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ハイネケン誘拐の代償

アンソニー・ホプキンズ主演のハイネケン誘拐事件を題材にしたクライム・サスペンス、「ハイネケン誘拐の代償」(Kidnapping Freddy Heineken / Kidnapping Mr. Heineken)を見ました。監督は「ミレニアム」シリーズのダニエル・アルフレッドソン。

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1983年、アムステルダム。世界的なビール会社ハイネケンの経営者、フレディ・ハイネケン(アンソニー・ホプキンズ)と運転手が誘拐され、多額の身代金を要求されます。犯行グループは、犯罪組織に属さない若者5人組。

計画は順調に進んだかに見えましたが、犯罪素人の彼らを相手に、ハイネケンは一歩も引かない強気の態度で接します。拘束が長引くにつれ、なかなか身代金が手に入らない犯人グループに焦りが見え始め...。

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事件に興味があったのと、アンソニー・ホプキンズの演技を楽しみに見に行きました。「羊たちの沈黙」のレクター博士とクラリスさながらの緊迫した駆け引きを期待していたので、その点では少々肩透かしでしたが、事件の概要を知ることができて、映画としてはまあまあ楽しめました。

裕福になるには2つの方法ある。大金を持つか、大勢の友達をもつか。両方はありえない。(There is two ways a man can be rich in this world , he can have a lot of money or he can have a lot of friends , but he cannot have both.)

これがこの映画のテーマになっていて、ホプキンズが語ると重みが感じられますが、お金が絡むと友情にひびがはいる、というのはよくある話で、それほどインパクトはないかな?と思いました。しかも冒頭と劇中、最後のキャプション...と繰り返しこのことばが登場するのが少々しつこい。^^;

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ハイネケンは拘束されてからも堂々としたふるまいで、音楽を変えろ、本を差入れしろ、とわがまま放題。身代金が届かなくていらいらする犯人に、「私が話をつけてやろう」と申し出るほどの余裕を見せます。一方犯人側は、ハイネケンに「警察に協力しないと約束しろ」なんて凄んでいるけど、まるで甘い。

でも彼らが根っからの悪党ではなかったゆえに、ハイネケンは殺されず、彼らも重圧に押し潰されて逃げ切れなかったのかもしれません。犯人が全員逮捕されているのに、身代金が見つからないなど、多くの謎を残しているというこの事件。まだ裏に隠された真実がありそうですね...。

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誘拐 狙われたハイネケン
(Die Heineken Ontvoering / The Heineken Kidnapping)

こちらは2011年製作のオランダ映画です。日本では劇場未公開ですが、ヨーロッパでは犯人の一人が公開差止めを要求したりと、話題になったようです。ハイネケンを演じるのはオランダの名優ルトガー・ハウアー。

前半は今回公開の「ハイネケン~」とほぼ同じですが、後半では警察に助け出されたハイネケンが、持てる財力と政治力を駆使して犯人逮捕に執念を燃やします。特に監禁中、何度も彼を精神的に苦しめた一番若いレムのことを、ハイネケンは赦すことができません。

レムはパリで逮捕されますが、オランダ・フランス間の条約で犯人の受け渡しができません。そこでハイネケンは、オランダ・フランスが国境を接しているカリブのセント・マーティン島に、レムを送るよう画策します...。

これはおもしろかった! 「ハイネケン~」ではハイネケンが犯人たちを翻弄しますが、こちらでは若造のレムが、老練なハイネケンを心理的に追い詰めるのです。レムの父親や恋人のエピソードなど、サイドストーリーもドラマを盛り上げ、とても楽しめました。

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映画」カテゴリの記事

コメント

こんばんは!

わ~、良いな!私もハイネケン、見たかったんですよね~。
でも見た方の感想みかけると、今一歩な感想の方が多いみたいですね。

ホプキンス版も絶対に見たいけど、ルトガー・ハウアーのも面白そうです。
セレンディピティさんは、オランダ版の方が気に入られたみたいなので、こっちを先に見ちゃおうかな~。
オランダ語を喋るルトガー・ハウアーも見てみたいし!

で、映画を見たあとはハイネケンを飲もうと思います。(笑)

投稿: ごみつ | 2015年6月19日 (金) 23時59分

セレンさん☆
私も必要以上に期待し過ぎてたせいもあって、ちょっと肩すかしでした。
ハイネケンとの緊迫した攻防戦にもっと重きを置いていると思っていたので…
もうひとつハイネケンの映画があったのですね!?
さすが自国の事件だけに、描き方にもしっかりしたものがあるのかな?
今度探して見てみよう~~

投稿: ノルウェーまだ~む | 2015年6月20日 (土) 12時21分

☆ ごみつさま ☆
こんにちは。

ごみつさんもこの映画、気になっていらしたのですねー。
予告を見て、ホプキンズがもっと
犯人たちに心理的な揺さぶりをかけるものと期待していたので
その点ちょっと物足りなかったですが、まあまあ楽しめました。

個人的にはオランダ版の方がおもしろかったです!
ルトガー・ハウアーが弱い部分もあわせもつ
老練な経営者を好演していましたし
レム役の若い俳優さんも魅力的でした。

ハイネケンビールのおともに是非☆

投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2015年6月20日 (土) 12時49分

☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
まだ~むさんもやはり肩透かしでしたかー。
ホプキンズが演じると、どうしても期待しちゃいますよね。

オランダ版の方は、ハイネケンや犯人の背景についても
きちんと描かれているし、ドラマとして見応えありましたよ。
レムが誰のことを指しているのかわからなくて
ひょっとしたらフィクション入っているのかもしれませんが。
よかったらご覧になってみてください☆

投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2015年6月20日 (土) 12時59分

こんばんは。
本作はやはり肩透かしですよね?誘拐をテーマにした映画はやはりもっと、もっとスリリングでなくては観客を満足させることはできないのではないかと思います。
まぁでも焦るコルたちを見ていて楽しめたのは確かです。
アンソニー・ホプキンスの存在はさすが!としか言えません。

そうそうルトガー・ハウアー版も話題になっているようで是非見て見たいです。

>ハイネケンが、持てる財力と政治力を駆使して犯人逮捕に執念を燃やした...
ハイネケンの努力も虚しく解き明かされない真実が多々あるという事実は彼にとってはかなり不満が残ったでしょうね?お気の毒なことでした。

投稿: margot2005 | 2015年6月22日 (月) 23時03分

☆ margot2005さま ☆
こんにちは。

そうですねー。
スリリングという点では少々物足りなかったですが
ジム・スタージェスは好きなので、まあまあ楽しめたかな?^^
アンソニー・ホプキンズは役不足でもったいなかったですが
さすがに貫禄がありましたね。

ルトガー・ハウアー版はまた違った視点で描かれていて
楽しめましたよ!

真実は闇の中ですが...
実はハイネケンが裏で犯人と取引していたりして??
とかあれこれ勘ぐってしまいました。

投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2015年6月23日 (火) 12時05分

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» 「ハイネケン 誘拐の代償」☆代償を払ったのは・・・ [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
いくら実在の事件を基にしていると言っても、クライムサスペンスでドキュメンタリーではないのだから、ラストをもっと膨らませたら良かったのに。 若き素人誘拐犯に感情移入させたいなら最後まで、大物俳優アンソニー・ホプキンスにハイネケンをやらせるなら、もっとぐっとハイネケン目線に絞るべきだったのでは??... [続きを読む]

受信: 2015年6月20日 (土) 12時22分

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受信: 2015年6月20日 (土) 14時17分

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受信: 2015年6月22日 (月) 22時43分

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