燕子花と紅白梅 @根津美術館
根津美術館で開催中の「尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密」(~5月17日)を見に行きました。
尾形光琳の300年忌を記念して、根津美術館の「燕子花図屏風」と、熱海のMOA美術館の「紅白梅図屏風」、光琳の国宝2点を56年ぶりに一堂に展示する特別展。2月の梅の季節にMOA美術館で、5月の燕子花の季節に根津美術館で開催するという、なんとも粋な企画です。
MOA美術館では現代アートへのアプローチをテーマにしていましたが、本展では光琳のデザイン性に注目し、屏風のほか、漆器や陶器の絵付けを見ることができました。
尾形光琳 「燕子花図屏風」 根津美術館蔵
光琳が40代半ばに描いた傑作。『伊勢物語』の「八橋」の場面を描いていますが、橋そのものを描かず、ほとりに咲く美しい燕子花のみを描いていて、想像力をかきたてます。光琳はこの10年後に、同じ主題で橋を加えた「八橋図屏風」を描きました。
シンプルに図案化された燕子花がリズミカルに連なる姿は、今の時代に見てもはっとするインパクトがあって引き込まれます。群青と緑青だけを用い輪郭線を描かずとも、花や葉の重なりや奥行が感じられ、群生する燕子花の風景が鮮やかに目の前に浮かびました。
尾形光琳 「紅白梅図屏風」 MOA美術館蔵
右に胸をそらせ枝を若々しく伸ばす紅梅。左に体を折り曲げるように枝を伸ばす白梅の老木。その間にゆるゆると流れる川。光琳晩年の最高傑作と謳われる作品です。
紅と白、若と老、動と静。2つの梅の対比にメッセージとストーリーを感じます。たらしこみの技法を施した写実的な梅に、モダンでデザイン性のある川を組み合わせる、卓越したセンスにノックアウトされました。
俵屋宗達・烏丸光広 「蔦の細道図屏風」 相国寺蔵
『伊勢物語』の「東下り」の場面を題材に、烏丸光広が歌を詠み、俵屋宗達が絵にしています。空と道を大胆に切り取った、シンプルな構図がかっこいい。左隻と右隻を入れ替えても連続するように描いた、この時代にして斬新な発想にしびれました。
尾形光琳 「夏草図屏風」 根津美術館蔵
晩春から夏にかけて咲く30種類もの草花が、流れるような構図で描かれています。繊細なボタニカルアートにうっとりしました。
尾形光琳 「槇楓図屏風」 東京藝術大学蔵
俵屋宗達の「槇楓図屏風」(山種美術館蔵)を模写した作品で、2つ並べて展示されていました。見比べると興味深い。
展示室をひと通り見てまわった後は、外に出てお庭を散策しました。
例年、カキツバタの開花時期に合わせて公開される燕子花図屏風ですが、この日はまだちらりほらりと咲いているのみ。それでも絵から飛び出したような風景に心がときめきました。
新緑が目に鮮やかで、心地よいお散歩となりました。
【 関連記事 】 KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館蔵「八橋図」 @根津美術館 (2012/5)
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コメント
こんばんは。
根津美術館で、琳派やってたんですね~。5月17日までじゃ行けそうにないな~。また見逃してしまって残念です。
アップされてる作品、どれも本当にきれいですね。記事にも書かれてる様に、デザイン性が高いし、構図も見事ですよね~。是非、現物を観賞したいです。
尾形光琳の「夏草図屏風」はこうやって記事の写真を見るだけでもうっとりしますね。
お庭の風景もすごく素敵です。
投稿: ごみつ | 2015年5月 2日 (土) 02時18分
☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
光琳特別展、とてもよかったです!
根津美術館所蔵の燕子花はもちろん
MOAの紅梅は初めて実物を見ることができて感激しました。
蔦の細道もですが、とにかくこの時代にして
このデザインセンスにびっくり...ですよね。
夏草図屏風を見たら、無性に草花をスケッチしてみたくなりました。^^
広々としたお庭も心地よく、楽しい散策になりました。
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2015年5月 2日 (土) 16時58分