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東京都美術館 「ターナー展」

東京都美術館で開催中の「ターナー展」(~12月28日まで)を見に行きました。英国を代表する風景画の巨匠、ターナーの大回顧展です。ロンドンのテート美術館からきた116点(うち油絵約30点)を通して、ターナーの人生をたどりつつ、魅力を堪能しました。

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ターナーの作品はその昔テートで見ていますが、だいぶ記憶が薄れているので、今回改めてじっくり見るのを楽しみにしていました。本展は、初期から晩年まで時系列に展示されているので、作品の変遷がわかりやすく、ターナーというひとりの画家の人生に思いを寄せることができました。

1775年、コベントガーデンの理髪店の家に生まれたターナーは、幼い頃から絵の才能を見出され、のちにロイヤル・アカデミーの正会員となります。当時の西洋絵画では、聖書や神話を題材にした作品や歴史画、王族の肖像画などが中心で、風景画は一段低いものとみなされていました。

しかしターナーは、ピクチャレスク(絵になる風景)に魅せられ、陽光や大気を繊細に、また自然の偉大さを勇壮に表現した作品で、風景画の地位を高めます。それは後にフランス印象派の画家たちに大きな影響を与えることとなりました。

ターナーといえば、帆船を描いた海景画や旅先のイタリアの風景などが思い浮かびますが、私は見たままの風景ではない、絵の中に込められたメッセージに心を動かされました。気に入った作品を、いくつかご紹介させていただきますね。

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グリゾン州の雪崩
ドド~ンと音が聞こえてきそうな迫力ある表現に圧倒されました。臨場感あふれ、まるで報道写真を見ているようです。

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アンデルマット付近の「悪魔の橋」、サン・ゴッタルド峠
スイスの山奥にある有名な難所だそうです。水彩で描かれた小品ですが、切り立った崖と華奢な橋を見ただけで、背中がゾクゾク、足がガクガクする緊張感を味わいました。

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ヴァチカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ
一見風景画に見えますが、ヴァチカンの装飾をあれこれ思い悩むラファエロの姿がかわいい。物語を感じる作品です。

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レグルス
敵国にまぶたを切られ、陽光で失明した将軍レグルスの逸話を描いた作品。レグルスの姿は描かれず、レグルスが見たであろうまばゆい光が心に届いて、胸を衝かれました。

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三つの海景
ターナーがこんな抽象絵画を残しているなんて!と衝撃でした。海景は三段に重なり、一番上の段は逆さまに描かれています。

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湖に沈む夕陽
晩年になるほどに輪郭は曖昧さを増し、未完成とされる作品も増えてきますが、近代絵画への幕開けが感じられ、個人的にはとても気に入りました。初期の頃の正確、精緻な表現を思い浮かべながら、イメージをふくらませて鑑賞しました。

なお、12月1日夜8時よりNHK「日曜美術館」にてターナー特集が再放送、また本展は東京の後、来年1月11日より神戸市立美術館にて開催されます。

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美術館・博物館」カテゴリの記事

コメント

こんばんは☆
私もターナー大好きです。
テート美術館は、テート・モダンは行きましたが、テート・ブリテンには行かずじまいでした。
イギリスではこうした企画展は割と少ないので、ターナーをあっちこっちで見かけてもなかなかまとめて観る機会がなかったですね・・・
絵の準備をするラファイエロいいですねー
しばらく美術館から足が遠のいているので、また行きたくなりました。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2013年11月28日 (木) 18時29分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
まだ~むさま、ターナーお好きでしたか♪
私は今まではそれほどファンというわけではなかったのですが
今回、風景画の中にも意味やメッセージが込められていることがわかって
新鮮な感動を覚えました。

日本で開催される企画展はどうしてもダイジェスト版になってしまいますが
ほどよい規模でじっくり見ることができたのでよかったです。
ラファエロの絵、風景画のようでフィクションでもあるのですよねー。
こんなところがとっても気に入りました☆

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2013年11月29日 (金) 09時37分

私もロンドンでテートギャラリーやナショナルギャラリーでターナーを堪能しております。30年前の上野の展覧会も、入院中でしたが無理に外出許可を貰って観に行きました。今度もなんとか時間を作って観に行きたいものです。
ターナーといえば夕日や朝焼けの絵が有名ですが、あれは中米の火山の大噴火による噴煙のおかげですね。大気圏上層部にまで飛散した火山の噴煙が太陽の光を拡散させて、非常に美しい光景を醸しだしたようです。
ただし、その後十数年にわたり寒冷な気候が続き、飢饉や戦乱が相次いだのも致し方のない事実ですが。

投稿: ヌマンタ | 2013年11月29日 (金) 12時09分

こんばんは。cherry

ターナー展、記事にも書かれてる通り、時系列で作品が展示されてるし、出品数も多いので、彼の足跡や、画風の変化なんかがおえて、楽しい展覧会でしたよね。
私も、ターナーについて、ほとんど知らなかったので、とても勉強になりました。

晩年の抽象絵画っぽい作品には、びっくりさせられますよね。
しかも、何て言うか、色調とか、被写体の表現の仕方が、とても詩的なんですよね。

私は、やっぱり海と船を描いた作品に一番心をひかれました。wave

投稿: ごみつ | 2013年11月30日 (土) 01時16分

☆ ヌマンタさま ☆
こんにちは。
ヌマンタさんは、ターナーがお好きでいらっしゃいましたね。
今回久しぶりに鑑賞しましたが、思いがけない発見もあり
新鮮な感動を覚えました。お時間がありましたら是非。

数年前にアイスランドの火山の噴火が、ヨーロッパの交通網を
大混乱にしたことは記憶に新しいですが
ターナーの時代にもそんなことがあったのですね。
ターナーの黄昏色の夕景、ドラマティックな美しさがあって好きです☆

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2013年11月30日 (土) 07時57分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
ターナーにテーマをしぼって、彼の魅力を存分に堪能できる
企画展でしたね。
初期の頃の製図のように正確な描写もみごとでしたが
私は晩年のもわ~とした抽象絵画が特に印象に残りました。
風景画の中にも詩や文学、できごとなどがテーマになっていて
それぞれに物語があるというのも新鮮な驚きでした。

ターナーといえばやっぱり海と帆船ですよね!
私はちょっとへそまがりのラインナップになってしまいましたが^^
海景画のドラマティックな風景も好きです♪

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2013年11月30日 (土) 08時18分

おひさしぶりです!よくケイタイから拝見しています。PCからブログを見ることがめっきり少なくなりました。セレンディピティさんの記事と驚くほど似たことがあり、一人で感動しています。
ターナーは私もテイトで何度か見ています。あそこで初めて絵を写生している人たちをみて驚いたことがあります。「いいの?」ってびっくりしましたが、ターナーの躍動間のある絵をみると、自分でもどうにかしてみたいって私も思いました。人前で描くことは恥ずかしくてできませんでしたが。

ところでセレンティピティさん、明日マイケル・マクドナルドのコンサートですよ。チケット2枚ありますよ(苦笑)もっと早くに言えばよかったですが、すっかりこのチケットの存在を忘れていて、危うくすっぽかすところでした。今日プリントアウトして、明日はオットを連れていきます。さて、一時期サンタクロース並に太ってた彼、最近はシェイプアップしたそうなので、息切れしないことを期待しています。後でご報告しますね。

投稿: Schatzi | 2013年12月 1日 (日) 14時36分

☆ Schatziさま ☆
こんにちは。
いつも見てくださっているとのこと、ありがとうございます♪
私も時々拝見しているのですが、なかなかコメントが残せず
ご無沙汰をしていて恐縮です。

ルーブルで写生している人を見たことがありますが…
テートもOKなんですね。ターナーは特に初期の作品は
デッサンがしっかりしているから、絵を描く方には
模写も勉強になるでしょうね。
今回は水彩画が多かったのですが、こんな風に旅先の風景を
ちゃちゃっとスケッチできたら気持ちいいだろうな~と
絵心の全くない私はうらやましくなりました。

そして、明日はマイケル・マクドナルドのコンサートなのですね~☆
わー、いいな、いいな。
エキサイトしてくださいね☆
ご報告、楽しみにしています。

投稿: ☆ Schatziさま ☆ | 2013年12月 1日 (日) 16時15分

12月28日まで、なんとか行きたいと思っています。
あの、風景の正体は、ヌマンタさんのおっしゃるような
状況があったのですね。
また、ひとつ見る楽しみが増えました。
12月もありがたいことに、結構日程が埋まってきたので
早いうちに行きたいと思っています。

投稿: イザワ | 2013年12月 2日 (月) 02時25分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
ターナーの愛したクロムイエローによる光の表現が
なんとも美しかったです。
お時間がありましたら。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2013年12月 2日 (月) 09時25分

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