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「インターステラー」

クリストファー・ノーラン監督の最新作、「インターステラー」(Interstellar)を見ました。時空の魔術師ノーラン監督が紡ぐ、壮大な宇宙ファンタジーであり父娘の絆の物語です。

Interstellar_12

近未来の地球。環境変化による植物の枯渇で、人類は滅亡の危機を迎えていました。宇宙開発は過去のものとなり、元宇宙飛行士のクーパー(マシュー・マコノヒー)はとうもろこし農園を営んでいましたが、あるメッセージに導かれ、NASAが秘密裏に進めるプロジェクトにたどり着きます。

銀河系外にある人類が移住可能とされる惑星を調査するミッションを託されたクーパーは、家族を地球に残すことに苦悩しつつも、人類を滅亡の危機から救うため、星間旅行へと旅立ちます...。

Interstellar_2

ノーラン監督作品ということで楽しみにしていました。相対性理論をベースとした宇宙旅行が描かれていますが、「インセプション」の巧みな時空使いと「ダークナイト」シリーズの人間ドラマを思い出させる、ノーラン監督ならではの壮大な世界を堪能しました。

思えば高校時代に相対性理論に出会って衝撃を受け、学生時代に授業も受けましたが、いつしか新しいトピックを追いかけなくなってしまったので、久しぶりに触れる最新の理論に、よくわからないままにわくわくと好奇心を刺激されました。

本作は理論物理学者のキップ・ソーン博士が科学アドバイザーとして参加していますが、あくまで理論を積み重ねた仮説であり、リアリティとファンタジーの絶妙なバランスから紡ぎ出されるイマジネーションの世界に心地よく酔いしれました。

Interstellar_3

映画を見ると「2001年宇宙の旅」へのオマージュが感じられ、アンサームービーでもあるのかな?と思いましたが、人間的な温かみのある作品でした。映像表現もすばらしかったですが、パーフェクトな無音が訪れた瞬間には、宇宙の恐怖も感じました。

宇宙旅行における時空の変化にだんだん追いつけなくなって、そのうちスルーして見ていましたが^^; あとからアメリカの映画サイトでタイムライン・チャートなるものを発見。これを見たら、ちょっとすっきりしました。

Interstellar_5

圧倒的な孤独や危険と戦いながら、使命を果たすために奮闘する宇宙飛行士たち。壮大な宇宙のドラマに引き込まれながらも私がふと思い出したのは15、6世紀の大航海時代のことです。

家族をヨーロッパの母国に残したまま、地球は丸いという仮説のもとに、新大陸を目指した冒険者たち。それまで2次元の世界しか知らなかった彼らにとって、未知なる旅がどれほどの恐怖だったか初めて理解できた気がしました。水平線の向こうにはひょっとしたら奈落の底があるかもしれないのに...。

でもその時に航路を発見したからこそ、のちに宗教弾圧や飢饉を逃れて、多くの人たちが新大陸に移住することにつながったのだなーと思うと感慨深いです。映画のような話も、あと何百年?かしたら、実現するかもしれませんね。いつか宇宙への大航海時代が来るかも...なんて考えたら楽しくなってきました。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんばんは!

早速、記事にされたんですね!
私は、もうちょい後になりそう。(^_^;)

そうそう、これ、「2001年」とほぼストーリーが同じなんですよね。「2001年」では木星にブラックホールが現れるっていう設定だったし、人間よりもはるかに高度な文明を持った何者かからのメッセージっていう点とか、で、時間の概念を超えた五次元の表現が、「2001年」ではすごくわかり辛かったのを、この映画ではヒューマンドラマの要素にして、心にひびく様にしてあるんですよね。

ただ、相対性理論自体が難しすぎて、やっぱり良くわからないっていう点では「2001年」とどっこいどっこいでした。(笑)

途中でマット・ディモンが出て、クレジトにも名前出てたけど、パンフレットとかには名前ないのよね。特別出演なのかな?

この映画の宇宙探検隊みたいなのは私にはとても無理。それでも未知の世界を開拓してくれる人間って必ずいるんですよね・・。凄いな・・って思います。今度の火星有人飛行とか、考えただけで怖いです・・。

投稿: ごみつ | 2014年12月 3日 (水) 23時15分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
インターステラー、何やらややこしい理論が出てきますが
人間ドラマとして心に響く作品でしたね。

ひとつ間違えれば荒唐無稽になってしまうところを
リアリティをもたせて描かれているので
よくわからないままに、わくわくさせてくれるところが
さすがはノーラン監督だなーと思いました。

マットは秘密にするほどのこともないと思ったけど
端役だから友情出演という扱いにしたのかしら?(笑)
予告もイメージを重視したものでしたし
事前の情報をセーブしているのかなーというのは感じましたが。

遠い将来、核戦争か気象の変化で
地球が壊滅的な状態になる可能性はありますから
そのためにも今から地球外に居住地を求める準備は
進めていく必要があるかもしれませんね...
その頃にはたぶん私は生きてないけど。^^
何にせよ先駆者たちというのはほんとうにすごいですね。

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2014年12月 4日 (木) 10時01分

マット・ディモンは確かに
宣伝とかにも出てこないんですよね。
あんなに重要な役なのに。
出てきたときには驚きました。
しかしセレンさん、タイムライン・チャートまで見て理解しようとなさって偉い~!
私は途中からもう理解しようとするのをあきらめました。
どうせ「どこでもドア」だし…w

投稿: zooey | 2014年12月 4日 (木) 22時25分

セレンさん☆
難しい相対性理論もセレンさんにかかるととっても詩的なかんじがしますね。素敵!
確かに昔は誰もが信じていた2次元の世界が、本当は3次元だった・・・ということから考えると、5次元世界も遠い未来には当たり前になっているかもなのですね~

投稿: ノルウェーまだ~む | 2014年12月 4日 (木) 23時49分

☆ zooeyさま ☆
こんにちは。
マットにはびっくりしましたね。
それだけに、何が起こるかわからない宇宙の旅
というのがみごとに演出されていました。

映画を見ている時はモヤモヤしていたので
チャートを見てようやくすっきりしました。^^
最後はちょっと無理やり感がありましたが
再会をはたしてハッピーエンディングとなると
あの結末しかなかったのでしょうね。

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2014年12月 5日 (金) 16時18分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
きゃっ、そんな風に言っていただくとお恥ずかしい。
映画を見たら、別の世界に行ってしまいました。^^

将来、理論をたしかめられるほどに技術が追いついたら
今までわからなかった世界が見えてくるかもしれませんね。
なんだかわくわくします☆

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2014年12月 5日 (金) 16時23分

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