。展示された名画を題材にしているところがすてきです。どれも美しくておいしそうで、迷いに迷いましたが、私が選んだのはこちら。

2013111801

奥村土牛画伯の傑作「鳴門」を題材にしたお菓子、「うず潮」です。繊細な淡い色彩の海に波とうず潮が表現され、金箔が施された美しいねりきり。外の淡青はそのまま中のこしあんとひとつになって、優しく上品な甘さが広がりました。名画の世界が凝縮された小さな芸術品です。

セットの日本茶は、金箔、花、栗の3種類がありましたが、私は日本茶には珍しい栗のお茶をいただきました。まろやかな香りに、心がふわりと浮き立ちました。

山種美術館の館長 山崎妙子さんは、華やかなお着物姿が美しいとてもすてきな方。女性らしい細やかな感性で、小さな宝石箱のような美術館を盛り立てていらっしゃる姿に心打たれます。隠れ家のような魅力のある、お気に入りの美術館です。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

山種美術館 「古径と土牛」展

山種美術館で開催中の「古径と土牛」展(~12月23日まで)を見に行きました。明治~昭和に活躍した日本画家 小林古径(こばやしこけい)の生誕130周年を記念して、古径の作品とともに、古径を師と仰いだ弟弟子 奥村土牛(おくむらとぎゅう)の作品を比較展示しています。

Kokei_13

日本画家が東洋と西洋の間で揺れ動いていたという明治後期、欧州留学した古径は、大英博物館で中国の名画「女史箴図巻」を模写したことで、線描の美に目覚め、その道を追求しました。日本画の伝統を残しつつ、モダンな感覚で描かれた作品は、どれも親しみやすくリラックスして楽しめました。

Kokei_22_2 Kokei_27_2

(左)古径の「闘草」(くさあわせ)。闘草とは平安時代の貴族の間で流行った、互いに出した草の優劣を競う遊びだそうです。今のカードゲームのようなものでしょうか。少年たちの美しい肌色、薄い装束から透けて見える腕の線の繊細さなど、写実的な表現がみごとでした。

(右)古径の「静物」。現存する唯一の油彩画だそうです。油彩でありながら、日本画のエッセンスを感じました。左下には日本画と同じく、縦書きの署名とともに落款が押してあります。

Kokei_25

古径の「清姫」。紀州道成寺に伝わる清姫伝説を描いた、8場面からなる作品です。山崎種二氏が山種美術館を創設する時に、古径より譲り受けられたそうです。↑はその中の1場面「日高川」。清姫はこの後、恐ろしい大蛇になります。ファンタジックで愛らしい作品群でした。

          Kokei_7r

Kokei_7l

古径の「紫苑紅蜀葵」(しおんこうしょっき)。右隻に満開の紫苑、左隻に咲きはじめの紅蜀葵、その間に朝顔。夏から秋へ、季節の移り変わりが描かれています。金地に描かれたみごとな屏風絵ですが、楚々とした野の花というのが心憎い。紫苑の葉の色のグラデーションが、奥行が感じられてすてきでした。

Kokei_16

土牛の代表作、「醍醐」。土牛が、師である古径の7回忌の法要の帰りに立ち寄った京都・醍醐寺のしだれ桜に極美を感じ、その10年後に改めて制作したそうです。土塀まで染める満開の桜、堂々とした幹、散り落ちた桜花の点々… 桜が匂い立つような、華やかで幻想的な作品でした。

Naruto

土牛の最高傑作、「鳴門」。徳島からの帰り、揺れる船の中から何十枚もの鳴門を写生され、その後、下絵なしに一気に仕上げられたそうです。シンプルで大胆な構図、美しい海の色に引き込まれました。

Kokei_18

今回の企画展では、猫と猫、犬と犬、菖蒲と菖蒲…という具合に、同じ題材で描かれた作品を並べた、古径と土牛の師弟対決も楽しい試みでした。↑は(左)古径の「富士」、(右)土牛の「富士宮の富士」の、富士山対決です。影響とともに、個性の違いも感じられ、興味深く鑑賞しました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

サボイキャベツでロールキャベツ & シチリア風カポナータ

千葉県産のサボイキャベツを見つけたので、ロールキャベツを作りました。

2013111401

別名ちりめんキャベツ。もとは普通のキャベツより緑が濃く、葉が固くてゴワゴワしているので、煮込み料理向けとされていましたが、最近は日本人向けに品種改良されているのか、葉の柔らかいものが出回っています。これなら煮込み料理といわず、サラダでも使えそう。

外側からていねいに1枚ずつはがして熱湯で柔らかくゆで、たね(ひき肉・たまねぎ・パン粉・豆乳・たまご・塩こしょう・ナツメグ)を包みます。ようじで留めるとまとまりやすくなります。

2013111402

ぐらぐら揺れないよう、お鍋にきちきちに詰めるのがポイント。すき間にもキャベツの葉っぱを詰めておきます。キャベツのゆで汁、ブイヨンの素、缶詰のカットトマトを適量、ベイリーフを入れて、ことこと煮込んだらできあがり。

2013111403

野菜とお肉からいいおだしが出て、シンプルな中にも味わい深いおいしさ。体もぽかぽかと温まりました。

これに合わせて、シチリア風カポナータを用意しました。

2013111404

最近お気に入りの、「シチリアトラットリア、至福のレシピ」という本を見て作りました。フランスのラタトゥイユに似ていますが、これは素揚げした野菜(なす・ズッキーニ・大きなピーマン・セロリ・たまねぎ)を、ワインビネガーと砂糖をひと煮立ちして作った甘酢、塩こしょう、刻んだアンチョビフィレであえて作っています。

シチリアでは、アグロ・ドルチェ(甘酸っぱい)とよばれる代表的な料理法だそうですが、日本の揚げびたしや南蛮漬けに似ていて、親しみがわきました。私は、大きくカットしてさくっとした食感を残したセロリが、特に気に入りました♪

| | コメント (6) | トラックバック (0)

「スティーブ・ジョブズ」

アップル社の創始者、スティーブ・ジョブズの半生を描いた伝記映画、「スティーブ・ジョブズ」(Jobs)を見ました。ジョブズが1976年に自宅ガレージで最初のコンピュータを作ってから、1985年に自らの会社を追われるまで。ジョブズを演じるアシュトン・カッチャーの熱演にも注目です。

Jobs_9

大学を中退してゲーム制作会社で働いていたジョブズ(アシュトン・カッチャー)は、ヒューレット・パッカードのエンジニア ウォズに出会い、意気投合。自宅ガレージで、仲間たちと記念すべき第1号のコンピュータを生み出します。

その後アップル社を設立して、斬新なアイデアで新製品を発表、成功を収めますが、己の信念を曲げず冷酷な人事も厭わない彼は、組織の中で孤立していきます。その後、ビジネス面を強化すべく、ペプシコーラからジョン・スカリー氏をCEOに迎えると、後にジョブズ自身が組織を追われることに…。

Jobs_3

私自身、かつてジョブズの会社と仕事で関わっていたので、さまざまな記憶がよみがえってきて感慨深く見ました。シリコンバレーのオフィスを訪れたのも、今となっては懐かしい思い出。当時のあれこれが、今につながっているともいえるので、私もジョブズによって人生が変わった末端の一人なのかもしれません…。

かつてコンピュータは、事務処理用の大型コンピュータか、研究開発用のワークステーションしかなく、コンピュータ言語を知らないと使うことができませんでした。そんな時代にジョブズが考えたのは、電源を入れるだけで、誰もが電化製品のように使える”パーソナル”コンピュータを作り出すこと。

彼のガレージで最初に生み出されたコンピュータが、基盤だけ…というのはおかしかったですが、「これじゃ売れない」と文句を言うコンピュータショップのおじさんに、ジョブズは「君がモニターとキーボードをつけて売れば、もうけになるだろう」と記念すべき最初の50台を納品します。

アップルの最初のヒット商品、Macintosh。私が初めて触れたアップル製品でもあります。ちなみにマッキントッシュとはりんごの品種です。

Macintosh_3

それまで武骨なワークステーションしか使ったことがなかったので、初めてMacintoshを見た時は「なんてかわいいの!」と感動しました。当時は英語版のみで値段も高く、電化製品とはいえませんでしたが、一般ユーザをターゲットにした見た目のわかりやすさと使いやすさが画期的でした。

会社名をアップルにしたのは諸説あるようですが、映画では、誰もが知っている食べ物だから、(ジョブズがクビになったゲーム会社の)アタリより電話帳で前になるから、と言ってました。

Apple_rainbow_logo_3

レインボーカラーの初代アップルロゴも懐かしい。サイケなカラーリングが70年代風です。大学を中退してヒッピーになったジョブズが、ヨガに傾倒してインドを旅したり、ジョブズが好きだったボブ・ディランが音楽として使われていたり、70年代の自由な空気が伝わってきました。

映画ではジョブズの性格破綻ぶりも描かれていました。彼は自分は天才であり、そのために誰かが出資し、周囲が動くのも当然だと思っていたのでしょうね。彼の才能とわがままに周囲が振り回され、無駄にお金が費やされていくのも見ていたので、驚きはありませんでしたが…。

1997年にアップルに復帰してからの彼は、私生活も落ち着いて、人間的にもだいぶ丸くなっていたように、映像では見受けられました。イノベーター、クリエーターとして天才だったジョブズ。彼のようなカリスマを失ったアップルが今後どこに向かうのか、気になるところです。

Jobs_8

ジョブズの実家ガレージ。全てはここから始まりました。映画の撮影もここで行われ、今後は歴史的資産として市に保存されるそうです。

| | コメント (8) | トラックバック (4)

ハンガリー料理を楽しむ & 秋のフレーバーティ

自由が丘駅横に細長く続くレトロな雑居ビル、自由が丘デパート3階にあるハンガリー料理レストラン、「キッチンカントリー」でお昼をいただきました。こちらのお店、以前から気になってはいたのですが、入るのは初めてです。

ハンガリー料理は、その昔、西麻布にある一軒家レストランに行ったことがありますが、いつの間にかなくなってしまいました。その時は、たしか前菜にピロシキのようなものをいただいて、ロシア料理に似ているな~と思ったことを覚えていますが、今回はドイツ料理にも似ているなあと思いました。

自由が丘デパート同様、お店も古く、ウインドウにろうでできたお料理のサンプルが並んでいたりする昔ながらのお店ですが^^ ダークウッドの家具にグリーンのテーブルクロス、ハンガリーの民芸風の飾りつけがあり、ディープな雰囲気に旅情をかきたてられました。

ランチメニューは10種類くらいあり、スープとパン(ライス)がつきます。スープはパプリカとクリームのマイルドなお味のポタージュでしたが、クリーミィでコクがあり、ほっとする味わい。とてもおいしかったです。

2013111001

私は「トルトット・カーポスタ」、ハンガリー風のロールキャベツをいただきました。ロールキャベツが大好きで、家でもよく作りますが、東欧でポピュラーなお料理のようです。これはブイヨンで煮込む、私にもなじみのあるお味でしたが、少しパプリカを効かせているのがハンガリー風かな?と思いました。

わずかに酸味のあるパンは、キャラウェイかな?と思ったらライ麦パンでした。ふわふわと柔らかく日本人向きの食感です。後からお聞きしたら、ドイツパンのお店から仕入れていらっしゃるとか。素朴な風合いが、ロールキャベツによく合いました。

2013111002

こちらは、ハンガリー風ビーフシチューです。ハンガリーでポピュラーなビーフシチュー、グヤーシュもメニューにありましたが、こちらの方がコクがあるようです。お肉がほろほろに柔らかく、やはりパプリカの風味がアクセントになっていました。

ニョッキのような、小麦粉を練ったものがぽろぽろと載っているのも特徴的。これはガルシュカというそうです。器の花模様が素朴でかわいい。

店内には、ハンガリー語のメッセージが書かれた色紙がたくさん飾ってありました。遠い異国に住むハンガリーの方たちが、母国の懐かしいお味を求めて食べにいらしたんだろうな…と、その気持ちが伝わってきて、ぐっときました。

2013111004

帰りは、TWG Teaによって、秋らしいフレーバーティを買いました。Pomme Prestigeはりんごの香り豊かなアップルティ。Miraculous Mandarin Teaはフルーツとキャラメルをブレンドした紅茶。どちらもほのかに甘いフルーティな香りが今の気分にしっくりきました。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

「42 ~世界を変えた男~」

アフリカ系アメリカ人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンを描いた伝記映画、「42 ~世界を変えた男~」(42)を見ました。アメリカのメジャーリーグ・ベースボール(MLB)に歴史的な一歩を刻んだ偉大なる選手と、彼を支えた球団ゼネラルマネージャー(GM)の物語です。

42_1

1945年、白人社会だった野球界において、ブルックリン・ドジャースのGM ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、ニグロリーグで活躍していた黒人選手ジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)をスカウトし、ドジャース傘下のマイナーリーグ・チームに入団させます。

世間や相手チームはもとより、チームメイトやファンからも誹謗中傷を浴び、理不尽な差別を受ける中、ジャッキーは自制心を貫き、抜群のプレーによってチームに貢献します。そして1947年4月15日、ドジャースに昇格したジャッキーは、初の黒人メジャーリーガーとしてマウンドに立ちます…。

42_8

MLBのワールドシリーズでボストン・レッドソックスが優勝して上原選手が胴上げ投手として宙を舞い、また日本シリーズでは東北楽天ゴールデンイーグルスが歴史的な初優勝を飾った…という絶好のタイミングに、本作品を見に行きました。

ジャッキー・ロビンソンのことは、かつてクーパースタウンにある野球の殿堂を訪れた時に知りました。彼の偉業は、全野球チームで彼の背番号42番が永久欠番になっているという事実とともに心に刻まれていましたが、彼を影で支えたブランチ・リッキーのことを今回初めて知りました。

少々描き方が甘いかな?と思わなくもなく、正直物足りなさもありましたが、ジャッキーのひたむきな努力と、彼を支えるリッキーの励ましがひとつになって、チームメイトや野球界、さらには社会を変えていったことが伝わってきて、心地よい感動を味わいました。

42_4

ジャッキーの偉業もさることながら、私はまだ歴然とした人種差別が残っていたあの時代に、あえて黒人プレイヤーをスカウトした、リッキーの勇気に心打たれました。何が彼を動かしたのか? ジャッキーが尋ねたように、私もその理由が知りたいと思いました。

最初は「優勝したいからだ。お金のためだ。」と言っていたリッキーでしたが、実は彼にはかつて黒人のチームメイトを救えなかったという苦い過去があったのです。リッキーは信心深いクリスチャンでもありました。

ジャッキーを退けようと嘆願書を出そうとしたチームメイトに対して、リッキーは「君が死んで天国で神様に会った時、『私は黒人を差別しました』と胸を張って言えるか?」と問う場面がありましたが、それは他でもない、自分自身への問いかけだったのかもしれません。

ジャッキーは、ファンに野次を飛ばされ、相手チームの監督から侮蔑的なことばを浴びせられますが、おそらく自分が傷つけられるよりも、マスコミに何かと騒がれたり、遠征先のホテルに宿泊拒否されたりして、チームメイトに迷惑がかかることの方が辛かったのではないかな…と思いました。

もっとも、そうした試練を共有することで、チームがひとつになり、結果的にはどこよりも強いチームを作り上げることができたのかもしれません。ジャッキーが理不尽なデッドボールを受けた時、チームメイトは怒って暴動を起こそうとしますが、ジャッキー自身がそれを止めます。

彼がやられても決してやり返さず、紳士であることを貫き通したのは、自分の姿を通じて黒人を世に認めさせたかったからではないかと思います。実際、ジャッキーの尊いふるまいは、その後多くの黒人選手をメジャーリーグへと導き、黒人の野球少年たちに夢を与えることになったのですから…。

42_7

ジャッキーが活躍したブルックリン・ドジャースはのちに西海岸に本拠地を移し、ロサンゼルス・ドジャースとなります。1995年には野茂選手がドジャースに入団。それが今日、日本人選手がメジャーリーグで活躍するきっかけを作ったことに、不思議なめぐり合わせを感ぜずにはいられませんでした。

| | コメント (4) | トラックバック (8)

新しい新聞 & かぼちゃのチーズケーキ

最近、定期購読する新聞を新しくしました。

2013110501

今まで購読していた新聞は、子どもの頃から慣れ親しんでいた空気のような存在。多少のバイアスも承知の上で、長年愛読してきました。それを今になって変えることにしたのは、ネットを通じて、国内外のメディアが配信するニュースに気軽に触れられるようになったことが大きいと思います。

新しい新聞は、しばらくトライアルで配達していただいたので、完全に切り替えるまで2紙をフルで平行して読んでいましたが、さすがに時間的にきつい…。実は新しい新聞は今までも、家族が朝刊を外で買って持ち帰ったものを読んでいましたが、定期購読してから、夕刊のおもしろさに気づきました。

作家や文筆家をはじめ、さまざまな分野の方が書かれた、堅苦しくなく、それでいて読み応えのあるコラムを、毎日楽しみにしています。つい最近は、大好きな建築家の板茂さんの連載があり、わくわくしながら読みました。

発酵学者の小泉武夫さんの連載も気に入っています。こんなにおいしそうに食べ物を描写する方を初めて見ました。いつもおなかをぐうぐう言わせながら、楽しく読んでいます。^^

たかが新聞とはいえ、長年の習慣を変えるのは意外と勇気がいること。変えてしまえば実にあっけなく、大したことではなくなるのですが…。

          maple          maple          maple

ハロウィーンにかぼちゃのチーズケーキを焼きました。

2013110502

おいしい焼き菓子のレシピ」という本を見て作りました。砕いたダイジェスティブクラッカーととかしバターを混ぜて底に敷き詰め、かぼちゃのマッシュをたっぷり混ぜたチーズケーキ生地を上から流してオーブンで焼きます。

2013110503

かぼちゃの鮮やかな黄色が目を惹く、濃厚な風味のチーズケーキ。小麦粉が入らない、ローカーブのヘルシーな味わいです。かぼちゃの甘みがあるので、お砂糖はもう少し減らしてもいいかもしれません。また試してみようと思います。

2013110504

ハロウィーンが終わったので、玄関のリースをハロウィーンバージョンから秋バージョンに替えました。少し前に青山フラワーマーケットで購入しました。街はそろそろクリスマスデコレーションが始まっていますが、アドヴェントに入るまでは秋の気分を存分に楽しみたいと思います。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

「グランド・イリュージョン」

「トランスポーター」シリーズのルイ・ルテリエ監督によるクライム・エンターテイメント、「グランド・イリュージョン」(Now You See Me)を見ました。華麗なマジックで大金を強奪する4人組のマジシャンと、彼らを追う捜査官たちとの攻防をスリリングに描きます。

Now_you_see_me_1

謎の人物にスカウトされた、ダニエル(ジェシー・アイゼンバーグ)、メリット(ウッディ・ハレルソン)、ヘンリー(アイラ・フィッシャー)、ジャック(デイヴ・フランコ)の4人の天才マジシャンは、「フォー・ホースメン」というグループを結成。保険王のスポンサー(マイケル・ケイン)を得て、ラスベガスで華々しくデビューします。

パリの銀行から大金を奪うというマジックを披露した4人を、FBI捜査官ローズ(マーク・ラファロ)とインターポールのアルマ(メラニー・ロラン)が取り調べますが、トリックを見破ることができません。そこで、マジックの種を暴くことで有名なブラッドリー(モーガン・フリーマン)に協力を依頼しますが…。

Now_you_see_me_2

ジェシー・アイゼンバーグとメラニー・ロランが好きなので楽しみにしていた作品。期待通りにおもしろかったです。冒頭からノンストップのマジックとノリのいい展開にぐいぐい引き込まれましたが、気がつけば映画そのものが壮大なマジックショーとなっていました。

アイ(The Eye)という謎の人物のもとに集結した4人のマジシャンは、警察を敵に回し、危険を冒して、犯罪ともいうべき大掛かりなマジックを繰り広げますが、その人物が誰で、目的は何なのか、本人たちさえ知りません。

私自身、先読みせず、謎解きもせず、ただただ華麗なイリュージョンに酔いしれ、展開に身を任せていたので、最後の黒幕にはびっくり。全てが明らかになった時に、それまでのマジックや会話に隠れていたヒントがすべてつながって、あ~そういうことだったのね!と納得しました。

なんといってもフォー・ホースメンのメンバーがそれぞれ魅力的。リーダーを演じるジェシーくんは相変わらず生意気でかわいいし、アイラ・フィッシャーは華やかな雰囲気がステージにぴったり。冒頭、彼女がピラニアの水槽から脱出するマジックは最高にドキドキしました。

ジェシーくんと「ゾンビランド」で共演したウッディ・ハレルソンは、読心術・催眠術を披露していましたが、一番インチキっぽかったです。^^ 若手のデイヴ・フランコはすばしこく、アクションが決まってました。

マジックはCGなど、映画の力を借りたものもあったけれど、十分はらはらと楽しませてくれたから満足でした。彼らの鮮やかな手さばきに目を奪われました。きっとずいぶん練習したんだろうなーと思います。

Now_you_see_me_6

一方、彼らをを執拗に追うFBI捜査官のローズは、いつもあと一歩のところで取り逃がし、悔しい思いをしますが、いっしょに捜査を進めるアルマとはいつの間にかいい雰囲気に…。パリのポン・デ・ザールでのエンディングは、なかなかロマンティックでした。

5_poinz

クライマックスの舞台となったファイヴ・ポインツ(5 Poinz)は、ニューヨークのクイーンズにある「落書きのメッカ」とよばれるアーティストたちのスペース。ビルをまるごとプロジェクション・マッピングし、屋上から煙のように消える演出は、とってもエキサイティングでした。

| | コメント (6) | トラックバック (8)

« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »