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2014年7月

「GODZILLA ゴジラ」

この週末に公開された怪獣映画、「GODZILLA ゴジラ」(Godzilla)を見に行きました。日本が誇る特撮怪獣映画の傑作、「ゴジラ」(1954)のハリウッドリメイクです。

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5月にアメリカをはじめ80ヵ国以上で公開されるや、世界中で大旋風を巻き起こした本作。早く見たくてうずうずしていましたが、2ヶ月遅れでようやく日本での公開となりました。

といいつつ、子どもの頃は怪獣映画やドラマをほとんど見たことがなくて、1954年に公開されたというオリジナルも見ていない...と予備知識がほとんどない状態でしたが^^; 新鮮な気持ちで楽しめました。

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原発事故がきっかけで目覚めたゴジラ。そしてゴジラが街を破壊して大暴れ...というストーリーを想像していたのですが、現れたのはなにやら羽の生えた鳥類のような怪獣?? これはムートーという怪獣で、ゴジラとは放射能をめぐって敵対する関係にあるらしい。

日本から東へ東へと移動するムートーの後を追って、ゴジラも太平洋をわたってハワイへ、そしてアメリカ本土へ。最終決戦の場はサンフランシスコ沖。ムートーと、ネバダの放射性廃棄物処理施設で生まれたメスのムートー、そしてゴジラが3つ巴で大暴れします。

アメリカ海軍は怪獣3頭をまとめて核兵器でやっつけようとするのですが、芹沢博士(渡辺謙)はゴジラを使ってムートーを倒すべきだと主張します。芹沢博士は広島被爆二世であり、二度とあの悲劇を繰り返してはならないと心に誓っていましたが…。

57年のオリジナル版で描かれた、反核と平和、科学技術への警鐘といった社会的メッセージはやや薄れていますが、本作では、核実験によって怪獣が目を覚まし、地震、津波、原発事故が起こるなど、東日本大震災を意識した内容になっていました。

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そしてなんといっても、恐竜たちの肉弾戦が大迫力。これでもか!の破壊っぷりが気持ちよかったです。ゴールデンゲートブリッジで車が立ち往生してパニックになるのも最高。怪獣映画はこうでなくては。^^ 核弾頭を運ぶすぐ横を、ゴジラがのしのし歩く場面は、一番どきどきしました。

てっきりゴジラは街を破壊する悪者だと思っていたので、(本人は気づかないままに)ムートーを倒して地球を守ってくれたのには感動しました。戦いのあと、ぱちっと目を覚まして、悠々と海に帰っていく姿はまさにヒーローの風格。かっこよかったです。

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たぷたぷしたおなか、体をくねらせて泳ぐ姿は、ガラパゴスのウミイグアナみたい。かわいい。^^

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目黒区美術館 「ジョージ・ネルソン展」

目黒区美術館で開催されている「ジョージ・ネルソン展 - 建築家、ライター、デザイナー、教育者」(~9月18日まで)を見に行きました。アメリカを代表するインテリアデザイナー ジョージ・ネルソンの家具、模型、映像、資料など約300点が紹介されています。

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ミッドセンチュリーモダンを代表するデザイナーで、長年ハーマンミラー社のデザインディレクターを務めたジョージ・ネルソン。シンプルでモダン、機能的でありながら温もりを感じる彼のデザインには、今の時代にもフィットし、なお輝く魅力を感じます。

今回は、ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアム(Vitra Design Museum)の企画で世界を巡回する、国内初めての大規模な展覧会。デザイン好きとしては見逃せず、楽しみにしていました。インテリアはもちろん、プロジェクトや映像など、ネルソンの多才な活躍を知ることができました。

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会場に入ってすぐに目に入るバブルランプ。スウェーデン製ランプにヒントを得たもので、高価なシルクの代わりに、ワイヤーフレームにプラスティックを吹き付ける方法で作られました。

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高度成長期のものが豊かにあふれる時代、ネルソンは編集する建築雑誌に「ストレージ・ウォール」を発表。今ではおなじみの作りつけユニット家具の、オリジナルとなるアイデアです。これが目に留まり、ネルソンはハーマンミラーのデザインディレクターとして迎えられました。

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1959年、モスクワで開催された「アメリカ博覧会」で企画と展示デザインを担当。ジャングルジムという、外から見える家具つきアパートの展示が話題をよびました。本展では、実物大の部分模型とミニチュアのモックアップを見ることができます。

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ネルソンがデザインした家具、オフィス用品も100点以上展示されていて圧巻でした。左からカテナリーチェア(Catenary Chair)、スワッグドレッグチェア(Swaged Leg Chair)、ココナッツを割った形を見立てたココナッツチェア(Coconut Chair)。どれもネルソンの代表作です。

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(左)ミッドセンチュリーモダンのアイコンともいえる、斬新で遊び心たっぷりのマシュマロソファ(Marshmallow Sofa)。(右)サイドボード。このほか、L字型のデスクなど、1960年代に注目をあびたオフィス家具もたくさん展示されていました。

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今も復刻版が販売されているクロックの数々。ネルソンは、人は数字を読むのではなく針の位置で時刻を判断していると考え、文字盤から数字をなくしました。

映像では、アメリカの使い捨て文化に警鐘を鳴らしニューヨークの廃車置場を撮影した「レクイエム」、世界各地の名も無きデザインにオマージュを捧げ数字で綴る「カウントダウン」が心に残りました。

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美術館の後は、インテリアショップが並ぶ目黒通りをぶらぶら。元競馬場のバス停近くにあるジョージ・ネルソンの家具を扱うお店(美術館から歩いて10分くらい 名前は失念)をのぞいて、はらドーナッツさんのカフェでひと休みして帰りました。

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「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」

19世紀の伝説のヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニの破滅的な生涯を描いた伝記ドラマ、「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」(The Devil's Violinist)を見ました。世界が熱狂する人気ヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットがパガニーニを演じます。

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1830年、イタリア。圧倒的な演奏技術を持ちながら、幕間で演奏するしがないヴァイオリニストだったパガニーニ(デイヴィッド・ギャレット)は、名プロデューサーのウルバーニ(ジャレッド・ハリス)に才能を見出され、ヨーロッパで爆発的な人気を得ます。

評判を聞きつけた指揮者のワトソン(クリスチャン・マッケイ)の招きでロンドンに渡ったパガニーニは、ワトソンの美しく無垢な娘シャーロット(アンドレア・デック)と、音楽を通じて惹かれあうようになり...。

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超絶技巧と類まれな音楽性で聴衆たちを魅了するも、その才能は悪魔に魂を売り渡したことで手に入れたと恐れられた伝説のヴァイオリニスト。私生活では女性やギャンブルに溺れ、スキャンダルに事欠かなかった音楽界の異端児。

そのパガニーニを、今をときめくヴァイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットが演じるというのでとっても楽しみにしていました。彼はこの作品で制作総指揮も務めています。

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卓越したテクニックと、華やかで色香のある演奏。クラシック音楽の枠を越えて、ロックとのクロスオーバーなど斬新なアプローチでファンを魅了するデイヴィッド・ギャレットは、まさに21世紀のパガニーニ。そんな彼の魅力がいっぱいつまった、すてきな作品でした。

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映画では、パガニーニをあたかもロックスターのように描いています。さんざん聴衆をじらした挙句に長い髪をなびかせながら颯爽と登場。演奏中はあまりにも激しい指使い、弓使いに絃が次々と切れ、最後に残った1本で弾く頃には女性たちの興奮が最高潮に達して、ついには失神者も出るほど。^^

彼の演奏には麻薬のような魅力があるので、フェミニストたちは背徳的であると目の敵にし、またそのテクニックは神ではなく悪魔から授けられたものとして、教会からも拒絶されてしまいます。それは時代が彼に追いつけなかった、天才ゆえの不幸だったのかもしれません。

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女性たちが決して放っておかなかったパガニーニですが、彼が唯一愛したのは清楚で可憐、天使のような歌声をもつシャーロット。パガニーニのヴァイオリンにあわせて、シャーロットがアンコールの舞台で歌う「愛しい人よ」のアリアの清らかな歌声に、心がふるえました...。

しかし、プロデューサーのウルバーニは二人の仲を認めず、罠を仕掛けて引き離してしまいます。傷心を乗り越え、アメリカに渡って歌手として成功を収めたシャルロットに対し、不遇な晩年を送るパガニーニ。

「神は私に才能という恩寵を与え、才能を理解しない世界に放り出した」ということばに、彼の魂の叫びが伝わってきました。

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虎ノ門ヒルズでランチ

銀座に用事ででかける前に、先月オープンした虎ノ門ヒルズによって、お昼を食べていくことにしました。場所はメトロの虎ノ門駅から歩いて5分くらい。HPをチェックして、てくてく歩いていきました。

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エントランスを入ると、吹き抜けの高い天井にテラス席のカフェやレストランが並び、海外のリゾートホテルのようです。オープンして1ヶ月ですが、商業施設のないオフィスビルとあって、それほど混んでいませんでした。レストランは低層階を中心に10軒ほどあります。

私たちは1~2階のゆるやかな段差が続くエリアを歩いて、イタリアンのARBOL(アルボール)というお店に入りました。ランチメニューはパスタを中心に5、6種類あって、いずれも1000~1300円くらいとお手頃です。

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ランチには、サラダとお豆、かぼちゃのパンがつきます。数種のお豆はたぶん蒸してあるのだと思いますが、煮豆ほど柔らかすぎず、じんわりとうまみが感じられておいしかったです。

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かじきとしめじのトマトソースを大盛りで。パスタはスパゲッティーニでしょうか。やや細めです。量が2倍くらいあってボリュームたっぷりでした。

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私は桜えびとズッキーニのレモンクリームソースをいただきました。パスタはリングイネです。たっぷり入った桜えびは半干ししてあるのか、うまみがぎゅっと凝縮されていてとてもおいしかったです。ズッキーニとの相性もばっちりで、夏らしいお味でした。

食後に深炒りのコーヒーを楽しんでから、ビルの1~4階をちょっと探索。レストランはビルで働く方たちが、お昼やお仕事帰りにさくっと立ち寄るような感じのカジュアルなお店が多かったです。ファミマ!には、ワインやおつまみ、おしゃれな文具なども置いてありました。^^

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芝生のお庭はお昼休みのオアシスになりそう。この下を環状2号が走っているなんてびっくりです。新しいビルが建つと、前が何だったか思い出せないのが不思議ですが、このエリアはこれからますます変貌を遂げそうです。

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世田谷美術館 「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」

世田谷美術館で開催中の「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」(~9月15日まで)を見に行きました。19~20世紀にかけて欧米で沸き起こった日本美術ブームをテーマに、ボストン美術館の所蔵品約150点が公開されています。

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フランス近代美術が充実しているボストン美術館ですが、ボストンが貿易港であることから日本とのつながりが深く、日本美術のコレクションには定評があります。私は15年前にボストン美術館を訪れましたが、当時は西洋美術を中心に見て、日本美術にはあまり関心がなかったのです。

最近になって、歌舞伎や日本画、日本の職人さんたちの技や日本製品のすばらしさを再発見するようになり、日本の芸術や文化をもっと見たい、知りたいと思うようになりました。今回の企画展は日本美術の魅力を逆輸入しているのがおもしろく、興味深い内容でした。

本展は、日本美術が西洋近代美術にどのような影響を与えたかということに着目し、2つの作品を並べて対比するなど、展示方法も工夫されています。影響がひと目でわかるものもあれば、解説を読んでなるほどとわかるもの、中にはこじつけでは?と思うものもありましたが^^ 楽しく鑑賞できました。

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(左)「ラ・ジャポネーズ」 (右)「緑衣の女」(展示にはない)

目玉は、初期ジャポニスムを代表するモネの大作、「ラ・ジャポネーズ」です。本展のために1年以上の修復を経て公開されました。熱心な浮世絵のコレクターでもあったモネは、日本びいきが高じて蓮池に太鼓橋の庭園まで作ったほどですが、意外にも日本趣味を全面に出した作品はこの1点だけだそうです。

モデルはモネの妻、カミーユ夫人ですが、対となる「緑衣の女」と同一人物とは思えないほど、その表情は晴れやかです。赤綸子に金糸の刺繍の華やかな打掛は躍動的で、足元の武者の刺繍は今にも飛び出しそう。近年の研究では着物の柄は歌舞伎の「紅葉狩」がモチーフだと考えられているそうです。

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(左)アメリカの画家、メアリー・スティーヴンソン・カサットの「湯浴み」。(右)は影響を与えたとされる、喜多川歌麿の「母子図 たらい遊」。画面の端でたらいが切れているのも、浮世絵ならではの描き方です。

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(左)ゴッホの「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」。(右)歌川国貞・歌川広重の「当盛十花撰 夏菊」。背景の大きな花模様に影響が見てとれます。

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(左)歌川国貞の「虎」。(右)フランスの画家、ポール=エリー・ランソンの「密林の虎」。どちらが西洋画でどちらが日本画か、わからないほどです。

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(左)アメリカの画家、ジョン・ラファージの「ヒルサイド・スタディ(二本の木)」。(右)歌川広重の「名所江戸百景 神田明神曙之景」。上下を貫通する木の幹が、絵を格子状に分断しています。

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(左)モネ 「トルーヴィルの海岸」
(右)歌川広重 「東海道拾三次之内 四日市 三重川」

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(左)モネ 「積みわら(日没)」
(右)歌川広重 「東海道拾三次之内 鞠子 名物茶店」

どちらのモネの作品も、構図が広重にそっくり! モネは積みわらの作品をたくさん残していますが、茶店がもとになっていたとは驚きました。^^ 飛行機もない時代、海をわたった浮世絵が思いがけない形で文化貢献していたことが誇らしく、感慨深く思いました。

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Q.E.D CLUB

ブログで仲良くしていただいているzooeyさんがお声をかけてくださり、zooeyさん、ノルウェーまだ~むさんとランチをごいっしょしました。場所は恵比寿駅から歩いて10分、小高い丘の緑に囲まれたレストラン、「Q.E.D CLUB」です。

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(HPよりお借りしました)

元ハンガリー大使公邸というこちらのお屋敷は、高い鉄柵の門を入るところからもう別世界。エントランスから大理石の広々とした空間、調度品や美術品のみごとさに目を奪われました。入ってすぐ、2階のラウンジからは、初夏の陽射しの中、手入れの行き届いた美しいお庭が見渡せます。

まもなく1階のダイニングルームに案内され、コースのランチを楽しみました。

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最初に運ばれてきたアミューズ。たまねぎのムースの上にコンソメのジュレがのっています。ひんやりとろりとした口どけの中に、たまねぎの甘みがふわりと感じられました。

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前菜は、ミディアムにグリルした帆立貝に有機野菜のサラダを添えて。野菜に隠れて見えない帆立貝は北海道産とのことですが、大きくてびっくり。むちっとしておいしかったです。色とりどりの季節の野菜は、温野菜あり、生野菜ありと、ひとつひとつのお味の個性が堪能できました。

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メインのお料理は、鯛のグリルを京野菜の温サラダとともに。皮がぱりっ、身がむっくりとしまった鯛、とろ~りと甘みの感じられる賀茂なすなど、シンプルなだけに素材のおいしさがストレートに伝わってきました。

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デザートは、2階のラウンジに移動して。ワゴンにのった11種類のスウィーツから、好きなだけ(!)選べます。私はメロンのショートケーキ、ラズベリーのムース、青梅のジュレの3種、zooeyさんからシトラスのパイも。どれも夏らしくさわやかな味わいで、深炒りのコーヒーとともにおいしくいただきました。

食事の後は、お店のスタッフの方が館内とお庭を案内してくださいました。芝生が広がるなだらかなスロープをおりていくと、下には日本庭園が続き、そばにお茶室もあります。和洋がゆるやかにつながる大使公邸ならではの造りとなっていて、洋館好きにはとても魅力的な空間でした。

zooeyさん、まだ~むさん、楽しくおいしい時間をありがとうございました。

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「her/世界でひとつの彼女」

スパイク・ジョーンズ監督、ホアキン・フェニックス主演のSFロマンス、「her/世界でひとつの彼女」(Her)を見ました。近未来のロサンゼルスを舞台に、人工知能とのラブストーリーを描きます。

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別居した妻(ルーニー・マーラ)と離婚話が進み、満たされない日々を送るセオドア(ホアキン・フェニックス)は、人工知能を搭載したOSを購入。サマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と名乗る彼女とのやりとりは楽しく、セオドアはいつしか彼女に夢中になっていきます...。

アメリカで高い評価を得て、アカデミー賞で脚本賞を受賞した本作。人工知能との恋愛というテーマに???と思いながら、期待もあって見に行きました。正直、映画を見ている時には今ひとつ乗り切れなかったのですが、後になってあれこれ考えさせられる作品でした。

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サマンサは優しくてユーモアがあって、時に嫉妬したり、甘えたりもする魅力的な女性。彼女とすごす時間は楽しく、話がはずみます。セオドアはポータブル端末に彼女を入れ、どこへでも連れていきます。今までの空虚な毎日が、サマンサのおかげでばら色に彩られていきます。

でも...サマンサは綿密にプログラミングされたOSであり、セオドアが潜在的に望んでいることに対して、ただ反応しているにすぎません。それを理解して楽しんでいるうちはいいのですが、いつしか現実との境が見えなくなってサマンサにのめり込んでいくセオドアに、違和感を覚えました。

この違和感こそが、監督が伝えたかったことなのでしょうね。サマンサは、今でいうiPhoneのSiriのようなもの。将来、AIのクオリティがますます高くなってリアルな人間の脳に近づき、自分が期待する通りの反応を見せてくれるようになったら...人はその魅力に抗しきれるでしょうか。

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セオドアの”手紙の代筆人”という職業がまたシニカルです。彼は例えば亡くなった人の代わりに、遺された人のために心のこもった手紙を書くエキスパートです。彼はビジネスライクにそれをこなしますが、実は彼のやっていることは、サマンサと同じなのですよね...そこに、人間とAIという違いはあるものの。

私は、等身大の人形との恋を描いたライアン・ゴズリング主演の「ラースと、その彼女」を思い出しましたが、セオドアが心の傷を乗り越えるために、心のよりどころとなるサマンサは必要な存在だったのだ、と思います。彼が仕事で多くの人たちを、彼のことばで支えたように。

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昔、解剖学の養老孟司先生が「これだけ科学が発達しても、人間は大腸菌ひとつ作ることができない。」とおっしゃっていたことが印象に残っています。AIがどれだけ進歩したとしても、決して人間の心には及ばない。

物語の結末はセオドアにはほろ苦いものでしたが、それが現実を見つめ直すきっかけを与えてくれた気がして、私はなんだかほっとしました。

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「アメリカのめっちゃスゴい女性たち」

映画評論家 町山智浩さんの新刊、「アメリカのめっちゃスゴい女性たち」を読みました。

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書評を読んで気になっていた本、偶然BOOKMARCで見つけて購入しました。町山智浩さんは映画のレビューや解説で度々お見かけしますが、どういう方で、どういう経緯で今アメリカにいらっしゃるのか知らなかったので、まえがきの自己紹介を読んで納得、ようやくすっきりしました。^^

この本では、町山さんが15年間のアメリカ生活の中で、「スゴい!」「カッコいい!」と感動した55人のアメリカ人女性たちが紹介されています。日本ではあまり知られていない、困難を乗り越えた女性たちを中心に選ばれたとのことで、その分野は多岐にわたっています。

映画や芸能関係のほか、経営者、科学者、作家、料理家、スポーツマンなどなど。そして多くが、性差のみならず、人種差別、貧困、虐待、身体障害などの苦難を乗り越えてきた方たちです。どれも”めっちゃスゴい”女性たちですが、硬軟とりまぜて紹介されているのが、町山さんらしい。

「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」など骨太の社会派映画で知られるキャスリン・ビグロー監督、アメリカ空軍を率いる世界初の女性司令官マーガレット・ウッドワード、世界初のコンピュータ開発に携わったグレース・ホッパーなど、かっこいい女性たちの奮闘物語にわくわくしました。

映画「ディア・ブラザー」(Conviction)のモデルとなった、ベティ・アン・ウォーターズが紹介されていたのもうれしかったです。彼女は、冤罪で逮捕された兄を救うため、高校卒業資格を取ることから勉強をはじめて司法試験に合格、弁護士になり18年かけて兄の無実を証明するのです。

紹介されている女性たちは、波乱に満ちた人生だけでひとつの映画になりそうですが、もとは雑誌ananに連載されていたコラムということもあって、ひとりたった3ページにまとめられているのがもったいない...ですが、町山さんの語り口の魅力で楽しく読めました。

夢や目的にむかって、ひたむきに生きる人たちはみな美しく、心を動かされます。彼女たちの生きる姿に励まされました。

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Brasserie SOMA

久しぶりに大人だけの夜。自由が丘のフレンチレストラン、「シェ・ソーマ」さんが支店を出されたと聞いて、足を運んでみました。都立大学駅から歩いて約5分、目黒通り沿いにある「ブラッスリー・ソーマ」(Brasserie SOMA)です。

入口にフランスの国旗、窓にはレースのカフェカーテン、と外観は昔ながらのかわいいフレンチレストランといった感じですが、中は白壁とダークウッドのインテリアで、シンプル&シックな雰囲気です。アラカルトのメニューも充実していましたが、はじめてのお店なので、コースをいただくことにしました。

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食べかけで失礼します。スターターは豚肉のリエット、カリカリパンにつけていただきます。食事といっしょに、私はシチリア産の白ワイン(名前は失念)をグラスでいただきました。最初の一口で、フルーティでふくよかな香りに感激しました。

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オードブルの盛り合わせは、夏らしくガラスの器に4種類。右奥から時計回りに野菜のテリーヌ、プラチナ豚のハムとガーデンサラダ、あじのマリネ。そして左奥は、鴨肉となんとかを使った自家製ハムのような一品。いろいろ入った複雑な味わいでした。

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お魚料理は、真鯛と海老と帆立のブイヤベースです。魚介のおだしが効いた濃厚なスープがすばらしい。スープにはリゾというお米の形のパスタが入っていて、このパスタにもスープのお味がしっかりしみていました。

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お肉料理は、ビーフシチュー。コースは少なめのポーション...と書かれていましたが、お肉がごろごろ、ボリュームたっぷりでした。お肉はとろとろに柔らかく、滋味深く複雑な味わいです。さっぱりとした野菜とのコンビネーションを楽しみました。和食器風の絵皿が個性的ですてき。

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デザートの盛り合わせはコーヒーとともに。抹茶のムース、フルーツ、キャラメルのアイスクリーム。そして奥に見えるのはブルーベリーチーズケーキです。ミステリアスな色合い、ジューシーなおいしさでした。

お店ではワイン教室も開かれているとのことで、ワインの種類が豊富でした。機会があれば、今度はお昼に訪れてみようと思います。

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