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2014年10月

「誰よりも狙われた男」

今年2月に亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作、「誰よりも狙われた男」(A Most Wanted Man)を見ました。「裏切りのサーカス」のジョン・ル・カレ原作の、味わい深い硬派なスパイ映画です。

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ドイツ、ハンブルク。諜報機関でテロ対策チームを率いるバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、ロシアからの密入国者イッサに目を留めます。イスラム過激派として指名手配されている彼は、人権団体の弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を介し、銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)と接触しようとしていました。

バッハマンはイッサの行動を利用することで、かねてから追っていたイスラムテロ組織の資金源となる人物をあぶりだそうと画策しますが、一方、別の諜報機関やCIAは、イッサ逮捕に向けて動き出します...。

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フィリップ・シーモア・ホフマン主演で、ル・カレのスパイ小説が原作、ということで楽しみにしていましたが、期待通りにおもしろかったです。かっこいいヒーローもいなければ、派手なアクションもありませんが、息もつかせぬ緊迫した展開に、最後までドキドキと引き込まれました。大人のための上質なサスペンスです。

なんといってもホフマン演じるバッハマンの、これまで数々の修羅場をくぐり抜けてきたであろう人間としての深みが魅力的。彼はかつてCIAにしてやられた経緯があり、今は組織の片隅にいますが、信念に従い、あくまで泥くさく、プロに徹した仕事ぶりを見せてくれます。

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最初のうちはバッハマンの真の目的が見えていませんが、やがてそれが入念に準備された緻密な計画の上にあることが明らかになり、じっくり確実にターゲットとの距離を縮めていく展開に、鳥肌のたつような興奮を覚えました。

舞台がドイツのハンブルクというのがまた効いています。重厚な石造りの街並み、陰鬱な曇り空。バッハマンを支える有能なスタッフ役を、ニーナ・ホスにダニエル・ブリュールと、ヨーロッパの俳優さんが演じていたのも心憎いキャスティングでした。

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ひとつわからなかったのは、どうして”彼”は父親を裏切ってバッハマンに協力したのだろうか?ということ。これはイッサが父親に反発して遺産を寄付しようとしたのと、同じ心理なのかしら?そこが腑に落ちませんでした。(私が見落としていたのかもしれませんが)

それにしても役柄上とはいえ、バッハマンのチェーンスモーキングぶりが目を引きました。最近は映画でも、煙草を吸うシーンがどんどんなくなりつつあるので、よけいに気になったのかもしれませんが、彼の昔気質の性格がよく表れていたように思います。

バッハマンは最終目的を達したら、あとは人情味あふれる取り計らいを算段しますが、ラストは思いがけない結末を迎えます。ドイツとアメリカという両国の違いが鮮やかに描かれていましたが、思わず地団駄を踏んでしまいました。

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「ザハ・ハディド」展 @東京オペラシティ アートギャラリー

東京オペラシティ アートギャラリーで開催されている「ザハ・ハディド」展(~12月23日まで)を見に行きました。2020年東京オリンピックに向けて建設される、新国立競技場のデザインで注目を集めている建築家、ザハ・ハディドの日本初の大規模個展です。

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新国立競技場のデザインコンペで1位を獲得するも、建設にあたっては景観や費用をめぐり今なお議論を巻き起こしているザハの建築案。彼女がこれまでにどのような建築物を設計し、また東京オリンピックのメイン会場になぜ彼女のデザインが採用されたのか知りたくて、足を運んでみました。

会場に入ってすぐの展示室に、彼女の建築のデザイン画や模型が展示されていますが、イメージを重視したもので、どういう建築なのか今ひとつ想像できませんでしたが、次の展示室で上映されている、彼女のこれまでのプロジェクトをまとめたフィルムがわかりやすく、理解を深めることができました。

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ザハ・ハディドはバグダッド生まれ、ロンドン在住の現代を代表する建築家です。1983年、香港のコンペで優勝してその名を広く知られるも、ザハの設計はあまりに前衛的で建築技術が追いつかなかったため、長らく実際に建てられることはありませんでした。

1993年、「ヴィトラ消防署」がはじめて建設されたのを機に、数々のコンペで優勝し、建設されるようにもなりました。彼女がこれまで設計し、建設された建築物の中から、いくつかご紹介しますね。

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ヴィトラ消防署(ドイツ 1994) 記念すべき第1作

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ローゼンタール現代美術センター(アメリカ・シンシナティ 2003)

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リバーサイド博物館(イギリス 2011)
スコットランドのグラスゴーにある交通博物館

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ヘイダル・アリエフ文化センター(アゼルバイジャン 2012)

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Eli and Edythe Broad Art Museum(アメリカ 2012)
ミシガン州立大学の現代美術館

このほか、2012年ロンドンオリンピックで建設されたアクアティクス・センターもザハの設計ですし、北京の銀河SOHOなど、現在進行中のプロジェクトもたくさんあります。

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ザハのデザインは刺激的で、気分を高揚させる魅力はありますが、私は正直、オリンピックのメイン会場という国を代表する施設に、どうして日本の建築家を選ばなかったのか、納得できない気持ちがありました。日本にも世界で活躍しているすばらしい建築家たちがたくさんいるのに...。

でも本展を見て、ザハの建築は今、ヨーロッパ、アメリカ、中東、アジア...と世界各地で次々と建てられ、一大ムーブメントになっている、という印象をもちました。一方、日本には、ザハが内装をデザインしたレストランやブティックはありますが、建築は今のところひとつもありません。

オリンピックという世界が注目するイベントにあわせて、是非この機会にザハの建築を...という意向も、ひょっとしたらあったのかな?なんて思いました。(そんな単純な問題ではないと思いますが)

エッフェル塔が当初酷評されたものの、今ではすっかりパリの顔になっているように、ザハの新国立競技場も10年後、20年後、時を経ていつしか東京の風景になじんでいくかもしれませんね。

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「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」

今世紀最高のピアニスト、マルタ・アルゲリッチの素顔に迫るドキュメンタリー映画、「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」(Bloody Daughter)を見ました。アルゲリッチの三女、ステファニーによる監督長編デビュー作です。

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子どもの頃から大好きだった憧れのピアニスト、マルタ・アルゲリッチのドキュメンタリー映画ということで楽しみにしていた本作、3週間ほど前に見に行きました。ドキュメンタリーだし、そんなに混んでいないだろう...と予約もせずふらりとでかけたら、まさかの満席。結局、タリーズで時間をつぶして次の回を見ることになりました。

考えてみたら、私の少し上の世代の方たちにとって、彼女はまさにクラシック界のミューズ。今なお圧倒的な人気を誇るのは当然のこと、と納得しました。現在、別府で毎年アルゲリッチ音楽祭が開催され、日本ともつながりの深いピアニストです。この音楽祭の模様も、映画で少し登場します。

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映画は、三女のステファニーが撮っていることもあり、ピアニストではなく、母親であり、ひとりの女性であるアルゲリッチの素顔が描かれています。演奏シーンはあまりなくて、寝起きの顔だったり、そのへんに寝そべっていたり...まるでホームビデオを見ているようなカジュアルさ。

アルゲリッチはマスコミ嫌いで知られ、取材にもほとんど応じないそうですから、それだけでも貴重なフィルムといえそうです。私自身、彼女のプライベートについてはほとんど気に留めてこなかったので、今回はじめて知って驚いたこともたくさんありました。

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私は、彼女がアルゼンチン出身のピアニストだと思っていたので、だからラテンならではの情熱的な演奏をされるんだなあとずっと思っていましたが、実はルーツはヨーロッパにあり、両親の仕事の関係でアルゼンチンで暮らしていたのだということ。今は、ベルギーを拠点に活動されているようです。

そして、指揮者のシャルル・デュトワと結婚していたことは知っていましたが、彼は2番目の夫であり、実はこれまで3回の結婚と離婚を経験し、3人の娘たちはすべて父親が違うということもはじめて知りました。

若い頃はとにかく美しくて、才能にあふれ、光り輝く存在だったので、恋多き女性だったというのも納得ですが、アルゲリッチは女性に生まれたことを何より誇りに思っていたと知り、うれしくなりました。だから彼女の強力な遺伝子パワーで、3人の女の子に恵まれたのかな?とも思いました。

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とはいえ、ふつうのおかあさんのような子育てはとても無理で、ステファニーは小さい頃は学校にも通えず、母といっしょに演奏旅行で世界中を飛び回るような生活だったそうです。それでもきっと、3人のお嬢さんたちはそれぞれの立場から母の背中をしっかり見て、成長されたのだろうな...と想像しました。

長女と次女は離婚によって親権が父親に移ったこともあり、アルゲリッチといっしょにすごした時間は短かったようですが、長女はヴィオラ奏者、次女はライター、三女は映像作家...とそれぞれ分野は違うものの、クリエイティブな世界に自分の道を見出し活躍しています。

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バロックから現代音楽まで、幅広いレパートリーをもつアルゲリッチですが、ステファニーがプロコフィエフのピアノ協奏曲が好きだというのに納得しました。私はラヴェルのピアノ協奏曲が好きなのですが、いずれにしてもアルゲリッチは、オーケストラを従えて、女王のように華やかに演奏するのが似合うように思うからです。

でもアルゲリッチ自身は、意外にもシューマンが好きなのだそうです。理由はわからないと言ってましたが、シューマンは「子供の情景」のようなかわいらしい小品集もありますし、なんとなくアルゲリッチの母なる部分に触れたような気がしました。

Argerich_5_2 若き日のアルゲリッチ

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菱田春草展 @東京国立近代美術館

招待券をいただいて、東京国立近代美術館で開催されている「菱田春草展」(~11月3日まで)を見に行きました。春草生誕140年を記念して、重要文化財4点を含む108点を展示する大回顧展です。

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菱田春草は、明治期を代表する日本画家。東京美術学校に入学し、横山大観、下村観山とともに岡倉天心のもとで学び、近代日本画の革新に貢献しました。本展では、36歳という短い生涯の中で、試行錯誤を重ねながら新しい日本画を追求した、春草の作品の変遷をたどることができました。

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卒業制作の「寡婦と孤児」。日清戦争の戦勝ムードの中、未亡人を描くというテーマの斬新さ、伝統的な日本画に光と影の西洋画の技法を取り入れた革新性から、学内で落第か傑作かの議論を巻き起こし、最終的に学長 岡倉天心の鶴の一声で、最優秀に選ばれました。

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「寒林」 卒業後、岡倉天心らとともに日本美術院を創設した年に描いた代表作です。これまでの日本画の特徴である輪郭線を取り払った春草独特の画法は、「朦朧体」(もうろうたい)とよばれ、批判されました。

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「王昭君」 絶世の美女ながら、絵師に賄賂を送らなかったために醜く描かれ、匈奴に嫁ぐことになった王昭君の悲劇を描いた作品。輪郭線のない朦朧体が功を奏し、衣装や肌の淡い色彩がソフトフォーカスで幻想的に浮かび上がって、とても美しかったです。テーマのドラマ性もあって、心に残る作品でした。

1903年にインド、1904年にアメリカ、ヨーロッパと旅しながら展覧会を開いた春草は、日本で朦朧体と批判された作品が高く評価されたことに自信をつけ、帰国してからは西洋画に影響を受けた作品を次々と発表しました。

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「賢主菩薩」 主題からは想像できませんが、袈裟の部分を近くで見ると、点描画法や補色対比など、西洋の印象派絵画の手法が取り入れられていることがわかります。また今回、絵具の科学調査を行ったところ、青、緑、黄色などに西洋顔料が使われていることがわかったそうです。

この後、網膜炎を患い視力が低下した春草は、代々木に移り住み病気療養することになりました。小康を得た時に周囲の雑木林を題材に、「落葉」の連作を制作しました。

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今回、前・後期あわせて全部で5作の「落葉」が展示されています。すっきりとした構図は琳派の影響も感じられ、私はどれも気に入りました。輪郭をもたない幹は位置と濃淡で奥行が表現されていますが、一方葉っぱには輪郭が施され、ボタニカルアートといった細密さでした。

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(左)「黒き猫」 (中)「柿に猫」 (右)「柿に烏」

代表作の「黒き猫」をはじめ、猫を描いた作品が勢ぞろい。よく見ると、輪郭をぼやかすことでビロードのような毛並みがみごとに表現され、触ってみたくなるほどかわいかったです。烏、雀、鹿など、身近な生き物を描いた作品は、どれも命が吹き込まれ、息づいているのを感じました。

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嵐の前に & ハロウィーンのお菓子

台風19号が刻々と近づいていた体育の日。思ったより足取りが遅く、東京に来るのは夜になりそうだったので、気分転換に車で恵比寿ガーデンプレイスにお昼を食べに行きました。

朝から雨が降ったり止んだりのあいにくのお天気でしたが、3連休のイベントもあって、意外と賑わっていました。私たちはタワー38階にある日本料理の吉祥さんへ。

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私は銀鱈の西京焼き御膳をいただきました。西京焼きは家ではお味噌がもったいないので、あまりぬぐわずそのまま焼きますが^^ ここではお味噌がきれいに取り除かれ、わずかに香るほどの繊細なお味でした。菊花やもみじの器、菊の葉が添えられているのが、秋らしいおもてなしです。

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こちらは三色丼御膳です。天丼、海鮮丼、牛丼の3色セットで、丼好きにはうれしい組み合わせ。こちらは関東風のしっかりとしたお味でした。どちらの御膳にも、前菜の小鉢とデザートがつきます。

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窓から見る六本木方面の風景です。中央奥に見える高いビルは六本木ヒルズと東京ミッドタウン。少し離れて右の方にうっすらと東京タワーが見えます。少し靄がかかっていますが、嵐の前の幻想的な眺めでした。

この窓の下にこれだけの人が住み、その人たちを支える仕事や食べ物があるというのは、考えてみればすごいことですね...。そうこうしているうちに、雨がつかの間ざざ~っと降り、一瞬にして視界が霧で閉ざされましたが、楽しいお昼になりました。

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ハロウィーンシーズンを迎えて、毎年のことながらかぼちゃのお菓子作りを楽しんでいます。

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かぼちゃとメープルのカップケーキ。電子レンジでチンして柔らかくし、マッシュしたかぼちゃがたっぷり入っています。甘みは三温糖とメープルシロップの素朴で優しい味わい。上から粉砂糖をふるって仕上げました。

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(右)アメリカのおみやげにいただいた、ハロウィーンのペーパーカップ。マフィン型に敷いて使います。特に黒いゴシックデザインが気に入っています。

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かぼちゃのチーズケーキ。マッシュしたかぼちゃがたっぷり入ったヘルシーなチーズケーキです。ボトムは、パウダー状に砕いたバターサブレにとかしバターをなじませたものを敷き詰めています。上からシナモンとココアをあわせてふるっていますが、メイプルシロップもよく合います。

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クリスピークリームドーナツで、ハロウィーン限定ドーナツを買いました。(2つ定番のも交じっています) ジャック・オ・ランタンに蜘蛛の巣、ベリーに紫芋...と秋ならではのお味とハロウィーンモチーフにわくわくしました。箱もとってもかわいい。

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自由が丘の新感覚の豆菓子屋さん、フェーヴのハロウィーンお菓子です。ハロウィーンバージョンは全部で4種類ありますが、これは黒糖シナモンをからめたくるみとかぼちゃチップという組み合わせ。日本茶や、お酒のお供にも合いそうです。

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「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」

リチャード・カーティス監督の最新作、「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」(About Time)を見ました。ハートウォーミングなヒューマンドラマです。

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イギリス南西部、美しいコーンウォール地方で家族とともに幸せに暮らすティム(ドーナル・グリーソン)は、ちょっぴり内気で恋人がいないのが悩み。21歳になった時、父(ビル・ナイ)から一家の男たちにはタイムトラベルの能力があると知らされ、衝撃を受けます。

弁護士になるためにロンドンに上京したティムは、チャーミングな女性メアリー(レイチェル・マクアダムス)に出会ってたちまち夢中に。彼女のハートを射止めようと、タイムトラベルの能力を使って奮闘します...。

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監督や脚本で、「ラブ・アクチュアリー」「ノッティング・ヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」など、これまですてきな作品を数々手掛けてこられたリチャード・カーティスの監督引退作品というので気になっていた本作。

どちらかというと若い方のデート向けの映画かな~?と躊躇していたのですが、これまでの作品の集大成といった感じの、監督の思いが伝わってくる作品でした。タイムトラベルがドラマの小道具として使われていますが、SFというよりは、ロマンティックなラブストーリーであり、心温まる家族の物語です。

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この作品の魅力はなんといっても、ヒロインを演じるレイチェル・マクアダムスのかわいらしさ。レトロでガーリィなファッション、お茶目で飾らない人柄、明るくはじける笑顔とくるくる動く豊かな表情...とすべてがチャーミングで、同性ながらきゅんきゅんしてしまいました。

最近シリアスな役にもチャレンジしているレイチェルですが、なんといってもこういうロマンティックなラブストーリーが似合うなーと思います。主演のドーナル・グリーソンくんも今時の気弱で優しい青年を好演。スーツの着こなしが英国男子らしく決まっていました。

カーティス作品でおなじみのビル・ナイは、今回は知的で穏やかな紳士を演じています。ドーナルくんとどことなく雰囲気が似ていて、ほんとうの親子のように息が合っていました。そして、忘れてならないのがティムの両親と同居している叔父さん。^^ カーティス作品らしいとぼけたいい味を出していました。

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ティムの故郷、美しいコーンウォールでのウェディングも印象的でした。この日にかぎってものすごい嵐となり、せっかく準備したガーデンパーティも台無しになってしまうのですが、みんなきゃっきゃっと大騒ぎしてとても楽しそうなのです。メアリーの真っ赤なウェディングドレスも最高にキュートでした。

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監督からのメッセージは、何気ない日常に感謝し、毎日を大切に生きること。当たり前といえば当たり前ですが、それを押しつけがましくなく、愛情いっぱいに軽やかに描いているところに、監督のセンスを感じます。

カーティス監督が描く、不器用な人たちへの温かいまなざしや、イギリスらしいユーモアが大好きなので、監督業は引退とのことですが、これからもすてきな脚本を書き続けてほしいなあと願っています。

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井の頭公園と、風の散歩道

山本有三記念館へは、吉祥寺と三鷹からバスが出ていますが、私たちは吉祥寺駅から井の頭公園を通ってぶらぶら歩いて行きました。吉祥寺駅に着いたのが11時過ぎ。このあたりは午後からものすごく混むので、先に早めのお昼をいただくことにしました。

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ふらっと入ったのは、丸井の横から公園に向かう途中にあるパッション(the Passion)というカジュアルイタリアンのお店。ランチは前菜にサラダ、パスタ、コーヒーがつきます。私はオクラと秋刀魚のパスタをいただきました。

(右)はラムとペコリーノチーズのパスタですが、大きくて柔らかいお肉がごろごろ入っていてボリュームたっぷり。クミンやコリアンダーなど、モロッコ風のスパイスが効いておいしかったです。

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井の頭公園はそろそろ人が多くなっていましたが、ボートはまだそれほど出ていなくて池も余裕がありました。桜の葉はほんの少し色づきはじめていましたが、本格的な紅葉はもう少し先になりそうです。

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弁天橋を歩き進むと、餌をもらえると思ったのか鯉がたくさん寄ってきて口をパクパクさせています。^^; 池は、今年かいぼりをして水を入れ替えたばかりなので、底が見えそうなくらいにきれいでした。

蚊に刺されながら緑豊かな井の頭公園を抜け、玉川上水を三鷹方面に歩くと、山本有三記念館はすぐそこです。

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さて、帰りは山本有三記念館のすぐ隣にあるカフェ ローズルームというティールームでひと休みしました。グレーがかった煉瓦の建物の1階にカフェとギャラリーがあり、2階はフレンチレストランとなっています。

白い壁にダークウッドのインテリア。イギリス風のアンティークテイストが落ち着きます。ここはジブリ美術館からも近く、美術館帰りらしい外国のお客様がソーダを飲んでいました。

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お隣のお家との間の小さな空間が、中庭風のテラス席となっていて、バラのアーチやコンテナガーデンがありました。ケーキは焼き菓子が3種類。私はバニラアイスクリームを添えたチョコレートブラウニーを、コーヒーとともにいただきました。

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玉川上水の南側の舗道は、風の散歩道と名付けられています。玉川上水の両岸は雑木林が続いていて、葉っぱが生い茂って川が見えないほど。武蔵野らしい風景です。

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山本有三記念館

週末、三鷹市にある「山本有三記念館」を訪れました。作家の山本有三が、1936~46年に家族とともに住んでいた洋館で、代表作の「路傍の石」もここで執筆されたそうです。戦後はGHQに接収されて、有三はやむなく転居し、返還されてからは三鷹市の施設となりました。

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芝生とお花で美しく整備された前庭の向こうに、木とレンガを組み合わせた味わい深い洋館があります。建物の大きさに比べるとこじんまりとした印象の扉をくぐり、中に入りました。受付をすませて1階の展示室を見ていると、スタッフの方が声をかけてくださり、館内を案内してくださることになりました。

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1階はダイニングルーム、リビングルーム、サンルーム、そして家族の憩いの場だったイングルヌックが公開され、有三の生涯や著作を紹介する常設展の展示室となっています。それぞれデザインの異なる3つの暖炉があり、床の木組みも凝っていて見ごたえがありました。

当時の流行を取り入れつつ、いろいろな建築様式が融合されているそうで、「小さなおうち」に登場する赤い屋根の家もこんな感じだったのかしら?と想像しました。設計者は不明ですが、材料はすべて国内で製造されたものだそうです。

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(左)山本有三のほか、谷崎潤一郎や菊池寛など文士の名前が並ぶ寄せ書き。(右)有三が、長男からの手紙に書き送った返事の手紙。2枚目には誤字脱字が列挙されていて^^; 国語教育に厳しい父親の顔がうかがえました。

栃木県出身の山本有三は小学校卒業後、丁稚奉公に出されましたが向学心を持ち続け、東京帝大に入学。在学中から劇作家として出発し、のちに小説も執筆するようになりました。後年は国語問題に取り組み、国語教科書の編集にも携わりました。

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(左)この家はもとは貿易商で大学教授の清田龍之介の住まいとして建てられました。氏の父親は牧師だったそうで、特にこの階段部分は正面に十字架のモチーフを取り入れたステンドグラスがあり、教会建築のようでした。 (右)2階にある、この家でただひとつの和室。

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2階は家族の寝室だったところが、企画展の展示室となっていました。戦後、有三はふりがなをつけなくてはならない漢字は廃止すべきだという考えを持ち、誰でも理解できるやさしいことばを使う文章を目指したそうです。また、口語憲法の成立や、当用漢字、現代かなづかいの制定にも深く関わりました。

たしかに昔に比べると、今の書きことばの日本語はだいぶ柔らかく、わかりやすくなっています。行き過ぎたら漢字を廃止した韓国語のような道をたどっていたかもしれませんし、ひょっとしたら英語が国語になっていたかも...言葉とは何か、しばし考えさせられました。(右)有三が編集した国語教科書。

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館内を見学したあとは、建物の裏に回りました。こちらが南向きなので窓も多く、表よりも華やいだ雰囲気です。広々とした裏庭は、今は有三記念公園として整備されています。

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裏庭には桜、ハナミズキ、紫陽花、もみじ、山茶花...と植えられ、四季折々の花や紅葉が楽しめそう。この日は紅葉しかけたハナミズキと、咲き始めの白い山茶花がとてもきれいでした。(右)奥には有三が好きだったという竹林と、故郷の栃木から取り寄せた石で作られた池がありました。

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門の前には中野から運んだという「路傍の石」のモデルとなった石が置かれています。人が踏みつけるくらいの小さな石をイメージしていたので、意外と大きくて驚きました。

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「ジャージー・ボーイズ」

クリント・イーストウッド監督の最新作、「ジャージー・ボーイズ」(Jersey Boys)を見ました。60年代に圧倒的な人気を誇ったポップスバンド、「ザ・フォー・シーズンズ」の栄光と影を描いたヒューマンドラマ。同名のブロードウェイミュージカルの映画化です。

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ニュージャージーの貧しい移民の街で生まれ育ったトミーとニックは、軽犯罪に手を染めながらバンドを組んで音楽活動をしていました。やがて地元で有名な天使のような歌声をもつフランキー、すでにヒット曲を書いていた才能あるソングライターのボブを仲間に引き入れ、「ザ・フォー・シーズンズ」を結成します。

最初はほかの歌手のバックコーラスばかり務めていた彼らでしたが、ようやくレコーディングにこぎつけた「シェリー」が大ヒットしたのを皮切りに、次々とヒットを飛ばして大人気に。押しも押されぬトップスターへの階段をかけあがっていきます...。

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イーストウッド監督の作品はどれも大好きですが、今回はミュージカルの映画化というのがちょっぴり意外で、興味津々楽しみにしていました。ひとことでいえばミュージシャンのサクセスストーリーなのですが、名匠イーストウッド監督がつむぐドラマの巧さに引き込まれ、心地よく酔いしれました。

オリジナルはトニー賞を受賞しているブロードウェイの人気ミュージカル。フランキー・ヴァリを演じるジョン・ロイド・ヤングはじめ、ボブとニックは舞台で演じた俳優さんがそのまま映画でも演じているので、チームワークはばっちり。音楽シーンも見ごたえありました。

ザ・フォー・シーズンズは知らなかったのですが、歌はどれもどこかで聞き覚えがありました。「君の瞳に恋してる」は、80年代にヒットしたディスコバージョンの印象が強かったので、もとはフランキー・ヴァリがこんなに切ない思いを込めて歌った歌だったなんて...思いがけなくて驚きました。

映画を見て、フランキーの娘に対する万感の思い、ボブのフランキーに対する長年の友情とリスペクトが伝わってきて、この歌に対するイメージがすっかり変わりました。

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ジャージースタイルの結束の強さで、順風満帆に成功を収めていったフランキーたちでしたが、リーダーのトミーが莫大な借金を作っていたことが発覚し、メンバーたちは解散の危機を迎えます。

もっともそれは単なるきっかけで、それまでの小さな行き違いが4人の間に少しずつほころびを作っていたのかもしれません。ラストに再集結したシーンでニックが冗談めかして言っていた「僕はこのバンドのリンゴ・スターだ」ということばが、はからずも真実をずばりと突いているように思いました。

映画は、制作にも関わっているフランキー・ヴァリとボブ・ゴーディオの視点になっているかもしれませんが、フランキーが「トミーが声をかけてくれたから、今の自分がある」と言い切り、追い詰められていたトミーのために、年間200回ものコンサートをこなして借金を返済する男気にぐっときました。

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フランキーの歌声に惚れ込み、ザ・フォー・シーズンズを支えてきたマフィアのボスにクリストファー・ウォーケン。彼の代表作「ディア・ハンター」にも、フランキー・ヴァリの歌う「君の瞳に恋してる」が使われているそうで、こちらも見てみたくなりました。

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五反田 「Restaurant Français MAY」

五反田に5月にオープンしたフレンチレストラン MAY(メイ)でお昼をいただきました。恵比寿のフレンチ「モナリザ」にいらしたシェフが新しく出されたお店とうかがい、楽しみにしていました。

駅から歩いて5分。ビルの1階にあるこじんまりとしたお店はシンプルでモダン、スタイリッシュな雰囲気ですが、外の空間とつながるような明るい開放感がありました。白いテーブルクロスに、スガハラのモダンなガラス器がよく映えます。

私たちは、アミューズと前菜2品、主菜にデザートがつくプリフィクスのコースをいただきましたが、こちらの主菜は、ひとつの素材をクラシックとモダン、2種類のスタイルで楽しめるというのがうれしくも斬新な演出。わくわく期待がふくらみました。

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アミューズです。左はセロリのムース、右は牛肉のいろいろな部位を使って作ったという小さなコロッケのようなお料理です。どちらも塩味がほどよく効いてワインや食前酒に合いそうでしたが、この日はこのあと車に乗る予定があったので、冷たいお水とともにいただきました。

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最初の前菜です。(左)は一週間熟成させたパテ・ド・カンパーニュ。私は(右)のサバのタルト仕立てをいただきました。さくさくとしたパイの上に、トマトで煮込んだほろほろのサバがのっています。上にはチーズのパリパリ。どちらもみずみずしいガーデンサラダが添えられています。

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2品目の前菜です。(左)はオマール海老とパッションフルーツのガトー仕立て。ぷりぷりのオマール海老が贅沢なおいしさです。私は(右)の夏野菜を添えたガスパチョをいただきました。上にのっているのはスイカの泡。パスタをまぶしたキスのフリットは、まずサクサクした食感を楽しんでから、スープにひたしていただきます。

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主菜の1品目はクラシックなスタイルで。(左)は牛ヒレ肉のポワレ。私は(右)のほろほろ鳥のバロティーヌをいただきました。フォアグラと里芋をほろほろ鳥の胸肉で包み込んだお料理で、淡白なほろほろ鳥にフォアグラのコクがアクセントを添えていました。どちらも美しい季節野菜とともに。

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主菜の2品目は、同じ素材を今度はモダンスタイルでいただきます。(左)は牛ほほ肉のアッシュパルマンティエ。牛ひき肉とじゃがいもを重ねたフランスの家庭料理ですが、トリュフを混ぜ込んであるのが心憎い演出です。

私は(右)のサラダを添えた、ほろほろ鳥もも肉のコンフィをいただきました。パリッとした皮、むちっとしたお肉の食感が楽しめました。七宝のような真っ赤なガラスのお皿がモダンですてきです。

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デザートです。(左)はパイナップルのガトー仕立て。席でパイナップルのスープを注いで仕上げます。上にのっているのはココナッツのソルベ。ドライパイナップルの羽飾りとともに。私は(右)のクレームダンジュ(チーズクリームデザート)をいただきました。マスカット、キウイ、メロンとさわやかなグリーンのフルーツがたっぷり。

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最後は深煎りのコーヒーを小菓子(プチマドレーヌとワインゼリー)とともに。

アートのように美しく洗練されたお料理は、伝統の中にもサプライズがあって、ひとつひとつ感動しながらおいしくいただきました。

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「猿の惑星:新世紀(ライジング)」

シリーズ最新作、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(Dawn of the Planet of the Apes)を見ました。「猿の惑星」(1968)のプリクエル3部作の第2作で、前作「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」から10年後という設定です。

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舞台は未来のサンフランシスコ。前作で、人間の作ったアルツハイマー新薬によって知能を得た猿たちは、圧倒的なカリスマ性を持つシーザー(アンディ・サーキス)をリーダーに、森の中に猿たちだけの平和なコミュニティを作っていました。

一方、同じ新薬の副作用で生じたウィルスがもとで、人間は絶滅の危機に瀕していました。わずかに生き残った人たちは荒廃した町で暮らしていましたが、新たに電力が必要となり、技術者のマルコム(ジェイソン・クラーク)たちはダムのあるシーザーのテリトリーに踏み入ります...。

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ピエール・ブール原作の「猿の惑星」が好きで、前作「猿の惑星:創世記」がすばらしかったので楽しみにしていた本作、最初の週末に見てきました。今回、監督が代わりましたが、前作の世界観をそのまま引き継いていて、お猿のシーザーを主人公としたみごとなヒューマン?ドラマを堪能しました。

序盤にシーザーの右腕であるコバが「シーザーに助けてもらって今の自分があるから、どんなことがあってもシーザーについていく」と言うような場面があり、私はてっきりこれがシーザーを助けるためにコバが命を落とすフラグだと思っていましたが...みごとにはずれました。

人間に愛情深く育てられたシーザーと違い、虐待された憎しみしか持たないコバ。その感情は猿だけの世界で平和に暮らしている時には心の奥底に隠れていますが、決して忘れ去ることができないほどに根深く、人間との関わりが生じたとたん、牙をむくことになります。

相手を赦すことの難しさ、憎しみは憎しみしか生まないという現実は、この映画の人間と猿の関係のみならず、現代の私たちが抱える民族と民族、宗教と宗教の問題にも通じるものがあり、考えさせられました。

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マルコムの上司であるドレイファス(ゲイリー・オールドマン)の「猿たちにはかなわない。あいつらは何もなくても生きていけるのだから」ということばも印象的でした。私たち人間は高度な文明を手に入れたけれど、それは同時にあっという間に崩れ去る脆さを持っているということ。

電力が止まればたちまちそれが死活問題に結びつき、パニックにおちいる人間たちを見ていると、文明を放棄し、猿たちのように自然と共存する生き方の方が、実は正しいのではないかと一瞬ですが思えてきます。

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「猿は猿を殺さない」という不文律のもと、理想的な社会を築いてきたシーザーは、人間という他者が入ってきてからも、共生する道をぎりぎりまで模索しますが、最後の最後に苦渋の決断を迫られることになります。その苦悩と覚悟が胸に刺さりました。

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今回もアンディ・サーキスの演技に泣かされ、思い切りお猿たちに感情移入して見ていましたが、動きのみならず繊細な感情表現をも支えるパフォーマンス・キャプチャーの技術に感動しました。エンドロールを見ると役名のついた登場人物は意外と少なく、それに対して延々と並ぶ技術スタッフの多さに圧倒されました。

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新しい上野 & 銀座 柿安さんでランチ

北斎展を見て上野の森美術館を出たら、西郷さんの銅像があるあたりがすっかり変わっていて驚きました。ガラス張りのきれいなレストランビルが3つもできていて、中を通ってJR上野駅の方に下りられるようになっています。

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写真は今年4月にオープンしたという「上野の森さくらテラス」。両隣に「UENO3153」「上野バンブーガーデン」と並び、いずれも軽く食事のできるレストランやカフェ、バーなどが入っていました。

以前は何だったか、しばし記憶をたぐりよせましたが、たしか昭和のおもかげの残る古~い建物が並んでいたような...いつの間にか上野のまわりにも、再開発の波が打ち寄せていたのですね。

一抹の寂しさはありますが、これまで上野の美術館や文化会館を訪れる時、さくっと食事できる場所が意外となくて悩むことがあったので、選択肢が増えるのはうれしいです。機会があれば足を運んでみようと思います。

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この日はこのまま銀座に移動して...お食事券をいただいたので、「柿安」さんにお昼を食べに行きました。場所は銀座中央通り7丁目、H&Mの入っているビルの7階です。

柿安さんというと、私にはデパ地下のお惣菜屋さんのイメージがありましたが、もとは三重県桑名に本社を置く、松坂牛の料亭だそうです。ここのところ、「茶寮伊勢 藤次郎」さんに「三重テラス」と、なぜか三重グルメとのご縁が続いています。

予約の時に個室がいっぱいだと恐縮されましたが、人数が多いわけでも、密談するわけでもないので^^ ふつうのお席で十分。大きな窓に面して銀座の町並みが見下ろせ、自然光が降り注ぐ気持ちのよいお席でした。

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お昼は、料理長おすすめの柿安御膳でした。逆四角錐の三段のお重に懐石料理がセットされ、これにすき焼きかしゃぶしゃぶがつきます。私たちはすき焼きをいただきました。

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中居さんがトントンとお重を広げると、中から季節の食材を使った美しいお料理が次々と現れ、思わず歓声をあげました。

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青い銀杏の葉は、まるで秋の訪れを待ちかねているよう。すき焼きの松阪牛はとろけるように柔らかかったです。

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デザートは抹茶アイスクリームとわらび餅。最後までおいしくいただきました。

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上野の森美術館 「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」

招待券をいただいて、上野の森美術館で開催されている「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」(~11月9日)を見に行きました。世界屈指の日本美術コレクションで知られるボストン美術館の所蔵品の中から、選りすぐりの北斎の作品約140点が公開されています。

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上野公園でデング熱騒ぎがあった翌日でしたが、思いのほか人が多く北斎人気を実感しました。7月に世田谷美術館でボストン美術館所蔵の浮世絵を見たばかりですが、今回は北斎にフォーカスを当てた企画展で、北斎の代表作の他、多彩な作品をじっくり見ることができました。

88歳まで生きた北斎の70年という画歴から、作品はほぼ年代順に紹介されていますが、目玉は北斎の出世作であり代表作の「富嶽三十六景」シリーズ。発表するや人気を博し、あとから10点追加制作して、全部で46点となった連作です。

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富嶽三十六景 神奈川沖波裏
だれもが知る北斎の傑作。決して大きな作品ではないですが、迫力ある波と大胆な構図、美しい藍に圧倒されました。画家だけでなく音楽家にも影響を与え、ドビュッシーはこの絵からインスピレーションを得て、交響曲「海」を作曲しました。

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富嶽三十六景 凱風快晴
通称「赤富士」で知られる作品。浮世絵の多くは量産のため木版画で作られており、その過程・手法の展示もありました。北斎は天才的な絵師ですが、彼の作品を支える彫師や刷師の職人の技に感激しました。

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富嶽三十六景 本所立川
46景の中には、富士を堂々主役で描くのではなく、自然や人々の生活を見守るように、背景にひっそり描かれた作品も多いです。富士は信仰の対象であり、神の目線を意識して描かれているのを感じました。

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(左) 諸国瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝
(右) 諸国滝廻り 下野黒髪山きりふりの滝

諸国瀧廻りは、富嶽三十六景のあとに発表された8点からなるシリーズ。北斎が旅先で出会った滝の風景ですが、有名無名にかかわらず、おもしろいと思った滝を好んで描いたそうです。

(右)は日光で見た懐かしい霧降の滝。今は近くまで立ち入ることができませんが、轟々と迫力ある滝の音を思い出しました。

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諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし
諸国名橋奇覧は11点からなるシリーズ。錦帯橋のような誰もが認める名橋とともに、サーカスの綱渡りのような危なっかしい吊り橋が同列に選ばれているところが、北斎らしくておかしかったです。

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(左)黄鳥 長春(ばら) (右)牡丹に蝶
北斎といえば風景画の印象が強いですが、華やかで美しい花鳥画も20点残しています。細密で正確な描写、美しい色彩に魅了されました。

ところで10月1日から、パリのグランパレで史上最大規模、700点以上が展示される「北斎展」が開催されているそうです。(記事はコチラ) 現代を生きるパリの人たちの目に、北斎の作品がどんな風に映るのか...なんだか楽しみです。

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