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世界報道写真展2015 @東京芸術劇場 ギャラリー1

石垣島旅行記はしばしお休みして...。

東京芸術劇場 ギャラリー1で開催された「世界報道写真展2015」(8月9日で終了)を見てきました。昨年1年間に撮影された写真を対象とする「世界報道写真コンテスト」の入賞作品の中から、8部門約150点が展示されました。

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世界を巡回し、東京では毎年この時期に開催されている本展。私とっては一年をふりかえり、世界で何が起こっているのか、視覚的に知る貴重な機会となっています。

例年は恵比寿の東京都写真美術館で開催されていますが、今年は改修工事のため、会場が池袋の芸術劇場に変更になったことをうっかり忘れ、あやうく見逃すところでした。閉展間近になんとか見に行くことができました。

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大賞となったのは、デンマークの写真家マッズ・ニッセン氏の作品です。ロシアのサンクトペテルブルクに暮らす同性愛者の悲しみに満ちた表情を、静かなまなざしでとらえています。どこかカラヴァッジョを思わせる光と影の表現に、2012年のピエタと同様、ジャーナリズムとアートのみごとな融合を感じました。

ロシアでは性的マイノリティへの差別や偏見が強まり、国際社会の反発を受けています。昨年のソチ・オリンピックで、主要国の首脳が抗議のために開会式をボイコットしたことも記憶に新しいです。

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リビア北方の海でイタリア海軍巡洋艦に救助された難民たちをとらえた作品です。政情不安定な北アフリカからイタリアに渡ろうとする難民たちは後を絶たず、昨年イタリアが救助し受け入れた難民は15万人以上に上りました。粗末なボートに乗り命がけで航行する人々の姿は、現代のノアの箱舟を思わせます。

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「自然」部門の作品は心を和ませるものがあり毎年楽しみにしていますが、今年は動物たちの受難を題材にした作品が多かったです。写真は、ケニアの自然保護区で親を殺されたサイの子どもに触れる先住民族の若者たちをとらえています。

2012年にもサイの密猟を題材にした作品がありましたが、アフリカでは犯罪組織による密猟が後を絶たず、野生動物の数が激減しています。密猟者たちとそれを阻止する武装化した当局との間で、先住民族たちもまた危険にさらされています。

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コロンビアのワニ革が丈夫さと質の高さから評価され、ワニの養殖と殺処分が急増しています。こうした事態を重く見た女優のジェーン・バーキンがエルメスに対し、バッグに自分の名まえを使わないよう要請したことが、つい先日、大きな話題となりました。(The Huffington Post

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今年は中国を題材にした作品がたくさんありました。急激な経済成長が、公害、格差など、多くの歪みを生み出していることを、さまざまな角度から実感しました。写真は農村から工場に出稼ぎに来て、クリスマス用品を作る19歳の少年です。赤い粉塵にまみれ、マスクは一日に何度も取り替えなければなりません。

残念ながら日本人の受賞はありませんでしたが、日本を題材にしたイタリア人写真家の作品がありました。

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4枚連作のうちの2枚です。名古屋のファストフード店の窓越しに、ひとりで食事する人々をとらえた作品です。私たちにはすっかり見慣れた光景ですが、これもまた現代を写す鏡といえそうです。

今年の受賞作品は、こちらのサイトで見ることができます。
camera WORLD PRESS PHOTO 2015

過去の感想はこちら。
pencil 世界報道写真展2014
pencil 世界報道写真展2013
pencil 世界報道写真展2012
pencil 世界報道写真展2011

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コメント

世界報道写真展って、恵比寿ガーデンでやっていませんでしたっけ?
以前、そちらで観たような…
いずれにしても印象的な写真ばかりですね。
とくに難民とサイの写真に、私は打たれました。

投稿: zooey | 2015年8月12日 (水) 22時54分

☆ zooeyさま ☆
こんばんは。

例年は恵比寿の東京写真美術館で開催されているのですが
改修工事のため、今年は芸術劇場に変わったのです。

ここでは取り上げていませんが
ウクライナや中東など、紛争地域の写真も多く
衝撃を受けました。

難民とサイの写真は、背景にあるメッセージのみならず
アートとしてもインパクトがありますね。

投稿: ☆ zooeyさま ☆ | 2015年8月12日 (水) 23時44分

今年は、ばたばたとして、しかも最終日は
チケットを頂いた和のひかり展にいかなければならず、
見逃してしまいました。
いつも感じることですが、優れた報道写真は
優れたアート写真でもあると言う気がしています。

投稿: イザワ | 2015年8月14日 (金) 11時04分

☆ イザワさま ☆
こんにちは。
今年は会場が変わったので、私もうっかり見逃すところでした。

衝撃的な写真も多いですが、今年も世界で起こっているさまざまな
事件や問題を知り、考えるいい機会となりました。

アートとしてインパクトのある作品は
特に心に強く刻み込まれますね。

投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2015年8月14日 (金) 18時14分

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