はじまりのうた / ONCE ダブリンの街角で
先月、名画座の目黒シネマに、ジョン・カーニー監督の2本立て、「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」を見に行ってきました。どちらも、元ミュージシャンの監督らしい音楽愛あふれるハートウォーミングな作品です。
名画座に行ったのは、学生の頃にヒッチコックやチャップリンの映画を見に行って以来でしょうか...。驚いたことにかなり盛況で、私が見た回はどちらもほぼ満席でした。手書きのパンフレットや売店のお菓子など、レトロで温かい雰囲気に心が和みました。クセになりそうな予感です。
はじまりのうた (Begin Again)(2013)
恋人に裏切られ傷ついたシンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、ニューヨークで音楽活動をしている友人にばったり出会い、彼のライブで一曲だけ歌わされることに。その歌を偶然聴いた落ち目の音楽プロデューサー ダン(マーク・ラファロ)は、グレタに音楽アルバムを作ろうと持ちかけます...。
キーラのささやくような歌声が実にチャーミング。声量を抑えた歌声は透明感があって、彼女の個性にぴったり合っていました。グレタの恋人を演じるのはMaroon 5のアダム・レヴィーン。ヒットメイカー グレッグ・アレクサンダーが手掛ける音楽はどれもよかったです。
ダンは、もともと才能ある音楽プロデューサーでしたが、長らくヒット曲に恵まれず、自分の作った会社から追い出され、家族からも見放されていました。しかしどん底の中で、グレタの歌に出会い、かつての情熱を思い出すのです。
スタジオもお金もないグレタとダンは、街角で見つけたミュージシャンや、遊んでいる子どもたちまで巻き込んで、ニューヨークのあちこちでゲリラ的に演奏して、デモテープを作るのですが、この過程がなんとも楽しい。
仲間が増えていくにつれ、音楽がだんだん生き生きと輝いていくのは、まるでストーンスープのお話みたい。街の喧騒まで味方につけて...最後はとっておきのアルバムになります。
グレタがダンの娘バイオレットに、恋の指南をする場面も好き。(バイオレットを演じたのが、「トゥルー・グリット」の天才子役、ヘイリー・スタインフェルドと知って驚きました。子どもの成長は早い) 音楽が起こした奇跡に、心が温かくなりました。
ONCE ダブリンの街角で (Once)(2007)
ダブリンの街角でいつものようにミュージシャンの”男”(グレン・ハンサード)が歌っていると、彼の歌に耳を止めたチェコ移民の”女”(マルケタ・イルグロヴァ)が声を掛け、2人は親しくことばを交わすようになります。女が弾くピアノに男がギターを合わせ、2人は音楽を通じて惹かれあいますが...。
この作品はだいぶ前に見たことがあり、今回再見です。
アイルランド出身の監督が故郷を舞台に作った長編デビュー作で、低予算ながらじわじわと人気が出て大ヒットしました。主題歌はアカデミー賞歌曲賞を受賞。映画はミュージカルに舞台化されて、ブロードウェイで上演されています。
恋人にふられた男と、事情があって夫と離れて暮らしている女、寄せ集めのミュージシャンで音楽のデモテープを作って...と物語のプロットが「はじまりのうた」とよく似ているので、それゆえに2作品を続けて見ると(生意気ですが)監督の成長を実感することができました。
この作品は音楽があまり私好みではなくて、最初に見た時にはそれほどノリ切れなかったのですが、お互いを大切に思い、それゆえに別々の道を行く二人の決断にさわやかな余韻が残りました。ラストのサプライズには胸が熱くなりました。
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コメント
セレンさん☆
そんなに古くない映画をこうして2本立てで観られちゃうのって、すっごくお得なかんじがしますね!
それは満席になるでしょう♪
「はじまりのうた」は気になっていて見逃したので、ちょっと行ってみようかしら…
投稿: ノルウェーまだ~む | 2015年9月 6日 (日) 15時42分
☆ ノルウェーまだ~むさま ☆
こんにちは。
ほんの半年前くらいに上映していた作品ですから
見逃しちゃった、という時にいいですよね。
上映期間が2週間ほどと短いですが
スケジュールが合えばなかなかお得なのでは、と思います。
「はじまりのうた」よかったですよ。
目黒シネマでの上映はもう終わってしまいましたが
来月DVDが出るので、よかったら是非。
投稿: ☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ | 2015年9月 6日 (日) 16時33分
名画座・・・懐かしいです。
私の場合、名画座というと一番思い起こすのは
子どもの頃、怪獣もの3本建てです(笑)
親に連れられて喜んでいきましたが、子ども心に
3本目はつかれてヘリヘロだった記憶があります(笑)
今回のは半年前の作品も含めて心豊かになる
2本立て。
しかも館内の雰囲気もレトロな感じのようで
そちらもこころウキウキ!
たまには名画座も良いですね^^
投稿: イザワ | 2015年9月 6日 (日) 17時04分
こんばんは。
名画座で二本立て良いですね。家から近い池袋にも二本立て名画座あるんです。一度行こうと思いながらまだ足を踏み入れていません。
素朴な感じの「ONCE ダブリンの街角で」と、少々過激な「はじまりのうた」は舞台がダブリンとニューヨークの違いでしょうか?
どちらも素敵な映画でした。
投稿: margot2005 | 2015年9月 6日 (日) 22時53分
☆ イザワさま ☆
おはようございます♪
怪獣ものの3本立てですか!
それは子どもにとっては魅力的ですね☆
今回見た映画はどちらも1時間半ほどと短かったですが
2時間もの2本立てというと4時間以上ですから
結構気合いが要りますね。
でもレトロな雰囲気の中、劇場のスタッフの方たちの
映画愛も伝わってきて...
楽しい時間がすごせました☆
投稿: ☆ イザワさま ☆ | 2015年9月 7日 (月) 08時39分
☆ margot2005さま ☆
おはようございます。
目黒シネマはいつも前を通るたびに気になっていたのですが
実は入ったのは私も初めてでした。
2本の組み合わせにも工夫を凝らしているようです。
ONCEとはじまりのうた、どちらも監督の音楽愛あふれる作品でしたね。
プロットは似ていますが、ダブリンとニューヨークと
それぞれ違ったテイストが楽しめました。
どちらもすてきな作品でした☆
投稿: ☆ margot2005さま ☆ | 2015年9月 7日 (月) 08時55分
こんにちは!
TB有難うございます。
「はじまりのうた」、とても心に残る映画でしたよね。
キーラの恋人が、Maroon5の人だっていうのは、見終わって映画のHP見てかた気が付きました。彼もなかなか演技良かったですよね。
「Once」も落ち着いたら、早速見てみたいと思ってます!
名画座は良いですよね~。私も、なかなか2本立ては見に行けませんが、もっと足を運べると良いな~って思います。
投稿: ごみつ | 2015年9月 7日 (月) 17時24分
☆ ごみつさま ☆
こんにちは。
「はじまりのうた」よかったですね。
私もアダム・レヴィーンは、映画を見てあれ~?と驚きました。
歌はもちろん上手だし、演技もよかったですね。
ごみつさんに刺激されて...
ちょうど目黒シネマで上映されてたので見に行きましたが
楽しかったです。
実はあれからギンレイホールにも行ったんですよ。
(フォックスキャッチャーを見てきました)
気になりながらなかなか足を運べなかったので
背中を押していただいて感謝です☆
投稿: ☆ ごみつさま ☆ | 2015年9月 8日 (火) 10時42分