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世田谷美術館 「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」

世田谷美術館で開催中の「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」(~9月15日まで)を見に行きました。19~20世紀にかけて欧米で沸き起こった日本美術ブームをテーマに、ボストン美術館の所蔵品約150点が公開されています。

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フランス近代美術が充実しているボストン美術館ですが、ボストンが貿易港であることから日本とのつながりが深く、日本美術のコレクションには定評があります。私は15年前にボストン美術館を訪れましたが、当時は西洋美術を中心に見て、日本美術にはあまり関心がなかったのです。

最近になって、歌舞伎や日本画、日本の職人さんたちの技や日本製品のすばらしさを再発見するようになり、日本の芸術や文化をもっと見たい、知りたいと思うようになりました。今回の企画展は日本美術の魅力を逆輸入しているのがおもしろく、興味深い内容でした。

本展は、日本美術が西洋近代美術にどのような影響を与えたかということに着目し、2つの作品を並べて対比するなど、展示方法も工夫されています。影響がひと目でわかるものもあれば、解説を読んでなるほどとわかるもの、中にはこじつけでは?と思うものもありましたが^^ 楽しく鑑賞できました。

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(左)「ラ・ジャポネーズ」 (右)「緑衣の女」(展示にはない)

目玉は、初期ジャポニスムを代表するモネの大作、「ラ・ジャポネーズ」です。本展のために1年以上の修復を経て公開されました。熱心な浮世絵のコレクターでもあったモネは、日本びいきが高じて蓮池に太鼓橋の庭園まで作ったほどですが、意外にも日本趣味を全面に出した作品はこの1点だけだそうです。

モデルはモネの妻、カミーユ夫人ですが、対となる「緑衣の女」と同一人物とは思えないほど、その表情は晴れやかです。赤綸子に金糸の刺繍の華やかな打掛は躍動的で、足元の武者の刺繍は今にも飛び出しそう。近年の研究では着物の柄は歌舞伎の「紅葉狩」がモチーフだと考えられているそうです。

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(左)アメリカの画家、メアリー・スティーヴンソン・カサットの「湯浴み」。(右)は影響を与えたとされる、喜多川歌麿の「母子図 たらい遊」。画面の端でたらいが切れているのも、浮世絵ならではの描き方です。

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(左)ゴッホの「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」。(右)歌川国貞・歌川広重の「当盛十花撰 夏菊」。背景の大きな花模様に影響が見てとれます。

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(左)歌川国貞の「虎」。(右)フランスの画家、ポール=エリー・ランソンの「密林の虎」。どちらが西洋画でどちらが日本画か、わからないほどです。

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(左)アメリカの画家、ジョン・ラファージの「ヒルサイド・スタディ(二本の木)」。(右)歌川広重の「名所江戸百景 神田明神曙之景」。上下を貫通する木の幹が、絵を格子状に分断しています。

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(左)モネ 「トルーヴィルの海岸」
(右)歌川広重 「東海道拾三次之内 四日市 三重川」

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(左)モネ 「積みわら(日没)」
(右)歌川広重 「東海道拾三次之内 鞠子 名物茶店」

どちらのモネの作品も、構図が広重にそっくり! モネは積みわらの作品をたくさん残していますが、茶店がもとになっていたとは驚きました。^^ 飛行機もない時代、海をわたった浮世絵が思いがけない形で文化貢献していたことが誇らしく、感慨深く思いました。

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美術館・博物館」カテゴリの記事

コメント

私はアメリカ本土へは渡ったことがないのですが、欧州へは何度か行っています。オランダ、ベルギー、ドイツの美術館、博物館巡りをしていた時、ドイツの辺境の小さな美術館で浮世絵のコレクションの展示をみたことがあります。江戸時代に今でいうプロマイド的な扱いを受けていた浮世絵は、当時の日本人はそれほど評価していませんでした。しかし、この絵を見た欧州の人たちには相当な衝撃であったようで、それがジャポニズムとして絵画の世界に多大な影響を与えたのだと実感できました。
ただ・・・春画まで堂々と展示されていたので、少々困りましたね。

投稿: ヌマンタ | 2014年7月15日 (火) 11時14分

私はボストン美術館に行ったのは、14年と数か月前。
ほぼ同時期ですね^^
会社の研修で2週間滞在した際に休日に行きました。
刀や鎧などもあったような記憶があります。
私が行った時は、浮世絵はあまりなかったかな?
ヌマンタさんが仰る様に、浮世絵の影響は世界的にあったようで
嬉しいです^^
日本では、包み紙と使って使っていた人もいたとかいう
話も聞いたことがあります(・_・;)
本当か否か、分かりませんが。

投稿: イザワ | 2014年7月16日 (水) 01時17分

☆ ヌマンタさま ☆
こんにちは。
当時の日本では、浮世絵は
今でいうサブカルチャー的な存在だったのでしょうね。
広重や国貞の作品を見ると、構図が斬新で
シンプルな筆致で物事の特徴をみごとに捉えていて
今見てもかっこいいデザイン、グラフィックアートだなあと思います。
今、日本の漫画が世界的なブームになっていますが
およそ1000年前にも同じことが起こっていた...
と思うとなんだか感慨深いです。

投稿: ☆ ヌマンタさま ☆ | 2014年7月16日 (水) 10時35分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
イザワさんはボストン美術館にもいらしたのですね。
日本美術のコレクションで知られていますが
浮世絵などはやはり人気があって、世界中に巡回展などで
貸し出すことも多いようですから、
タイミングが合わないとなかなか見れないかもしれませんね。

包み紙の話は私も聞いたことがあります。^^
ヨーロッパ行きの貨物で、われものなどの緩衝材に使われていて
見た人が驚愕し、一気に人気が高まったとか...
なんだかロマンを感じますね☆

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2014年7月16日 (水) 10時47分

セレンさん☆
これは面白い企画展ですね~
こういった解説があると、絵画の鑑賞法も視点を変えて見られるので、すごくいいと思います。
それにしても超有名画家も、まねっこしてる(正しくは影響を受けている)と考えると、類似商品が生まれるのもいたし方ないのかな・・・なんて思ったり。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2014年7月16日 (水) 11時07分

わ~懐かしいです。
ボストン旅行の際、ラ・ジャポネーズを拝見し、なんて晴れやかで、明るい雰囲気の奥さまなんだろうと思っていたのですが、右の絵の女性は、本当に同一人物とは思えないほどの暗い雰囲気ですね。
二度見してしまいました。笑

ボストン美術館に入った時に、「あれ?日本に帰ってきた!?」という錯覚を起こすほど日本の浮世絵や仏像が充実していて、日本の芸術は海外の方々に評価されているんだなぁとしみじみ思いましたっけ。

企画自体もすごく楽しそうなので、私も機会があったらぜひ訪れてみたいです。^^

投稿: ふゆさくら | 2014年7月16日 (水) 23時51分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
楽しい企画展でしたよ。
2枚の作品を並べて展示することで
構図や題材、絵柄など、どのように影響を与えたのか
ひと目でわかるというのが、おもしろい試みでした。

日本は開国してから西洋のいいところを取り入れ
追いつき追い越せで成長していきましたが
一方では浮世絵などの日本文化が、西洋の名だたる画家たちに
影響を与えていたなんて...なんだか誇らしいですね。

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2014年7月17日 (木) 08時30分

☆ ふゆさくらさま ☆
こんにちは。
ラ・ジャポネーズはひと目見たら忘れない印象的な作品ですね。
今回の企画展のために修復されたので、赤や金のくすみが取れて
より鮮やかで、華やかさが増していたように感じられました。
コテコテの日本趣味ですが、愛らしい作品ですね。

ちょっと交通の不便な場所にありますが
機会がありましたら是非。
東京のあと、京都、名古屋にも巡回するそうです。

投稿: ☆ ふゆさくらさま ☆ | 2014年7月17日 (木) 08時39分

こんばんは。

「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」行かれたんですね!
駅とかで大々的に宣伝されてるので、行きたいな~・・って思いつつ、場所がネックで・・。coldsweats01

でも、記事を読ませていただくと、本当に面白そうです!
影響を受けた西洋人画家達との対比とか、実際に見てみたいな~。
9月15日までなんですね。時間がとれたら是非、是非、行ってみたいです!!happy02

赤ちゃんの湯浴みの絵、可愛いな。

投稿: ごみつ | 2014年7月17日 (木) 22時20分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
ジャポニスム展、楽しかったです♪
世田谷美術館、ちょっと不便なところにありますが
お時間がありましたら...
用賀駅からは、直行バスも出ているようです。

赤ちゃんの湯浴み、かわいいですよね。^^
こういう日常に題材を求めるというのも
当時の西洋絵画では画期的だったそうですよ。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2014年7月18日 (金) 07時47分

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