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「ウォー・ホース ~戦火の馬~」

神戸旅行記は1回お休みして...

感動が薄れないうちに、ロンドンで大ヒットし、今、日本で初上演中の舞台、「ウォー・ホース ~戦火の馬~」(War Horse)の感想を書き留めておきます。会場は東急シアターオーブです。

Warhorse_1

マイケル・モーパーゴの児童小説を舞台化し、2007年ロンドンで初演。のちにニューヨークで上演され、トニー賞5部門を受賞しました。ロンドン公演を見て感動したスピルバーグ監督によって映画化もされています。映画がすばらしかったので、元になった舞台をいつか見たいと心待ちにしていました。

 「戦火の馬」(映画の感想)

馬は着ぐるみ?どうやって表現するの?と興味津々でしたが、1ヶ月くらい前にテレビでメイキング映像を見て、精巧な木製のパペットを3人がかりで動かす、と知りました。パペットを制作したのは、南アフリカを拠点に活躍するアーティスト集団、ハンドスプリング・パペット・カンパニー(Handspring Puppet Company)。

このパペットが実にすばらしいのです。木の骨組みに薄布を張った馬は、関節や耳の動きまでリアルに表現され、表情豊か。見ているうちに農夫の姿をした黒子の存在は全く気にならなくなり、生きている馬そのものにしか見えなくなるのが不思議です。

このパペットが日本の文楽人形の影響を受けて作られたと知り、なおのことうれしく、誇らしく思いました。

Warhorse_6

そして舞台ももちろんすばらしかった! 私はストーリーを映画で知っていたこともあり、幕が上がった時から、もうほろほろと涙ぐんでいました。アルバートが馬のジョーイに話しかける時の慈愛に満ちた優しい声が泣けて泣けて...

舞台装置は実にシンプルで、家の中と外を区切るドア、ジョーイが引く農具の鋤(すき)、大砲など、必要最小限のものしかありませんが、イマジネーションの力を借りて、目の前には壮大な風景が浮かんできました。

抑えた照明に閃光や煙、そして爆音、背景のスクリーンに描かれた洞窟壁画のような素朴なイラストから、激しい戦争の様子が伝わってきます。何頭もの馬が並んで突撃する場面は圧巻でした。

少年と馬との絆を描いた友情物語ですが、背後にあるのは反戦のメッセージ。何もわからないままに人間の都合によって集められ、危険な前線に送られ、動けなくなると命を絶たれる馬たちの姿を通じて、戦争の愚かしさ、人間の身勝手さが刃のように心に突き刺さります。

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アルバートがジョーイに鋤の引き方を教えたことが戦場での命拾いにつながったこと、空白地帯で助けられたジョーイがコイントスでイギリス軍に引き取られたこと...偶然の幸運の積み重ねによってたぐりよせられていく、運命の再会はわかっていても感動的。涙があふれました。

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映画にも登場した仲良しの黒馬のトップソーンとのやりとりも微笑ましかったですが、映画ほど擬人化されていなくて、あくまでナチュラルだったのがよかった。^^ 村人たち歌う素朴なイギリス民謡風の音楽が温かく、心に染みました。

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コメント

こんばんは!

「戦火の馬」の舞台、観に行かれたのですね!
駅とかでよくこの公演のポスターを見かけるので、気になってました。

スピルバーグの「戦火の馬」、本当に良い映画でしたよね。
やっぱり、動物が主人公だと、素直に感動してしまいます。
人間がらみで、動物に被害が及ぶ時、すべてに責任は人間にあって、動物達はただただ不条理に死んでいくだけ・・・。

そんな存在だからこそ、戦争の悲惨さが、ストレートに伝わってきます。

舞台も、写真を見せていただいただけでも、馬の存在感が伝わってきますね。

投稿: ごみつ | 2014年8月12日 (火) 21時27分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは♪
「戦火の馬」映画もすばらしかったですが
舞台もとっても感動的でした。

馬の動きや表情がすばらしかったので
生きているとしか思えなくて、感情移入してしまいました。
人間の都合で戦争に巻き込まれ、理不尽に死んでいく馬たちに
心が引き裂かれそうになりました。

パペットの馬はもちろんすばらしかったですが
アルバートが飼っているダックちゃん(映画にも登場しましたね)
の動きがかわいくて、気持ちを和らげてくれましたよ。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2014年8月13日 (水) 08時11分

セレンさん☆
馬のパペットの詳細が見事に表現されていて、この舞台の良さがすごくわかりやすいですねー
舞台も素晴らしかったけど、セレンさんも素晴らしいわ☆

全体にトーンを落とした色合いと暗めの照明が大人の演出でしたね。
実はスモークが私の喉を再び刺激して、咳と戦っていたりしたので、本気で感涙するところまで集中できなかったのが残念です。

投稿: ノルウェーまだ~む | 2014年8月13日 (水) 11時39分

舞台は、想像力を働かせてその場の光景を楽しめるも良いですよね。
如何に観客の想像力を膨らませることができるかも腕の見せどころ
かもしれません。
その意味でも、素晴らしい演出がされていることが、セレンディピティさんの
解説から読み取れました。
最近は知り合いが舞台にたった、小松正夫団長の舞台を見に行きましたが、
ただただ、楽しい舞台にそれもまた、計算された演出で楽しめました^^

投稿: イザワ | 2014年8月13日 (水) 15時42分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
まだ~むさんも見に行かれたと知って驚きました。
ひょっとして同じ日だったのかも??
ほんとうにすばらしい舞台でしたね☆

パペットのすばらしさがお伝えできれば、と思いましたが
まだ~むさんにそんな風に言っていただけて光栄です。

まだ~むさんはすごくよい席にいらしたようなので
スモークが直接当たってしまったのは残念でしたね...
でも臨場感あふれる迫力の舞台でしたね。

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2014年8月14日 (木) 07時56分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
舞台は観客のイマジネーションを借りて展開するところが
映画とは違うおもしろさがありますね。
落語の扇子ではないですが、ひとつの道具が
いく通りもの役割を果たしたりして...
そして生の舞台ならではの緊張感、臨場感に
たまらない魅力を感じます。

イザワさんもお知り合いの舞台を見に行かれたのですね☆
コメディもまた、笑いの間合いや駆け引きなど
ドラマとは違ったおもしろさがありそうです☆

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2014年8月14日 (木) 08時04分

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受信: 2014年8月13日 (水) 11時33分

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受信: 2015年1月27日 (火) 20時05分

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